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新しい出会い
59.勉強1
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新学期が始まり、学園に中退届を出さないまま、またレバトリーの領地から女子寮に通学し?学園に通うことになったのだ。
シャルマンから強く勧められ、中退をあきらめたのだが、今月中にも男爵令嬢のリリアーヌが転入してくることが最大の恐怖には変わりがない。
ところがその最大の恐怖が学園に転入してきたという噂は聞かない。ん?どうしたのだろう。ヒロインのことを心配しているわけではないが、何か手違いがあったのでは?と思ってしまう。
アルフレッドは、ジャクリーンから領地を贈与されたことにより、新たに男爵位を拝命し、学園内で時折すれ違いざまにジャクリーンの方を見て、笑顔で「お義母さん」と呼ぶことは止めてね。
アルフレッドが男爵になってからというもの、ブルオード国のカーネル様人気の半分がアルフレッドに行ったことは間違いようがない事実になってしまう。
隣国へお嫁に行く心配がなくなり、同じブルオード国の貴族になられたのだから親が娘に唆すように諭しているのだろう。
最近は、義母のジャクリーンのところまで付け届けが来るようになったのだ。
義理の息子とはいえ、同級生なのだからもう少しフレンドリーであってもいいと思う。
今までエドモンド殿下べったりの側近をしていたくせに、最近は、ジャクリーンの兄エルモアを「伯父さん」と呼び、一緒にいることが増えたような気がする。
金沢大輔時代でも経験できなかった「伯父さん」が実現できたことが嬉しいらしい。
もっとも、エドモンド殿下も愛するエリーゼ様と一緒にいられることが増え、側近に近寄られていては、愛も語れないから迷惑なさっているのだと思う。
それで側近たちもそれぞれの相手を求め、自由行動をしているのだと思われる。
それにしてもリリアーヌ様の所在が知れないことが不安のような、ホッとしているような複雑な感情を常に持っているが、そろそろ大検に向けて、本格的な受験勉強をしなければ、65年ぶりの受験勉強を再開しなければ、下手をすれば浪人するかもしれないから必死なのだ。
英語や数学は何とか行けるだろうが、問題は日本史、古文、漢文?現国?ずいぶん長い間、漢字の読み書きをしていないから忘れている部分が相当あると思う。
それらをもう一度大学受験用のテキストを見ながら覚えなければならない。
しばらくカントリーハウスへ戻らず、ここで、泊まり込みで勉強した方がよさそうな気もする。
模擬試験を受けに行くこともそうそうできないから、本当の意味で一発勝負になる。
同じことをエルモアも感じていたみたいで、毎晩これから二人で特訓することにしたのだ。双子だから学力に変わりがない。
でもそれを許さず、阻止しようとしているのがキャサリン王女殿下とわが夫シャルマン様である。
キャサリン殿下は、夜中に女子寮のジャクリーンの部屋を訪ねてこられ、勉強している二人の姿をジロリとにらみつけ、文句をタラタラ言われる。
正直なところ、それを聞いている時間がもったいないのですけど……?もっぱらなだめる役目をしているのがエルモアで、ジャクリーンは二人を無視して勉強し続けている。
シャルマン様もレバトリー領地に執務室からマンションを通って、女子寮の中に入ってこられるのだが、こちらは、文句は言われない。ただ早く帰って、ヤろうよ。ということだけ。独り寝は寂しい。うん。それはわかるけど、人生をかけて勉強している者に対しては、言うことではない。
ソコデ、ハタと思い出したことがある。確か王都にあるレバトリー家の図書室で、スーパー速読魔法なるものが書かれてあった本を見つけていたんだ。その時は、まだ1年生で、将来、こんなものが必要になるとは思ってもみなかったから、その本を最後まで読まずに放置していた。
アレを全部、読めば受験に役立つこと間違いなし!
思い出したジャクリーンは、ニッポン語でエルモアにそのことを言う。
「でかした。」もちろん、ニッポン語で言っているけど、キャサリン殿下とシャルマン様はポカンとした顔で、二人を見つめている。
「「今日はもう遅いから、明日の放課後にでも、そこへ行って勉強しようか?」」
その話がまとまったところで、すんなり帰宅することにしたのだ。
キャサリン殿下は、そのままジャクリーンの部屋から出られるが、エルモアはそうはいかない。いったん書斎の診療所から自室に戻ってから、女子寮から出てこられるキャサリン殿下を待ち受けるという体裁をとる。
その後、二人がどこにしけこんだのかは、わからない。次の朝、学園でエルモアに会ったら、げっそりとした顔をしていたのに対し、キャサリン殿下は、つやつやとした肌の色をなさっていたから、推してしるべしか。
放課後は、二人でいったんアナザーライト家に行き、そこで着替えて、レバトリー家のタウンハウスの図書室へと向かう。
アナザーライト家では、急に二人して帰ってきたことで、学園で何かあったのかと、しきりに尋ねてくるが、レバトリー家で本を読むためとしか答えようがない。
シャルマンから強く勧められ、中退をあきらめたのだが、今月中にも男爵令嬢のリリアーヌが転入してくることが最大の恐怖には変わりがない。
ところがその最大の恐怖が学園に転入してきたという噂は聞かない。ん?どうしたのだろう。ヒロインのことを心配しているわけではないが、何か手違いがあったのでは?と思ってしまう。
アルフレッドは、ジャクリーンから領地を贈与されたことにより、新たに男爵位を拝命し、学園内で時折すれ違いざまにジャクリーンの方を見て、笑顔で「お義母さん」と呼ぶことは止めてね。
アルフレッドが男爵になってからというもの、ブルオード国のカーネル様人気の半分がアルフレッドに行ったことは間違いようがない事実になってしまう。
隣国へお嫁に行く心配がなくなり、同じブルオード国の貴族になられたのだから親が娘に唆すように諭しているのだろう。
最近は、義母のジャクリーンのところまで付け届けが来るようになったのだ。
義理の息子とはいえ、同級生なのだからもう少しフレンドリーであってもいいと思う。
今までエドモンド殿下べったりの側近をしていたくせに、最近は、ジャクリーンの兄エルモアを「伯父さん」と呼び、一緒にいることが増えたような気がする。
金沢大輔時代でも経験できなかった「伯父さん」が実現できたことが嬉しいらしい。
もっとも、エドモンド殿下も愛するエリーゼ様と一緒にいられることが増え、側近に近寄られていては、愛も語れないから迷惑なさっているのだと思う。
それで側近たちもそれぞれの相手を求め、自由行動をしているのだと思われる。
それにしてもリリアーヌ様の所在が知れないことが不安のような、ホッとしているような複雑な感情を常に持っているが、そろそろ大検に向けて、本格的な受験勉強をしなければ、65年ぶりの受験勉強を再開しなければ、下手をすれば浪人するかもしれないから必死なのだ。
英語や数学は何とか行けるだろうが、問題は日本史、古文、漢文?現国?ずいぶん長い間、漢字の読み書きをしていないから忘れている部分が相当あると思う。
それらをもう一度大学受験用のテキストを見ながら覚えなければならない。
しばらくカントリーハウスへ戻らず、ここで、泊まり込みで勉強した方がよさそうな気もする。
模擬試験を受けに行くこともそうそうできないから、本当の意味で一発勝負になる。
同じことをエルモアも感じていたみたいで、毎晩これから二人で特訓することにしたのだ。双子だから学力に変わりがない。
でもそれを許さず、阻止しようとしているのがキャサリン王女殿下とわが夫シャルマン様である。
キャサリン殿下は、夜中に女子寮のジャクリーンの部屋を訪ねてこられ、勉強している二人の姿をジロリとにらみつけ、文句をタラタラ言われる。
正直なところ、それを聞いている時間がもったいないのですけど……?もっぱらなだめる役目をしているのがエルモアで、ジャクリーンは二人を無視して勉強し続けている。
シャルマン様もレバトリー領地に執務室からマンションを通って、女子寮の中に入ってこられるのだが、こちらは、文句は言われない。ただ早く帰って、ヤろうよ。ということだけ。独り寝は寂しい。うん。それはわかるけど、人生をかけて勉強している者に対しては、言うことではない。
ソコデ、ハタと思い出したことがある。確か王都にあるレバトリー家の図書室で、スーパー速読魔法なるものが書かれてあった本を見つけていたんだ。その時は、まだ1年生で、将来、こんなものが必要になるとは思ってもみなかったから、その本を最後まで読まずに放置していた。
アレを全部、読めば受験に役立つこと間違いなし!
思い出したジャクリーンは、ニッポン語でエルモアにそのことを言う。
「でかした。」もちろん、ニッポン語で言っているけど、キャサリン殿下とシャルマン様はポカンとした顔で、二人を見つめている。
「「今日はもう遅いから、明日の放課後にでも、そこへ行って勉強しようか?」」
その話がまとまったところで、すんなり帰宅することにしたのだ。
キャサリン殿下は、そのままジャクリーンの部屋から出られるが、エルモアはそうはいかない。いったん書斎の診療所から自室に戻ってから、女子寮から出てこられるキャサリン殿下を待ち受けるという体裁をとる。
その後、二人がどこにしけこんだのかは、わからない。次の朝、学園でエルモアに会ったら、げっそりとした顔をしていたのに対し、キャサリン殿下は、つやつやとした肌の色をなさっていたから、推してしるべしか。
放課後は、二人でいったんアナザーライト家に行き、そこで着替えて、レバトリー家のタウンハウスの図書室へと向かう。
アナザーライト家では、急に二人して帰ってきたことで、学園で何かあったのかと、しきりに尋ねてくるが、レバトリー家で本を読むためとしか答えようがない。
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