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現世:カフェレストラン
21.最初の婚約破棄
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もう、あれから16年にもなるだろうか、初めて出会ったときのステファニー嬢のことを思い出している。
あれは、確か義母(王妃)がお茶会を開いているときだったと思う。エストロゲン公爵夫人にくっついてきていたステファニー嬢は、花壇にいる蝶々を捕まえるのに必死で、俺とぶつかってしまったことがきっかけとなったのだが、ぶつかって転んだのは、俺の方で軽く尻もちをつく、ステファニーは、俺が泣いているのを見て、心配してくれて、声をかけてくれたのだ。
「ごめんなさい。大丈夫?痛いところはどこ?」
泣き止まない俺を見て、だんだん悲しくなってきたステファニーもついに……泣き出してしまったのだ。ステファニー嬢は、どこも打っていないにもかかわらず。
「ぅわぁ~ん!」
その声に公爵夫人付きの侍女が慌てて飛んできて、何が起こったのかと、オロオロし始める。
「お嬢様、大丈夫でございますか?どこか、お痛いところなどございますか?」
ステファニーは首をフリフリ横に動かし、俺の方を指差し、また泣く。
「あのお兄ちゃんが泣いているから、悲しいの」
「まぁ!クリストファー王子殿下、お怪我はございませんか?」
「僕なら大丈夫だよ」
そういって、立ち上がったら、ステファニーは、もう泣き止んでいる。
「よかった。僕はクリストファーっていうんだ?君の名は?」
「わたくしは、ステファニー・アイリーン・エストロゲンと申します」
まだ3歳ぐらいだというのに、完ぺきなカーテシーをしている。
それにさっきまで泣いていたから全然気づかなかったが、笑うととても可愛い。
それからはというもの、義母がお茶会を開くたびに、ステファニーが付いてくるようになったので、いつも一緒に遊ぶようになった。
その頃の俺は、お妃選定会なるものがあり、誰か一人、好きでもない可愛くもない令嬢と婚約させられるところで、心底弱り果てていたところだった。
エストロゲンと言えば、公爵家の家柄だし、以前、父上から結婚相手は「公爵家の娘が望ましい」と聞いていたことから、父に頼んで、ステファニーを婚約者候補の中に入れてもらったら、すぐに父上から承諾してもらい、晴れて、俺たちは婚約者同士となったのだ。
「ステファニーは、僕のお嫁さんになるんだよ。僕たちは将来、結婚をする婚約者の約束をしたんだ」
「婚約?」
「エストロゲン公爵から、まだ何も聞いていないのかい?」
「ええ。でも、将来、大きくなったらクリストファー殿下の御嫁さんにしてくださるということは、わかったわ。嬉しい」
「僕も嬉しいよ。愛しているステファニー」
でも、その幸せは長くは続かなかった。
義母を支持する巻き返しと反発が凄すぎて、手も足も出ない状態になってしまったのだ。エストロゲン公爵家と婚約するということは、エストロゲン公爵家の後ろ盾を得ることと同じで、このままでは、王位継承権1位の座をクリストファーに盗られてしまいかねないとの懸念から、反発に出た。
一番手っ取り早いことは、クリストファー殿下を亡き者にすることで、暗殺部隊を結成し、王城の中に送り込むも、クリストファー殿下も幼き頃より、毒の耐性がある。
毒殺は、あっという間に失敗に終わり、次は、近衛騎士の中に暗殺部隊の精鋭を送り込み、内輪もめに乗じて殿下を亡き者にするという作戦だったが、これも失敗に終わる。
クリストファー殿下の命が奪えないなら、狙いをステファニー嬢およびエストロゲン公爵に的を絞り始める。
しかし、エストロゲン公爵の異能は、護身術であったため、自分に迫っている危機にいち早くカラダが反応し、無事に及ぶ。
最後に狙ったのは、3歳のステファニー嬢なのだが、公爵家の使用人を買収して、食事に毒を仕込んでも、なぜか、その日に限って、給仕の侍女が失敗して、毒入りスープをこぼすなどして、ステファニー嬢の口に入らなかった。
庭で遊んでいるステファニー嬢に、弓を射かけて殺そうとしたが、その時に限って、一陣の風が吹き、弓矢はあらぬ方向へ飛んでいき、これまた失敗に終わる。
幾度となく、そういうことが続けば、王家もエストロゲン家もさすがに気づく。それで両家で話し合いの場を持って、婚約は時期尚早で、しかるべき年齢が来たら、再婚約するということで、いったん白紙撤回されることになったのである。
本当に、今から思っても、おままごとのような婚約であったと思う。それはクリストファーからだけ見た話であって、ステファニーはこの婚約解消が、後々ずっと影響を及ぼし、尾を引くことになるとは、誰も思ってもみなかったことになったのだ。
婚約は白紙撤回なので、女性の方も傷がつくことがなく、そもそも婚約そのものが最初からなかったということになったのだが、エストロゲン公爵家の使用人、とりわけ侍女長は、そう捉えなかった。
婚約破棄されることは、どういうことかをまだ物心がつくかつかないかのステファニーに対して、コンコンと説いて聞かせた。
実は、この侍女長は、若い頃に婚約破棄されて、キズモノとして修道院に送られるところを、年老いた侯爵の後妻に入り、若いカラダを弄ばれ、妊娠するも、安定期に入る前に夫がなくなり、ショックで流産してからは、その息子たちから家を追い出されてしまった経験を持っている。
そのことから、結婚や婚約に不信感しかなく、つらい経験を二度としたくないという思いから、ステファニーに余計なお世話を焼くことになったのだ。
あれは、確か義母(王妃)がお茶会を開いているときだったと思う。エストロゲン公爵夫人にくっついてきていたステファニー嬢は、花壇にいる蝶々を捕まえるのに必死で、俺とぶつかってしまったことがきっかけとなったのだが、ぶつかって転んだのは、俺の方で軽く尻もちをつく、ステファニーは、俺が泣いているのを見て、心配してくれて、声をかけてくれたのだ。
「ごめんなさい。大丈夫?痛いところはどこ?」
泣き止まない俺を見て、だんだん悲しくなってきたステファニーもついに……泣き出してしまったのだ。ステファニー嬢は、どこも打っていないにもかかわらず。
「ぅわぁ~ん!」
その声に公爵夫人付きの侍女が慌てて飛んできて、何が起こったのかと、オロオロし始める。
「お嬢様、大丈夫でございますか?どこか、お痛いところなどございますか?」
ステファニーは首をフリフリ横に動かし、俺の方を指差し、また泣く。
「あのお兄ちゃんが泣いているから、悲しいの」
「まぁ!クリストファー王子殿下、お怪我はございませんか?」
「僕なら大丈夫だよ」
そういって、立ち上がったら、ステファニーは、もう泣き止んでいる。
「よかった。僕はクリストファーっていうんだ?君の名は?」
「わたくしは、ステファニー・アイリーン・エストロゲンと申します」
まだ3歳ぐらいだというのに、完ぺきなカーテシーをしている。
それにさっきまで泣いていたから全然気づかなかったが、笑うととても可愛い。
それからはというもの、義母がお茶会を開くたびに、ステファニーが付いてくるようになったので、いつも一緒に遊ぶようになった。
その頃の俺は、お妃選定会なるものがあり、誰か一人、好きでもない可愛くもない令嬢と婚約させられるところで、心底弱り果てていたところだった。
エストロゲンと言えば、公爵家の家柄だし、以前、父上から結婚相手は「公爵家の娘が望ましい」と聞いていたことから、父に頼んで、ステファニーを婚約者候補の中に入れてもらったら、すぐに父上から承諾してもらい、晴れて、俺たちは婚約者同士となったのだ。
「ステファニーは、僕のお嫁さんになるんだよ。僕たちは将来、結婚をする婚約者の約束をしたんだ」
「婚約?」
「エストロゲン公爵から、まだ何も聞いていないのかい?」
「ええ。でも、将来、大きくなったらクリストファー殿下の御嫁さんにしてくださるということは、わかったわ。嬉しい」
「僕も嬉しいよ。愛しているステファニー」
でも、その幸せは長くは続かなかった。
義母を支持する巻き返しと反発が凄すぎて、手も足も出ない状態になってしまったのだ。エストロゲン公爵家と婚約するということは、エストロゲン公爵家の後ろ盾を得ることと同じで、このままでは、王位継承権1位の座をクリストファーに盗られてしまいかねないとの懸念から、反発に出た。
一番手っ取り早いことは、クリストファー殿下を亡き者にすることで、暗殺部隊を結成し、王城の中に送り込むも、クリストファー殿下も幼き頃より、毒の耐性がある。
毒殺は、あっという間に失敗に終わり、次は、近衛騎士の中に暗殺部隊の精鋭を送り込み、内輪もめに乗じて殿下を亡き者にするという作戦だったが、これも失敗に終わる。
クリストファー殿下の命が奪えないなら、狙いをステファニー嬢およびエストロゲン公爵に的を絞り始める。
しかし、エストロゲン公爵の異能は、護身術であったため、自分に迫っている危機にいち早くカラダが反応し、無事に及ぶ。
最後に狙ったのは、3歳のステファニー嬢なのだが、公爵家の使用人を買収して、食事に毒を仕込んでも、なぜか、その日に限って、給仕の侍女が失敗して、毒入りスープをこぼすなどして、ステファニー嬢の口に入らなかった。
庭で遊んでいるステファニー嬢に、弓を射かけて殺そうとしたが、その時に限って、一陣の風が吹き、弓矢はあらぬ方向へ飛んでいき、これまた失敗に終わる。
幾度となく、そういうことが続けば、王家もエストロゲン家もさすがに気づく。それで両家で話し合いの場を持って、婚約は時期尚早で、しかるべき年齢が来たら、再婚約するということで、いったん白紙撤回されることになったのである。
本当に、今から思っても、おままごとのような婚約であったと思う。それはクリストファーからだけ見た話であって、ステファニーはこの婚約解消が、後々ずっと影響を及ぼし、尾を引くことになるとは、誰も思ってもみなかったことになったのだ。
婚約は白紙撤回なので、女性の方も傷がつくことがなく、そもそも婚約そのものが最初からなかったということになったのだが、エストロゲン公爵家の使用人、とりわけ侍女長は、そう捉えなかった。
婚約破棄されることは、どういうことかをまだ物心がつくかつかないかのステファニーに対して、コンコンと説いて聞かせた。
実は、この侍女長は、若い頃に婚約破棄されて、キズモノとして修道院に送られるところを、年老いた侯爵の後妻に入り、若いカラダを弄ばれ、妊娠するも、安定期に入る前に夫がなくなり、ショックで流産してからは、その息子たちから家を追い出されてしまった経験を持っている。
そのことから、結婚や婚約に不信感しかなく、つらい経験を二度としたくないという思いから、ステファニーに余計なお世話を焼くことになったのだ。
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