寝取られ失恋同士のお見合い婚~両片思いの胸キュンラブ♡

青の雀

文字の大きさ
上 下
12 / 46

12.キス1

しおりを挟む
 まどかは、いったん自宅に戻り振袖を脱いでから、海斗の元へ行く。

 お見合いの席では、ほとんど食事をしていないから、お腹が空いている。お見合いでは、一種のハンガーストライキをしていたからで、相手が海斗だとわかっていたら、と思うとちょっと悔しいというか、もったいないというか、惜しいというか。

 最初から、海斗だと思っていたら、ごちそうを食べられたのに。でも帯が苦しくて、海斗だと思っていても、おそらく喉を通らなかっただろう。

 いつもの洋服姿に戻ったまどかを見て、海斗がクスっと笑う。

 「まどかの振り袖姿もいいけど、俺はいつものまどかの方が可愛いよ。」

 そういった言葉だけで、もうまどかの顔は、ガスコンロにかけたやかんの沸騰直前のように、真っ赤になっている。これから、海斗とあれやこれやの行為をするという妄想が入り、気もそぞろなわけで。

 「んじゃあ、そろそろ帰ろっか。」

 海斗と手をつないで帰ることになったのだが、まどかの右手の指と指の間に海斗の指が入り込んで、いわゆる恋人つなぎなわけなのだが、今までそんな手のつなぎ方をしたことがなくて、またまたドギマギする。

 「少し腹が減ったな。なんか食って帰ろうか。」

 海斗がそう言ってくれたので、やっとまともな食事にありつける。

 お腹もひと心地付き、マンションに帰る頃はちょうど夜のとばりが下りたころになったのだ。

 海斗のアクセスキーで、オートロックが解除され、二人仲良く手をつないだままエレベーターに乗る。

 「俺ん家でいい?」

 海斗と友達付き合いするようになってから、何度もお互いの部屋で行き来し、過ごしてきたけど、今日は格別に、戸惑う。

 だって、これからアレをするわけで……と思うと、手に汗をかきそうになるけど、そうしたら海斗にバレてしまうから、グっとこらえなるべく他のことを考えるようにする。

 海斗の部屋に入るなり、抱きすくめられ、唇を奪われる。

 「まどかは、今までキスしたことある?」

 突然、聞かれ、キスぐらいしたことがあると返事をするが、なんで?

 「そっか。じゃ、最初はキスから始めようね。その方がまどかもいいだろ?」

 たったキスだけのことで、もうオロオロしてしまう。外国では、キスはあいさつ代わりだから……。でも、海斗は別のキスを望んでいるということに気づかないまどか。

 部屋のソファで、キスをされながら、ブラウスのボタンを外していかれ、スカートも取り払われ、下着姿になったまどかを海斗は褒めちぎる。

 「まどか、綺麗だよ。」

 まどかは、え?キスって服を脱ぐの?と疑問符だらけだけど、顔では平然を装って、素知らぬ顔をしている。

 「じゃ先に、まどかからキスしてくれる?」

 「ええ!どうして、わたしから?」

 「じゃ、せーのでする?まどかがドキドキしている顔が見たいのだよ。女の人がドキドキしている顔って、そそられるし官能的だろ?嫌なら俺からするけど、止められなくなるかもしれないよ。覚悟できている?」

 そこまで言われたら、まどかがするしか仕方がない。

 まどかは、海斗の肩に手を置き、顔を近づけていく。が、海斗にしっかり見つめられドキドキが止まらない。

 「海斗、お願いだから目を閉じてくれない?見られていると恥ずかしくて、できない。」

 「わかったよ。これでいいか?」

 海斗は、目を閉じてくれる。

「せっかく官能的なまどかの顔が見たかったのに、残念だなぁ。でも目を閉じたのだから、ご褒美の意味も込めて、たっぷりやってくれ。」

 「っもう海斗ったら。目を開けちゃダメよ。」

 海斗の唇に、そっと重ねるだけのキス。

 いつまで経っても、海斗は目を開けてくれない。

 「海斗!ねぇ、海斗ったら。起きて!寝ているの?」

 「え?まどかのキスがまだだったから、目を閉じているのだけど?」

 「ええ!ちゃんとしたよ。ほら、リップも付いている。」

 ティッシュを渡し、唇のリップをふき取ってもらう。

 「これは、俺がさっきしたやつだろうが。ちゃんとしてくれなきゃ、お仕置きするぞ!」

 「お、お仕置きって……。」

 海斗は、いきなりまどかの脇の下に手を突っ込み、くすぐる。

 「きゃは。いやん、やめて。くすぐったい。」

 ケタケタと笑い転げるまどかに覆いかぶさり、唇をふさぐ。

 まどかは、息ができなくて苦しそうな表情を浮かべる。やっと終わったと思ったら今度は顔の角度を変えながら、触れたり離したりを繰り返している。海斗の左手は後頭部を支え、右手はまどかの頬に添えている。

 そのキスは、外国映画でよく見る愛しい人へのキスそのものだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうやら貴方の隣は私の場所でなくなってしまったようなので、夜逃げします

皇 翼
恋愛
侯爵令嬢という何でも買ってもらえてどんな教育でも施してもらえる恵まれた立場、王太子という立場に恥じない、童話の王子様のように顔の整った婚約者。そして自分自身は最高の教育を施され、侯爵令嬢としてどこに出されても恥ずかしくない教養を身につけていて、顔が綺麗な両親に似たのだろう容姿は綺麗な方だと思う。 完璧……そう、完璧だと思っていた。自身の婚約者が、中庭で公爵令嬢とキスをしているのを見てしまうまでは――。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...