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大吉と大安にサッカーを教えるようになり、最初は基本的なことばかり、たとえば止めて蹴るの練習ばかりさせ、もう後は何も教えない。
サッカーの試合運びで大事なことはアイコンタクトとライン、それは実戦で覚えるしかないだろう。
父と息子ではテレパシーでつながっているから、これ以上は無理。基礎を叩きこむだけたたき込めば、後は近所のクソガキとでも遊んで覚えろと言うこと。
あとの練習は、走り込むこととドリブルぐらい。
でもサッカーは日々の練習が基本だ。一日サボると自分のカラダがわかる。二日サボるとチームメイトにわかり、三日サボるとサポーターにわかるというぐらい、正直に出る。
そしてだんだん息子たちは練習の成果がうまくいかないと腹立ち紛れをするようになってきたのだ。
「やっぱりママだけだよね。魔力回復するのに、パパを頼っているのは。僕たちもパパもみーんな一人で努力して回復しているのに、ママだけがサボっている。」
子供たちの不満の矛先がまさかまりあに向くとは思っていなかった。そういえば歴代の聖女様というのは、どうやって魔力を補充されていたのか?
ラブジルへ来てわかったこと。
それはまず管轄の神様に挨拶してからでないと、他の神界の神様とコンタクトをとってはいけないということ。よくニッポンでステファニー女神様を先に行って、それから浦島桃太郎神様のところへ行っていたのは、ステファニー様の上司が浦島桃太郎神様だったからで、良かったのだが、今度のメリッサ神様はその順番を間違えるとなかなかうるさい。
まりあはメリッサ様をなんとなく苦手で、大輔を介してしか喋ったことがない。
それで今回も大輔を連れていき、なんとか滞りなく他の神様に繋ぎを着けて、他の聖女様の情報を知りたいところ。
俺は美人の女神様に会いに行くことを快諾したのだが、その理由がまさか他の聖女様がどうやって魔力を回復しているかを探るためとは聞いていなかった。
だからメリッサ様から
「まぁ!ずいぶんとお盛んなことですこと。」
顔から火が出る思いで、メリッサ様に背中を向ける。
それでステファニー女神様を通して、何人かの異世界から来られた聖女様を紹介してもらうと
「そんなの。疲れたら眠るのと同じで、寝たら回復するわ。」
「セックスで魔力回復なんて、初めて聞いたわ。今度、旦那相手にやってみるね。ありがとう。」
「どうしても眠れないときは、祈る。お月様に向かって祈る。すると朝になれば、魔力回復してる。」
そうなんだ。
自然回復するものなのか、そう言えば大輔君と出会う前は魔力枯渇なんてなかったわ。
すっかり大輔に頼り切ってしまっていることに気づく。
でも俺はそれでもいいよ、と思っている。
メリッサ様から指令があったのは、そのすぐ後、今度は通り魔らしい。
また俺の出番だ。
加害者は、屈強な男は襲わないらしい。美人、子供が狙われるという。
ということは……?ウチの嫁さんと子供を囮にできる?
まぁ俺は屈強には程遠いから、でも傍から見ればスポーツマンだから大きい方に入るかもしれない。
切り付けられてもいいように、息子の結界は幾重にも張り巡らし独り歩きをさせてみる。
幸か不幸か、襲ってこられない。外国人の子供だからかもしれない。ニッポンはラブジルに大変援助しているから、国際問題になることを懸念している?
たまたまかもしれない。
今度はまりあの番だ。
やっぱり襲ってこられない。
俺は過去の被害があった場所を調べる。地域や地区が関係しているのかもしれないし、電車の中など特定の場所かもしれないからだ。
調べた結果、被害がある場所は地下鉄パウロ線の沿線であることがわかる。駅から徒歩10分以内で、夜には人目がつかないところが多い。
俺はまりあに少々肌の露出が多い服を着せ、男日照りを装わせる。もう若くはない。トウがたっているから、男が欲しくてたまらないというエロババァ(そのままだけど)に扮し、パウロ線に送り込ませた。
横には隠蔽をかけた俺がピタリとくっついているにもかかわらず、いやらしい視線を送る乗客。
まりあのカラダからは芳醇な甘い香りがする。聞けばステファニー女神に聞いたんだとか?
男どもは確かに群がってきたが、それは明らかに痴漢目的、「いくらでやらせてくれる?」露骨に聞いてくる者までいた。これではまるで売春婦だから、この作戦は中止する。
なかなか加害者と思しき男に会えないでいる。
いつものように沿線を巡回しているとき、確かに女性の悲鳴を聞いた。駆けつけたところ若い女性が血を流して倒れている。
俺は隠蔽をかけたまま周囲の景色ごと巻き戻しの時力をかけると、夜道にこの女性が独り歩きしている。その後ろに尾行している姿が……、……でもオバサン?いや若いか?デブスのオバサンしかいないように見える。
デブスはだんだん歩く速度を上げていき、追い越しざまにその若い女性に切りつけ、そのまま来た道を戻っていく。
ハァ!?
犯人は、女だった。だから男が襲われないのか?
地下鉄に乗車するのに、金属探知機は使われないから。盲点だったのだ。
犯人と同じぐらいか若くて、綺麗な娘ばかりが襲われる。というところにも納得がいく。
嫉妬心。俺はいつもの鼻っ柱を折るのをよそう。
ブスを余計ブスにしても仕方がない。
だったら、ハゲにするか?それもかわりないように思える。
でも何も処罰しないというのも、いただけない。
いろいろどんな罰にしようか考える。
最後の3日間だけ超美人になって、それで死んでもらおうか?毎日10歳ずつ年老いていくというのはどうだろうか?それでは3日では、すまないな。一週間ぐらいないと老衰では死なない。
病死なら、もっと早く死ねるが……それでは罰にならない。これが今まで通り増してきたことへの罰だということを、本人にきちんと伝えなければ意味がないだろう。
俺は、通り魔のデブスに
「お前の犯罪を知っている。これから罰を与える。」
デブスは、もう自分に絶望していて、俺が何を言っても信じない。それでも1日だけ超美人にしてやると言うと、嬉しそうにしていたのだが、美人になった途端、デブスは自殺した。
よく人は罪の償いもしないで、と言うがそもそも罪なんて償えるのか?
死刑にしたところで、死んだ人間は帰ってこない。でも死刑にしなければ遺族の気が済まない。
命は命でしか償えない。
サッカーの試合運びで大事なことはアイコンタクトとライン、それは実戦で覚えるしかないだろう。
父と息子ではテレパシーでつながっているから、これ以上は無理。基礎を叩きこむだけたたき込めば、後は近所のクソガキとでも遊んで覚えろと言うこと。
あとの練習は、走り込むこととドリブルぐらい。
でもサッカーは日々の練習が基本だ。一日サボると自分のカラダがわかる。二日サボるとチームメイトにわかり、三日サボるとサポーターにわかるというぐらい、正直に出る。
そしてだんだん息子たちは練習の成果がうまくいかないと腹立ち紛れをするようになってきたのだ。
「やっぱりママだけだよね。魔力回復するのに、パパを頼っているのは。僕たちもパパもみーんな一人で努力して回復しているのに、ママだけがサボっている。」
子供たちの不満の矛先がまさかまりあに向くとは思っていなかった。そういえば歴代の聖女様というのは、どうやって魔力を補充されていたのか?
ラブジルへ来てわかったこと。
それはまず管轄の神様に挨拶してからでないと、他の神界の神様とコンタクトをとってはいけないということ。よくニッポンでステファニー女神様を先に行って、それから浦島桃太郎神様のところへ行っていたのは、ステファニー様の上司が浦島桃太郎神様だったからで、良かったのだが、今度のメリッサ神様はその順番を間違えるとなかなかうるさい。
まりあはメリッサ様をなんとなく苦手で、大輔を介してしか喋ったことがない。
それで今回も大輔を連れていき、なんとか滞りなく他の神様に繋ぎを着けて、他の聖女様の情報を知りたいところ。
俺は美人の女神様に会いに行くことを快諾したのだが、その理由がまさか他の聖女様がどうやって魔力を回復しているかを探るためとは聞いていなかった。
だからメリッサ様から
「まぁ!ずいぶんとお盛んなことですこと。」
顔から火が出る思いで、メリッサ様に背中を向ける。
それでステファニー女神様を通して、何人かの異世界から来られた聖女様を紹介してもらうと
「そんなの。疲れたら眠るのと同じで、寝たら回復するわ。」
「セックスで魔力回復なんて、初めて聞いたわ。今度、旦那相手にやってみるね。ありがとう。」
「どうしても眠れないときは、祈る。お月様に向かって祈る。すると朝になれば、魔力回復してる。」
そうなんだ。
自然回復するものなのか、そう言えば大輔君と出会う前は魔力枯渇なんてなかったわ。
すっかり大輔に頼り切ってしまっていることに気づく。
でも俺はそれでもいいよ、と思っている。
メリッサ様から指令があったのは、そのすぐ後、今度は通り魔らしい。
また俺の出番だ。
加害者は、屈強な男は襲わないらしい。美人、子供が狙われるという。
ということは……?ウチの嫁さんと子供を囮にできる?
まぁ俺は屈強には程遠いから、でも傍から見ればスポーツマンだから大きい方に入るかもしれない。
切り付けられてもいいように、息子の結界は幾重にも張り巡らし独り歩きをさせてみる。
幸か不幸か、襲ってこられない。外国人の子供だからかもしれない。ニッポンはラブジルに大変援助しているから、国際問題になることを懸念している?
たまたまかもしれない。
今度はまりあの番だ。
やっぱり襲ってこられない。
俺は過去の被害があった場所を調べる。地域や地区が関係しているのかもしれないし、電車の中など特定の場所かもしれないからだ。
調べた結果、被害がある場所は地下鉄パウロ線の沿線であることがわかる。駅から徒歩10分以内で、夜には人目がつかないところが多い。
俺はまりあに少々肌の露出が多い服を着せ、男日照りを装わせる。もう若くはない。トウがたっているから、男が欲しくてたまらないというエロババァ(そのままだけど)に扮し、パウロ線に送り込ませた。
横には隠蔽をかけた俺がピタリとくっついているにもかかわらず、いやらしい視線を送る乗客。
まりあのカラダからは芳醇な甘い香りがする。聞けばステファニー女神に聞いたんだとか?
男どもは確かに群がってきたが、それは明らかに痴漢目的、「いくらでやらせてくれる?」露骨に聞いてくる者までいた。これではまるで売春婦だから、この作戦は中止する。
なかなか加害者と思しき男に会えないでいる。
いつものように沿線を巡回しているとき、確かに女性の悲鳴を聞いた。駆けつけたところ若い女性が血を流して倒れている。
俺は隠蔽をかけたまま周囲の景色ごと巻き戻しの時力をかけると、夜道にこの女性が独り歩きしている。その後ろに尾行している姿が……、……でもオバサン?いや若いか?デブスのオバサンしかいないように見える。
デブスはだんだん歩く速度を上げていき、追い越しざまにその若い女性に切りつけ、そのまま来た道を戻っていく。
ハァ!?
犯人は、女だった。だから男が襲われないのか?
地下鉄に乗車するのに、金属探知機は使われないから。盲点だったのだ。
犯人と同じぐらいか若くて、綺麗な娘ばかりが襲われる。というところにも納得がいく。
嫉妬心。俺はいつもの鼻っ柱を折るのをよそう。
ブスを余計ブスにしても仕方がない。
だったら、ハゲにするか?それもかわりないように思える。
でも何も処罰しないというのも、いただけない。
いろいろどんな罰にしようか考える。
最後の3日間だけ超美人になって、それで死んでもらおうか?毎日10歳ずつ年老いていくというのはどうだろうか?それでは3日では、すまないな。一週間ぐらいないと老衰では死なない。
病死なら、もっと早く死ねるが……それでは罰にならない。これが今まで通り増してきたことへの罰だということを、本人にきちんと伝えなければ意味がないだろう。
俺は、通り魔のデブスに
「お前の犯罪を知っている。これから罰を与える。」
デブスは、もう自分に絶望していて、俺が何を言っても信じない。それでも1日だけ超美人にしてやると言うと、嬉しそうにしていたのだが、美人になった途端、デブスは自殺した。
よく人は罪の償いもしないで、と言うがそもそも罪なんて償えるのか?
死刑にしたところで、死んだ人間は帰ってこない。でも死刑にしなければ遺族の気が済まない。
命は命でしか償えない。
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