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新しい出会い
44.浮気疑惑
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ドワーフのオジサンは、ブランデーが来てからというもの食べる速度も飲む速度もケタ違いに早くなっていく。
酒飲みって、こんなものかしらね?さくらの父親は下戸だったから、さくらも大輔も家では絶対飲まない。
職場の外飲みしか経験がないから、晩酌のペースなど知らない。
ブランデー1本が空になったと同時に500グラムの肉を平らげていた。
「おかわりは?まだ食べられる?」
「もう後は、酒だけで十分でさ。」
そうはいっても、さくらは医者だから、それを許容できない。
「生ハムとアスパラのチーズ巻と、……タウリンが入っているものの方がアルコールを分解しやすいから蜆の味噌soupを4人前」追加で注文する。
そして、注文後、ひとりトイレに立つ。隣の個室がやけにやかましい。注意してやろうかと思ったが、前世のような医者の立場ではないから、せめてどんな奴が騒いでいるのかと隙間がわずかに開いている扉から中の様子をうかがうと……!……。
どこかで聞いたことがある声だと思ったら、大輔の声だった。大輔がいるということは、シャルマン様もいる可能性が高い。
勢い良く、扉を開け放ち「うるせえんだよ!」
乙女ゲームの世界語で怒鳴ってやった。
ポカンとした顔のエルモアとシャルマン様。それぞれの両サイドには、裸に近い恰好をした若い女がしなだれかかっている。
なぜ、ここに異世界にいるはずのジャクリーンがいるのかわからない様子。
シャルマン様は慌てて立ち上がり、必死になって、ジャクリーンに弁明しているが、もはや聞く耳はない。
収録後、スタッフと共演者で飲みに行くことになって、まずは食事だということでこの店に来たということらしい。
どこにスタッフがいるって言うのよ?え、えー?
そのうち、大輔によりかかっていた女の子と言ってもどう見てもアラサーが口を開く。
「ねえ、誰?」
「妹のさくらだ。」
「えー!妹の名前がさくらだなんて、トラさんみたい。キャハハ。」
「倍賞でなくて、悪かったわね!」
ニッポン語で帰してやったら、
「キャハハ。面白いオバサン。キャハハ。」
「失礼ね!まだ20歳よ。アラサーに言われたくないわよ。オバサン。」
わざと年上にサバを読んだ。だって飲酒しているから。
「なんですってぇ!生意気な小娘が!」
乱闘になりかけた時、隣の部屋にいたアルフレッドが飛び出してきて、アラサーオバサンとジャクリーンの間に入ってくれて、ジャクリーンを後ろに守るような姿勢をしている。同じ兄弟なのに、武闘派と文官肌ではこうまで違うものかと呆れる。
乙女ゲーム世界語で怒鳴ったのが、聞こえていたみたい。
「きゃぁっ!すごい、イケメン!かっこいい。」
「それにたくましい筋肉、こっちのコに抱かれたいよぉ。お持ち帰りしてもいいなら、ここは収めるけど?」
「ばか!淫乱女、もっと自分を大事にしなさい。それだからそんな年まで行かず後家でいなきゃなんないのよ!」
もちろん、会話の内容はアルフレッドにもシャルマン様にもわからない。でも、この状況で守るべきなのは、ジャクリーンであることは確かにわかっていたはずなのにシャルマン様は弱い酒が回っているせいか、思うように行動できないでいる。
「なによ。若いくせに親みたいなこと言わないでよ!私だって、好きで独り身なんかやっているわけじゃないのよ。」
「わかるわ。」
「嘘よ!そんなに綺麗で若くて、アンタなんかに私の気持ちがわかるはずがない!」
「いいわ!ここの払いは、私がしてあげる。だからどんどん食べて、どんどん飲んでね。ただし、こいつらは回収させてもらうわよ?いい?」
アラサーはコクコクと頷いている。
その声が合図になったかのように別室にいたスタッフたちがその部屋になだれ込んでくる。口々に「ゴチになりま~す。」と言いながら。
ジャクリーンとアルフレッド、エルモア、シャルマン様が体質するとき、スタッフの小声が聞こえてくる。「さっきの何語?英語ではなかったよな?」「フランス語じゃないか?」「ああ、そうか。」
異世界後は、フランス語と解釈されたみたいだ。日本人よ、語学力が乏しいおかげで助かった。
ジャクリーンは、部屋に戻り、「弁明は帰ってからゆっくり聞くことにします。」
隣の個室に料理長とドワーフのオジサンがいることに気づき、バツの悪そうな顔をしているシャルマン様とエルモア。
アルフレッドは何もなかったかのように、肉を頬張る。
それにしても、アルフレッド君かっこいいわ。好きになりそう。
シャルマン様とエルモアは、その後アルコールを一切飲めず、ウーロン茶を飲みながら、レバトリー家の食事が終わるのを待っている。
実際のところ、ドワーフのオジサンがガン飲みしているだけで、もう終わっているようなものなのだけどね。
残り3人は、美味しいワインと肴を楽しんでいるだけ。
当分の間、エルモアとシャルマン様は異世界ニッポンへは、行けなくなりました。ジャクリーンが、頑として、二人の謝罪を受け付けなかったため。
酒飲みって、こんなものかしらね?さくらの父親は下戸だったから、さくらも大輔も家では絶対飲まない。
職場の外飲みしか経験がないから、晩酌のペースなど知らない。
ブランデー1本が空になったと同時に500グラムの肉を平らげていた。
「おかわりは?まだ食べられる?」
「もう後は、酒だけで十分でさ。」
そうはいっても、さくらは医者だから、それを許容できない。
「生ハムとアスパラのチーズ巻と、……タウリンが入っているものの方がアルコールを分解しやすいから蜆の味噌soupを4人前」追加で注文する。
そして、注文後、ひとりトイレに立つ。隣の個室がやけにやかましい。注意してやろうかと思ったが、前世のような医者の立場ではないから、せめてどんな奴が騒いでいるのかと隙間がわずかに開いている扉から中の様子をうかがうと……!……。
どこかで聞いたことがある声だと思ったら、大輔の声だった。大輔がいるということは、シャルマン様もいる可能性が高い。
勢い良く、扉を開け放ち「うるせえんだよ!」
乙女ゲームの世界語で怒鳴ってやった。
ポカンとした顔のエルモアとシャルマン様。それぞれの両サイドには、裸に近い恰好をした若い女がしなだれかかっている。
なぜ、ここに異世界にいるはずのジャクリーンがいるのかわからない様子。
シャルマン様は慌てて立ち上がり、必死になって、ジャクリーンに弁明しているが、もはや聞く耳はない。
収録後、スタッフと共演者で飲みに行くことになって、まずは食事だということでこの店に来たということらしい。
どこにスタッフがいるって言うのよ?え、えー?
そのうち、大輔によりかかっていた女の子と言ってもどう見てもアラサーが口を開く。
「ねえ、誰?」
「妹のさくらだ。」
「えー!妹の名前がさくらだなんて、トラさんみたい。キャハハ。」
「倍賞でなくて、悪かったわね!」
ニッポン語で帰してやったら、
「キャハハ。面白いオバサン。キャハハ。」
「失礼ね!まだ20歳よ。アラサーに言われたくないわよ。オバサン。」
わざと年上にサバを読んだ。だって飲酒しているから。
「なんですってぇ!生意気な小娘が!」
乱闘になりかけた時、隣の部屋にいたアルフレッドが飛び出してきて、アラサーオバサンとジャクリーンの間に入ってくれて、ジャクリーンを後ろに守るような姿勢をしている。同じ兄弟なのに、武闘派と文官肌ではこうまで違うものかと呆れる。
乙女ゲーム世界語で怒鳴ったのが、聞こえていたみたい。
「きゃぁっ!すごい、イケメン!かっこいい。」
「それにたくましい筋肉、こっちのコに抱かれたいよぉ。お持ち帰りしてもいいなら、ここは収めるけど?」
「ばか!淫乱女、もっと自分を大事にしなさい。それだからそんな年まで行かず後家でいなきゃなんないのよ!」
もちろん、会話の内容はアルフレッドにもシャルマン様にもわからない。でも、この状況で守るべきなのは、ジャクリーンであることは確かにわかっていたはずなのにシャルマン様は弱い酒が回っているせいか、思うように行動できないでいる。
「なによ。若いくせに親みたいなこと言わないでよ!私だって、好きで独り身なんかやっているわけじゃないのよ。」
「わかるわ。」
「嘘よ!そんなに綺麗で若くて、アンタなんかに私の気持ちがわかるはずがない!」
「いいわ!ここの払いは、私がしてあげる。だからどんどん食べて、どんどん飲んでね。ただし、こいつらは回収させてもらうわよ?いい?」
アラサーはコクコクと頷いている。
その声が合図になったかのように別室にいたスタッフたちがその部屋になだれ込んでくる。口々に「ゴチになりま~す。」と言いながら。
ジャクリーンとアルフレッド、エルモア、シャルマン様が体質するとき、スタッフの小声が聞こえてくる。「さっきの何語?英語ではなかったよな?」「フランス語じゃないか?」「ああ、そうか。」
異世界後は、フランス語と解釈されたみたいだ。日本人よ、語学力が乏しいおかげで助かった。
ジャクリーンは、部屋に戻り、「弁明は帰ってからゆっくり聞くことにします。」
隣の個室に料理長とドワーフのオジサンがいることに気づき、バツの悪そうな顔をしているシャルマン様とエルモア。
アルフレッドは何もなかったかのように、肉を頬張る。
それにしても、アルフレッド君かっこいいわ。好きになりそう。
シャルマン様とエルモアは、その後アルコールを一切飲めず、ウーロン茶を飲みながら、レバトリー家の食事が終わるのを待っている。
実際のところ、ドワーフのオジサンがガン飲みしているだけで、もう終わっているようなものなのだけどね。
残り3人は、美味しいワインと肴を楽しんでいるだけ。
当分の間、エルモアとシャルマン様は異世界ニッポンへは、行けなくなりました。ジャクリーンが、頑として、二人の謝罪を受け付けなかったため。
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