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新しい出会い

65.便利道

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 夏休みの間は、異世界本郷の大学図書館で勉強し、学食で食事してから領地へ戻り執務をこなす。

 そして夜は、シャルマン様との夫婦の時間を過ごすのだが、どうやらシャルマン様は、ブルオード国でジャクリーンが公爵の位を賜ったことについて、不安がっていらっしゃるご様子。

 ジャクリーンをブルオードに取られやしないかとけん制されている。そのためにも懐妊を急ぐ必要があるとかで、ここのところ、コンドームなしで抜かずの3発に励んでいらっしゃるのだ。

 時折つながったまま朝までということもある。

 つなぎっぱなしというのは、かえってできないということを聞いたことがあるような?

 お兄様のエルモアは、というとやっぱりというか?あのクリニックを便利通路として使われていらっしゃるのだ。

 あれほど滅菌を叫んでいたのに、お気の毒。

 お兄様のクリニックが少しでも汚されないように、アルフレッドが持つ領地にハイウェイのインターチェンジを作ることにしたのだ。

 もちろん、アルフレッドの許可を得てなのだが、領地の新たな収入源になるから反対はしないはず。

 オルブライトの領地で栽培されたものをブルオードのアルフレッドの領地で売りさばく。そのための便利通路を有料で行うことにしたのだ。商人などは大枚を支払ってでも新鮮な品物を早く安全に届けられることに越したことはないと願うだろう。

 街道を進めば盗賊や野犬、野獣に魔物の危険性すらあるのだから。

 アルフレッドは、ブルオードで伯爵を賜っても、レバトリー家の一員(次男)に変わりはない。

 したがって、オルブライトのレバトリー領地の繁栄を願っているはず。

 レバトリー公爵とシャルマン様、あるフレッドヲ交えて、ブルオード国のインターチェンジの行く先を論じることになった。

 ことは、こんな国防にも及ぶ。

 オルブライト国から、アルフレッドの領地へ行くことは、制限なく行けるが、向こうからいくら料金を支払ったからといえども、不特定多数の人間が領内に入ることは憚られる。

 それに平和な友好的な関係がいつまでも続くと限らないから、将来にわたり、不穏な動きがあれば、料金所の職員を殺害して、強行突破する輩が出てくるかもしれない。

 流通という面からすれば、これほど素晴らしいハイウェイはないと思うが、国防面では危うい可能性がある。

 議論を始めて30分足らずで頓挫してしまったのだ。この話はレバトリー家だけの問題に収まらないので、国王陛下に進言しなければならない問題となるが、そうなればジャクリーンが聖女様であることが知られてしまう。

 いずれ時間の問題で、知られてしまうだろうが、せめて懐妊してからでないと公表はできない。しかし、そもそもジャクリーンが聖女様であるという証はどこにもない。結婚式では、結局、聖女判定はできなかったこともあり、状況証拠だけが聖女様だろうと指示しているに過ぎない。

 だからそんな状態で、ジャクリーンを聖女様として公表すべきかどうかは疑問が残る余地がある。

 でも現実的には、便利道を設置できるという事実に変わりはない。

 事の成り行きを見守っていたジャクリーンだが、

 「それでは便利道に結界を張るということでは、どうですか?悪意のあるものを通さない結界を便利道に仕掛ければ、盗賊や魔物は入ってこれなくなります。」

 「おお!そのようなことができるのか!」

 「やったことはございませんけど、この前、レバトリー様の図書室で結界の張り方という書物を見つけましたから、少し勉強すればできるかと思います。」

 「ジャッキーは勉強熱心だな。それでしょっちゅう我が家の図書室に通っているというわけか。セバスチャンが感心しておったわ。それに引き換え、結婚してから半年も経つというのに、いまだ子を生せぬとは……、アルフレッド緊急事態だ。今日からお前が聖女様の夜伽を務めよ。もし生まれてきた子は嫡男の子として育てる。良いな?他言無用だ。」

 「父上!ジャクリーンは私の妻です。」

 「仕方あるまい?緊急事態なのだ。聖女様をお守りするために。聖女様がご懐妊なさってから、聖女様だと国王陛下に進言する。さもなければエドモンドの妻にさせられるのだぞ。」

 「レバトリー家の跡取りとしては、シャルマンだろうが、アルフレッドだろうが構わない。大事なのは聖女様がご懐妊中で、父親がレバトリーの子息であることだ。その条件を満たす場合に限り、王族に聖女様を引き渡さなくてもよいという決まりが王室典範にある。」

 「良いな?このことは決して、他人に言うではないぞ。レバトリー家のこの3人だけの秘密なのだぞ。」

 「アルフレッドは、聖女様が作られた秘密の便利道を通って、毎夜、誰にも見られぬように通ってくるがよい。シャルマンは、アルフレッドと聖女様の逢瀬の邪魔をするでないぞ。」

 「はっ!それにしても義母上とだなんて……。精一杯兄上の代わりを務めさせていただきます!至らぬところがありましたら、何なりと申し付けくださいませ。」
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