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プロ
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ようやくサイン会から解き放たれ、いよいよチームの中に入っての練習試合から始まる。
その中で国籍不明者から、俺はやたら目を付けられるようになったが、そんなこと知ったこっちゃない。
なんでもそいつは自分で「奇跡のレジェンドのライバル」を名乗っているのだが、アンリ・モロゾフ時代の記憶をさかのぼっても、そんな奴知らない。
そいつは2軍だから、1軍の俺に対抗意識を燃やしているだけだと最初は思っていたのだが、俺のチームは1軍と2軍とロッカールームが分かれているのに、ある時、1軍のロッカールームでそいつから話しかけられ、ビックリした。
なぜなら懐かしい祖国語で
「お前、アンリ・モロゾフだろ?」
俺は言葉がわからないフリをして、無視した。誰だ?こいつ?
「俺の言っている言葉が通じないのか?アンリ・モロゾフはもう死んでいないはずだ。だがお前はアンリ・モロゾフそのものだ。その目つき、ボールさばき、ただファンだからというだけでは真似はできない。」
うーん。鋭い。と感心している場合ではない。
「お前のことを調べさせてもらったが、純粋なニッポン人でジュニアスクールの時からサッカーをしているということしかわからなかったが、俺はいつか必ずお前の正体を暴いてやるから覚悟しとけ!」
捨て台詞を残し、去ろうとしたそいつの背後から『鑑定』をしたところ、そいつの本名はセルゲイ・ロマノフ、赤い国の諜報部員、中学高校の時に少しサッカー経験があるだけ。ということがわかる。
なぜ今さら赤い国のスパイが……?仲間の裏切りとアンリ・モロゾフの死、そして赤い国のスパイ、いったいどんな関係があるというのだ?
帰宅してから、まりあにそのことを話すと、まりあはあの新居(オーナーがタダで譲ってくれた日本家屋の豪邸)の周りに結界を張ってくれる。
まりあと結婚してから、キーハンターの仕事は休んでいるが、神様にも今回の件を話し、セルゲイ・ロマノフの動向を見張ってもらうようにお願いする。
神様の弁によると「セルゲイ・ロマノフなど取るに足らぬ雑魚だが、気になるようであればこちらで抹殺する」という返答。
抹殺してもらう必要もないと考えるが、神の意思に任せることにする。
ほどなくして、チームにセルゲイ・ロマノフは姿を消していた。事務局に問い合わせると、帰国したという話。抹殺されたのか?帰国したのかわからないまま時は過ぎる。
ワールドカップのシーズンがやってくる。今季限りでシトロエンの契約が切れる俺は、また世界から注目の的になる。
オーナーは、まだ契約を続けたい意向だが、条件次第と言うところ。
ニッポン代表として選ばれた俺はワールドカップの開催地へ向け、旅立つ。
そこで俺はまたセルゲイ・ロマノフを知る人物に会おうとは思いもしなかったのである。
その人物もやはり赤い国の諜報部員だったらしく、俺にしつこく
「セルゲイ・ロマノフを知らないか?」
赤い国語で話しかけてきたが、俺は知らない言葉として、無反応を徹す。
「セルゲイ・ロマノフはお前のことをアンリ・モロゾフの生まれ変わりみたいな男だと言っていたが、実際、会ってみるとまさしくあいつが言っていた通りだな。あいつはアンリ・モロゾフのファンだったから、余計わかったのだろうな。」
それはどういう意味なのか?皆目見当がつかない。
試しにもう一度、セルゲイ・ロマノフにかけた『鑑定』をこの男にもしてみると、階級的にはこっちが上司みたいなのが出てきた。名前は、アンドリー・エルショバ少佐、34歳。
目障りなので、こいつにも消えてもらおう。最近は、神様からマーキングの仕方を教えてもらっていたので、そっとその少佐にわからないように、マーキングを施す。
あとは、神様がマーキングを見つけて、抹殺すれば任務は完了する。
その中で国籍不明者から、俺はやたら目を付けられるようになったが、そんなこと知ったこっちゃない。
なんでもそいつは自分で「奇跡のレジェンドのライバル」を名乗っているのだが、アンリ・モロゾフ時代の記憶をさかのぼっても、そんな奴知らない。
そいつは2軍だから、1軍の俺に対抗意識を燃やしているだけだと最初は思っていたのだが、俺のチームは1軍と2軍とロッカールームが分かれているのに、ある時、1軍のロッカールームでそいつから話しかけられ、ビックリした。
なぜなら懐かしい祖国語で
「お前、アンリ・モロゾフだろ?」
俺は言葉がわからないフリをして、無視した。誰だ?こいつ?
「俺の言っている言葉が通じないのか?アンリ・モロゾフはもう死んでいないはずだ。だがお前はアンリ・モロゾフそのものだ。その目つき、ボールさばき、ただファンだからというだけでは真似はできない。」
うーん。鋭い。と感心している場合ではない。
「お前のことを調べさせてもらったが、純粋なニッポン人でジュニアスクールの時からサッカーをしているということしかわからなかったが、俺はいつか必ずお前の正体を暴いてやるから覚悟しとけ!」
捨て台詞を残し、去ろうとしたそいつの背後から『鑑定』をしたところ、そいつの本名はセルゲイ・ロマノフ、赤い国の諜報部員、中学高校の時に少しサッカー経験があるだけ。ということがわかる。
なぜ今さら赤い国のスパイが……?仲間の裏切りとアンリ・モロゾフの死、そして赤い国のスパイ、いったいどんな関係があるというのだ?
帰宅してから、まりあにそのことを話すと、まりあはあの新居(オーナーがタダで譲ってくれた日本家屋の豪邸)の周りに結界を張ってくれる。
まりあと結婚してから、キーハンターの仕事は休んでいるが、神様にも今回の件を話し、セルゲイ・ロマノフの動向を見張ってもらうようにお願いする。
神様の弁によると「セルゲイ・ロマノフなど取るに足らぬ雑魚だが、気になるようであればこちらで抹殺する」という返答。
抹殺してもらう必要もないと考えるが、神の意思に任せることにする。
ほどなくして、チームにセルゲイ・ロマノフは姿を消していた。事務局に問い合わせると、帰国したという話。抹殺されたのか?帰国したのかわからないまま時は過ぎる。
ワールドカップのシーズンがやってくる。今季限りでシトロエンの契約が切れる俺は、また世界から注目の的になる。
オーナーは、まだ契約を続けたい意向だが、条件次第と言うところ。
ニッポン代表として選ばれた俺はワールドカップの開催地へ向け、旅立つ。
そこで俺はまたセルゲイ・ロマノフを知る人物に会おうとは思いもしなかったのである。
その人物もやはり赤い国の諜報部員だったらしく、俺にしつこく
「セルゲイ・ロマノフを知らないか?」
赤い国語で話しかけてきたが、俺は知らない言葉として、無反応を徹す。
「セルゲイ・ロマノフはお前のことをアンリ・モロゾフの生まれ変わりみたいな男だと言っていたが、実際、会ってみるとまさしくあいつが言っていた通りだな。あいつはアンリ・モロゾフのファンだったから、余計わかったのだろうな。」
それはどういう意味なのか?皆目見当がつかない。
試しにもう一度、セルゲイ・ロマノフにかけた『鑑定』をこの男にもしてみると、階級的にはこっちが上司みたいなのが出てきた。名前は、アンドリー・エルショバ少佐、34歳。
目障りなので、こいつにも消えてもらおう。最近は、神様からマーキングの仕方を教えてもらっていたので、そっとその少佐にわからないように、マーキングを施す。
あとは、神様がマーキングを見つけて、抹殺すれば任務は完了する。
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