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新しい出会い
64.公爵
しおりを挟むエルモアの便利通路のおかげで、疑いが晴れた王子殿下連中は、あれだけのチートスキル保持者が子爵などとは、爵位が低すぎると父である国王陛下に訴え出て、エルモアとジャクリーンは、公爵の位をもらえることになったのだ。
ジャクリーンの養子であるアルフレッドもまた、それに引きずられるような形で男爵位から伯爵位に爵位が上がる。
爵位が上がったところで、別に何も変わらない日常がある。ただ毎月?毎年?国からいただけるお給金が少し上がったぐらいなもの。学生の身分だから、実感としてはゼロなのだが、アルフレッドは伯爵になってから、またまた縁談に事欠かないようになったみたい。
確かにかっこいい。若き伯爵さま。シャルマン様と出会わなかったら、ジャクリーンが嫁候補として、立候補したいぐらいだけど、シャルマン様がいたからアルフレッドの良さが際立って見えたことも確かで。
もう鶏が先か、卵が先かの議論になりそうな話。
それにこの前、エルモアからレバトリーの図書室で聞いた話によれば、あのテレビ局のアラサーと一緒にいた時、すでにヒアリングは完ぺきだったという話に、マジでムカつく。
アルフレッドは、ヒアリングなどわからなくても、わたくしの盾となるべく立ち位置で、守ろうとしてくれたのに対して、シャルマンはどう思っていたのだろうか?
ただ浮気がバレて、オドオドしていたにすぎない。そういうところがムカつく。
でも、なんだかんだ言ってもシャルマンとは腐れ縁のようなもの。愛してはいるが、ウザイと思うところもある。
別れたいと思うこともあるけど、めんどくさい。
それに今度こそ別れでもしたら、また断罪ルートになるかもしれない。シャルマンの父レバトリー宰相がうまくやってくれているおかげで、首の皮一枚でつながっているだけかもしれないのだ。
だからこそ、アルフレッドと道ならぬ恋に落ちたいという願望を持つのかもしれないが、こればかりは絶対秘密の内緒の話。
シャルマンとは、あんなことやこんなこと、他人には絶対に言えない恥ずかしい痴態をさんざんさらけ出してきた仲でもある。
ちょうど性に興味を持った健康的な若い男女が偶然とはいえ、出会ってしまったのだから自然な成り行きで、行けるところまで突っ走った感がある。
そのせいで、最近のシャルマンは、少々ドSになり、それを知らず知らずに受け入れているジャクリーンもまたドMになりつつある。
もうアブノーマルでなければ満足できないかも?という恐怖心にさいなまれる毎晩。ただ、ろうそくはイヤ、それと縛られて上からつるされるのもイヤだな。毛羽たき責めと、吸盤オモチャと目隠しは辛抱する。
もうはた目から見れば、十分変態だと思うレベルだが、本人たちは気づかない。
アルフレッドが見てしまったら、どう思われるかが怖い。
そもそも見られる危険性がないから、安心していたらいいと思う。
ひょっとしたらアルフレッドに見られたいという願望があるのかもしれない。絶対ないとは言い切れない。3Pでヤるのも悪くはないかもと思っている自分が怖い。これ以上、エスカレートすることなく、そろそろ軌道修正に入った方が身のため、家のためかもしれない。
夏休みに入り、ここの所毎日、本郷の図書館に入り浸り、スーパー速読魔法で読書三昧の日々を過ごしている。
またキャサリン様に自殺されないように気を付けなければならないエルモアなのだが、エルモア自身口に出していないが、キャサリン様にそろそろ飽きが出てきているのかもしれない。
変態プレイをしたら、飽きないわよ。とは、死んでも言えない。
それとも4人でスワッピングごっこする?ってことも、これまた死んでも口にできない。第一、双子でスワッピングなんて、気持ち悪いだけ。考えられない。スワッピングの相手がアルフレッド様ならいいけど?
だいたい、あの自殺の原因が服毒自殺なんて、どう考えても恋愛がらみの話としか思えない。エルモアの気を惹きたいキャサリン殿下が狂言で致死量を超える毒を呷ったとしか考えられない。
でも、その手なら二度目は使えないわよ?
そうそういつも、ジャクリーンが女子寮の部屋にいるとは限らないから、でも今は、うまくいっているみたいだから良いけど、キャサリン王女は少々情緒不安定なところがあるのかもしれない。まぁ普通なら高校生ぐらいの年齢はそうかもしれないけど、前世の記憶があるジャクリーンとエルモアは特別大人なのだけかもしれないけど。
前世プレイボーイだったエルモアには、考えられないこともないけど、女の子を不安にさせるような男は、カスよ。不安にさせないようにうまく立ち回って、と願うだけ。
ちゃんとやっているとは思うけど、それでも不安になるのが女心というもの。今度ブルオードで公爵になってしまったのだから、余計キャサリンは心配になっているだろう。顔だけは十分すぎるほどいいから。リアル王子殿下より、はるかにかっこいい。
そういうジャクリーンも絶世と謳われるほどの美女なのだけど、こればかりは本人の自覚が伴っていないから困りものなのだ。
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