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新しい出会い
38.クリスマス
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瞬く間にクリスマスシーズンが来る。異世界ニッポンでは、早くも1か月前から、クリスマスツリーのイルミネーションがお目見えしている。
「あれは何?」
シャルマン様に聞かれると言い淀んでしまう。ニッポン人は特定の宗教を崇拝していない。宗教に関して、寛容な国民性がある。
ハロウィンと同じで、キリスト教のお祭りなのだが異世界でニッポン以外の他国は、キリスト教の崇拝者がかなりの数でいる。
その日、イエス・キリストが誕生した日で、前日から誕生を祝うお祭り騒ぎをしているのだが、ニッポンでは、これを商機とばかりに商売に利用している。
ちなみにもみの木の一番上の星は、イエスが誕生するとき、ちょうど流れ星がもみの木の上に止まったところを表している。
キリスト教徒に取り、それぐらい神聖な日なのだが、ニッポンでは少し趣が変わる。
その日は恋人同士や家族の間でプレゼントのやり取りがある特別な日なのよ。ということぐらいしか教えられない。
サンタクロースの話までしてしまうと、ややこしくてたまらない。いい子の基準がそれぞれ違うから。
シャルマン様へのプレゼントは、カフスとタイピンのセットを贈ることにする。色はシャルマン様の瞳の色と同じブラウンに決め、琥珀で、特別に誂えることにしたのだ。
そしていよいよクリスマス・イヴ、この日はもう学園は冬休みに入っているので、いつものようにマンションの部屋に落ち合って、ひとしきり愛を語り合ってから、出かける用意をする。
シャルマン様は、異世界ニッポンのおしゃれを楽しまれるようになり、なかなか注文が事細かくなってきている。
今日のオーダーは、革ジャンに革パン、なんとなくお品が欠けるような?ガラの悪いイメージしか持ち合わせていないジャクリーンは戸惑いながらもポチっとする。
出てきた洋服にご満悦しながら、早速着替えられる。
これにリーゼントにレイバンのサングラスでもかければ、どこからどう見ようと立派な昭和の暴走族にしか見えない。はず。
ところが試着室から出てきたシャルマン様は完ぺきに着こなされている。まるで、ファッション雑誌から抜け出てきたみたいにかっこいい。
それで、今夜のジャクリーンも革のジャケットに革のスカート、それに本革のロングブーツで決めてみた。ただし、洋服は合成皮革にしたよ。本革なんて、高くて、つい昭和の頃の貧乏根性が出てしまう。
それで張り切って、地価の「要注意」から出る。
地下鉄に乗って出た先は、いつものデートコースの駅、このあたり、同じ年代の子が大勢集まってくるので、今のところ若いカラダなので、ここで遊ぶことにしている。
そしたら、見知らぬ外国人の男性が近づいてきて
「Excuse me.」
そうよね。わたくしたちって、どう見ても外国人の男女にしか見えないわよね?でも、英語がわかるのは、ジャクリーンだけ、最近はシャルマン様も少しぐらいのニッポン語なら何とかわかるようになってきたみたいだけど、英語まではまだ無理なの。
英語がわからないような顔をして、立ち去ることもできる。
困って、無視していると。さらに。
「How old are you?」
あーめんどくさい?ニッポンなら、日本語で聞けよ。プイっと顔を背け、そのままシャルマン様の手を握り、どんどん歩き始める。
それでもなお付きまとってくるから、しつこいったらありゃしない。
通りすがりのポリスマンに助けを求めて、逃げてきたの。やっと撒けたと思って、安心していると、また目の前に
「ひどいなぁ。怪しいものではありませんよ。」
今度は、ニッポン語で話しかけてきた。
「どう見たって、怪しい満載でしょ?私たちの年齢なんか聞いてどうするつもりよ?」
「ハロウィンの時にもいたでしょ?可愛いCatの恰好をして、あの時から目を付けていたんだよね。今日はEveだから来るかと思って、待ち伏せしていたんだよ。」
「で、何の用?」
「君たちにコレクションに出てもらいたいんだよ。俺はある有名なデザイナーのスカウトマンなんだ。」
そういって、名刺を差し出してきた。そこには、前世の記憶しかないジャクリーンでも知っているデザイナーの名前があったのだけど、確かこの人死んだんじゃないの?と思う名前も書いてあったのだ。
「コレクションって、パリコレとかの?」
「そうそう。ミラノのコレクションのモデルを探しているんだ。」
「ほか、当たってちょうだい。」
「どうして、お金を稼げることになるし、世界的に有名になれるチャンスだぜ?なぜ断る?」
「そんな必要ないからよ。面倒ごとに巻き込まれたくないのよ。」
「Why?」
手のひらを上にして両腕を広げて見せる。
わたくしたちは、スカウトマンをそのままにして、振り切って雑踏の中に逃げ込む。
とにかく予約してあるホテルのレストランまで着いたときは、完全にスカウトマンの姿は見当たらなかった。
これでほっと一安心と思っていると、シャルマン様が
「さっきの男の人、なんて言っていたの?」
「ああ、あれね。洋服のファッションショーのモデルにならないかと誘ってきたのよ。世界中に顔が売れるし、お金も稼げる。でも、わたくしたちは異世界人だからあまり目立つことはしたくないのよ。」
「でも、面白そうだね。」
その一言に、ジャクリーンは固まってしまう。
「あれは何?」
シャルマン様に聞かれると言い淀んでしまう。ニッポン人は特定の宗教を崇拝していない。宗教に関して、寛容な国民性がある。
ハロウィンと同じで、キリスト教のお祭りなのだが異世界でニッポン以外の他国は、キリスト教の崇拝者がかなりの数でいる。
その日、イエス・キリストが誕生した日で、前日から誕生を祝うお祭り騒ぎをしているのだが、ニッポンでは、これを商機とばかりに商売に利用している。
ちなみにもみの木の一番上の星は、イエスが誕生するとき、ちょうど流れ星がもみの木の上に止まったところを表している。
キリスト教徒に取り、それぐらい神聖な日なのだが、ニッポンでは少し趣が変わる。
その日は恋人同士や家族の間でプレゼントのやり取りがある特別な日なのよ。ということぐらいしか教えられない。
サンタクロースの話までしてしまうと、ややこしくてたまらない。いい子の基準がそれぞれ違うから。
シャルマン様へのプレゼントは、カフスとタイピンのセットを贈ることにする。色はシャルマン様の瞳の色と同じブラウンに決め、琥珀で、特別に誂えることにしたのだ。
そしていよいよクリスマス・イヴ、この日はもう学園は冬休みに入っているので、いつものようにマンションの部屋に落ち合って、ひとしきり愛を語り合ってから、出かける用意をする。
シャルマン様は、異世界ニッポンのおしゃれを楽しまれるようになり、なかなか注文が事細かくなってきている。
今日のオーダーは、革ジャンに革パン、なんとなくお品が欠けるような?ガラの悪いイメージしか持ち合わせていないジャクリーンは戸惑いながらもポチっとする。
出てきた洋服にご満悦しながら、早速着替えられる。
これにリーゼントにレイバンのサングラスでもかければ、どこからどう見ようと立派な昭和の暴走族にしか見えない。はず。
ところが試着室から出てきたシャルマン様は完ぺきに着こなされている。まるで、ファッション雑誌から抜け出てきたみたいにかっこいい。
それで、今夜のジャクリーンも革のジャケットに革のスカート、それに本革のロングブーツで決めてみた。ただし、洋服は合成皮革にしたよ。本革なんて、高くて、つい昭和の頃の貧乏根性が出てしまう。
それで張り切って、地価の「要注意」から出る。
地下鉄に乗って出た先は、いつものデートコースの駅、このあたり、同じ年代の子が大勢集まってくるので、今のところ若いカラダなので、ここで遊ぶことにしている。
そしたら、見知らぬ外国人の男性が近づいてきて
「Excuse me.」
そうよね。わたくしたちって、どう見ても外国人の男女にしか見えないわよね?でも、英語がわかるのは、ジャクリーンだけ、最近はシャルマン様も少しぐらいのニッポン語なら何とかわかるようになってきたみたいだけど、英語まではまだ無理なの。
英語がわからないような顔をして、立ち去ることもできる。
困って、無視していると。さらに。
「How old are you?」
あーめんどくさい?ニッポンなら、日本語で聞けよ。プイっと顔を背け、そのままシャルマン様の手を握り、どんどん歩き始める。
それでもなお付きまとってくるから、しつこいったらありゃしない。
通りすがりのポリスマンに助けを求めて、逃げてきたの。やっと撒けたと思って、安心していると、また目の前に
「ひどいなぁ。怪しいものではありませんよ。」
今度は、ニッポン語で話しかけてきた。
「どう見たって、怪しい満載でしょ?私たちの年齢なんか聞いてどうするつもりよ?」
「ハロウィンの時にもいたでしょ?可愛いCatの恰好をして、あの時から目を付けていたんだよね。今日はEveだから来るかと思って、待ち伏せしていたんだよ。」
「で、何の用?」
「君たちにコレクションに出てもらいたいんだよ。俺はある有名なデザイナーのスカウトマンなんだ。」
そういって、名刺を差し出してきた。そこには、前世の記憶しかないジャクリーンでも知っているデザイナーの名前があったのだけど、確かこの人死んだんじゃないの?と思う名前も書いてあったのだ。
「コレクションって、パリコレとかの?」
「そうそう。ミラノのコレクションのモデルを探しているんだ。」
「ほか、当たってちょうだい。」
「どうして、お金を稼げることになるし、世界的に有名になれるチャンスだぜ?なぜ断る?」
「そんな必要ないからよ。面倒ごとに巻き込まれたくないのよ。」
「Why?」
手のひらを上にして両腕を広げて見せる。
わたくしたちは、スカウトマンをそのままにして、振り切って雑踏の中に逃げ込む。
とにかく予約してあるホテルのレストランまで着いたときは、完全にスカウトマンの姿は見当たらなかった。
これでほっと一安心と思っていると、シャルマン様が
「さっきの男の人、なんて言っていたの?」
「ああ、あれね。洋服のファッションショーのモデルにならないかと誘ってきたのよ。世界中に顔が売れるし、お金も稼げる。でも、わたくしたちは異世界人だからあまり目立つことはしたくないのよ。」
「でも、面白そうだね。」
その一言に、ジャクリーンは固まってしまう。
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