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1.一条ひろみ
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演技力と美貌を兼ね備えた素晴らしい大女優一条ひろみは、世界中の映画祭総なめの人気ナンバーワンの大女優である。
父は大企業の社長で、母は代議士であることから、この世の幸せを全部ひとり占めしたかのような、ひろみは全人類の憧れの的のような存在。
そのため、世界各国からのオファーは毎年すさまじく1週間に1本の割合で映画に出演するという超多忙な売れっ子女優なのだ。
一条ひろみは、帰国子女で、上知大学の2年生であることから、世界のたいていの言葉はネイティヴ並みに流ちょうなのが自慢で、それで世界の映画に出演しているというわけ。
両親は広告塔として値打ちがあるひろみを、大切に何不自由なく育てた。
そのことから、怖いもの知らず、大変わがままな性格で弱い者いじめが大好きな趣味だと公言してはばからない。そのため、業界内では数多くの敵がいたが、ひろみの両親の力が強く、泣き寝入りしていたのだ。
ひろみが出演する映画は大ヒット間違いなしとなるため、興行元も映画監督も誰もひろみに苦言を呈せない。
ある時、若手監督が見かねて注意したところ
「何よ。私が悪いとでも、言いたいわけ?……気が替わったわ。この映画に出ないわ。キャンセルする。」
結局、その若手監督は反省文を100枚書かされた挙句、業界から追放されることになったのだ。
その後の消息は誰も知らない。
いじめられて、自殺に追い込まれたスタッフや女優、俳優は数知れず。仕事仲間は「またか」の感覚でしかない。もう誰も慣れっこになってしまって、一条ひろみに関するエピソードがありすぎて、こんなことは日常茶飯事で何も感じなくなってしまっている。
映画のロケで北陸の自殺の名所の断崖に行ったときのこと。そこで事故?事件?が起こってしまう。
スタントマンがドタキャンしたのだ。そのスタントは先日、ひろみがいじめて自殺したスタントの姉が担当していたが、仕事の依頼があった時、一条ひろみのスタントだと知らされずに受けてしまい、後から一条ひろみの代役だということに気づいて、急遽キャンセルしてしまったというわけ。
「あんな女のために、命張れるか!」
撮影延期しようにも、スケジュールの調整がうまくいかない。一条ひろみを説得という名の脅迫をして煽ることに成功。
「スタントマンがいなくても、一条ひろみならこなせるでしょう?それとも別のスタントマンを探しましょうか?」
「わかったわよ。大丈夫なんでしょうね?」
「命綱があるから大丈夫です。万が一にも切れたりはしません。安全は保障しますよ。」
本来ならスタントがやるべきはずのアクションをひろみがする羽目になり、真夏の太陽が照り付ける絶壁へと向かう。
「きゃぁっ!」
気が付けば、魔物が棲む真冬の山にいた。
「ウソでしょ。さっきまで真夏の絶壁にいたのに、どうしてこんなに寒いのよ。マネージャー!何か羽織るものを持ってきて頂戴!」
「……。」
「あ、そっか。私、落ちたんだっけ?で、ここどこよ?なんで真夏から真冬?に来ているのよ?あ!ひょっとして、死んだからなの?ま、人間いつかは死ぬのだから、どうってことないけど。それにしてもあの監督アタマにくる!何が、大丈夫。よ。」
さっき、大声を出したせいか、何やら獣が近づいてくるのが見えた。
「しっ。しっ。あっち行ってよ。私なんかマズイわよ。食べてもおいしくないんだからね。」
そう言っている間も、獣はどんどん、ひろみに近づいてくる。奇声を上げ威嚇しているように見える。
「キエィ!」
あわや、魔物に襲い掛かられるところを間一髪のタイミングで、通りがかりの男性に救助される。
なんと一太刀で獣を真っ二つにしたので、とても人間技とは思えなかった。
でも、一応二本足で立っているから、人間かもしれない。
父は大企業の社長で、母は代議士であることから、この世の幸せを全部ひとり占めしたかのような、ひろみは全人類の憧れの的のような存在。
そのため、世界各国からのオファーは毎年すさまじく1週間に1本の割合で映画に出演するという超多忙な売れっ子女優なのだ。
一条ひろみは、帰国子女で、上知大学の2年生であることから、世界のたいていの言葉はネイティヴ並みに流ちょうなのが自慢で、それで世界の映画に出演しているというわけ。
両親は広告塔として値打ちがあるひろみを、大切に何不自由なく育てた。
そのことから、怖いもの知らず、大変わがままな性格で弱い者いじめが大好きな趣味だと公言してはばからない。そのため、業界内では数多くの敵がいたが、ひろみの両親の力が強く、泣き寝入りしていたのだ。
ひろみが出演する映画は大ヒット間違いなしとなるため、興行元も映画監督も誰もひろみに苦言を呈せない。
ある時、若手監督が見かねて注意したところ
「何よ。私が悪いとでも、言いたいわけ?……気が替わったわ。この映画に出ないわ。キャンセルする。」
結局、その若手監督は反省文を100枚書かされた挙句、業界から追放されることになったのだ。
その後の消息は誰も知らない。
いじめられて、自殺に追い込まれたスタッフや女優、俳優は数知れず。仕事仲間は「またか」の感覚でしかない。もう誰も慣れっこになってしまって、一条ひろみに関するエピソードがありすぎて、こんなことは日常茶飯事で何も感じなくなってしまっている。
映画のロケで北陸の自殺の名所の断崖に行ったときのこと。そこで事故?事件?が起こってしまう。
スタントマンがドタキャンしたのだ。そのスタントは先日、ひろみがいじめて自殺したスタントの姉が担当していたが、仕事の依頼があった時、一条ひろみのスタントだと知らされずに受けてしまい、後から一条ひろみの代役だということに気づいて、急遽キャンセルしてしまったというわけ。
「あんな女のために、命張れるか!」
撮影延期しようにも、スケジュールの調整がうまくいかない。一条ひろみを説得という名の脅迫をして煽ることに成功。
「スタントマンがいなくても、一条ひろみならこなせるでしょう?それとも別のスタントマンを探しましょうか?」
「わかったわよ。大丈夫なんでしょうね?」
「命綱があるから大丈夫です。万が一にも切れたりはしません。安全は保障しますよ。」
本来ならスタントがやるべきはずのアクションをひろみがする羽目になり、真夏の太陽が照り付ける絶壁へと向かう。
「きゃぁっ!」
気が付けば、魔物が棲む真冬の山にいた。
「ウソでしょ。さっきまで真夏の絶壁にいたのに、どうしてこんなに寒いのよ。マネージャー!何か羽織るものを持ってきて頂戴!」
「……。」
「あ、そっか。私、落ちたんだっけ?で、ここどこよ?なんで真夏から真冬?に来ているのよ?あ!ひょっとして、死んだからなの?ま、人間いつかは死ぬのだから、どうってことないけど。それにしてもあの監督アタマにくる!何が、大丈夫。よ。」
さっき、大声を出したせいか、何やら獣が近づいてくるのが見えた。
「しっ。しっ。あっち行ってよ。私なんかマズイわよ。食べてもおいしくないんだからね。」
そう言っている間も、獣はどんどん、ひろみに近づいてくる。奇声を上げ威嚇しているように見える。
「キエィ!」
あわや、魔物に襲い掛かられるところを間一髪のタイミングで、通りがかりの男性に救助される。
なんと一太刀で獣を真っ二つにしたので、とても人間技とは思えなかった。
でも、一応二本足で立っているから、人間かもしれない。
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