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40.幻聴幻覚

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 まどかは、母と温泉旅行をしていくうちに不思議な感覚に囚われていく。

 部屋付き露天風呂に入っていた時は、なんともなかったのだが、大浴場に入るようになってからは、大浴場に設置されている鏡を見るたび、なぜか心臓がどきどきして止まらない。自分の裸体に、誰かが抱き着いていたり、胸を揉まれていたり、真っ赤になって瞳がトロンとしている姿を幻影で見るようになったのだ。

 何⁉これ?と同時に、幻聴も聞こえるようになって……。

 「まどか、綺麗だよ。」

 「もっと、感じて。」

 顔がだんだん赤くなっていく。それをごまかすように、お風呂場に入り、カラダを洗うのだが、アソコからヌルヌルのものが洗っても、洗っても湧き出てくる。それに下腹の奥がやたらと疼く。

 温泉から上がっても、それは続き、ついに寝る時になってもなお、下半身がもどかしくてどうしようもない。トイレに行くふりをして、ついに、まどかは自分自身を慰めることにしたのだが、今まで自分でしたことがないので、どうやってしたらいいのかもわからない。

 幻では、胸を揉まれてトロンとしていたからと思い出し、胸を触ってみるが、何も感じない。自分の手の感触だけで、何も気持ちいいことはない。

 次にアソコを触ってみた。相変わらずトロッとしている。膣の周りを手で撫でるだけで、少しは気持ちいいが、それでも、満足が行くような快感は得られない。

 その付近を何度もすり上げていくうちに偶然、まどかは前方にしこりがある突起物に触った。そういえば、誰かがこれを弄っていた記憶があるようなないような?

 思い切って、それをまどかが指の腹で押してみた。

 「!」

 突如、めまいに襲われるかのような快感がこみあげてくる。

 夢中で、それを何度も指でこすり上げると、背中がのけ反り、足がけいれんしてくる。そして、イく。

 そこには、びっしょりと濡れた太もも。ペーパーでその場所をふき取り、再び温泉で流しに行く。

 あれほど疼いていたところは、もう今はなんともなく、熱もない。

 それで素知らぬ顔をして、部屋に戻っていき、寝る。

 新千歳に父を迎えに行き、その足で、近くの温泉場を探す。空港の案内所でも聞き、新千歳空港温泉と定山渓か白老温泉というところが比較的アクセスがいいらしい。

 空港内の温泉がいいかもしれないけど、せっかく北海道に来て、空港で泊まって、空港の温泉に入るというのもどうかなぁと思う。

 それで、定山渓に行くことになり、レンタカーを借りる。

 まどかが運転することになり、後部座席で両親がイチャついている。まどかの独身時代は、こんなに仲がいい夫婦ではなかったと思う。時々、喧嘩して母が家出したときは必ず、まどかのマンションでよく一泊していたぐらいだから。

 それが昨日の電話で、母は嫌そうな顔をしていながら、楽しみにしていた風もあり。夫婦って本当によくわからない。

 まどかは海斗のことを思い出そうにも、何も思い出せない。本当に、あの男と結婚していたのかさえ信じられない。

 定山渓では、運よくスイートに泊まることができた。和洋室仕立てで、入ってすぐの間と和室がふた間続きにあり、露天風呂と洋室のベッドルームに応接セットが置かれてある部屋。

 「お父さんたちは、そっちのベッドルームを使ってよ。」

 「わたしは、和室でのんびり寝るわ。」

 まどかは、またカラダが疼いたときのために、一人で寝たいからそう言う。

 「そう言うな。せっかくの親子水入らずなのだから、この広間で川の字になって寝よう。」

 「ええー。ヤダ、お父さん、いびきかくでしょ!?」

 その後、お茶菓子を食べて、一息ついてから温泉に入ることにする。

 旅館で、お茶菓子が付いてくるには理由がある。低血糖防止のためで、旅館についてすぐ温泉に入り、倒れられては困るから。低血糖は、場合によっては昏倒し、そのまま死に至ることもあるからで、せっかくの旅行の初日から死なれては楽しいはずの旅が台無しになってしまうという理由。

 部屋付きの露天風呂は、両親が入るというから、またまどかは、大浴場へ行くことになる。

 よくあんな年になってまで、まだ二人で入りたいなんて、信じられないわ。

 まどかは、大浴場で裸になり、ふと見上げると、またあの幻影と幻聴が……!

 仲のいい両親にあてられたかもと思うが、これではまた自分で慰めなければ収まらない気配がする。

 再び、浴衣に着替え、トイレに駆け込み、パンティを脱ぎ去り、ひたすら耽る。すぐ感じてきて、思わずトイレということも忘れ、声が出そうになる。必死に辛抱をしてペーパーで綺麗に拭い去り、大浴場へ向かう。

 思いがけず、大浴場で時間をとってしまい、帰りに土産物店を覗いていたということもあり、部屋に戻ってくるまで1時間半も費やしていた。

 その間に、両親があんなことをしていたとは、夢にも思わなかった。
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