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新しい出会い
60.嫉妬
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その日の夜は、アナザーライト家で過ごすことを条件にレバトリー家へ出向くことになったのだ。
アナザーライト家は、将来ブルオードのキャサリン王女と結婚したら、この家に帰ってくるのか、それともブルオードで公爵位をもらって、隣国で暮らすのかが気になる様子。
ジャクリーンにとっては、どっちでもいい話でも、今は先を急ぐ。
着替えてから再びマンションの部屋に行き、そこから、図書室へと向かう。完全なる不法侵入になるわけだが、今は、許してもらおうと思う。
後で、シャルマン様から叱られるかもしれないけど。二人の夜を充実したものにするためなのだから多めに見てもらおう。
図書室に入ってからは、中から施錠をする。最近は、誰かが地下室から安易に異世界へ出て行かないように、レバトリー家では常に図書室にカギをかけるようにしているらしく、部屋に入った時も真っ暗だったのだ。
やっぱり昼間に来て正解だと思ったのは、夜に光魔法を用い、本を読めば、誰かが図書室にいることが丸わかりになるから。
お目当ての本はすぐわかり、エルモアにもわかるように声を出して読んでいく。
「もっと早く、この魔法を知っていたら首席で卒業できたかもしれないのに。それよりも前に、前世で魔法が使えたら、今頃ノーベル賞を取っていたかもしれないな。」
「ズルはダメよ。でも、この魔法便利ね。すべてはこの世界での医学を発展させるために必要なものなんだからね。」
「今、思ったんだけどさ。この魔法を使って、毎日、大学の図書館で読み漁ったら、そこそこの医学知識レベルは習得可能ではないか?わざわざ大検なんぞ受けてその後、6年間大学へ行き、前期研修、後期研修を経て専門医になるまで5年もかかることを考えれば、本からでも相当な知識が得られるはずだと思うのだが。」
「アタマいいね!大検受験辞めるわ。臨床で足りない部分は、大学病院へ忍び込めば、事足りるものね。この前、京都に行って、IPSの研究施設に出入り口を作ってきたところなのよ。」
「うっひゃーっ!すげえことしてくるな。まるで産業スパイじゃないか?」
その時、図書室のカギがガチャガチャと音を立て出したので、光魔法を消し、慌てて隠ぺいを二人にかけ、同時に出入り口に向かう。エルモアだけを先に帰し、ジャクリーンはそこに残り、息を潜める。
誰が出入りしているか見極めるためだ。
それは、領地にいるはずのシャルマン様だった。シャルマン様は図書室内を見渡し、
「そこにいるのはわかっているんだ。出てこい!ジャッキー!」
えー!バレてる?でも、出ない隠ぺい魔法をかけているからカマをかけているはず。
図書室に入ってこられたのは、シャルマン様だけではなかった。執事のセバスチャンも一緒で。
「ほら。御覧なさいませ。若奥様は図書室にお見えになる時は必ず玄関ベルを鳴らし、正々堂々と入ってこられるのですよ。そんな裏口からコソコソ入ってこられる方ではございません。仮にも聖女様なのでございますから、坊ちゃまはご自分の細君のことを疑いすぎでございます。もっと若奥様のことを信頼して……。」
「わかっておる!だが、昨夜、エルモア殿と今日の放課後、我が家の図書室へ行くと相談しておったのだ。だが俺の部屋を通過した形跡がないので、こうやって見に来たまでのことだ。」
形跡?マンションからシャルマン様のクローゼットを出るときに、しかけでもしているのかしら?
「それにまだ、領地にも戻っておらぬようなので、どこへ行ったか心配になるだろう?」
「ハァ……、ここまで悋気が過ぎると、若奥様に愛想をつかされてしまいますよ。さ、さ。坊ちゃまは領地へ戻った。戻った。図書室へ行ったことなど、若奥様に言ったらダメですよ。」
それにしても昨夜、エルモアとニッポン語で喋っていた内容を理解しているとは……恐れ入った。
これからは、英語で喋らないとね。内緒話もできやしない。
図書室の扉が再び閉まり、カギがかけられた音がしたので、今度からはマンションやレストランを通ってではなく、自ら転移魔法を覚えて、行けるようにしなければならないと強く思う。
でないと、いつ仕掛けをされるかわからないということがハッキリわかったからだ。
もう一度、図書室の中に入り、転移魔法が乗っている書物を探すことにする。
そうだ!さっき、スーパー速読魔法の本の隣に探し物を見つける魔法の本があったはず。その本をまず読み、というか、借りて行こう。ついでに、てんいまほうの本も。
慌てて、マンションへ戻ると、もうそこにシャルマン様がいらしたが、隠ぺい魔法を解いていないジャクリーンには気づかず、ソファの上でグッタリされている。
「ジャクリーン、どこへ行ったのだ?まさか、愛想をつかされてしまったのか?早く俺のところに戻ってきてほしい。」
愛されることは嬉しいけど、セバスチャンが言うように、少々度が過ぎていて、正直うっとうしい。
見なかったことにして、そのまま学園の女子寮に帰ると、兄の診療所の急患を知らせるベルが鳴っていた。
アナザーライト家は、将来ブルオードのキャサリン王女と結婚したら、この家に帰ってくるのか、それともブルオードで公爵位をもらって、隣国で暮らすのかが気になる様子。
ジャクリーンにとっては、どっちでもいい話でも、今は先を急ぐ。
着替えてから再びマンションの部屋に行き、そこから、図書室へと向かう。完全なる不法侵入になるわけだが、今は、許してもらおうと思う。
後で、シャルマン様から叱られるかもしれないけど。二人の夜を充実したものにするためなのだから多めに見てもらおう。
図書室に入ってからは、中から施錠をする。最近は、誰かが地下室から安易に異世界へ出て行かないように、レバトリー家では常に図書室にカギをかけるようにしているらしく、部屋に入った時も真っ暗だったのだ。
やっぱり昼間に来て正解だと思ったのは、夜に光魔法を用い、本を読めば、誰かが図書室にいることが丸わかりになるから。
お目当ての本はすぐわかり、エルモアにもわかるように声を出して読んでいく。
「もっと早く、この魔法を知っていたら首席で卒業できたかもしれないのに。それよりも前に、前世で魔法が使えたら、今頃ノーベル賞を取っていたかもしれないな。」
「ズルはダメよ。でも、この魔法便利ね。すべてはこの世界での医学を発展させるために必要なものなんだからね。」
「今、思ったんだけどさ。この魔法を使って、毎日、大学の図書館で読み漁ったら、そこそこの医学知識レベルは習得可能ではないか?わざわざ大検なんぞ受けてその後、6年間大学へ行き、前期研修、後期研修を経て専門医になるまで5年もかかることを考えれば、本からでも相当な知識が得られるはずだと思うのだが。」
「アタマいいね!大検受験辞めるわ。臨床で足りない部分は、大学病院へ忍び込めば、事足りるものね。この前、京都に行って、IPSの研究施設に出入り口を作ってきたところなのよ。」
「うっひゃーっ!すげえことしてくるな。まるで産業スパイじゃないか?」
その時、図書室のカギがガチャガチャと音を立て出したので、光魔法を消し、慌てて隠ぺいを二人にかけ、同時に出入り口に向かう。エルモアだけを先に帰し、ジャクリーンはそこに残り、息を潜める。
誰が出入りしているか見極めるためだ。
それは、領地にいるはずのシャルマン様だった。シャルマン様は図書室内を見渡し、
「そこにいるのはわかっているんだ。出てこい!ジャッキー!」
えー!バレてる?でも、出ない隠ぺい魔法をかけているからカマをかけているはず。
図書室に入ってこられたのは、シャルマン様だけではなかった。執事のセバスチャンも一緒で。
「ほら。御覧なさいませ。若奥様は図書室にお見えになる時は必ず玄関ベルを鳴らし、正々堂々と入ってこられるのですよ。そんな裏口からコソコソ入ってこられる方ではございません。仮にも聖女様なのでございますから、坊ちゃまはご自分の細君のことを疑いすぎでございます。もっと若奥様のことを信頼して……。」
「わかっておる!だが、昨夜、エルモア殿と今日の放課後、我が家の図書室へ行くと相談しておったのだ。だが俺の部屋を通過した形跡がないので、こうやって見に来たまでのことだ。」
形跡?マンションからシャルマン様のクローゼットを出るときに、しかけでもしているのかしら?
「それにまだ、領地にも戻っておらぬようなので、どこへ行ったか心配になるだろう?」
「ハァ……、ここまで悋気が過ぎると、若奥様に愛想をつかされてしまいますよ。さ、さ。坊ちゃまは領地へ戻った。戻った。図書室へ行ったことなど、若奥様に言ったらダメですよ。」
それにしても昨夜、エルモアとニッポン語で喋っていた内容を理解しているとは……恐れ入った。
これからは、英語で喋らないとね。内緒話もできやしない。
図書室の扉が再び閉まり、カギがかけられた音がしたので、今度からはマンションやレストランを通ってではなく、自ら転移魔法を覚えて、行けるようにしなければならないと強く思う。
でないと、いつ仕掛けをされるかわからないということがハッキリわかったからだ。
もう一度、図書室の中に入り、転移魔法が乗っている書物を探すことにする。
そうだ!さっき、スーパー速読魔法の本の隣に探し物を見つける魔法の本があったはず。その本をまず読み、というか、借りて行こう。ついでに、てんいまほうの本も。
慌てて、マンションへ戻ると、もうそこにシャルマン様がいらしたが、隠ぺい魔法を解いていないジャクリーンには気づかず、ソファの上でグッタリされている。
「ジャクリーン、どこへ行ったのだ?まさか、愛想をつかされてしまったのか?早く俺のところに戻ってきてほしい。」
愛されることは嬉しいけど、セバスチャンが言うように、少々度が過ぎていて、正直うっとうしい。
見なかったことにして、そのまま学園の女子寮に帰ると、兄の診療所の急患を知らせるベルが鳴っていた。
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