前世記憶持ちの悪役令嬢は聖女様呼ばわりされることが嫌で嫌で仕方がない~乙女ゲームのヒロインにゲームクリアしてもらうために奮闘する

青の雀

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新しい出会い

47.進路

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 エドモンド殿下のお相手の令嬢は、同じ学年のブルオード国の侯爵令嬢エリーゼ様ということがわかる。

 学園内で、イチャイチャしている姿をよく見かけるようになり、ジャクリーンは正直なところ、ホッとしている。

 今度はエリーゼ様が悪役令嬢になってね。

 オルブライト国でも動きがあった。それは前世の夫マーロン様がブラウデン筆頭公爵様より、廃嫡され、次男であるカーネル・ブラウデンが次期当主となることが決まってしまったのだ。

 マーロン様は、夜会があるたびに貴族令嬢をお持ち帰りしていたために、認知を求めていたるところで訴訟騒ぎを起こしているという理由からで。とても、ブラウデン家が面倒見切れないという数らしい。

 前世は、あんなにも真面目だったのに、タイミングが変われば、人間は誰でも非行に走るというものなのだろうか?

 季節は秋になり、ちょうど学園祭のシーズン。エドモンド殿下の側近の中でもカノジョがちらほらとでき始める。

 狙い目はなんといっても、カーネル・ブラウデンだが、ブルオード国では肉体美を重視する傾向があり、武闘派のニコラス・マキャベリ伯爵令息や義弟のアルフレッド・レバトリーの人気を二分していると言っても過言ではない。

 アルフレッドのことは、いずれジャクリーンが身を立てられるように支援していくつもりだが、ニコラスは、ブルオード国の騎士団長の一人娘といい仲になっている模様。でも、オルブライトの国防上、国境を越えてのロマンスというものはいかがなものだろうか?

 男の地位をとるか、カラダをとるかによって、女性の好みが分かれるところ。キャサリン王女の場合は、単なる面食いだったと思うけど、お兄様もモデルになるぐらいだから、なかなか筋肉はある。

 一番かわいそうだと思ったのは、モーガン・ストラッカー公爵令息、お父様は魔法師団長をしていらっしゃる。次男だから、今のところ長男に瑕疵はなく自分が当主になる可能性は極めて低い。

 でも、魔力量は十分あるし、お父様の後を継げなくても魔導師になる気で頑張れば、身は立てられると思う。

 というのも、ジャクリーンは、シャルマン様が卒業されたら、すぐ結婚することになっているので、あと半年したら、お嫁に行くのだから、前世と同じようにまた断罪されてはかなわない。

 だからエドモンドやほかの攻略対象者の動向が気になって仕方がない。

 今までのパターンから見ても、エドモンドはジャクリーンを市井に落としたいみたい。貴族席をはく奪して、市井に落としてどうなるというのか?

 純然足る侯爵令嬢なら、たちまち生きていけないというものだろうが、ジャクリーンには前世の記憶があるから、どこでも生きていける自信がある。

 この世界では、医療従事者は圧倒的に数が少ないから重宝される。それに前世管理栄養士だったおかげで、カラダにやさしいお料理を作ることができるというのも、一つの特性と言える。

 だから今度転生したら、できれば悪役令嬢ではなくモブで市井に生まれ変わりたい。そうすれば、乙女ゲームなど関係なく幸せに暮らせるはず。

 それでもGame Overになれば、また転生してイチからやり直しになるのだろうか?それならまだ悪役令嬢の方がマシかも?

 美味しいものを食べて綺麗なドレスを着られる方が、まだマシかもしれない。

 もう、どっちでもいいから早くGame Clearしてくれと言いたいわ。

 後半年したら男爵令嬢のリリアーヌが学園に転入してくる。エドモンドはリリアーヌに夢中になり悪役令嬢たるエリーゼは、捨てられてしまう。

 今度生まれ変わったら、次はどうしようかなぁ。あらかじめ考えとかないと、1年半後の身の振り方を、でもエリーゼ嬢と婚約しているわけでないから、婚約破棄にもならないし。他国の侯爵令嬢の卒業取り消しや貴族籍のはく奪も行われないだろうと思う。そんなことしたら外交問題に発展するだろうし、第一、オルブライト王が許さないだろう。

 それらの懸案をすべて取り除くためにも、シャルマン様が卒業されたら、すぐ結婚して、レバトリーの領地から、この学園に通う?それとも、中退しちゃおうか?中退して、異世界ニッポンの大検取って、もう一度大学から始めようかな?

 今のままの医学知識でも、乙女ゲームの世界から見たら、ずいぶん進歩した医学なのだから、このままアップデートなしでも一生やっていけるかもしれない。

 医者がそんな向上心のないことでいいのか?という気もする。

 半年後、結婚はする。ブルオード学園を中退するか、続けるかは、その時考えればいいかもしれない。

 とにかく今は、結婚式の用意で、手いっぱいだから。

 最近は、1週間に1度のお茶会もなく、毎日、マンションで会うから、糟糠の妻のような立場になっている。

 だから今更結婚しようが、しまいがあまり生活が変わるとは思えない。

 たぶん結婚後も、マンションの中で暮らすことになると思うから。そして、レバトリーのタウンハウスからマンションを通り、カントリーハウスへ出勤していくドワーフのオジサンも変わらぬ日常があると思うわ。
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