16 / 76
新しい出会い
16.メトロ
しおりを挟む
「お呼びでしょうか?シャルマン坊ちゃま……。こ、これは!?」
「ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけたんだ。」
「やはり若奥様は、レバトリー家にとって、運命の女性だったのですね。」
なに?また、シャルマン様と同じことを……?それに、まだ奥様ではないのだけど?
レバトリー家の地下室が開いた話は、王城で執務しているレバトリー公爵の元へすぐに知らされたのである。
結局、王城での仕事は急遽、お休みをいただき、取り急ぎ帰宅する。婚約書類は、提出したからいいようなものだが。
「父上!ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけて、地下室の扉が開いたのです。」
「うむ。よくやった。でかしたぞ。シャルマン。して、どうやって、ジャクリーン嬢を口説いたのだ?」
レバトリー公爵はいつになく上機嫌で、遺言では、聖なる乙女が光と共に進むべき道を示す。とあったが、ジャクリーン嬢は、どうやって?地下室の扉を?」
「あ、いえ……シャルマン様が、どれでも好きな本を読んでいいよ。と言ってくださったので、綺麗な装丁本を手に取り、1ページ目の1行目を何気に読みましたら、大きな地響きがしたと思った途端、気づけば、地下室の入り口が開いていたのです。」
「シャルマン、やっぱりお前は偉い!こんな美しくて、うまそうな娘と婚約しておきながら、ブラウデンの倅のように味見しないで、聖なる乙女の純潔を守ったからこそ、地下室への扉が開いたのだぞ。これは褒めてつかわす。」
つまりマーロン様のように出会ってすぐ、休憩室に連れ込むような男性ではなかったことが幸いしているってこと?
ふーん。よくわかったような?わからないような?ま、どうでもいいけど。ジャクリーンとしては一人掴んだことに変わりがないから。
執事がそこに来て、ヘルメットなどの装備を公爵、シャルマン、ジャクリーンの順に手渡していく。
へ?まさか?わたくしも、この中に入るの?ひょっとして、この中ってダンジョン?
ダンジョンとは、迷路のように地下深くまである魔物が巣くう洞窟状のこと。
うそ!?
「ジャッキー。大丈夫だよ、ダンジョンではないと思う。」
シャルマン様はそうおっしゃるけど、ヘルメットって何の意味?
おそるおそる階段を降り切ると、そこはだだっ広い部屋があり、いろいろ扉があり、 扉の向こう側は備蓄食料や毛布、衣料などがあった。何かあれば、地下でも生活できるように備えていたと考えられる。
そして、意外にも綺麗で清潔。感知センサーのようなもので、光魔法が自動で点くような仕組みになっている。
ところどころ、外の時間がわかるように明り取りの穴?が空けてある。
野戦病院としても使えるようなぐらい、だだっ広い空間が広がっているだけ。とにかく順番に扉という扉を開けることにした。どこに何が入っているかを確認しながら、それぞれクラフト付箋に「毛布」「飲料水」などと書いて、貼っていく作業に没頭する。
作業を進めるうちに、扉を開けると、そこは見知らぬ森の中であったり、これまただだっ広い湖が広がっていたりと外の景色につながっている扉もあるようだ。そこは異世界なのか?単に外国の景色なのかはわからない。
それぞれ「森」「湖」と書いて、扉に貼っていく。
そうやって、開けては確認して書くという作業を進めていくうちに、一つの扉だけ、たぶん公爵様のお祖父さんが書かれたものだと思う「要注意」のメモ書きがされているところが見つかった。
なに?これ?開けたらヤバイやつ?躊躇して立ち止まると、その扉が不意に開く。思わず身構えていると、それはレバトリー公爵だった。真っ青な顔をして、肩で息をしていらっしゃる。
この扉の向こうには、行かない方がいいぞ。」とだけ言われ、その場にしゃがみこんでしまわれる。
恐ろしい魔物、獣でもいたのだろうか?
気になって、隙間から覗いてみると、!
そこは前々々世まで住んでいた地下鉄が走っているではないか!それもどうみてもメトロ、たぶんニッポンの地下鉄だと思う。
危険だと言われても、懐かしいと思う心は止められない。でも、今のジャクリーンの姿は外国のお姫様風。うーん。この格好のまま行くのは憚られる。
そこが レバトリーの地下室だということも忘れ、前々々世通販の画面を開く。TシャツにGパン Gジャンにスニーカー、リュックサック、寒かったら困るからニット帽に手袋マフラーも買う。
下着は、昨夜のデビュタントのために買ったものを着ているし、地下鉄代をどうしようかと考える。無賃乗車になるのも困る。前々々世通販では、Suicaも買えるようだったので、それをとりあえず買ってみる。
そして、先ほどまで「ベッド」と記載していた扉のところまで行き、中に入って着替えることにする。
部屋から出てきたときの恰好は、完全にニッポンに留学生として来ている外国人の女子学生そのものの格好になっている。
今まで着ていたドレスやハイヒールは、リュックサックの中に皴にならないように畳んで入れている。
では、早速異世界ニッポンへ旅立とうとしていると、
レバトリー公爵とシャルマン様から必死に止められる。
「大丈夫ですわ。少し見てくるだけですので、ご心配なく。」
「それよりもそのいでたちは?」
「郷に入れば郷に従うですわ。」
結局、ジャクリーンを止めることはできないと判断した公爵とシャルマン様は、ジャクリーンと共に異世界ニッポン観光をすることにしたみたい。当然、お二方の衣装も揃えましたわよ。
「ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけたんだ。」
「やはり若奥様は、レバトリー家にとって、運命の女性だったのですね。」
なに?また、シャルマン様と同じことを……?それに、まだ奥様ではないのだけど?
レバトリー家の地下室が開いた話は、王城で執務しているレバトリー公爵の元へすぐに知らされたのである。
結局、王城での仕事は急遽、お休みをいただき、取り急ぎ帰宅する。婚約書類は、提出したからいいようなものだが。
「父上!ジャッキーが祖父さんの遺言本を見つけて、地下室の扉が開いたのです。」
「うむ。よくやった。でかしたぞ。シャルマン。して、どうやって、ジャクリーン嬢を口説いたのだ?」
レバトリー公爵はいつになく上機嫌で、遺言では、聖なる乙女が光と共に進むべき道を示す。とあったが、ジャクリーン嬢は、どうやって?地下室の扉を?」
「あ、いえ……シャルマン様が、どれでも好きな本を読んでいいよ。と言ってくださったので、綺麗な装丁本を手に取り、1ページ目の1行目を何気に読みましたら、大きな地響きがしたと思った途端、気づけば、地下室の入り口が開いていたのです。」
「シャルマン、やっぱりお前は偉い!こんな美しくて、うまそうな娘と婚約しておきながら、ブラウデンの倅のように味見しないで、聖なる乙女の純潔を守ったからこそ、地下室への扉が開いたのだぞ。これは褒めてつかわす。」
つまりマーロン様のように出会ってすぐ、休憩室に連れ込むような男性ではなかったことが幸いしているってこと?
ふーん。よくわかったような?わからないような?ま、どうでもいいけど。ジャクリーンとしては一人掴んだことに変わりがないから。
執事がそこに来て、ヘルメットなどの装備を公爵、シャルマン、ジャクリーンの順に手渡していく。
へ?まさか?わたくしも、この中に入るの?ひょっとして、この中ってダンジョン?
ダンジョンとは、迷路のように地下深くまである魔物が巣くう洞窟状のこと。
うそ!?
「ジャッキー。大丈夫だよ、ダンジョンではないと思う。」
シャルマン様はそうおっしゃるけど、ヘルメットって何の意味?
おそるおそる階段を降り切ると、そこはだだっ広い部屋があり、いろいろ扉があり、 扉の向こう側は備蓄食料や毛布、衣料などがあった。何かあれば、地下でも生活できるように備えていたと考えられる。
そして、意外にも綺麗で清潔。感知センサーのようなもので、光魔法が自動で点くような仕組みになっている。
ところどころ、外の時間がわかるように明り取りの穴?が空けてある。
野戦病院としても使えるようなぐらい、だだっ広い空間が広がっているだけ。とにかく順番に扉という扉を開けることにした。どこに何が入っているかを確認しながら、それぞれクラフト付箋に「毛布」「飲料水」などと書いて、貼っていく作業に没頭する。
作業を進めるうちに、扉を開けると、そこは見知らぬ森の中であったり、これまただだっ広い湖が広がっていたりと外の景色につながっている扉もあるようだ。そこは異世界なのか?単に外国の景色なのかはわからない。
それぞれ「森」「湖」と書いて、扉に貼っていく。
そうやって、開けては確認して書くという作業を進めていくうちに、一つの扉だけ、たぶん公爵様のお祖父さんが書かれたものだと思う「要注意」のメモ書きがされているところが見つかった。
なに?これ?開けたらヤバイやつ?躊躇して立ち止まると、その扉が不意に開く。思わず身構えていると、それはレバトリー公爵だった。真っ青な顔をして、肩で息をしていらっしゃる。
この扉の向こうには、行かない方がいいぞ。」とだけ言われ、その場にしゃがみこんでしまわれる。
恐ろしい魔物、獣でもいたのだろうか?
気になって、隙間から覗いてみると、!
そこは前々々世まで住んでいた地下鉄が走っているではないか!それもどうみてもメトロ、たぶんニッポンの地下鉄だと思う。
危険だと言われても、懐かしいと思う心は止められない。でも、今のジャクリーンの姿は外国のお姫様風。うーん。この格好のまま行くのは憚られる。
そこが レバトリーの地下室だということも忘れ、前々々世通販の画面を開く。TシャツにGパン Gジャンにスニーカー、リュックサック、寒かったら困るからニット帽に手袋マフラーも買う。
下着は、昨夜のデビュタントのために買ったものを着ているし、地下鉄代をどうしようかと考える。無賃乗車になるのも困る。前々々世通販では、Suicaも買えるようだったので、それをとりあえず買ってみる。
そして、先ほどまで「ベッド」と記載していた扉のところまで行き、中に入って着替えることにする。
部屋から出てきたときの恰好は、完全にニッポンに留学生として来ている外国人の女子学生そのものの格好になっている。
今まで着ていたドレスやハイヒールは、リュックサックの中に皴にならないように畳んで入れている。
では、早速異世界ニッポンへ旅立とうとしていると、
レバトリー公爵とシャルマン様から必死に止められる。
「大丈夫ですわ。少し見てくるだけですので、ご心配なく。」
「それよりもそのいでたちは?」
「郷に入れば郷に従うですわ。」
結局、ジャクリーンを止めることはできないと判断した公爵とシャルマン様は、ジャクリーンと共に異世界ニッポン観光をすることにしたみたい。当然、お二方の衣装も揃えましたわよ。
0
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる