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来世:タータン国宿屋の女将として
76.狩猟大会
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今日は、騎士団の狩猟大会の日、国王様の王太子時代に腕を研鑽するために始められたはじめられた由緒正しき大会で、その名も「国王杯」と呼ばれる行事の一つとなっている。
この日は、好きな男性にハンカチなどをプレゼントし、男性はその見返りとし、獲物を女性に捧げ、それを女性が受け取れば、カップル成立となる。
そして、王様は、今の王妃とめでたく結婚できたわけなのであるが、一種のネルトンというか、秘かに好きな人に愛を告白できる場でもある。
この日のために、アイリーンは秘かにケビンに刺繍したハンカチを渡す。ケビンは、それを嬉しそうに剣の柄に巻いている。
このハンカチには、魔物除けと怪我をしないための結界でもある。そして、もう一つ無事に帰って来られますように。とのアイリーン女神の願いまで付いているレアものなのだ。
アイリーンは、ケビンのことを弟としてではなく、男として気になる存在になっているのだが、それがまだ、本当の恋なのか確信が持てないでいる。
その様子を見て、うらやまし気にしているロバート団長ともう一人、マイケルがいる。
マイケルは、この大会で、絶対にケビンの上を行くことを目指している。そのためには、手段を選らばずに行くつもりでいて、場合によれば、ケビンを害することになっても致し方がないと本気で考えている。
ロバートは、いくら待ち望んでも、アフロディーテからは、そっぽを向かれているというか、だいたい、アフロディーテは人間とどうにかなろうなんて、ハナから思っていない。
ただの暇つぶしとアイリーンが幸せそうにいることが嬉しいだけなのである。それを口説くこともできないで、アフロディーテがロバートの方を向いてくれるかも?だなんて、思っていること自体が、間が抜けているというか?どうかしているとしか言いようがない。
そんなもの、アフロディーテが女神でなくても、誰も気づかない。片想いの域を出ていない。わかってくれという方が、おかしいというもの。
それで、ラッパの音とともに、狩猟大会がスタートする。
参加している騎士たちは、一斉に森を駆け抜け、山のふもとを目指していく。
マイケルは、間違って、ケビンを弓矢で射かけようとするも、アイリーンの結界に阻まれ、思うように矢を番えられない。その熱意が瘴気を呼び、瘴気が魔物を呼ぶといった負の連鎖反応になっていく。
ケビンを狙おうとすればするほど、矢はあらぬ方向に飛んでいき、藪の中や洞窟の中など、ついには眠っている魔物を怒らせてしまうことになる。
1頭が起き出し、大あくびをすると、周りにいた魔物も次々と目覚め、やがて大きな体をのっそりと動かし始める。
もうそうなれば、狩猟大会どころではなくなる。獲物対騎士ではなくなり、魔物対騎士団としての対応が迫られる。
それなのに、スタンドプレーがしたいマイケルは、山の奥まで進んでしまい。隊長の命令が届かない場所まで来てしまっている。
山の中で、他の騎士とはぐれてしまうマイケル。とうとうそのまま帰らぬ人となってしまったのだ。慢心し、他人を蹴落としてまでも、自分が上位に立ちたいと願ったのは、前世からの因縁のなせる業だったのだろうか。
もう少し早くアイリーンと出会い、改心でもすれば、また違う人生があったかもしれない。
ロバートを筆頭とする近衛騎士団の面々とケビンは、見事、魔物を討ち取ることに成功するが、マイケルの姿が見えないので、探しに行くことになるが、発見した時のマイケルは、すでにコト切れていて、マイケルは、その場で荼毘に付されることになったのだ。
マイケルの遺体、血の匂いや魔物の死骸をそのままにしておくと、新たな瘴気が沸き上がり魔物をおびき寄せてしまうことになるから。
この日は、好きな男性にハンカチなどをプレゼントし、男性はその見返りとし、獲物を女性に捧げ、それを女性が受け取れば、カップル成立となる。
そして、王様は、今の王妃とめでたく結婚できたわけなのであるが、一種のネルトンというか、秘かに好きな人に愛を告白できる場でもある。
この日のために、アイリーンは秘かにケビンに刺繍したハンカチを渡す。ケビンは、それを嬉しそうに剣の柄に巻いている。
このハンカチには、魔物除けと怪我をしないための結界でもある。そして、もう一つ無事に帰って来られますように。とのアイリーン女神の願いまで付いているレアものなのだ。
アイリーンは、ケビンのことを弟としてではなく、男として気になる存在になっているのだが、それがまだ、本当の恋なのか確信が持てないでいる。
その様子を見て、うらやまし気にしているロバート団長ともう一人、マイケルがいる。
マイケルは、この大会で、絶対にケビンの上を行くことを目指している。そのためには、手段を選らばずに行くつもりでいて、場合によれば、ケビンを害することになっても致し方がないと本気で考えている。
ロバートは、いくら待ち望んでも、アフロディーテからは、そっぽを向かれているというか、だいたい、アフロディーテは人間とどうにかなろうなんて、ハナから思っていない。
ただの暇つぶしとアイリーンが幸せそうにいることが嬉しいだけなのである。それを口説くこともできないで、アフロディーテがロバートの方を向いてくれるかも?だなんて、思っていること自体が、間が抜けているというか?どうかしているとしか言いようがない。
そんなもの、アフロディーテが女神でなくても、誰も気づかない。片想いの域を出ていない。わかってくれという方が、おかしいというもの。
それで、ラッパの音とともに、狩猟大会がスタートする。
参加している騎士たちは、一斉に森を駆け抜け、山のふもとを目指していく。
マイケルは、間違って、ケビンを弓矢で射かけようとするも、アイリーンの結界に阻まれ、思うように矢を番えられない。その熱意が瘴気を呼び、瘴気が魔物を呼ぶといった負の連鎖反応になっていく。
ケビンを狙おうとすればするほど、矢はあらぬ方向に飛んでいき、藪の中や洞窟の中など、ついには眠っている魔物を怒らせてしまうことになる。
1頭が起き出し、大あくびをすると、周りにいた魔物も次々と目覚め、やがて大きな体をのっそりと動かし始める。
もうそうなれば、狩猟大会どころではなくなる。獲物対騎士ではなくなり、魔物対騎士団としての対応が迫られる。
それなのに、スタンドプレーがしたいマイケルは、山の奥まで進んでしまい。隊長の命令が届かない場所まで来てしまっている。
山の中で、他の騎士とはぐれてしまうマイケル。とうとうそのまま帰らぬ人となってしまったのだ。慢心し、他人を蹴落としてまでも、自分が上位に立ちたいと願ったのは、前世からの因縁のなせる業だったのだろうか。
もう少し早くアイリーンと出会い、改心でもすれば、また違う人生があったかもしれない。
ロバートを筆頭とする近衛騎士団の面々とケビンは、見事、魔物を討ち取ることに成功するが、マイケルの姿が見えないので、探しに行くことになるが、発見した時のマイケルは、すでにコト切れていて、マイケルは、その場で荼毘に付されることになったのだ。
マイケルの遺体、血の匂いや魔物の死骸をそのままにしておくと、新たな瘴気が沸き上がり魔物をおびき寄せてしまうことになるから。
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