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前々世
31.サザンクロス王都
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隣国サザンクロス学園の入学試験は、無事、合格し、メロディーナは、学園併設の寮に入居が決まった。
学園の寮は貴族出身者と平民出身者は別棟で、貴族出身者は簡易キッチンと侍女の部屋もある。メアリーも一緒に、住みたいので、貴族出身の寮を希望して、そちらの方も問題なく許可が下りた。
王族は貴族になるのか?という疑問が残ったけど、そこはスルーして考えることにした。後で聞くと王族は、王族専用棟もあったみたいだけど、貴族棟でも十分な広さがあったので、満足している。
学園の敷地内は、結界が張り巡らされていて、瘴気がないのはありがたい。学園内の浄化までしていたら、メロディーナの身がもたない。
入学式は1週間後で、それまでは自由時間にしていたらいいけど、学園の外は瘴気だらけで、とても息ができない。だから、本当はサザンクロスの街を見物して、ついでにお買い物も、と思っていたが空気が悪すぎて死にそうになるくらいだから、とても行く気にならない。それでもメアリーは、初めての外国旅行気分で目を輝かせて、楽し気にしているので、仕方なくメアリーのためにも、外出を試みる。
この世界の人間は鈍感なのか?こんな瘴気が漂っているのに、平気な顔で闊歩している。
信じられない光景に目を見張るものの、隣にいるメアリーは平気な顔をしている。
アトランティスの家紋が入っていない馬車も持ってきたので、その馬車で移動することにした。
この馬車にも結界を張っといた方がいいみたいだ。臭くて、匂いが気になり、満足に楽しめない。
王都の街を馬車から眺めるも、この臭いのに慣れているからか、誰も匂いを気にしている人がいない。
人間、慣れって恐ろしいよね。改めて、人間界の摩訶不思議さを感じる。
文房具を中心に買い求めた後は、早々に退散することを決める。でもメアリーは、まだまだ見たいみたいで、
「メロディーナ様、次は、あちらの公園で一服でもしてみましょうよ」
ゲンナリするも、軽く頷いて、お茶することにした。空気が悪いと、必然的に水も腐ったような匂いがしている。その匂いをごまかすためか、少量の檸檬の絞り液を水に溶かしているが、メロディーナの敏感な鼻と舌の前では、誤魔化しが利かない。
「鼻をつまんで、流し込みたい衝動に駆られるが、そんな無作法な真似はできない」
仕方なく無口になり、我慢している。
メアリーが満足したような微笑みを浮かべるので、やっと寮に戻ることができた。
これって、おかしくないですか?なんで、女神のわたくしが使用人のご機嫌を取らなくてはならないの?でも、サザンクロスの瘴気を浄化することができるチャンスをくれたのは、まぎれもなくメアリーのおかげだけど……。
あのまま、メロディーナのカラダにいては、浄化が完了しないので、いったん神界に戻るつもりだったアイリーンにとって、メアリーの提案はまさに渡りに船だったわけではあるが……。
まあ、いいわ。と気持ちを切り替えて、馬車に乗り込もうとしたところ、突然、メアリーが何者かに攫われそうになったのだ。
「メアリー!」
幸い、メロディーナには、女神特有の結界があり、それに阻まれた賊は、指一本触れられないので、結界がない、メアリーの腕を掴み、自分たちの方へ引き寄せようとした。
サザンクロス国と言うのは、思っていた以上に治安が悪いみたいね。困ったメロディーナは、ついサファイアの方をチラ見すると、サファイアは、もう馬車を引きずっていない。いつの間にか馬具が外れ、オパールとともに、護衛となり、代わりに賊を羽交い絞めにしている。
こういう時のためにも、半馬人は便利だ。必要な時に、いつでも人間の姿に変身してくれる。
そして、騒ぎを聞きつけた、この国の憲兵だろうか?騎士だろうか?どちらかわからないが、制服を着ているので、たぶん治安維持のために動いている役人に、賊を引き渡し、メアリーと共に学園の寮へ帰っていく。
「ありがとう。サファイア、オパール。助かったわ」
学園の寮は貴族出身者と平民出身者は別棟で、貴族出身者は簡易キッチンと侍女の部屋もある。メアリーも一緒に、住みたいので、貴族出身の寮を希望して、そちらの方も問題なく許可が下りた。
王族は貴族になるのか?という疑問が残ったけど、そこはスルーして考えることにした。後で聞くと王族は、王族専用棟もあったみたいだけど、貴族棟でも十分な広さがあったので、満足している。
学園の敷地内は、結界が張り巡らされていて、瘴気がないのはありがたい。学園内の浄化までしていたら、メロディーナの身がもたない。
入学式は1週間後で、それまでは自由時間にしていたらいいけど、学園の外は瘴気だらけで、とても息ができない。だから、本当はサザンクロスの街を見物して、ついでにお買い物も、と思っていたが空気が悪すぎて死にそうになるくらいだから、とても行く気にならない。それでもメアリーは、初めての外国旅行気分で目を輝かせて、楽し気にしているので、仕方なくメアリーのためにも、外出を試みる。
この世界の人間は鈍感なのか?こんな瘴気が漂っているのに、平気な顔で闊歩している。
信じられない光景に目を見張るものの、隣にいるメアリーは平気な顔をしている。
アトランティスの家紋が入っていない馬車も持ってきたので、その馬車で移動することにした。
この馬車にも結界を張っといた方がいいみたいだ。臭くて、匂いが気になり、満足に楽しめない。
王都の街を馬車から眺めるも、この臭いのに慣れているからか、誰も匂いを気にしている人がいない。
人間、慣れって恐ろしいよね。改めて、人間界の摩訶不思議さを感じる。
文房具を中心に買い求めた後は、早々に退散することを決める。でもメアリーは、まだまだ見たいみたいで、
「メロディーナ様、次は、あちらの公園で一服でもしてみましょうよ」
ゲンナリするも、軽く頷いて、お茶することにした。空気が悪いと、必然的に水も腐ったような匂いがしている。その匂いをごまかすためか、少量の檸檬の絞り液を水に溶かしているが、メロディーナの敏感な鼻と舌の前では、誤魔化しが利かない。
「鼻をつまんで、流し込みたい衝動に駆られるが、そんな無作法な真似はできない」
仕方なく無口になり、我慢している。
メアリーが満足したような微笑みを浮かべるので、やっと寮に戻ることができた。
これって、おかしくないですか?なんで、女神のわたくしが使用人のご機嫌を取らなくてはならないの?でも、サザンクロスの瘴気を浄化することができるチャンスをくれたのは、まぎれもなくメアリーのおかげだけど……。
あのまま、メロディーナのカラダにいては、浄化が完了しないので、いったん神界に戻るつもりだったアイリーンにとって、メアリーの提案はまさに渡りに船だったわけではあるが……。
まあ、いいわ。と気持ちを切り替えて、馬車に乗り込もうとしたところ、突然、メアリーが何者かに攫われそうになったのだ。
「メアリー!」
幸い、メロディーナには、女神特有の結界があり、それに阻まれた賊は、指一本触れられないので、結界がない、メアリーの腕を掴み、自分たちの方へ引き寄せようとした。
サザンクロス国と言うのは、思っていた以上に治安が悪いみたいね。困ったメロディーナは、ついサファイアの方をチラ見すると、サファイアは、もう馬車を引きずっていない。いつの間にか馬具が外れ、オパールとともに、護衛となり、代わりに賊を羽交い絞めにしている。
こういう時のためにも、半馬人は便利だ。必要な時に、いつでも人間の姿に変身してくれる。
そして、騒ぎを聞きつけた、この国の憲兵だろうか?騎士だろうか?どちらかわからないが、制服を着ているので、たぶん治安維持のために動いている役人に、賊を引き渡し、メアリーと共に学園の寮へ帰っていく。
「ありがとう。サファイア、オパール。助かったわ」
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