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新しい出会い
15.図書室デート
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そのころ、初めての図書館デートにウキウキわくわくしている二人は同じ馬車で移動している。
二人ともガチガチの様子で、何を話していいかもわからない。でも、今世でもとりあえず婚約は調ったのが嬉しい。これでもう、行かず後家の心配はしなくて済む。
前世ニッポンなら、行かず後家というのはロクな目に遭わない。行き遅れているというだけで、結婚詐欺に引っかかる可能性が高いばかりか、社会保障費や税金も多く取られる。友達や同僚の結婚式にばかり呼ばれ、祝儀をたくさん支払わされて、その見返りはほとんどないに等しい。
企業によれば家族手当や住宅手当が、いまだに男にしか支給されない賃金体系をしているところがある。男女同一賃金という労働基準法はどこへ行ったのやら。ニッポンの75%の企業は、労働法を守っていないと聞く。先進国の中で最下位。
だから労基は調査し放題なのだそうだが、いかんせん人手不足のため、放置せざるを得ない。労働基準監督署は、逮捕権はあるが、留置場を持っていないところがほとんどで、逮捕した場合、起訴するまでの間、近くの警察署の留置場を借りることになっている。
貴族街の中での移動だから5分もすればすぐ着く距離だから、もう到着して、シャルマン様が先に降りて、手を差し出し、エスコートしてくださる。
玄関まで来ると、公爵家の使用人全員が出迎えてくださる。
これは、いつものことなのかもしれないけれど、きっと婚約者のジャクリーンの顔を観たさで集まっていると思う。
一人の男性が、スス―っとジャクリーンの前に姿を出し、
「ようこそおいでくださいました。私はこの家の執事でセバスチャンと申す若輩者でございます。以後、お見知りおきを。」
それが合図となったかのように、レバトリー公爵夫人、弟のアルフレッド、家令、料理長や侍女長、侍医に果ては、ドワーフまで順番に挨拶してくる。世界一の美女というものが、どれほどの美しさか見分しているような感じ。
もう30分以上も玄関で立ちっぱなしで次から次へとあいさつされるので、内心もううんざりしていると、シャルマン様が
「いい加減にしてくれないか?ジャッキーが疲れているだろう。誰かお茶を用意しろ。」
ようやく挨拶もひと段落して、いよいよ図書室に入る。さすがに天井が高く梯子を使ったとしても、手が届くかどうかわからないような高さにまで本が並べられている。
「わぁー。素敵!」
「ちょっと着替えてから、来るから。ジャッキーは好きな本を読んでいたら、いいよ。」
「ありがとうございます。」
さて、何を読もうかしらね。前々々世、医者で管理栄養士だったから、やっぱりその関係の本かな。それとも前々世、お妃教育をした経験があるから、そっち方面の本かな?
それとも、隣国の関係の本にしようかな。これから行くわけだから、少しでも知っていた方が何かといいかも?
文学歴史から、天文学、地理学、魔法学の本まである。何々……?面白そう。手に取って、書かれてある呪文をつぶやくだけで……!
いきなり地面が揺れ、わっ!地震!?思わず、机の下に身を隠さなければとあたふたしていると、どうやら、地下室への入り口が開いたみたいだった。
興味はあるけど、シャルマン様がいない間に勝手によそのお家の地下室に入るわけにはいかない。
と、そこへシャルマン様が慌てた様子で来られたのが分かった。
「ジャッキー!大丈夫か?大事ないか?」
机の下からはい出したジャッキーを引っ張り出してくださって、床を見ると驚愕した表情を浮かべられて。
「これは……!」
「魔法学の本がありましたので、最初の一説を読んだだけで……、こんなことになりましたの。地震かと思って、ビックリいたしましたわ。」
シャルマン様は、ジャクリーンを落ち着かせようと椅子に座らせる。
「どの本?」
ジャクリーンは、手に持っていたままの本をシャルマン様に差し出す。
「これは、祖父さんの本だ。祖父さんは、先代の魔法師団長で、国家の防衛大臣も兼務していたのだ。……それにしても、よくこの本のありかを見つけたものだね。」
「綺麗な装丁の本だったから、すぐ目に留まり、面白そうだから読んでみようかな。と」
「爺さんが亡くなった後、この本の所在を探して、使用人総出で探したのだが、見つからなかった。それなのにジャッキーが図書室に来て、すぐ見つけるとは……。やはり、レバトリー家にとり、ジャッキーは運命の女性だったに違いない。愛しています。ジャッキー。」
急にシャルマン様が真剣な顔で抱きしめてくれる。え?今、ここで、発情する?ま、童貞との初夜なんて、考えられないから、練習してもいいよ?
当然、この後の流れは、ディープキスよね?
瞳を閉じて、シャルマン様の唇が触れるのを待つ。でも、いっこうに気配がない。うっすらと薄目を開け、シャルマン様を探すと、地下室への入り口付近を眺めていらっしゃる。
っもう!そんなことより、早く愛し合いましょうよ。
シャルマン様は、図書室の入り口から、大声で執事の名前を呼ぶ。
「セバスチャン、ちょっと来てくれないか!」
二人ともガチガチの様子で、何を話していいかもわからない。でも、今世でもとりあえず婚約は調ったのが嬉しい。これでもう、行かず後家の心配はしなくて済む。
前世ニッポンなら、行かず後家というのはロクな目に遭わない。行き遅れているというだけで、結婚詐欺に引っかかる可能性が高いばかりか、社会保障費や税金も多く取られる。友達や同僚の結婚式にばかり呼ばれ、祝儀をたくさん支払わされて、その見返りはほとんどないに等しい。
企業によれば家族手当や住宅手当が、いまだに男にしか支給されない賃金体系をしているところがある。男女同一賃金という労働基準法はどこへ行ったのやら。ニッポンの75%の企業は、労働法を守っていないと聞く。先進国の中で最下位。
だから労基は調査し放題なのだそうだが、いかんせん人手不足のため、放置せざるを得ない。労働基準監督署は、逮捕権はあるが、留置場を持っていないところがほとんどで、逮捕した場合、起訴するまでの間、近くの警察署の留置場を借りることになっている。
貴族街の中での移動だから5分もすればすぐ着く距離だから、もう到着して、シャルマン様が先に降りて、手を差し出し、エスコートしてくださる。
玄関まで来ると、公爵家の使用人全員が出迎えてくださる。
これは、いつものことなのかもしれないけれど、きっと婚約者のジャクリーンの顔を観たさで集まっていると思う。
一人の男性が、スス―っとジャクリーンの前に姿を出し、
「ようこそおいでくださいました。私はこの家の執事でセバスチャンと申す若輩者でございます。以後、お見知りおきを。」
それが合図となったかのように、レバトリー公爵夫人、弟のアルフレッド、家令、料理長や侍女長、侍医に果ては、ドワーフまで順番に挨拶してくる。世界一の美女というものが、どれほどの美しさか見分しているような感じ。
もう30分以上も玄関で立ちっぱなしで次から次へとあいさつされるので、内心もううんざりしていると、シャルマン様が
「いい加減にしてくれないか?ジャッキーが疲れているだろう。誰かお茶を用意しろ。」
ようやく挨拶もひと段落して、いよいよ図書室に入る。さすがに天井が高く梯子を使ったとしても、手が届くかどうかわからないような高さにまで本が並べられている。
「わぁー。素敵!」
「ちょっと着替えてから、来るから。ジャッキーは好きな本を読んでいたら、いいよ。」
「ありがとうございます。」
さて、何を読もうかしらね。前々々世、医者で管理栄養士だったから、やっぱりその関係の本かな。それとも前々世、お妃教育をした経験があるから、そっち方面の本かな?
それとも、隣国の関係の本にしようかな。これから行くわけだから、少しでも知っていた方が何かといいかも?
文学歴史から、天文学、地理学、魔法学の本まである。何々……?面白そう。手に取って、書かれてある呪文をつぶやくだけで……!
いきなり地面が揺れ、わっ!地震!?思わず、机の下に身を隠さなければとあたふたしていると、どうやら、地下室への入り口が開いたみたいだった。
興味はあるけど、シャルマン様がいない間に勝手によそのお家の地下室に入るわけにはいかない。
と、そこへシャルマン様が慌てた様子で来られたのが分かった。
「ジャッキー!大丈夫か?大事ないか?」
机の下からはい出したジャッキーを引っ張り出してくださって、床を見ると驚愕した表情を浮かべられて。
「これは……!」
「魔法学の本がありましたので、最初の一説を読んだだけで……、こんなことになりましたの。地震かと思って、ビックリいたしましたわ。」
シャルマン様は、ジャクリーンを落ち着かせようと椅子に座らせる。
「どの本?」
ジャクリーンは、手に持っていたままの本をシャルマン様に差し出す。
「これは、祖父さんの本だ。祖父さんは、先代の魔法師団長で、国家の防衛大臣も兼務していたのだ。……それにしても、よくこの本のありかを見つけたものだね。」
「綺麗な装丁の本だったから、すぐ目に留まり、面白そうだから読んでみようかな。と」
「爺さんが亡くなった後、この本の所在を探して、使用人総出で探したのだが、見つからなかった。それなのにジャッキーが図書室に来て、すぐ見つけるとは……。やはり、レバトリー家にとり、ジャッキーは運命の女性だったに違いない。愛しています。ジャッキー。」
急にシャルマン様が真剣な顔で抱きしめてくれる。え?今、ここで、発情する?ま、童貞との初夜なんて、考えられないから、練習してもいいよ?
当然、この後の流れは、ディープキスよね?
瞳を閉じて、シャルマン様の唇が触れるのを待つ。でも、いっこうに気配がない。うっすらと薄目を開け、シャルマン様を探すと、地下室への入り口付近を眺めていらっしゃる。
っもう!そんなことより、早く愛し合いましょうよ。
シャルマン様は、図書室の入り口から、大声で執事の名前を呼ぶ。
「セバスチャン、ちょっと来てくれないか!」
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