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高校時代
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俺は、肉体ブティックでいじめられっ子の肉体を買い、本来の持ち主に成り代わって復讐していく。
早ければその日のうちに返品、遅くともクーリングオフの日までには、すべて仕返しをやり遂げ意気揚々とブティックの暖簾をくぐるのだ。
戦場の悲惨さからすれば、いともたやすい復讐劇。戦場は生きたまま手足がちぎれ死んでいく光景をあちらこちらで目の当たりにするが、こちらの復讐は鼻の骨は絶対折るが、その他はアバラや腕の骨を折る程度で、ちぎったりはしない。
手ぬるいと言えば手ぬるいが、五体満足に生まれながら一生後遺症に悩まなければならないカラダになるということこそ復讐なのだ。
その日も早々に復讐を片付け、いつものように女神様を訪ねると、浮かない顔をされている。浮かない顔は毎度のことなのだが、今日はいつもと様子が違うようだ。
「どうした?ステファニー!何かあったか?」
「アナタねえ、アナタぐらいなものよ。わたくしのことをファーストネームで呼び捨てにする人間は!もう、いじめられっ子のカラダが売り切れなのよ。1000体もあったのによ!」
「どこのどいつが買い占めた?おれが文句を言ってやる!」
女神様は、黙って俺を指さす。
「へ?まさか俺ってことないよな?」
「アナタ以外に誰がいるって言うのよ。」
「なんだもうなくなったのか?割と少ないものだな。」
「何言っているのよ。1000体よ1000体。そう簡単に亡くなるものじゃないわ。それをアナタが次から次へと……でも、そのおかげであの子たちが成仏できたことは良かったことなのかもしれないけど、それにしてもね。アナタがやったことは資源の無駄遣いになるのよ。」
「ああ、それはどうも……。って、それ俺のせいか?イジメた奴が悪いんだろ?俺のせいだと言うならだったら、さっさと戦場に戻してくれたらいいものを大統領が暗殺されてしまって、戦争が終わり、今さら戻る場所もないし、せめて祖国に戻してくれればいいものを。」
「仕方ないわよ。上からの命令があるんだもん。」
「どんな命令だよ?」
「詳しいことは知らないわよ。あ!そうだ!アンリはサッカーしていたわよね?」
「おうよ。俺の足技はそんじょそこらの奴ではまねできないとっておきの技なんだぜ?」
おれはステファニーに軽くフットワークを見せてやったが、あまり興味がなさそう。
「ちょうどいいカラダがあるわ。サッカー少年のカラダよ。なんでも信号待ちしているところで、後ろから突き飛ばされ、ダンプにはねられてしまったカラダよ。当初、事件を疑われたんだけど、結局事故で処理されたのよ。修復しといたから、問題なく使えるわよ。どうする?」
「……。」
「またアンリに都合よく他の人間の記憶を塗り替えといてあげるから、音読みすればアンリンという苗字になるから、これがいいわね?」
こうして安林大輔、俺が誕生する。
早ければその日のうちに返品、遅くともクーリングオフの日までには、すべて仕返しをやり遂げ意気揚々とブティックの暖簾をくぐるのだ。
戦場の悲惨さからすれば、いともたやすい復讐劇。戦場は生きたまま手足がちぎれ死んでいく光景をあちらこちらで目の当たりにするが、こちらの復讐は鼻の骨は絶対折るが、その他はアバラや腕の骨を折る程度で、ちぎったりはしない。
手ぬるいと言えば手ぬるいが、五体満足に生まれながら一生後遺症に悩まなければならないカラダになるということこそ復讐なのだ。
その日も早々に復讐を片付け、いつものように女神様を訪ねると、浮かない顔をされている。浮かない顔は毎度のことなのだが、今日はいつもと様子が違うようだ。
「どうした?ステファニー!何かあったか?」
「アナタねえ、アナタぐらいなものよ。わたくしのことをファーストネームで呼び捨てにする人間は!もう、いじめられっ子のカラダが売り切れなのよ。1000体もあったのによ!」
「どこのどいつが買い占めた?おれが文句を言ってやる!」
女神様は、黙って俺を指さす。
「へ?まさか俺ってことないよな?」
「アナタ以外に誰がいるって言うのよ。」
「なんだもうなくなったのか?割と少ないものだな。」
「何言っているのよ。1000体よ1000体。そう簡単に亡くなるものじゃないわ。それをアナタが次から次へと……でも、そのおかげであの子たちが成仏できたことは良かったことなのかもしれないけど、それにしてもね。アナタがやったことは資源の無駄遣いになるのよ。」
「ああ、それはどうも……。って、それ俺のせいか?イジメた奴が悪いんだろ?俺のせいだと言うならだったら、さっさと戦場に戻してくれたらいいものを大統領が暗殺されてしまって、戦争が終わり、今さら戻る場所もないし、せめて祖国に戻してくれればいいものを。」
「仕方ないわよ。上からの命令があるんだもん。」
「どんな命令だよ?」
「詳しいことは知らないわよ。あ!そうだ!アンリはサッカーしていたわよね?」
「おうよ。俺の足技はそんじょそこらの奴ではまねできないとっておきの技なんだぜ?」
おれはステファニーに軽くフットワークを見せてやったが、あまり興味がなさそう。
「ちょうどいいカラダがあるわ。サッカー少年のカラダよ。なんでも信号待ちしているところで、後ろから突き飛ばされ、ダンプにはねられてしまったカラダよ。当初、事件を疑われたんだけど、結局事故で処理されたのよ。修復しといたから、問題なく使えるわよ。どうする?」
「……。」
「またアンリに都合よく他の人間の記憶を塗り替えといてあげるから、音読みすればアンリンという苗字になるから、これがいいわね?」
こうして安林大輔、俺が誕生する。
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