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新しい出会い
49.結婚式
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結婚式が滞りなく終わり、新郎新婦が退場という場面になり、突如、水晶玉判定をしてくださいという司祭様を前にして、初めての夫婦喧嘩をおっ始めてしまうジャクリーンとシャルマン、その展開に司祭様もビックリ仰天される中、控室に案内されることになったのだ。
「だからっ、もう離婚だって言っているでしょうが!」
「なんでだよ。俺が何か悪いことでもしたのか?もしそうだったら謝るけど。」
「アナタのそういうデリカシーのないところが嫌いになったのよ。」
「でりかし?なら、言うけど、ジャッキーだって、時々訳が分からないような言葉を使うし、もう付き合いきれないよ。」
「なんですって!? 上等じゃねえか!だったら別れましょうよ。今すぐ離婚しましょ。」
「おう!いいとも……。」
売り言葉に買い言葉で、ついに……!
お互い、つい離婚してもいいと言ってしまってから死ぬほど後悔しているけど、もう後には引けない。
司祭様は、なりゆきにオロオロするばかり、元をただせば嫌がる新婦に水晶玉判定を勧めてしまったのは自分自身であるということは百も承知している。
それは、オルブライト国王の意向であり、隣国ブルオード国王の意向でもあったわけだが、このまま二人は離縁することにでもなったら、知らぬ存ぜぬで通され、司祭の責任を追及されかねない。
「いや、あの……落ち着いてください。今、神様の前で永遠の愛を誓ったばかりではございませんか?それを何が原因か存じ上げませんが……、……水晶玉のことが原因でしたら、もうしていただかなくて構いませんので、どうか……仲直りを。」
ジャクリーンは、肩でハァハァと息をしながら
「いったい誰が、この絵を描いたの?」
「は?絵?いや……どなたも絵など描いておりませんし、絵師も呼んでおりませぬが……?」
「ったく、誰の指示で水晶玉が出てきたの?と聞いているのよ?」
「ああ、そういうことでございますか。絵を描くとは面白い表現方法でございますな。二国の国王陛下からお申し出がございまして。もしよろしければ、水晶玉判定を嫌がる理由をお聞かせ願えないでしょうか?」
「じゅ……純潔ではございませんので……。」
「なるほど……、そういうことであれば、政治的に利用されることが嫌なので、ということで改めて、ということにしておきましょうか。その方がよろしいですしね。」
司祭様は部屋を出ていかれ、水晶玉を引き上げてこられました。控室に鎮座されると、シャルマンが面白半分に、その水晶玉に手をかざし
「へー。純潔でなければ水晶玉判定は受けられないものだったのか、知らなかった。ごめんよ。ジャッキーがアイコンタクトしてくれているのに、気づかなくて、愛しているよ。だからもう別れたいなんて、言わないで。」
「わたくしもつい、感情的になってしまって、ごめんなさい。」
「どうせ反応しないのなら、ちょっと乗せてみたら?」
面白そうにシャルマンがそう言うので、
「そうね。もうこんな機会もないだろうしね。」
そういいながら、何気に水晶玉に手をかざしてみると
突然、キラキラと輝き始めて……{うわっ!ヤバイかも?}ジャクリーンが慌てて、手を離した途端、割れてしまった。
へ?どういうこと?水晶玉が割れてしまうなんて、それほどまでに邪悪な存在なのか?今のは、見なかったことにしておこう。くわばら。くわばら。
それをシャルマンと司祭様は、ハッキリ見ていた。やっぱりジャクリーンは、聖女様だったと。でも水晶玉が壊れてしまった以上、もう聖女様だと断定できない。大聖堂だから一応、予備の水晶玉もあるにはあるが聖魔力が強すぎて、純潔を失った後でさえ、水晶玉が持ちこたえられないほどの魔力量の多さを物語っているぐらいだから、予備で試したら、たちまちまた割れてしまうことを懸念している。
三者三様、それぞれの事情で、今の割れたことを見なかったことにしようとしている。
大聖堂は列席者を先に出し、その後から新郎新婦を送り出す。二度と来るな!とは、思っていない、一応、仲直りしてくれたし、ジャクリーンが聖女様だとはっきり分かったのだから。
しかし、あれほどまでの聖魔力を持ちながら暴発もしないで、よく今まで平穏に暮らしてこられたものだと思う。侯爵令嬢だったからか?それとも世界一の美女だったからかは、定かでない。
思えば、先ほどの式の最後で、水晶玉判定をしていたら、政治的に利用されることは目に見えている。
まして、神の前で誓い合った男女を引き離すようなことをされれば、教会としても黙って看過できない。
今や、れっきとした次期公爵夫人になられるのだから、ここはそっとしておくことに越したことはない。
それに、しばらくはカントリーハウスにこもりきりになられるらしい。もし、この王都で、またはこの王都の内外で、聖なる力が必要となった時、必ずや聖女様は、この国を救ってくださると信じ、今日の良き日のことは生涯に胸にとどめおくことにする。
「だからっ、もう離婚だって言っているでしょうが!」
「なんでだよ。俺が何か悪いことでもしたのか?もしそうだったら謝るけど。」
「アナタのそういうデリカシーのないところが嫌いになったのよ。」
「でりかし?なら、言うけど、ジャッキーだって、時々訳が分からないような言葉を使うし、もう付き合いきれないよ。」
「なんですって!? 上等じゃねえか!だったら別れましょうよ。今すぐ離婚しましょ。」
「おう!いいとも……。」
売り言葉に買い言葉で、ついに……!
お互い、つい離婚してもいいと言ってしまってから死ぬほど後悔しているけど、もう後には引けない。
司祭様は、なりゆきにオロオロするばかり、元をただせば嫌がる新婦に水晶玉判定を勧めてしまったのは自分自身であるということは百も承知している。
それは、オルブライト国王の意向であり、隣国ブルオード国王の意向でもあったわけだが、このまま二人は離縁することにでもなったら、知らぬ存ぜぬで通され、司祭の責任を追及されかねない。
「いや、あの……落ち着いてください。今、神様の前で永遠の愛を誓ったばかりではございませんか?それを何が原因か存じ上げませんが……、……水晶玉のことが原因でしたら、もうしていただかなくて構いませんので、どうか……仲直りを。」
ジャクリーンは、肩でハァハァと息をしながら
「いったい誰が、この絵を描いたの?」
「は?絵?いや……どなたも絵など描いておりませんし、絵師も呼んでおりませぬが……?」
「ったく、誰の指示で水晶玉が出てきたの?と聞いているのよ?」
「ああ、そういうことでございますか。絵を描くとは面白い表現方法でございますな。二国の国王陛下からお申し出がございまして。もしよろしければ、水晶玉判定を嫌がる理由をお聞かせ願えないでしょうか?」
「じゅ……純潔ではございませんので……。」
「なるほど……、そういうことであれば、政治的に利用されることが嫌なので、ということで改めて、ということにしておきましょうか。その方がよろしいですしね。」
司祭様は部屋を出ていかれ、水晶玉を引き上げてこられました。控室に鎮座されると、シャルマンが面白半分に、その水晶玉に手をかざし
「へー。純潔でなければ水晶玉判定は受けられないものだったのか、知らなかった。ごめんよ。ジャッキーがアイコンタクトしてくれているのに、気づかなくて、愛しているよ。だからもう別れたいなんて、言わないで。」
「わたくしもつい、感情的になってしまって、ごめんなさい。」
「どうせ反応しないのなら、ちょっと乗せてみたら?」
面白そうにシャルマンがそう言うので、
「そうね。もうこんな機会もないだろうしね。」
そういいながら、何気に水晶玉に手をかざしてみると
突然、キラキラと輝き始めて……{うわっ!ヤバイかも?}ジャクリーンが慌てて、手を離した途端、割れてしまった。
へ?どういうこと?水晶玉が割れてしまうなんて、それほどまでに邪悪な存在なのか?今のは、見なかったことにしておこう。くわばら。くわばら。
それをシャルマンと司祭様は、ハッキリ見ていた。やっぱりジャクリーンは、聖女様だったと。でも水晶玉が壊れてしまった以上、もう聖女様だと断定できない。大聖堂だから一応、予備の水晶玉もあるにはあるが聖魔力が強すぎて、純潔を失った後でさえ、水晶玉が持ちこたえられないほどの魔力量の多さを物語っているぐらいだから、予備で試したら、たちまちまた割れてしまうことを懸念している。
三者三様、それぞれの事情で、今の割れたことを見なかったことにしようとしている。
大聖堂は列席者を先に出し、その後から新郎新婦を送り出す。二度と来るな!とは、思っていない、一応、仲直りしてくれたし、ジャクリーンが聖女様だとはっきり分かったのだから。
しかし、あれほどまでの聖魔力を持ちながら暴発もしないで、よく今まで平穏に暮らしてこられたものだと思う。侯爵令嬢だったからか?それとも世界一の美女だったからかは、定かでない。
思えば、先ほどの式の最後で、水晶玉判定をしていたら、政治的に利用されることは目に見えている。
まして、神の前で誓い合った男女を引き離すようなことをされれば、教会としても黙って看過できない。
今や、れっきとした次期公爵夫人になられるのだから、ここはそっとしておくことに越したことはない。
それに、しばらくはカントリーハウスにこもりきりになられるらしい。もし、この王都で、またはこの王都の内外で、聖なる力が必要となった時、必ずや聖女様は、この国を救ってくださると信じ、今日の良き日のことは生涯に胸にとどめおくことにする。
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