前世記憶持ちの悪役令嬢は聖女様呼ばわりされることが嫌で嫌で仕方がない~乙女ゲームのヒロインにゲームクリアしてもらうために奮闘する

青の雀

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新しい出会い

30.四十八手

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 その日の夜、久しぶりにシャルマン様に抱いてもらえることになった。事業計画の見通しが立ったご褒美にと、いつもより入念な愛撫にジャクリーンは翻弄されている。

 結局、寝室にマンションは設置できず、なんと、執務室にマンションの入り口を作って、その中で愛し合っている。

 領地の領主代行も実績さえ上げれば、何も言わない。

 それぐらいジャクリーンのアイデアは斬新なものだったと言える。今まで、誰も考えつかないようなことを言うが、すべて実現可能なものばかり、今の技術で最高の結果を出せるかもしれないという気持ちが領民を沸き立たせる。

 木綿も麻も種は、ジャクリーンのネット通販から手に入れることができた。羊は飼っている農家もあったため、それはほとんど食用か乳を搾るためだけに使われていたので、それを羊毛にあてる。蚕は、繭がシルクになるとは気づかず、今まで捨てていたと聞く。

 ドワーフのオジサンは、ウォッカにつられ、俄然やる気を出し、再現させてみせると本腰を入れたようだ。

 「ジャクリーン、君は素晴らしい。愛している。」

 唇で全身をくまなく吸われる。これはキスマークを付けられている行為。侍女にカラダを見られたとき、恥ずかしいけど、シャルマン様の所有物になれたことを自慢できるから、嬉しいと思う反面もある。

 シャルマン様は、あれから「要注意」扉から出入りをしている最中に偶然、「四十八手」の書物を手に入れられたそうで、それを領地にいる間に全部試してみようという意欲をお持ちになられたのでございます。

 ジャクリーンからすれば、嬉し恥ずかしの話だが、とても期待している。さすがに異世界ニッポンは何でも手に入る世界だと改めて感心する。

 それで今は立ち花菱の真っ最中で、もうシャルマン様の顔面に潮を吹きかけないようにジャクリーンは懸命にこらえているのだが、

 「いいから、イって。」

 と言われてもねぇ。イくときは、一緒がいいの。下にバスタオルを敷いているから、汚れが気にならないとはいえ……。

 でも、シャルマン様は、今日はジャクリーンに気持ちよくなってほしいみたいだから、少しだけ演技をしてみる。

 「あっああん。」

 満足そうにクンニから顔を上げてニッコリ微笑まれると、とたんに罪悪感が……。でも、本当に気持ちよくなって頭が真っ白になってしまったら、コワイような感じがする。理性を完全に失って、獣のようにシャルマン様を求めてしまったらと思うと自分が怖くなる。

 それから、次はジャクリーンの両足をシャルマン様の肩に担ぎあげられる深山という退位を試しておられる。

 これは恥ずかしいけど、なかなか感じる。なぜなら奥までびっちり入るから。それに上半身はベッドに預けているので、ジャクリーンとしては楽な体勢なのだ。

 その次は千鳥と椋鳥を経て、鵯越えでお開きとなり、コンドームは3枚使った。今日は愛撫が中心で、明日は、ちゃんとヤるとおっしゃっていたから笑ったけど、明日も抱いてもらえるってことで、嬉しくて、もう下半身が疼く。

 その後、寄り添って寝たのだけど、これも四十八手の一手に数えられるらしい。江戸時代のニッポン人はマメだってことね。

 ということは、今日だけでもう六手も経験してしまったのね。

 次の日、起きるなり片足を思い切り上げさせられて、立ったまま1回、ベッドの背もたれを持たされて、そこで2回目、洗面所の鏡の前で、さらに3回目、お風呂場でシャワーを浴びながら立ち松葉?とかいうので4回目をした。

 ちょっとアソコがヒリヒリする。昨夜、カラダが疼くと言ったことは訂正したい。

 お風呂場から出てきて、また抱きしめられそうになったので、シャルマン様の胸をポカポカ殴って、解放してもらえた。これ以上は、カラダがもたないよ。

 でも、そのかわりおっぱいに顔をうずめられて、またキスマークを山ほどつけられたことは許容範囲として辛抱する。

 シャルマン様は、着替えを済ませて、そのまま執務室に入られる。

 ジャクリーンは、キッチンの非常口から寝室に入り、侍女が来る前に着替えを済ませてしまう。

 果樹園の種をどうしようかと思案する。サクランボ以外、ほとんど秋~冬に収穫期を迎えるものばかりで、今から苗木を植えても間に合わない。

 ついでだから、畑でできるスイカやトマト、イチゴと果菜と呼ばれるものも植えてみようか?

 ハウス栽培にすれば、年がら年中作れるし、食べられる。ハウス栽培の方法をネットで調べることにして、朝食のため食堂に向かう。

 できればカカオの種まきもしたいが収穫できるのは、早くて4年後。それも最低気温が15度以上でなければ育たないという。

 カカオとマンゴーは外せないと思ったけど、気候がそれを許さなければ仕方がない。ハウス栽培でもできるのなら、別の話だが。

 食堂には、もうシャルマン様がいらっしゃった。

 「どうした?ジャッキー。難しい顔をしているな。」

 「果物の選定に悩んでおりまして。」

 「そうか、この領地の特産品となるようなものを、領民と共に意見を出し合って進めてくれ。」

 「はい。」
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