転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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来世:サザビー王女として

60.呪い?

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 アフロディーテの呪いは、アフロディーテのみならず、アイリーンにまで及んでいることを後に知ることになった。

 要するに見た目だけで、女神さまを愚弄するなど、下等動物の癖に、という気持ちが込められている。

 それでアイリーンの婚約者候補の子供が相次いで死ぬので、それもまだ幼いというのに、老人症と診断され、異常に年老いて死んでしまうという病だったことで、アフロディーテの呪いのせいだとわかったのだ。

 元はと言えば、アフロディーテ自身が「ブスに転生したい」と言い出したことにも関わらず、今では「愚かな人間に試練を与えている」にいつの間にか、すり替わっている。

 男の子の母親も、なぜか一緒にその病気になって死ぬ。最初は、元気だった男の子も次第にやつれていき、きっと、父親が悦んで持ち込んだ話を母親が反対し、挙句アイリーンの悪口を言い、それを息子に言い聞かせ、縁談を断らずに悪口が伝染していく。悪循環になっているのだ。

 国防大臣、大蔵大臣、外務大臣という国の重鎮の妻と令息のほとんどが、この老人症で倒れていく中、ついにフォード侯爵家にそのお鉢が回ってきたという。

 ここフォード侯爵家で、まさに王女の婚約者に、という話が来て、父親は大喜びしているというところ、母親が難色を示している。

 王配候補の婚約者に選ばれただけで、まだ王配にもなっていない。息子のハリーが

「王配って何?」

「王配と言うのはね、将来、女王が出産などで国務ができないとき、王様の代わりをする人のことを言うのだよ。わが家門にとって、これほどの誇りはないことだ。だからアイリーン様を慈しみ、愛することによって、ハリーに子供ができたら、その子が今度は次の王様になるのだよ」

「わあ!じゃあ、僕、アイリーン嬢を大切にするよ。そしたら僕の子供が王様になれるんだね」

「そうだ。ハリーは、多くの国民から尊敬される国王陛下の父となるのだ。そのためには、決して、どんな姿のアイリーン様もすべて愛し、慈しみ続けることが大前提になる。ハリーはそれができるか?」

「うん。できるよ」

「いい子だ」

 フォード侯爵は、息子のハリーの頭をワシャワシャと撫でまわす。

「ふん。あんなデブの女の子と婚約させられて、ハリーはかわいそうだわ」

「やめろ!よさないか?子供の前で、なんてことを言うのだ。君は、我がフォード家から、王配、王様を輩出することに反対なのか?人は見た目で判断しては行けないと、日ごろから言っているだろ?」

「そういうわけではないけど、ハリーは、まだ5歳だというのに……、かわいそうだとは思いませんか?」

「これほどの栄誉が他にどこにある?貴族の子供として生まれても、必ずしも家督を継げないものが多い、よしんば家督を継いだとしても、主だった役職はすべて世襲制で、我が家は建国以来、ずっと無役のままでいる。それが王配候補に選ばれるだけでも、すごいことだとは思わないのか?だから、このチャンスを何が何でもハリーはものにしてもらいたいと思っている」

「わかりましたわ。わたくしも旦那様のご意見に賛同します。今後は、他人の容姿について、陰口を含め何も言ってはいけないということを使用人に徹底させます」

「僕、アイリーン様みたいなポッチャリしている女の子が好きだよ。だって可愛らしいもの」

 たいていの男の子を含め、男性はふっくらとした女性に母性を感じるらしい。日本のダイエットなどの風習は、健康まで損なってしまうことは異常といえる害悪そのものなのだ。

 ただし、病的なほど、太っている場合、心臓に負担をかける場合のダイエットは許容範囲の中に入っていることは言うまでもないこと。

 いずれにしても、アイリーンはアフロディーテの奇妙な呪いのおかげで、どうやら今世も独り身ではいられない模様に安堵している。
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