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現世:新たなる旅立ち
49.エレモア視点
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サファイアとの馴れ初めは、突然のことだった。
クリストファー殿下が初来店されたとき、食券売り場にいたエレモアに対して、
「どこかで見たことのある女だな?どこだったかな?……おい!この国の王太子が立って、質問しているというのに、女、いつまでそこに座っているというのだ?さっさと立って、挨拶しろ!無礼者!」
とうとう殿下がキレられ、壁で囲まれている売り場の中に手を伸ばされ、襟首を掴まれ引きずられるように立ち上がらせられるところを、いつの間にかサファイア様が側に来て、殿下の手を振りほどいてくださったことが馴れ初めなのだ。
「我がレストランで、ご無体はおやめくださいませ!」
「いや、すまなかった……、ただ評判の店なので、一度はきてみたいと前々から思っていてな。それに探している人物もいたので……」
「だからといって、うちの従業員に暴力を振るうなど……、この者は、この場で座り、店の会計をすることが仕事なので、ございます。それともなんですか、お城では国の財務を司っている方々に立って仕事をするように仰せなのでしょうか?」
「あ、いや、すまん。女、仕事の邪魔をして、あい済まぬ。赦してくれ」
殿下が目の前で、頭を下げられるのを初めてみて、もう腰が砕けるほど驚いてしまう。その後、殿下や側近の騎士、護衛の方々が次々に食券売り場を通らずに店内に入って行かれ、食券売り場は締めをしなくてはならないところなのだが、もう、椅子に腰かけていることも辛くて……それで、早退をしようとして、立ち上がりよろよろと部屋に戻ろうとしていたところを、サファイアにまたしても助けられた。
「大丈夫か?さっきは、大変だったね。まさか王太子があそこまで横暴な奴だとは気づかなかったよ」
「いいえ。助けてくださり、ありがとうございます。あの……よければ、ウチでお茶でも飲んでいかれますか?それとも、まだお仕事がお忙しいかしら?」
「いえ。いただきます」
そうして部屋にサファイアを入れると、すぐ後ろから抱きしめられ唇を奪われた。
「あ!何をなさいま……す!……んふっ」
「俺は、エストロゲン家でステファニー様の愛馬をしていたんだ。エレモアには、ずいぶん嫌がらせをされていてな。いつか仕返しをしてやろうと狙っていたのだが、この店でエレモアは、よく働いてくれている。その姿を見ていて、俺は神の癖に……いつまで、昔のくだらないことに囚われていたと恥じてしまったのだ。俺の方こそ、許せ。そして、いつの間にか……お前を愛するようになってしまって、この気持ちをどうやって、封じ込めたらいいかわからない。すまない。忘れてくれ、俺は仕事に戻る」
言い残し部屋を出て行こうとするサファイア様を強引に引き留めて、はしたないけどエレモアの方からサファイア様の首に手を回しカラダを押し付け、口づけを求める。
サファイア様は、わたくしの気持ちを嬉しいとばかりに力強く抱きしめてくださり……その後は、男と女、最後の一線まで一直線に進んでしまった。
もちろんわたくしにとっては、初めての快感で……まさか、馬と睦み合うことになるなんて思ってもみなかったこと。それでも、この悦びは、余りあるほどのもの。
もう、このお方と離れたくない。本能が、カラダが、そう訴えかけている。それはサファイア様も同じであったようで、わたくしたちは、何度もお互いのカラダを確かめるように愛を交わすことになった。
サファイアは、と言うと久しぶりに人間の女性と情けを交わせることが嬉しくてしかたがない。つい、口元がニヤけてしまうところを必死になって隠している。
アイリーン様のご友人の令嬢以上に上玉で、エレモアはまぎれもなく名器の持ち主だったのだ。俺を受け入れ、ナカがうごめき、ぎゅっと締りナカに何かいる?と感じさせる。どこを触っても、淫らな声を上げてくれる。トロンとした目つき、艶めかしい腰の動き、エレモアのすべてが魅力的だ。エレモアを独占したい。
今のところ、アイリーン様も、やっと女神だったことを思い出されたようだから、もうエレモアと結婚しても大丈夫だろう?
今世は、きっとアイリーン様もシンイーと結ばれることは間違いないだろうし、問題はクリストファー殿下だが、アフロディーテ様が何とかしてくださるはず。
だから、今世こそは人間の女性を妻に娶り、神界で幸せに暮らすことを目標とできる!俺は、なんて幸せ者なんだ!苦節200年、やっと待ち望んでいた夢が現実となる。
クリストファー殿下が初来店されたとき、食券売り場にいたエレモアに対して、
「どこかで見たことのある女だな?どこだったかな?……おい!この国の王太子が立って、質問しているというのに、女、いつまでそこに座っているというのだ?さっさと立って、挨拶しろ!無礼者!」
とうとう殿下がキレられ、壁で囲まれている売り場の中に手を伸ばされ、襟首を掴まれ引きずられるように立ち上がらせられるところを、いつの間にかサファイア様が側に来て、殿下の手を振りほどいてくださったことが馴れ初めなのだ。
「我がレストランで、ご無体はおやめくださいませ!」
「いや、すまなかった……、ただ評判の店なので、一度はきてみたいと前々から思っていてな。それに探している人物もいたので……」
「だからといって、うちの従業員に暴力を振るうなど……、この者は、この場で座り、店の会計をすることが仕事なので、ございます。それともなんですか、お城では国の財務を司っている方々に立って仕事をするように仰せなのでしょうか?」
「あ、いや、すまん。女、仕事の邪魔をして、あい済まぬ。赦してくれ」
殿下が目の前で、頭を下げられるのを初めてみて、もう腰が砕けるほど驚いてしまう。その後、殿下や側近の騎士、護衛の方々が次々に食券売り場を通らずに店内に入って行かれ、食券売り場は締めをしなくてはならないところなのだが、もう、椅子に腰かけていることも辛くて……それで、早退をしようとして、立ち上がりよろよろと部屋に戻ろうとしていたところを、サファイアにまたしても助けられた。
「大丈夫か?さっきは、大変だったね。まさか王太子があそこまで横暴な奴だとは気づかなかったよ」
「いいえ。助けてくださり、ありがとうございます。あの……よければ、ウチでお茶でも飲んでいかれますか?それとも、まだお仕事がお忙しいかしら?」
「いえ。いただきます」
そうして部屋にサファイアを入れると、すぐ後ろから抱きしめられ唇を奪われた。
「あ!何をなさいま……す!……んふっ」
「俺は、エストロゲン家でステファニー様の愛馬をしていたんだ。エレモアには、ずいぶん嫌がらせをされていてな。いつか仕返しをしてやろうと狙っていたのだが、この店でエレモアは、よく働いてくれている。その姿を見ていて、俺は神の癖に……いつまで、昔のくだらないことに囚われていたと恥じてしまったのだ。俺の方こそ、許せ。そして、いつの間にか……お前を愛するようになってしまって、この気持ちをどうやって、封じ込めたらいいかわからない。すまない。忘れてくれ、俺は仕事に戻る」
言い残し部屋を出て行こうとするサファイア様を強引に引き留めて、はしたないけどエレモアの方からサファイア様の首に手を回しカラダを押し付け、口づけを求める。
サファイア様は、わたくしの気持ちを嬉しいとばかりに力強く抱きしめてくださり……その後は、男と女、最後の一線まで一直線に進んでしまった。
もちろんわたくしにとっては、初めての快感で……まさか、馬と睦み合うことになるなんて思ってもみなかったこと。それでも、この悦びは、余りあるほどのもの。
もう、このお方と離れたくない。本能が、カラダが、そう訴えかけている。それはサファイア様も同じであったようで、わたくしたちは、何度もお互いのカラダを確かめるように愛を交わすことになった。
サファイアは、と言うと久しぶりに人間の女性と情けを交わせることが嬉しくてしかたがない。つい、口元がニヤけてしまうところを必死になって隠している。
アイリーン様のご友人の令嬢以上に上玉で、エレモアはまぎれもなく名器の持ち主だったのだ。俺を受け入れ、ナカがうごめき、ぎゅっと締りナカに何かいる?と感じさせる。どこを触っても、淫らな声を上げてくれる。トロンとした目つき、艶めかしい腰の動き、エレモアのすべてが魅力的だ。エレモアを独占したい。
今のところ、アイリーン様も、やっと女神だったことを思い出されたようだから、もうエレモアと結婚しても大丈夫だろう?
今世は、きっとアイリーン様もシンイーと結ばれることは間違いないだろうし、問題はクリストファー殿下だが、アフロディーテ様が何とかしてくださるはず。
だから、今世こそは人間の女性を妻に娶り、神界で幸せに暮らすことを目標とできる!俺は、なんて幸せ者なんだ!苦節200年、やっと待ち望んでいた夢が現実となる。
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