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23.新しいヒロイン
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「マクシミリアン様。」
呼びかけると、ギョっとした、マクシミリアン様の顔が!思わず、背中にいる女子生徒を隠すようにしているところが怪しい。
よく見ると男爵令嬢のリリアーヌ様かと見間違えるほど、よく似ていらっしゃる、黒目黒髪の美少女に、また新しいヒロインの登場か。と苦虫をかみつぶす多表情をするところを、満面の笑顔で、
「保存食の試食品を、たくさん作り過ぎてしまって、リングで、呼ぼうかしらと思いましたけど、お勉強中であれば、悪いと思って、こうしてお持ちしましたけど、今は、お取込み中なようなので、シャルパンティア家の方へ先にお持ちしますね。ごきげんよう。」
くるりと背中を向けて、歩き出す。
どうしようか?ぶん殴ってやろうか?と思案していると、
「っやっ!っちがっ!」
いつも冷静なマクシミリアン様が焦りまくっている。
「あら、マクシミリアン様の婚約者の肩って、ずいぶんデブなのね。」
ヒロインの声が聞こえた途端、怒髪天の勢いが戻ってくる。
「誰がデブですって!アンタなんか洗濯板じゃないの!あら、失礼、ツルペタといった方がよろしいかしら?」
マクシミリアン様は、二人の間に入り、オロオロしている。
「誰が洗濯板に干しブドウよ!」
いやいや、そこまで言っていないって。でも、これでハッキリとわかる。転生者だ。
「マクシミリアン様ぁ、私にも指輪くださぁい。」
バカか、コイツ?
クリストファー殿下が廃嫡になり、ただの王子様になったから、攻略対象者を替えてきたとしか思えない。
筆頭公爵家の嫡男アラミス様は、変態だから、マクシミリアン様に狙いを定めるのも、頷けるけど、これでは、ミッシェルが悪役令嬢にされてしまうではないの?
「わたくしは、いつでもリングを外しても、よろしくてよ。……仕方ない、アラミス様か、カール様か、アルブレヒト様に味見していただくことにするわ。」
言いながら、美術室へ足を向けると、さすがにマクシミリアン様が追いかけてきて、
「新しく入った2年生で、勉強を教えていたところなのだよ。ミッシェルが変な誤解をするような娘ではない。」
「あら、そのようには見えませんでしたわ。美術室にいらっしゃるかしらね?」
「おい、本当だよ、信じておくれ。」
「この際だから、ハッキリ言わせていただきますけど、ここのところ卒論だと言って、毎日、あの娘と会っていたのですか?それなら、わたくしにも考えがございます。」
「考えって、なんだよ?」
「宰相閣下に申し上げて、この婚約を白紙撤回させていただきたく……。ふぐっ。」
最後まで、言い終わることがないうちに、マクシミリアン様に唇を塞がれる。
「愛しているのは、ミッシェルだけだよ。信じてほしい。俺があんな薄気味悪いカラス女を相手にすると思っているのか?」
「だって……。デブって言われたのに、マクシミリアン様は、反論してくださらなかったわ。」
「俺は、ミッシェルの柔らかいカラダが好物なんだよ。でも、ミッシェルはデブではない。あんなツルペタに俺は関心がない。」
「本当?うーん。愛しているわ。マックス(マクシミリアンの愛称)様。」
「俺も愛しているよ。俺には、ミミ(ミッシェルの愛称)しかいない。」
学園の庭園だということも忘れ、二人でチュッチュしていると学園長が来て、
「ほどほどにしてくださいよ。」
注意され、二人は赤面したまま、馬車に乗り込む。
学園町は、その足で、カラス女のところへ行かれ、
「婚約者がいる男性に話しかけてはいけません。これは貴族社会においてのルールです。守っていただけない場合は、退学とさせていただきますから、今後は気を付けるように、お願いします。」
「だって、婚約者様が案外、デブブスだった場合、仕方がないのではありませんか?絶世の美女ならともかく。」
「先ほど、警告したはずです。婚約者を誹謗中傷することなど、アナタは、いったい何様のつもりですか?学園では、貴族社会のルールを踏襲しています。貴族のルールも守れないようなら、退学もやむをえない選択の一つとなります。」
「わかりましたよ。マクシミリアン様のことは、諦めます。」
ったく、もう、クリストファー殿下は、廃嫡されて、ただの王子様になっているというのに、これじゃ、他の攻略対象者を狙うしか仕方がないのに、あのデブブスの悪役令嬢さえ、いなければ……・
呼びかけると、ギョっとした、マクシミリアン様の顔が!思わず、背中にいる女子生徒を隠すようにしているところが怪しい。
よく見ると男爵令嬢のリリアーヌ様かと見間違えるほど、よく似ていらっしゃる、黒目黒髪の美少女に、また新しいヒロインの登場か。と苦虫をかみつぶす多表情をするところを、満面の笑顔で、
「保存食の試食品を、たくさん作り過ぎてしまって、リングで、呼ぼうかしらと思いましたけど、お勉強中であれば、悪いと思って、こうしてお持ちしましたけど、今は、お取込み中なようなので、シャルパンティア家の方へ先にお持ちしますね。ごきげんよう。」
くるりと背中を向けて、歩き出す。
どうしようか?ぶん殴ってやろうか?と思案していると、
「っやっ!っちがっ!」
いつも冷静なマクシミリアン様が焦りまくっている。
「あら、マクシミリアン様の婚約者の肩って、ずいぶんデブなのね。」
ヒロインの声が聞こえた途端、怒髪天の勢いが戻ってくる。
「誰がデブですって!アンタなんか洗濯板じゃないの!あら、失礼、ツルペタといった方がよろしいかしら?」
マクシミリアン様は、二人の間に入り、オロオロしている。
「誰が洗濯板に干しブドウよ!」
いやいや、そこまで言っていないって。でも、これでハッキリとわかる。転生者だ。
「マクシミリアン様ぁ、私にも指輪くださぁい。」
バカか、コイツ?
クリストファー殿下が廃嫡になり、ただの王子様になったから、攻略対象者を替えてきたとしか思えない。
筆頭公爵家の嫡男アラミス様は、変態だから、マクシミリアン様に狙いを定めるのも、頷けるけど、これでは、ミッシェルが悪役令嬢にされてしまうではないの?
「わたくしは、いつでもリングを外しても、よろしくてよ。……仕方ない、アラミス様か、カール様か、アルブレヒト様に味見していただくことにするわ。」
言いながら、美術室へ足を向けると、さすがにマクシミリアン様が追いかけてきて、
「新しく入った2年生で、勉強を教えていたところなのだよ。ミッシェルが変な誤解をするような娘ではない。」
「あら、そのようには見えませんでしたわ。美術室にいらっしゃるかしらね?」
「おい、本当だよ、信じておくれ。」
「この際だから、ハッキリ言わせていただきますけど、ここのところ卒論だと言って、毎日、あの娘と会っていたのですか?それなら、わたくしにも考えがございます。」
「考えって、なんだよ?」
「宰相閣下に申し上げて、この婚約を白紙撤回させていただきたく……。ふぐっ。」
最後まで、言い終わることがないうちに、マクシミリアン様に唇を塞がれる。
「愛しているのは、ミッシェルだけだよ。信じてほしい。俺があんな薄気味悪いカラス女を相手にすると思っているのか?」
「だって……。デブって言われたのに、マクシミリアン様は、反論してくださらなかったわ。」
「俺は、ミッシェルの柔らかいカラダが好物なんだよ。でも、ミッシェルはデブではない。あんなツルペタに俺は関心がない。」
「本当?うーん。愛しているわ。マックス(マクシミリアンの愛称)様。」
「俺も愛しているよ。俺には、ミミ(ミッシェルの愛称)しかいない。」
学園の庭園だということも忘れ、二人でチュッチュしていると学園長が来て、
「ほどほどにしてくださいよ。」
注意され、二人は赤面したまま、馬車に乗り込む。
学園町は、その足で、カラス女のところへ行かれ、
「婚約者がいる男性に話しかけてはいけません。これは貴族社会においてのルールです。守っていただけない場合は、退学とさせていただきますから、今後は気を付けるように、お願いします。」
「だって、婚約者様が案外、デブブスだった場合、仕方がないのではありませんか?絶世の美女ならともかく。」
「先ほど、警告したはずです。婚約者を誹謗中傷することなど、アナタは、いったい何様のつもりですか?学園では、貴族社会のルールを踏襲しています。貴族のルールも守れないようなら、退学もやむをえない選択の一つとなります。」
「わかりましたよ。マクシミリアン様のことは、諦めます。」
ったく、もう、クリストファー殿下は、廃嫡されて、ただの王子様になっているというのに、これじゃ、他の攻略対象者を狙うしか仕方がないのに、あのデブブスの悪役令嬢さえ、いなければ……・
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