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新しい出会い

69.遊園地2

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 もうそれからは、シャルマン様とは名ばかりの夫婦となってしまったのだ。

 異世界でマンションの一室をモデルルームとして使われていた部屋を買い取り、アルフレッドをつばめとして飼うようになったからだ。実際は、ジャクリーンがアルフレッドに飼われているのだけど。

 モデルルームとして、誓われていただけあり、新品とは言えないぐらい汚れてはいるが、最新の電化製品に除菌トイレ、すぐ乾くお風呂場に暖房装置も取り付けられている。システムキッチンの流し台の下にディスポーザーがついているから、中込が出る心配もない。

 訪ねてくる人はほとんどいなく、時折、NHKが受信料の集金に来るくらいだが、扉の向こう側は、異世界乙女ゲームと繋がっているので、入ってきたら二度と帰れなくなりますわよ?

 異世界でデートした後は、必ずこの部屋に寄り、イチャイチャしてから、それぞれのねぐらに帰るようにしている。

 アルフレッドが望めばいつでもできるように、パンティは穿いていない。

 肌を交わしてから、力関係が完全に逆転してしまい、今や、ジャクリーンがアルフレッド様のことが欲しくてたまらない。

 愛している。男に種の保存の本能があるように、女にも種の保存の本能はある。より良い男の子供が欲しいという本能が、アルフレッドを欲している。

 カントリーハウスで、時折、シャルマン様と会っても、アルフレッドと肌を重ねるようになってからは、親戚を見るような目つきになっていると思う。

 そんなジャクリーンのことを知ってか知らずか、シャルマン様は時折、深いため息を吐かれることが多くなってきたのだ。

 今日は、アルフレッド様とデートの日、本郷のキャンパスに出て、手をつないで、遊園地に行く、1年半前にアルフレッドとドワーフのオジサンと共に行った懐かしの遊園地に、今日は二人だけで行くことにしたのだ。

 思えば、アルフレッドはその時から、お義姉さんを抱きたいと願っていた。だから、もう一度同じ場所に行き、その思いに対するリベンジをしたいのだ。

 ジャクリーンの今日のいでたちは女子高生らしく花柄のブラウスにピンクのプリーツが入ったミニスカート、黒いヒモパンを穿いている。

 アルフレッド様は、白いコートに水色のポロシャツにネイビーのチノパンを穿いていらっしゃる。かっこいい。アルフレッド様の方が、ガタイがいいから、何を着られてもよく似合う。そして、今夜また、あのカラダに抱かれるかと思うとカラダの奥深くからあふれ出てくるものがある。

 ジャクリーンが赤い顔をして、モジモジしだしたのをアルフレッドは見逃さなかった。

 「どうした?」

 「え……、急に、アルフレッド様に抱いてほしくなってしまって……。」

 「遊園地の後に、たっぷり可愛がってやるよ。今日は肉を食べるぞ!」

 「でも、1回だけ……でいいから、アルフレッド様が欲しいの。今すぐ。」

 「ええ?うーん、可愛いから、いいこととするかぁ?できれば観覧車の中でしたいなぁ。1周回っている間にして、コーヒーカップに乗っている間とか、メリーゴーランドに乗っている間にもヤりたい。」

 「メリーゴーランドはちょっと……。ああ、そういえば、メリーゴーランドのようなラブホあるよ。前世に、遭ったと思うけど、今はどうかなぁ……、馬に二人で乗って、下から上下に突き上げてくるような遊具が置いてあったと思う。」

 「なんだか聖女様の前世に嫉妬してしまいそうだ。その遊具だけを買って、マンションのモデルルームに置いてくれ。今日は、肉を食べて、抱きまくる。」

 「まぁ、嬉しい。」

 今、欲しかったけど、観覧車の中という言葉に興奮する。

 アルフレッド様とは、単なる子作りというよりは、こうしてデートをしながら楽しみながらの子作りは楽しい。やっぱりただ繁殖のためだと思うと虚しいだけだから。

 「今ね、オランダ村で教習所に通っているんだ。いつかお義姉さんを乗せて、クルマの中でもしたいと思っているよ。」

 ええー!なんて嬉しい言葉かしら、ジャクリーンとエッチするためにN1をとったかと思えば、今度は車の教習所へ通うとは?

 それもこれも、ジャクリーンがスーパー速読魔法を教えたから達成できたようなものではあるが、自動車運転は、実技を伴うから、言葉が分かったぐらいでは追いつけないと思うのに。

 それを、免許をとろうとしてくれているひたむきさが嬉しい。まあ、もっともそれだけが理由ではないことぐらいジャクリーンもわかっている。ブルオードの領地は広大で、端から端まで見て回るには時間を要する。もし、自動車運転で行けるのなら、その方が早いし、効率的なことも確かだから。

 領土には、いずれハイウェイが完成するだろう。聖女様の便利道を遣わなくても人が通らない、馬車だけの道が走ることは必至のことだから。

 遊園地につくと、まず向かった先は観覧車ではなくジェットコースターだった。ここで吊り橋効果を体験して、その後、観覧車に乗り、まだ足りなかったら二周目も載るか、コーヒーカップで続きをするかを考える。
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