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高校時代

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 俺の名前はアンリ・モロゾフ、赤い国に侵略されたベルンドーラ国のサッカー選手である。

 遠征先のドーランド国にいた時、突然、不幸はやってきたのだ。赤い国が国境を超え侵攻をして、妻子を皆殺しにしたのである。

 俺には二人の娘がいた。上の娘は可愛い盛りで、下はまだ赤ん坊だったのだ。妻とは、幼馴染で同級生、気がついたら囲い込まれて結婚させられてたという感じ。

 遠征先から帰った俺は、軍に志願して入った。かたき討ちのためである。軍では戦闘に備え、厳しい訓練が待ち受けていたが、復讐に燃えている俺には難なくクリアできたものだ。この時に培ったシステマが後の世で役に立つとは思いもよらないことになるとは。

 ところが親赤い国派の奴が俺たちの部隊を裏切りやがった。赤い国は俺たちがいる部隊の位置が筒抜けで、徹底したミサイル攻撃で部隊は全滅したのだ。

 俺は死んで、嫁さんや子供に逢えると思っていたのだが、実際は違ったものになってしまう。

 肉体ブティックと言う女神ステファニーが経営する店でニッポンの高校生のカラダに転生することになってしまったのだ。

 なんでもニッポンでは。虐めが横行していて虐められた側はたいてい自殺に見せかけ殺されるか、自ら命を絶ってしまうらしい。

 肉体ブティックには、そういう子供たちのカラダがわんさかあり、もう一度ベルンドーラ国へ戻り兵士として活躍するよりも、ニッポンで新たな人生をはじめ、違う幸せを見つければいいという女神の勧めもあり、いじめられっ子の高校生のカラダに転移することにしたのだ。

 お試し期間は1週間あるから、どうしても気に入らなければ返品可能だからと勧められる。

 だったら、その1週間でケリをつけてやろうではないか?俺は内心ほくそ笑むも、おくびにも出さず渋々といった態で、最初の高校生のカラダに入る。ずいぶん痩せっぽっちのカラダだが、背丈だけはあった。

 高校生としての記憶はまるでないが、退院する。

 高校近くの橋の上から落ち、記憶がないという設定で学校の場所も教室も分からず、父が自家用車で送ってくれると申し出たが、それでは帰るとき困るだろうから、近所の高校生に頼み学校まで案内してもらうことに。

 父は小さな町工場を経営しているので、時間に余裕があった。

 ニッポンでの土地勘がまるでないため、その高校生相手に質問攻めにする。どうやら俺はオータ区というところにいるそうだ。

 学校へ着くと近所の高校生は、俺がお礼を言い終わる前にそそくさと、自分の教室に向かう。何か俺とは関わりたくないような様子だったのだ。
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