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大学時代

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 アンリとキャッシー(まりあのこと、キャロラインは戦闘中言いにくいから)は、欲しいもの何でもギフトでヘリコプターを出し、ドローンを出し、ジェラルミンの盾は出しと大活用している。

 守る対象者に結界を張ればいいのだけど、それぞれが抗戦するのでじっとしていてくれないと結界を張るのが難しい。

 それで防刃チョッキとジェラルミンの盾を渡し、それぞれで防護してもらっている。

 アンリは、もっぱら素手で戦っているのは、アレね。腕力は、ゴリラ並みってとこかしら?怒られるけど。

 今日のご依頼は、子供同士のイジメなんだけど、もうアンリがすべてやっつけたのではなかったの?と言いたいんだけど、また出てきちゃったみたいね。

 いじめられっ子は最初、1人だったんだけど不良グループの中で見張りを断ったら、逆にその子がまたイジメのターゲットにされたもので、その子といじめられっ子と結託して闘おうということになって、それに加勢しているってことよ。

 もうアンリひとりで十分だと思うんだけど、キーハンターとして、指令が来たものだから、まりあも一緒に来てるってこと。

 なんでも、通りすがりの女の子をレイプしようとして、その見張りを断ったんだって。当り前よね、自分もさせてもらえるなら、いざ知らず。(ゴホン)見張りだけなんて、分が悪すぎる。

 不良グループに入ったのだって、自分がイジメられるのがイヤで入ったっていうから。根っからの悪党ってわけではなさそう。

 それで多勢に無勢だから、神様から指令が下りたってわけよ。私たちに指令が来たということは、もう相手の不良グループの子たちを殺してもいいということよね?

 死体は、また異空間にしまい込んで、これでなんでも欲しいモノギフトが買えるからいいようなもんだけど。

 不良グループのひとりが、被害者のいじめられっ子の髪の毛を焼こうとしてライターを近づけている。ダメよ。子供の火遊びはおしっこたれするわよ。

 氷魔法で、その不良の肩から先を凍らせる。どうせ最後は死ぬんだから腕の1本ぐらい今、無くなっちゃってもいいよね。

 被害者側の子たちをいったん退却させる。「みんな、下がって!」

 キャッシーは、不良グループを取り囲むように円陣を描きながら、火魔法を放つ。中にはまだアンリがいるが、どうにでもできるアンリは、とにかく放って、子供たちだけを安全な火の外に逃がす。

 だんだんその火の輪を狭めていく。さっき、肩から先を凍らせた不良は、腕が溶けてしまっている。

 アンリは、無事、転移力を遣い、脱出している。

 「キャッシー、久しぶりに火の海にしたな。」

 「さっき、不良がこの子の髪の毛を焼こうとしたのよ。だから、『お前が焼かれろ』って思ってね。」

 「た、助けてくれー!」

 「助けてー!」

 不良は自分たちがしてきたイジメを棚に上げ命乞いをしている。

 「俺たちは未成年なんだ。俺たちを殺す気か?」

 うるさいので、火を消す。

 不良どもは、もうこれは人智を超えていることさえ気づかず、再び反撃をしようとしたから、今度は、いつもの氷魔法で足元から順番に凍らせ、動きを封じる。

 「あなた方には、神様から抹殺命令が出ているのよ。」

 「で、でも俺たちが死ねば、両親や学校が騒ぎ立てるだろう。そうなれば、アンタらの犯行が明らかになる。」

 「あなた方は、最初からこの世に存在しなかったものとして処理されます。だから、ご心配なく。」

 キャッシーは、いじめられっ子に向き直り

 「今日、ここで見たことは誰にも言ってはいけません。もし、言えば、あなた達もあの方たちと同じように抹殺されます。いいですね?」

 いじめられっ子は、黙って頷く。元いじめっ子といじめられっ子は、それからは大の仲良し、親友となる。

 不良グループの死骸を異空間に収納し、被害者の子供たちを家に送り届けてから、それぞれ帰宅する。

 といっても、帰ってすぐ異空間の中で会うことになるんだけどね。一応、「反省会」という名目でイチャイチャする。
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