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新しい出会い
54.養子縁組
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ジャンボタクシーでの移動は、短距離であれば快適なのだが、千葉から長崎まではツライ。小田原あたりで気分が悪くなってきて、結局、名古屋で降りて、名古屋から新幹線で博多まで、博多から特急に乗り換え、ハウステンボスに着いた。
ハウステンボスは田舎のテーマパークと言ったところで、確かに綺麗なことは綺麗だったが、ここで住む気になれない。
侍女はエステに温泉にボウリングを楽しんでいたようだけど、こういうところは非日常とかけ離れているので、楽しめるが、ほとんど乙女ゲームの延長のような景色だから、ジャクリーンにとっては複雑な気分。
でも、とりあえず来たという証にここを異空間とつなげるべく領地のレストランを出す。入り口はハウステンボスと繋がり裏口はカントリーハウス、2階は寝泊まりできる客室と2階バルコニーはマンションの部屋をそれぞれ結びつける、レストランの3階クローゼットはブルオードの女子寮の部屋、3階バルコニーは本郷の研究室棟へとそれぞれ繋げる。
さすが異世界の建物だけあり、オランダの建物と何ら変わりがなく違和感がないので、前からそこに建っていたかのような溶け込み方をしている。
ハウステンボスからも、長崎県からも、付近の住民からも苦情がなく、そこを異世界への出入り口とすることができたのだ。あの地下室扉ともう一つの拠点として。
楽しい女子会慰安旅行の目的も果たし、レストランから元の異世界へ、とりあえずはマンションの部屋に戻ることを最優先事項として、シャルマン様の部屋へ異動し帰る。
レバトリー家のほかの侍女も、マンションからシャルマン様の部屋へ行けることに納得するも、驚いた様子で、そのまま公爵家の中を通り、お土産をそれぞれの家族に届けるべく出ていく。
ニッポンから戻ったジャクリーンは精力的に仕事をこなし、アルフレッドを呼び出す。
ブルオードの領地経営に興味はあるかと問いただすと、返事はもちろんYesで、ホッとする。アルフレッドからすれば願ってもないことのようだ。
レバトリー公爵夫妻の同意を得て、アルフレッドを養子として、ジャクリーンの籍に入れることにする。
法律上、アルフレッドは義弟でありながら、義理の息子として届け出、ブルオード内の領地を養子のアルフレッドに継がせるべく贈与をした。
これにより、ブルオード内のジャクリーン・レバトリー子爵の領地はなくなり、かわって、レバトリーの次男アルフレッドが領主としての責務を負う。
「どうして、そこまで俺のことを認めてくれるのですか?」
「アルフレッド様には、感謝しておりますもの。」
「それは1年前のことと関係があるのでございますか?」
「そうね。それも関係しているかもしれないわね。ここの領地に立っているレストラン、実は表からは入れないのよ。裏口からしか入れないことにしてしまって、ごめんなさい。」
「え?それはどういう?」
「一緒に来てみて。」
ジャクリーンはアルフレッドを伴いレストランの裏口から入ると、そこは今まで見慣れたはずのレストランの店内が普通にあるのだが、表の入り口をくぐるとそこは、異世界だった。今まで見てきたゴー!という音を立てて走る金属モグラではなく、眼前に広がる街の景色は王都の景色を幾分発展させたかのような異世界が広がっていたのだ。
「ジャクリーン様、ここは?」
「異世界ニッポンの異国オランダという街を模した公園なのよ。時代的には700年後ぐらい先の世界と言ったところかしらね。」
「ここなら、ジロジロ見られることもなく過ごせるということですね。」
「そう。ガイジンさんと言われずに済むから、居心地はいいよ。何か仕入れるときは、ここから仕入れればいい。両替機を設置しておくから、この世界の金貨を入れると向こうのお金で出てくるので、それで買い物すればいい。当面の費用として、300万円渡しておくけど、無駄遣いしてはダメですよ。」
ジャクリーンはアルフレッドを連れ、異世界服のまま、外へ出たが、誰も何も言わない。
そして、適当にあったレストランに入り、メニューを指差しながら注文していく。
「こんなレストランだけではなく、ファーストフードと呼ばれるところもあるから、後でそこへも行ってみましょう。」
ハウステンボスの中をアルフレッドと共に歩きながら案内する。観覧車があったので、それにも乗る。前世さくらの頃から高い所へ行くのが大好きだから。
このクセはそう簡単には治らない。
もうすぐ新学期が始まろうとしている。ヒロインが転入してきて、ジャクリーンとアルフレッドの関係も変わっていくのだろうか?一抹の不安と寂しさを感じながら、フライドポテトを食べながら学園へと帰っていく。
そうだ。領地にすぐ行けるように、アルフレッドの男子寮とこのレストランをつないだ方が便利?
マンションとお兄様の診療所は、女子寮の中で繋いでいるけど、どうする?と聞くと、そんなことができるなら、自分の個室にもそれと同じような仕掛けが欲しいと言い出してきたので、作ることにしたいのだけど、問題は行き方。
あの入学時のような寮母は、今はいないからといって、不純異性交遊だと騒がれたくない。戸籍上は、母息子の関係でも、学園では、ただの同級生にしか過ぎない。
仕方なく、兄エルモアの診療所から、男子寮に忍び込むことにしたのだ。ジャクリーンは自分に隠ぺい魔法をかけ、透明人間になってから、エルモアの部屋を出て、アルフレッドの部屋に向かう。
アルフレッド付きの侍女はまだいない。
書斎のクローゼットにレストランの非常口を仕掛けることに成功したのだ。レストランとマンションはつながっているので、レストラン内を通れば、大抵のところへは行ける。
その後、ほどなくしてブルオード国王から、正式に男爵の地位を授かり、もう隣国の公爵令息ではなく、ブルオードの男爵として、独り立ちすることになる。
ハウステンボスは田舎のテーマパークと言ったところで、確かに綺麗なことは綺麗だったが、ここで住む気になれない。
侍女はエステに温泉にボウリングを楽しんでいたようだけど、こういうところは非日常とかけ離れているので、楽しめるが、ほとんど乙女ゲームの延長のような景色だから、ジャクリーンにとっては複雑な気分。
でも、とりあえず来たという証にここを異空間とつなげるべく領地のレストランを出す。入り口はハウステンボスと繋がり裏口はカントリーハウス、2階は寝泊まりできる客室と2階バルコニーはマンションの部屋をそれぞれ結びつける、レストランの3階クローゼットはブルオードの女子寮の部屋、3階バルコニーは本郷の研究室棟へとそれぞれ繋げる。
さすが異世界の建物だけあり、オランダの建物と何ら変わりがなく違和感がないので、前からそこに建っていたかのような溶け込み方をしている。
ハウステンボスからも、長崎県からも、付近の住民からも苦情がなく、そこを異世界への出入り口とすることができたのだ。あの地下室扉ともう一つの拠点として。
楽しい女子会慰安旅行の目的も果たし、レストランから元の異世界へ、とりあえずはマンションの部屋に戻ることを最優先事項として、シャルマン様の部屋へ異動し帰る。
レバトリー家のほかの侍女も、マンションからシャルマン様の部屋へ行けることに納得するも、驚いた様子で、そのまま公爵家の中を通り、お土産をそれぞれの家族に届けるべく出ていく。
ニッポンから戻ったジャクリーンは精力的に仕事をこなし、アルフレッドを呼び出す。
ブルオードの領地経営に興味はあるかと問いただすと、返事はもちろんYesで、ホッとする。アルフレッドからすれば願ってもないことのようだ。
レバトリー公爵夫妻の同意を得て、アルフレッドを養子として、ジャクリーンの籍に入れることにする。
法律上、アルフレッドは義弟でありながら、義理の息子として届け出、ブルオード内の領地を養子のアルフレッドに継がせるべく贈与をした。
これにより、ブルオード内のジャクリーン・レバトリー子爵の領地はなくなり、かわって、レバトリーの次男アルフレッドが領主としての責務を負う。
「どうして、そこまで俺のことを認めてくれるのですか?」
「アルフレッド様には、感謝しておりますもの。」
「それは1年前のことと関係があるのでございますか?」
「そうね。それも関係しているかもしれないわね。ここの領地に立っているレストラン、実は表からは入れないのよ。裏口からしか入れないことにしてしまって、ごめんなさい。」
「え?それはどういう?」
「一緒に来てみて。」
ジャクリーンはアルフレッドを伴いレストランの裏口から入ると、そこは今まで見慣れたはずのレストランの店内が普通にあるのだが、表の入り口をくぐるとそこは、異世界だった。今まで見てきたゴー!という音を立てて走る金属モグラではなく、眼前に広がる街の景色は王都の景色を幾分発展させたかのような異世界が広がっていたのだ。
「ジャクリーン様、ここは?」
「異世界ニッポンの異国オランダという街を模した公園なのよ。時代的には700年後ぐらい先の世界と言ったところかしらね。」
「ここなら、ジロジロ見られることもなく過ごせるということですね。」
「そう。ガイジンさんと言われずに済むから、居心地はいいよ。何か仕入れるときは、ここから仕入れればいい。両替機を設置しておくから、この世界の金貨を入れると向こうのお金で出てくるので、それで買い物すればいい。当面の費用として、300万円渡しておくけど、無駄遣いしてはダメですよ。」
ジャクリーンはアルフレッドを連れ、異世界服のまま、外へ出たが、誰も何も言わない。
そして、適当にあったレストランに入り、メニューを指差しながら注文していく。
「こんなレストランだけではなく、ファーストフードと呼ばれるところもあるから、後でそこへも行ってみましょう。」
ハウステンボスの中をアルフレッドと共に歩きながら案内する。観覧車があったので、それにも乗る。前世さくらの頃から高い所へ行くのが大好きだから。
このクセはそう簡単には治らない。
もうすぐ新学期が始まろうとしている。ヒロインが転入してきて、ジャクリーンとアルフレッドの関係も変わっていくのだろうか?一抹の不安と寂しさを感じながら、フライドポテトを食べながら学園へと帰っていく。
そうだ。領地にすぐ行けるように、アルフレッドの男子寮とこのレストランをつないだ方が便利?
マンションとお兄様の診療所は、女子寮の中で繋いでいるけど、どうする?と聞くと、そんなことができるなら、自分の個室にもそれと同じような仕掛けが欲しいと言い出してきたので、作ることにしたいのだけど、問題は行き方。
あの入学時のような寮母は、今はいないからといって、不純異性交遊だと騒がれたくない。戸籍上は、母息子の関係でも、学園では、ただの同級生にしか過ぎない。
仕方なく、兄エルモアの診療所から、男子寮に忍び込むことにしたのだ。ジャクリーンは自分に隠ぺい魔法をかけ、透明人間になってから、エルモアの部屋を出て、アルフレッドの部屋に向かう。
アルフレッド付きの侍女はまだいない。
書斎のクローゼットにレストランの非常口を仕掛けることに成功したのだ。レストランとマンションはつながっているので、レストラン内を通れば、大抵のところへは行ける。
その後、ほどなくしてブルオード国王から、正式に男爵の地位を授かり、もう隣国の公爵令息ではなく、ブルオードの男爵として、独り立ちすることになる。
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