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世界へ
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俺にスイペンへ移籍話が浮上した。俺のプレーを見て、スイペンの監督が是非にも獲得したいと意欲を見せている。
スイペンにもマドリッドやバルセナロにニッポン人学校があるから、子供の教育には支障がない。
妻に話すと意外と乗り気で、苦手なメリッサ神様から離れられるのが嬉しいみたいだ。
今度も家族全部で行くことになる。特に引っ越しの準備はいらない。ただ借りていた洋館から畳をひっぺがえすぐらいのことで、後は全部、異空間に放り込む。どんなに乱雑に入れても異空間内ではきちんと整理されてしまわれることはありがたい。
俺がラブジルのリトルリーグの申し込みを取り消し、スペインでユースに入れようかと思う。
なんといってもリトルユースの総監督がペレだったので、ぜひ息子を入れたいと思ったのだが、まだジュニアユースの年齢に達していないから。
息子もそろそろ、チームの中で慣れさせることは必要だろう。
半神と言うのは、年齢を重ねても若い体力のままいられる。ありがたいことだけど、周囲から不自然で怪しまれるので、さっさと他の国へ行ったほうがいいようだ。
と言うことで居間、俺はスペインの税関にいる。入国審査を無事終え、エアポートを出てきたらニッポン語の紙を掲げている男がいた。
紙には、「ようこそ安林大輔 ようこそスイペンへ」
俺はその紙を持っている男に声をかけると、ビックリされる。
前世祖国の頃から、ヨーロッパの言語は一通りできる。それに加え、神様から神通力をもらっているから、どんな言語でもネィティヴレベルでできる。
「なんだぁ、DAISUKEはスパニッシュができるなんて聞いてなかったんで。アドリアンだ。よろしく。」
アドリアンの案内で、チームへ行き、それから住む家を案内される。
やっぱり、近隣は社宅となっていて、同じチームの奴らの家があるそうだ。
アドリアンの家も近所らしく、今日は大輔一家を歓迎するパーティがあるらしい。あとで迎えに来てくれると言うから助かる。
とにかく家の中へ入る。やっぱり土足だ。当り前だけど。玄関を入ってすぐ吹き抜けのホールがある。ここなら靴を履いたままホームパーティができるかもしれないが、ここの床をとことん磨き上げることから始め、畳を出していく。
ニッポン家屋もまりあの異空間に入っているが、ラブジルにいる時から使っている畳を重宝している。
畳さえあれば、どこでも寝られる。というぐらい和室好きになってしまった。ニッポン家屋は夏向きに作られているため、夏は涼しくて快適だが冬の防寒はイマイチなので、洋館はその点がいい。
アドリアンが来る前に、スイペンの神様のところへあいさつに行かなければならない。メリッサ様から紹介状をもらってきている。
スイペンの神様はカルメンと言う見るからに情熱的な女神様。
ふと横を見ると、まりあが涙を流している。前世の母親と横顔がそっくりらしい。
そのまりあの涙を見たカルメンは、まりあにだけ優しく接するようになり、俺が泣かせたわけでもないのに、俺に辛く当たる。
まりあは左右にかぶりを振って、
「前世のわたくしのお母様によく似ていらしたから、つい懐かしくなり……。」
わっ!と俺の胸に飛び込んで泣く。
それでようやく誤解が解け、カルメン様との面会が終了したのだ。
「まりあ、キャッシーと呼ぶ方がいいかしら?いつでも遊びにいらっしゃい。」
スイペンの自宅へ戻ると、ちょうどアドリアンが家の前まで歩いてきたことがわかる。玄関扉を開けて、彼を迎える。
「今夜は子供たちも連れてきていいよ。歓迎会だからさ。ウチの息子にもやらせているんだ。」
そうやって、足でボールを蹴るしぐさをする。
アドリアンの家にはすでに大勢のお客さんがいた。みんなチームメンバーとその家族らしい。
おれは順番に家族と紹介に回る。
ホストであるアドリアンの家にはニッポン酒を手土産に、子供たちにはニッポン製のゲーム機を渡す。
アドリアンの奥さんは、料理好きでこれからもしょっちゅうホームパーティを開くと言うから、まりあもお料理の手ほどきを受けることになったのだ。
チームメンバーの他の奥さんも皆、参加しているので、まりあだけ行かないわけにもいかない。
スイペン一日目の夜は更けていく。
スイペンにもマドリッドやバルセナロにニッポン人学校があるから、子供の教育には支障がない。
妻に話すと意外と乗り気で、苦手なメリッサ神様から離れられるのが嬉しいみたいだ。
今度も家族全部で行くことになる。特に引っ越しの準備はいらない。ただ借りていた洋館から畳をひっぺがえすぐらいのことで、後は全部、異空間に放り込む。どんなに乱雑に入れても異空間内ではきちんと整理されてしまわれることはありがたい。
俺がラブジルのリトルリーグの申し込みを取り消し、スペインでユースに入れようかと思う。
なんといってもリトルユースの総監督がペレだったので、ぜひ息子を入れたいと思ったのだが、まだジュニアユースの年齢に達していないから。
息子もそろそろ、チームの中で慣れさせることは必要だろう。
半神と言うのは、年齢を重ねても若い体力のままいられる。ありがたいことだけど、周囲から不自然で怪しまれるので、さっさと他の国へ行ったほうがいいようだ。
と言うことで居間、俺はスペインの税関にいる。入国審査を無事終え、エアポートを出てきたらニッポン語の紙を掲げている男がいた。
紙には、「ようこそ安林大輔 ようこそスイペンへ」
俺はその紙を持っている男に声をかけると、ビックリされる。
前世祖国の頃から、ヨーロッパの言語は一通りできる。それに加え、神様から神通力をもらっているから、どんな言語でもネィティヴレベルでできる。
「なんだぁ、DAISUKEはスパニッシュができるなんて聞いてなかったんで。アドリアンだ。よろしく。」
アドリアンの案内で、チームへ行き、それから住む家を案内される。
やっぱり、近隣は社宅となっていて、同じチームの奴らの家があるそうだ。
アドリアンの家も近所らしく、今日は大輔一家を歓迎するパーティがあるらしい。あとで迎えに来てくれると言うから助かる。
とにかく家の中へ入る。やっぱり土足だ。当り前だけど。玄関を入ってすぐ吹き抜けのホールがある。ここなら靴を履いたままホームパーティができるかもしれないが、ここの床をとことん磨き上げることから始め、畳を出していく。
ニッポン家屋もまりあの異空間に入っているが、ラブジルにいる時から使っている畳を重宝している。
畳さえあれば、どこでも寝られる。というぐらい和室好きになってしまった。ニッポン家屋は夏向きに作られているため、夏は涼しくて快適だが冬の防寒はイマイチなので、洋館はその点がいい。
アドリアンが来る前に、スイペンの神様のところへあいさつに行かなければならない。メリッサ様から紹介状をもらってきている。
スイペンの神様はカルメンと言う見るからに情熱的な女神様。
ふと横を見ると、まりあが涙を流している。前世の母親と横顔がそっくりらしい。
そのまりあの涙を見たカルメンは、まりあにだけ優しく接するようになり、俺が泣かせたわけでもないのに、俺に辛く当たる。
まりあは左右にかぶりを振って、
「前世のわたくしのお母様によく似ていらしたから、つい懐かしくなり……。」
わっ!と俺の胸に飛び込んで泣く。
それでようやく誤解が解け、カルメン様との面会が終了したのだ。
「まりあ、キャッシーと呼ぶ方がいいかしら?いつでも遊びにいらっしゃい。」
スイペンの自宅へ戻ると、ちょうどアドリアンが家の前まで歩いてきたことがわかる。玄関扉を開けて、彼を迎える。
「今夜は子供たちも連れてきていいよ。歓迎会だからさ。ウチの息子にもやらせているんだ。」
そうやって、足でボールを蹴るしぐさをする。
アドリアンの家にはすでに大勢のお客さんがいた。みんなチームメンバーとその家族らしい。
おれは順番に家族と紹介に回る。
ホストであるアドリアンの家にはニッポン酒を手土産に、子供たちにはニッポン製のゲーム機を渡す。
アドリアンの奥さんは、料理好きでこれからもしょっちゅうホームパーティを開くと言うから、まりあもお料理の手ほどきを受けることになったのだ。
チームメンバーの他の奥さんも皆、参加しているので、まりあだけ行かないわけにもいかない。
スイペン一日目の夜は更けていく。
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