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アンダルシア王国では、2組のカップルの挙式があったのだ。
一組は、国王夫妻、もう一組は、王太子夫妻である。二組とも、これが初婚であるかのような初々しさがある。
これからは、またどこへ行くのも4人一緒、4人でイチャイチャしながらの生活です。
ハーバード公爵も無事、領地ごと移転を終え、アンダルシアの公爵の地位を得ます。今回はフルダイヴ国とは、反対側の海に埋め立てるように、領地とグレジオラの王都公爵邸、フリーランス家をそれぞれ順番に出しながら、結界を張り巡らします。もちろん、領空領海領土ともにです。
その頃、グレジオラ国では、
「女神様の行方はまだわからないのか?ハーバード家はわかるのだが、フリーランス騎士団長まで行方不明になったということは、団長は、女神様と行動を共にしているのか?」
「結界が消えかかっているのか?最近、やけに雨がよく降る。」
それは1000年前、飛竜ともめた時、結界に飛竜が凍って引っ付いていたものが、結界が消えたことにより、水滴となって落ちてきているのであった。
古い文献によると、女神様が出て行ったあとの穴に火を放つとマグマが噴出し、国全土が焼け野原になるとされている。
「それにしてもご先祖様がこの地をお見捨てになるとは?」
王国の重鎮どもをはじめ王族までもが、レオナルド13世の発言を無視しているようなもの。
レオナルド13世が聖女と結婚したいがために、国外追放処分にしたのに、そのことは一切触れず、女神と公爵、騎士団長が勝手に国を捨てたかのように批判することはおかしい。
ゴールデニアは、出て行けと言われたから出たまでなのだ。
「たった今、聞いてきた情報によると、フリーランス夫人がアンダルシア国王陛下との婚儀があったらしいぞ。」
「ええ?すると騎士団長もアンダルシアに行ったのか?女神様と一緒ではなかったのか?」
「なんでもアンダルシアのアントニオ王太子殿下も婚儀があったらしく、お相手の人相風体からするとどうやら女神様らしい。」
「なんと!我が国の女性が二人もアンダルシアに取られたというのか?これは由々しき事態だ。早速、抗議文を送るとする。」
「しかし、アンダルシアには女神様の結界があり、それを超えては侵入できますまい。」
「元は我が国の女神様ではないか?我が国に所有権があるというものだ。」
もはや女神は人ではなく、モノ扱いになっているのである。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
アンダルシアでは、グレジオラ国からの抗議文に「女神様を返せ。」とあったことから、初代グレジオラ国王の魂を持つアンダルシア国王陛下が頭を痛めている。
愛し合っている二人をどうやって引き離せというのか?
ほとんど理解不能で、グレジオラもここまで劣化してしまったのかということで頭を痛めている。
今のところ、ゴールデニアの結界があるから無事で済んでいるようなものだからいいけど、いずれグレジオラの結界は消滅する。そしたら、こんな悠長なことは言っていられないであろう。
自分たちは、アンダルシアの国民も含めて、この前、結婚式でゴールデニアの父のアマテラス様から、神の祝福を授かったので、一生病気知らず怪我知らずでいける。
グレジオラは事を構えるつもりでいるのだろうか?アンダルシアに対して、敵意をむき出しにすれば、ゴールデニアの呪いから、国境を出た途端に氷像になってしまうというのに。
グレジオラ王家は、アンダルシアからなしのつぶてに腹を立て、挙兵するも国境を超えたあたりで、すべての兵が氷像になっていく。アンダルシアまでたどり着けないのである。
最初は、女神様を取り返したい一心であったのが、とうとうゴールデニアへの敵意と変わり、グレジオラ国は、氷の国になってしまったのである。
土も木も草も、収穫間近だった作物もすべて凍り付いてしまう。人々の家も凍り付き、食べ物が亡くなった民衆は、救いを求めて、隣国フルダイヴ国を目指すも、フルダイヴのような小国では、移民を受け入れがたい。
結局、人々はフルダイヴを超え、アンダルシアを目指すのだが、少しでも女神様に敵意を示すとたちまち凍ってしまうので、思考を停止し、進むが、民衆の中にはハーバードに対し恨みを持つ貴族も混じっているから、なかなかたどり着けずにいる。そういう者たちが通ると道が凍ってしまうからである。
その中でも、ジョージア騎士団長の部下であった騎士たちは違う。女神様を進行していたジョージアの部下たちは、すんなり通れるのである。
グレジオラの王家には、「女神様奪還」を口実にグレジオラの国を後にしても、凍った道を通らず、すんなり行けるのである。
まるで女神様が導いてくださるかのように、無事、アンダルシアの城門のところまで行き、ジョージア・フローレンスとの面会が叶ったのである。
「団長!」
「おお!そのほうらは息災であったか?」
「はい、ただグレジオラは大変なことになっています。お戻りになられますか?」
「いや、あの国はもう終わりだ。そのほうらもここにいたほうがいい。俺から女神様に口添えしてやるから、ここにいろ。」
ジョージアの部下の騎士たちは、全員、アンダルシアに留まることになったのだ。
一組は、国王夫妻、もう一組は、王太子夫妻である。二組とも、これが初婚であるかのような初々しさがある。
これからは、またどこへ行くのも4人一緒、4人でイチャイチャしながらの生活です。
ハーバード公爵も無事、領地ごと移転を終え、アンダルシアの公爵の地位を得ます。今回はフルダイヴ国とは、反対側の海に埋め立てるように、領地とグレジオラの王都公爵邸、フリーランス家をそれぞれ順番に出しながら、結界を張り巡らします。もちろん、領空領海領土ともにです。
その頃、グレジオラ国では、
「女神様の行方はまだわからないのか?ハーバード家はわかるのだが、フリーランス騎士団長まで行方不明になったということは、団長は、女神様と行動を共にしているのか?」
「結界が消えかかっているのか?最近、やけに雨がよく降る。」
それは1000年前、飛竜ともめた時、結界に飛竜が凍って引っ付いていたものが、結界が消えたことにより、水滴となって落ちてきているのであった。
古い文献によると、女神様が出て行ったあとの穴に火を放つとマグマが噴出し、国全土が焼け野原になるとされている。
「それにしてもご先祖様がこの地をお見捨てになるとは?」
王国の重鎮どもをはじめ王族までもが、レオナルド13世の発言を無視しているようなもの。
レオナルド13世が聖女と結婚したいがために、国外追放処分にしたのに、そのことは一切触れず、女神と公爵、騎士団長が勝手に国を捨てたかのように批判することはおかしい。
ゴールデニアは、出て行けと言われたから出たまでなのだ。
「たった今、聞いてきた情報によると、フリーランス夫人がアンダルシア国王陛下との婚儀があったらしいぞ。」
「ええ?すると騎士団長もアンダルシアに行ったのか?女神様と一緒ではなかったのか?」
「なんでもアンダルシアのアントニオ王太子殿下も婚儀があったらしく、お相手の人相風体からするとどうやら女神様らしい。」
「なんと!我が国の女性が二人もアンダルシアに取られたというのか?これは由々しき事態だ。早速、抗議文を送るとする。」
「しかし、アンダルシアには女神様の結界があり、それを超えては侵入できますまい。」
「元は我が国の女神様ではないか?我が国に所有権があるというものだ。」
もはや女神は人ではなく、モノ扱いになっているのである。
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アンダルシアでは、グレジオラ国からの抗議文に「女神様を返せ。」とあったことから、初代グレジオラ国王の魂を持つアンダルシア国王陛下が頭を痛めている。
愛し合っている二人をどうやって引き離せというのか?
ほとんど理解不能で、グレジオラもここまで劣化してしまったのかということで頭を痛めている。
今のところ、ゴールデニアの結界があるから無事で済んでいるようなものだからいいけど、いずれグレジオラの結界は消滅する。そしたら、こんな悠長なことは言っていられないであろう。
自分たちは、アンダルシアの国民も含めて、この前、結婚式でゴールデニアの父のアマテラス様から、神の祝福を授かったので、一生病気知らず怪我知らずでいける。
グレジオラは事を構えるつもりでいるのだろうか?アンダルシアに対して、敵意をむき出しにすれば、ゴールデニアの呪いから、国境を出た途端に氷像になってしまうというのに。
グレジオラ王家は、アンダルシアからなしのつぶてに腹を立て、挙兵するも国境を超えたあたりで、すべての兵が氷像になっていく。アンダルシアまでたどり着けないのである。
最初は、女神様を取り返したい一心であったのが、とうとうゴールデニアへの敵意と変わり、グレジオラ国は、氷の国になってしまったのである。
土も木も草も、収穫間近だった作物もすべて凍り付いてしまう。人々の家も凍り付き、食べ物が亡くなった民衆は、救いを求めて、隣国フルダイヴ国を目指すも、フルダイヴのような小国では、移民を受け入れがたい。
結局、人々はフルダイヴを超え、アンダルシアを目指すのだが、少しでも女神様に敵意を示すとたちまち凍ってしまうので、思考を停止し、進むが、民衆の中にはハーバードに対し恨みを持つ貴族も混じっているから、なかなかたどり着けずにいる。そういう者たちが通ると道が凍ってしまうからである。
その中でも、ジョージア騎士団長の部下であった騎士たちは違う。女神様を進行していたジョージアの部下たちは、すんなり通れるのである。
グレジオラの王家には、「女神様奪還」を口実にグレジオラの国を後にしても、凍った道を通らず、すんなり行けるのである。
まるで女神様が導いてくださるかのように、無事、アンダルシアの城門のところまで行き、ジョージア・フローレンスとの面会が叶ったのである。
「団長!」
「おお!そのほうらは息災であったか?」
「はい、ただグレジオラは大変なことになっています。お戻りになられますか?」
「いや、あの国はもう終わりだ。そのほうらもここにいたほうがいい。俺から女神様に口添えしてやるから、ここにいろ。」
ジョージアの部下の騎士たちは、全員、アンダルシアに留まることになったのだ。
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