42 / 76
新しい出会い
42.アルフレッド1
しおりを挟む
シャルマン様の弟のアルフレッドと同じクラスになったことをきっかけに少しずつだが、義弟として、距離は縮まっていく。
というのも、最近は、休みの日のたびに、シャルマン様はバラエティ番組に収録のため異世界ニッポンへは行かれるが、ジャクリーンとのデートはおざなりになりつつある。交際が始まって1年が過ぎたから、ちょうど倦怠期の真っ最中なのかもしれないけれど、ちょっとジャクリーンは寂しい思いをしている。
そのかわり、異世界ニッポンでのボディガードにと名乗り出てくれたのが、アルフレッド君。
アルフレッドも、開通して以来の異世界にワクワクしている。あの時は、初めて大学へ行った時のこと、学食へ行って、山盛りご飯に驚いた経験がある。
異世界は楽しい。レバトリー家の人間の共通の認識。でも、いつも兄のシャルマンが聖女様を独り占めにして、婚約者だから仕方がないとしても、異世界へなかなか連れて行ってもらえない。
だから兄が聖女様のお相手をしていないときぐらいは、自分が代わりにお守りしてもいいのではないかと思うようになったのだ。
でも異世界に一人で行くのは、心細い。言葉が通じまい。だから聖女様と一緒なら安心して行けるということもある。
聖女様からの呼び出しで、学園の中庭に行くと、いつの間にか食堂のような?建物が立っている。先ほどまでは、確かになかった建物だが、その前に聖女様が立っておられる。
「中へ。」
入ってみると、そこは聖女様の領地へ、いつの間にか行っていた。
「制服のままでは行けないから、ここで着替えてから行くわね。」
ファッション雑誌を何冊か手渡され、何が期待?と聞かれる。驚いたことにその雑誌の中に兄のシャルマンが映っていることだった。
「ああ、それね。シャルマン様が出ていらっしゃるのよ。渋谷でスカウトされたことがきっかけで、今やテレビに雑誌にと人気者になっていらっしゃるわ。アルフレッド様も、そんなのに興味ある?」
「……。」
正直なところ、よくわからないから返事のしようがない。
「どっちにしたって、まずはニッポン語を覚えなきゃね。」
「とにかく今、お兄様が来ているものをそのまま出すから着てみて。」
アルフレッド君の方がシャルマン様よりも伸び伸びと育ったせいか?背が高い。肩幅も広いからXLサイズのものを出してみると、これがまたよく似合う。かっこいい。
どちらかというとシャルマン様は文官肌で、アルフレッド君は部とはナノだ。だから体格が違う。
攻略対象の一人、エドモンドの取り巻き連中のニコラス・マキャベリ騎士団長の三男と一緒に、よく剣の鍛錬をしているところを見かける。
攻略対象は、エドモンドを除いて、みんな比較的いい子ばかり、エドモンドを際立たせるため、モブ扱いが気の毒になるくらいだ。
そのせいで、いつでもジャクリーン・アナザーライトが悪役令嬢になってしまうのだけど。そもそも浮気者のエドモンドがいけない。エドモンドが婚約者だけを見ないから、悪役令嬢に仕立て上げられてしまう。
だからもう二度とエドモンドの婚約者にはならない。この先何度、婚約者候補になったとしても断り続けるつもりでいる。
だから今世では、アルフレッド君に幸せになってもらいたい。
でもそれでは、乙女ゲームは成立しないだろう。ヒロインは略奪愛をしなければハッピーエンドにならないから、Game Clearにならない。
そもそも乙女ゲームの設定がおかしいと思う。開発者は、きっとモテない喪男に決まっていると思う。
他人の不幸せの上に真実の幸せは存在しない。
こんな当たり前のことさえ理解できない不心得者がGameを作っているから、こういうことになるのだ。
ここで怒り心頭になっても仕方がないから、さっさとレバトリー家に行く。待てよ?この領地からしょっちゅう本郷の大学へ行っているから、いちいちレバトリー家を通さなくてもいいような気がしてきた。
でも、アルフレッド君は、れっきとしたレバトリー家のご令息だから、やっぱりここは手順を踏んだ方が間違いはない。
思い直して、レバトリー家へ向かう。
珍しく玄関に着き、一応ベルを鳴らす。アルフレッド君と一緒だから、別にいいのだけど、彼にとっては、「ただいま」と言って帰れる家なのだから。
「あら、お珍しい若奥様、今日は、旦那様はお留守でございますが……。アルフレッド坊ちゃま、おかえりなさいませ。」
「これからアルフレッド様と異世界へ行くのだけど、何か御用事あるかと思って。」
「少々、お待ちいただけますか?中へ入って、お待ちください。」
玄関から入ったのは、正々堂々とアルフレッド様を連れ歩くことへの口実のため、後からシャルマン様に聞かれても、気を悪くされないための心遣いなのだ。自分の婚約者が弟と二人きりで出かけたとなれば、少しぐらいはヤキモチ焼いて、くださるかもしれないけど、それはそれで嬉しいことだけど、この乙女ゲームの世界では、まだまだふしだらと言われる世界なので、アリバイのため、レバトリー家を訪ねたのだ。
というのも、最近は、休みの日のたびに、シャルマン様はバラエティ番組に収録のため異世界ニッポンへは行かれるが、ジャクリーンとのデートはおざなりになりつつある。交際が始まって1年が過ぎたから、ちょうど倦怠期の真っ最中なのかもしれないけれど、ちょっとジャクリーンは寂しい思いをしている。
そのかわり、異世界ニッポンでのボディガードにと名乗り出てくれたのが、アルフレッド君。
アルフレッドも、開通して以来の異世界にワクワクしている。あの時は、初めて大学へ行った時のこと、学食へ行って、山盛りご飯に驚いた経験がある。
異世界は楽しい。レバトリー家の人間の共通の認識。でも、いつも兄のシャルマンが聖女様を独り占めにして、婚約者だから仕方がないとしても、異世界へなかなか連れて行ってもらえない。
だから兄が聖女様のお相手をしていないときぐらいは、自分が代わりにお守りしてもいいのではないかと思うようになったのだ。
でも異世界に一人で行くのは、心細い。言葉が通じまい。だから聖女様と一緒なら安心して行けるということもある。
聖女様からの呼び出しで、学園の中庭に行くと、いつの間にか食堂のような?建物が立っている。先ほどまでは、確かになかった建物だが、その前に聖女様が立っておられる。
「中へ。」
入ってみると、そこは聖女様の領地へ、いつの間にか行っていた。
「制服のままでは行けないから、ここで着替えてから行くわね。」
ファッション雑誌を何冊か手渡され、何が期待?と聞かれる。驚いたことにその雑誌の中に兄のシャルマンが映っていることだった。
「ああ、それね。シャルマン様が出ていらっしゃるのよ。渋谷でスカウトされたことがきっかけで、今やテレビに雑誌にと人気者になっていらっしゃるわ。アルフレッド様も、そんなのに興味ある?」
「……。」
正直なところ、よくわからないから返事のしようがない。
「どっちにしたって、まずはニッポン語を覚えなきゃね。」
「とにかく今、お兄様が来ているものをそのまま出すから着てみて。」
アルフレッド君の方がシャルマン様よりも伸び伸びと育ったせいか?背が高い。肩幅も広いからXLサイズのものを出してみると、これがまたよく似合う。かっこいい。
どちらかというとシャルマン様は文官肌で、アルフレッド君は部とはナノだ。だから体格が違う。
攻略対象の一人、エドモンドの取り巻き連中のニコラス・マキャベリ騎士団長の三男と一緒に、よく剣の鍛錬をしているところを見かける。
攻略対象は、エドモンドを除いて、みんな比較的いい子ばかり、エドモンドを際立たせるため、モブ扱いが気の毒になるくらいだ。
そのせいで、いつでもジャクリーン・アナザーライトが悪役令嬢になってしまうのだけど。そもそも浮気者のエドモンドがいけない。エドモンドが婚約者だけを見ないから、悪役令嬢に仕立て上げられてしまう。
だからもう二度とエドモンドの婚約者にはならない。この先何度、婚約者候補になったとしても断り続けるつもりでいる。
だから今世では、アルフレッド君に幸せになってもらいたい。
でもそれでは、乙女ゲームは成立しないだろう。ヒロインは略奪愛をしなければハッピーエンドにならないから、Game Clearにならない。
そもそも乙女ゲームの設定がおかしいと思う。開発者は、きっとモテない喪男に決まっていると思う。
他人の不幸せの上に真実の幸せは存在しない。
こんな当たり前のことさえ理解できない不心得者がGameを作っているから、こういうことになるのだ。
ここで怒り心頭になっても仕方がないから、さっさとレバトリー家に行く。待てよ?この領地からしょっちゅう本郷の大学へ行っているから、いちいちレバトリー家を通さなくてもいいような気がしてきた。
でも、アルフレッド君は、れっきとしたレバトリー家のご令息だから、やっぱりここは手順を踏んだ方が間違いはない。
思い直して、レバトリー家へ向かう。
珍しく玄関に着き、一応ベルを鳴らす。アルフレッド君と一緒だから、別にいいのだけど、彼にとっては、「ただいま」と言って帰れる家なのだから。
「あら、お珍しい若奥様、今日は、旦那様はお留守でございますが……。アルフレッド坊ちゃま、おかえりなさいませ。」
「これからアルフレッド様と異世界へ行くのだけど、何か御用事あるかと思って。」
「少々、お待ちいただけますか?中へ入って、お待ちください。」
玄関から入ったのは、正々堂々とアルフレッド様を連れ歩くことへの口実のため、後からシャルマン様に聞かれても、気を悪くされないための心遣いなのだ。自分の婚約者が弟と二人きりで出かけたとなれば、少しぐらいはヤキモチ焼いて、くださるかもしれないけど、それはそれで嬉しいことだけど、この乙女ゲームの世界では、まだまだふしだらと言われる世界なので、アリバイのため、レバトリー家を訪ねたのだ。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
結婚しましたが、愛されていません
うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。
彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。
為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
「ババアはいらねぇんだよ」と婚約破棄されたアラサー聖女はイケメン王子に溺愛されます
平山和人
恋愛
聖女のロザリーは年齢を理由に婚約者であった侯爵から婚約破棄を言い渡される。ショックのあまりヤケ酒をしていると、ガラの悪い男どもに絡まれてしまう。だが、彼らに絡まれたところをある青年に助けられる。その青年こそがアルカディア王国の王子であるアルヴィンだった。
アルヴィンはロザリーに一目惚れしたと告げ、俺のものになれ!」と命令口調で強引に迫ってくるのだった。婚約破棄されたばかりで傷心していたロザリーは、アルヴィンの強引さに心が揺れてしまい、申し出を承諾してしまった。そして二人は幸せな未来を築くのであった。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
すべてフィクションです。読んでくだり感謝いたします。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる