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前々世
35.運命の相手
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ダンスが終わって、飲み物を取りに二人していく。学園の主催者は、その相手がメロディーナの婚約者かと聞くが、メロディーナは応えない。
だって、婚約者の顔を知らないんだもん。
相手も、きっとメロディーナの顔を知らないと思う。いや、一応、王女だということは知っているだろうから、顔ぐらい知っているかもしれない。
それから、仮面をつけたまま、他愛ない話を談笑する。別れ際、その男性から「もう一度、会えますか?」と言われ、思わず嬉しくなり、コクリと頷く。
そして、最後に仮面を外し、交換することにした。仮面を外すと、その男性は、「やっぱり」と呟き、
「アトランティスの国境付近で、アナタ様に助けられました。私はこの国の王子で、シンリー・サザンクロス、クリスとは腹違いの兄弟です」
ああ、なるほど。それで、あの時、なんだか懐かしい気分に捉われたのか理由が分かった。きっと、政敵から狙われ、あそこまで落ちて来ていたのだろう。あの時、側近たちは、皆殺しになったと聞いた。
「それは、大変なことでしたね」
王子様は、王命により、無試験で学園に合格でき、入学を果たしたが、いつかメロディーナに会える日が来ると信じて、学園内で探していたらしい。
でも、この3年間、一度もクラス替えで同じクラスになれなかったので、もうあきらめていた時に、先ほどクリスからダンスの誘いを固辞している令嬢が、あの時のアナタ様によく似ていらしたから、思い切って、声をかけたということがわかったのだ。
なんという運命のいたずらでしょう。その時は、本気でそう思ったけど、そもそも、メロディーナの魂は女神様なのだから、メロディーナが真に会いたいと願えば、かなうはずだった。それがそれほど会いたいと思っていなかったのは、あの時、まだまだこれから出会いがあると信じていたから。
蓋を開けて見ると3年の秋まで誰とも男性との出会いが一切なく、諦めていたのだ。帰ったら、アフロディーテに愚痴を聞いてもらうことしか、頭になかった。
それにサファイアたちが、この男性の素性や行方を追っていたことなども一切知らなかったわけで……。でも、出会う人に出会えて、よかった。
この夜、こっそりと自らの結界を解いたメロディーナは、シンリーに身を任せた。
学園寮では、いつまでも帰ってこないメロディーナを心配しているメアリー。探しに行くこともできるが、もし、メロディーナが帰ってきたときに、誰もいない真っ暗な部屋では、いけないと思い、じっと我慢している。
でも、お隣の侍女も似たようなものだったことがわかり、侍女同士で大いに盛り上がったことは、内緒にしておこうという意見が一致したのだ。
シンリーには、まだ婚約者がいなかったらしく、二人は将来を誓い合うが、問題はアトランティスに残してきた謎の婚約者の存在である。
留学をする前に、急遽押し付けられた婚約者をどうすべきか二人は考える。いっそ、このまま駆け落ちしようか?でも、婚約者が誰だったか、はっきり覚えていないから、無理かもしれないと思い始めるメロディーナ。
女神さまだから、処女膜なんていくらでも再生できるけど……、でも、やっぱりシンリーと離れたくない。
それに、この国にシンリーを残して帰国することなんてできない。心配でいられないのだ。いつまた、命を狙われるか、わかったものではない。
形だけの愛のない婚約者の存在に頭を悩ませているのは、メロディーナだけではなく、ナターシャ、スーザンも同じなのだ。3人の令嬢は、悩みに悩む。
ナターシャもスーザンも、今では本気で馬を愛してしまっているのだ。今更、あの方たちは、人ならざる者で……何てこと、言えるわけがない。
それを言い出したら、メロディーナとて、似たようなものなのだから……。
だって、婚約者の顔を知らないんだもん。
相手も、きっとメロディーナの顔を知らないと思う。いや、一応、王女だということは知っているだろうから、顔ぐらい知っているかもしれない。
それから、仮面をつけたまま、他愛ない話を談笑する。別れ際、その男性から「もう一度、会えますか?」と言われ、思わず嬉しくなり、コクリと頷く。
そして、最後に仮面を外し、交換することにした。仮面を外すと、その男性は、「やっぱり」と呟き、
「アトランティスの国境付近で、アナタ様に助けられました。私はこの国の王子で、シンリー・サザンクロス、クリスとは腹違いの兄弟です」
ああ、なるほど。それで、あの時、なんだか懐かしい気分に捉われたのか理由が分かった。きっと、政敵から狙われ、あそこまで落ちて来ていたのだろう。あの時、側近たちは、皆殺しになったと聞いた。
「それは、大変なことでしたね」
王子様は、王命により、無試験で学園に合格でき、入学を果たしたが、いつかメロディーナに会える日が来ると信じて、学園内で探していたらしい。
でも、この3年間、一度もクラス替えで同じクラスになれなかったので、もうあきらめていた時に、先ほどクリスからダンスの誘いを固辞している令嬢が、あの時のアナタ様によく似ていらしたから、思い切って、声をかけたということがわかったのだ。
なんという運命のいたずらでしょう。その時は、本気でそう思ったけど、そもそも、メロディーナの魂は女神様なのだから、メロディーナが真に会いたいと願えば、かなうはずだった。それがそれほど会いたいと思っていなかったのは、あの時、まだまだこれから出会いがあると信じていたから。
蓋を開けて見ると3年の秋まで誰とも男性との出会いが一切なく、諦めていたのだ。帰ったら、アフロディーテに愚痴を聞いてもらうことしか、頭になかった。
それにサファイアたちが、この男性の素性や行方を追っていたことなども一切知らなかったわけで……。でも、出会う人に出会えて、よかった。
この夜、こっそりと自らの結界を解いたメロディーナは、シンリーに身を任せた。
学園寮では、いつまでも帰ってこないメロディーナを心配しているメアリー。探しに行くこともできるが、もし、メロディーナが帰ってきたときに、誰もいない真っ暗な部屋では、いけないと思い、じっと我慢している。
でも、お隣の侍女も似たようなものだったことがわかり、侍女同士で大いに盛り上がったことは、内緒にしておこうという意見が一致したのだ。
シンリーには、まだ婚約者がいなかったらしく、二人は将来を誓い合うが、問題はアトランティスに残してきた謎の婚約者の存在である。
留学をする前に、急遽押し付けられた婚約者をどうすべきか二人は考える。いっそ、このまま駆け落ちしようか?でも、婚約者が誰だったか、はっきり覚えていないから、無理かもしれないと思い始めるメロディーナ。
女神さまだから、処女膜なんていくらでも再生できるけど……、でも、やっぱりシンリーと離れたくない。
それに、この国にシンリーを残して帰国することなんてできない。心配でいられないのだ。いつまた、命を狙われるか、わかったものではない。
形だけの愛のない婚約者の存在に頭を悩ませているのは、メロディーナだけではなく、ナターシャ、スーザンも同じなのだ。3人の令嬢は、悩みに悩む。
ナターシャもスーザンも、今では本気で馬を愛してしまっているのだ。今更、あの方たちは、人ならざる者で……何てこと、言えるわけがない。
それを言い出したら、メロディーナとて、似たようなものなのだから……。
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