前世記憶持ちの悪役令嬢は聖女様呼ばわりされることが嫌で嫌で仕方がない~乙女ゲームのヒロインにゲームクリアしてもらうために奮闘する

青の雀

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新しい出会い

43.遊園地1

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 口実のためのお伺いだったが、アルフレッドが行くなら、と料理長にドワーフのオジサンまでもが来ることになった。

 ドワーフのオジサンが一緒に来ることで、何か波乱が起きそうな予感がする。

 でも「来るな!」とは言えない。

 恥ずかしいけど、ニッポンでも甲状腺異常の人にたまに現れる症状のようなものだから、気にしないことにして、連れていくことにする。

 本当は、イケメンのアルフレッド君と二人でデートもどきをしたかったのだけど。

 ブサメン代表のドワーフのオジサンが付いてくることになり、ガッカリしている。料理長は新しい食材とアイデアを求めてついてきたがることは理解できる。

 でも、ドワーフのオジサンは何故?何しに?だいたいアルコール度数の高いお酒にしか興味がないのでは?

 ひょっとしたら金属モグラに乗りたいだけかも?と思い直し、渋々ながらも着替えさせて連れていくことにする。

 ブルオード国でドワーフのオジサンに地下鉄やその他の乗り物を作ってもらうことになりかねないから、視察と思えば我慢できる。

 案の定地下鉄のフォームに着くと線路に降りて調べ出したが、危ないから戻ってらっしゃい。

 乗客の中に緊急停止ボタンを押す人まで出てくる始末で、先が思いやられる。ドワーフのオジサンを満足させるため、遊園地に行き観覧車にコーヒーカップ、メリーゴーランド、ジェットコースター、ゴーカートと乗り物を片っ端から乗ることにした。

 これはこれで楽しめた、なんといってもジャクリーンの隣の席はいつもイケメンなアルフレッド様が座るから、オジサンチームと若い子ちゃんチームに分かれて座る。

 でも料理長もドワーフのオジサンも悲鳴を上げてその後にこにこ顔をしていらっしゃったから、かなり楽しめたのではないかと思っている。

 「もう乗らない。」とは、一言も言わず、次は何を乗ろうか?と楽しみにされているご様子。

 お化け屋敷では、本気で怖がり、思わずジャクリーンにしがみつかれたときは、セクハラを疑う。

 ミラクルハウスでは、目をまわされ、気分が悪いとおっしゃられ、でも飲み物を買って差し出したら、途端に機嫌がよくなる。ちなみにライトビールだったけどね。

 最初はついてこられるのを迷惑がっていたけど、表情がコロコロ変わり見ていて楽しい。

 ランチは、園内のレストランでバイキングを食べる。料理長は持ち帰り自由なケチャップやマヨネーズ、それにバター、ジャムなどを山のようにもらってきて、ポケットに突っ込んでいる。

 いくらジャクリーンが、作り方がわかるからと言っても、同じものを再現できると言っても言うことを聞かず、タダ?値段が同じだからか?もらわないと損みたいな気分になっているのだろう。

 さすが男性3人とバイキングに入ると、割り勘勝ちしてしまう。特にアルフレッド君は、食べ盛り育ち盛りだから、山盛り3皿のお料理をぺろりと平らげ、まだ肉にサラダ、デザートを漁っている。

 3人とも口をそろえて言うのは、肉が柔らかくて美味しいということ。

 美食大国ニッポンだからね。領地に黒毛和牛牧場を作ろうか、と3人の意見を参考にする。それに果物が甘くて、美味しいらしいわ。うーん。これは農家さんの品種改良の賜物よね。

 でも黒毛和牛の精子は、門外不出でなかなか手に入らない。お隣の赤い国はそれを盗んだとこの前ニュースで言っていたけど、盗みでもしなければ、なかなか手に入らない代物なのよ。

 乙女ゲームのネットショッピングは、かなりチートだから、案外すんなり手に入るかもしれないけど、今は食事中なので、タブレットは見ないことにする。

 だって、お行儀悪いでしょ?これでも元侯爵令嬢で今は子爵ですもの。

 ランチ後も思う存分遊びまわって、空が茜色に染まる頃、遊園地を後にする。晩御飯を食べて帰ろうということになり、何が食べたいかを聞くと、3人とも口をそろえて、「肉!」という。

 「昼間、あれだけ食べたのに、まだ食べ足りないの?野菜もちゃんと摂らなきゃダメよ。」とまたオカンのようなことを言う。

 ジャクリーンは最初、ファミレスでお茶を濁して帰ろうかと思っていたけど、3人の肉への探求心?執着心がすごすぎて、適当なところに妥協しないのが乙女ゲームの世界人だとつくづく感じる今日この頃、この前1000万円という大金をもらったことも加えて、思い切って、ステーキハウスに行くことにした。

 タブレットで検索して、オススメのステーキレストランを探す。

 店内は、高級感あふれる造りになっていて、薄暗い。

 ジャクリーンが案内された席は、個室になっていて、照明は店内よりは明るい。男3人には、黒毛和牛のヒレステーキを500グラムずつ注文し、ジャクリーンは150グラムを頼む。

 飲み物は、赤ワインをティスティングは料理長にしてもらう。ドワーフのオジサンには特別の飲みたいものを注文してもいいと言ったが、ニッポン語のメニューが読めないために注文できずにいる。

 仕方なくジャクリーンが代わりにブランデーのボトルをチャージし、オジサンの横に置く。

 ちなみに、赤ワインとブランデーのお酒の原料は同じで、作る過程が違うから味もアルコール度数も異なる。

 だから普段、ワインを常飲している人は、割とウィスキーよりもブランデーが受け入れやすい。
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