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12.キス1
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まどかは、いったん自宅に戻り振袖を脱いでから、海斗の元へ行く。
お見合いの席では、ほとんど食事をしていないから、お腹が空いている。お見合いでは、一種のハンガーストライキをしていたからで、相手が海斗だとわかっていたら、と思うとちょっと悔しいというか、もったいないというか、惜しいというか。
最初から、海斗だと思っていたら、ごちそうを食べられたのに。でも帯が苦しくて、海斗だと思っていても、おそらく喉を通らなかっただろう。
いつもの洋服姿に戻ったまどかを見て、海斗がクスっと笑う。
「まどかの振り袖姿もいいけど、俺はいつものまどかの方が可愛いよ。」
そういった言葉だけで、もうまどかの顔は、ガスコンロにかけたやかんの沸騰直前のように、真っ赤になっている。これから、海斗とあれやこれやの行為をするという妄想が入り、気もそぞろなわけで。
「んじゃあ、そろそろ帰ろっか。」
海斗と手をつないで帰ることになったのだが、まどかの右手の指と指の間に海斗の指が入り込んで、いわゆる恋人つなぎなわけなのだが、今までそんな手のつなぎ方をしたことがなくて、またまたドギマギする。
「少し腹が減ったな。なんか食って帰ろうか。」
海斗がそう言ってくれたので、やっとまともな食事にありつける。
お腹もひと心地付き、マンションに帰る頃はちょうど夜のとばりが下りたころになったのだ。
海斗のアクセスキーで、オートロックが解除され、二人仲良く手をつないだままエレベーターに乗る。
「俺ん家でいい?」
海斗と友達付き合いするようになってから、何度もお互いの部屋で行き来し、過ごしてきたけど、今日は格別に、戸惑う。
だって、これからアレをするわけで……と思うと、手に汗をかきそうになるけど、そうしたら海斗にバレてしまうから、グっとこらえなるべく他のことを考えるようにする。
海斗の部屋に入るなり、抱きすくめられ、唇を奪われる。
「まどかは、今までキスしたことある?」
突然、聞かれ、キスぐらいしたことがあると返事をするが、なんで?
「そっか。じゃ、最初はキスから始めようね。その方がまどかもいいだろ?」
たったキスだけのことで、もうオロオロしてしまう。外国では、キスはあいさつ代わりだから……。でも、海斗は別のキスを望んでいるということに気づかないまどか。
部屋のソファで、キスをされながら、ブラウスのボタンを外していかれ、スカートも取り払われ、下着姿になったまどかを海斗は褒めちぎる。
「まどか、綺麗だよ。」
まどかは、え?キスって服を脱ぐの?と疑問符だらけだけど、顔では平然を装って、素知らぬ顔をしている。
「じゃ先に、まどかからキスしてくれる?」
「ええ!どうして、わたしから?」
「じゃ、せーのでする?まどかがドキドキしている顔が見たいのだよ。女の人がドキドキしている顔って、そそられるし官能的だろ?嫌なら俺からするけど、止められなくなるかもしれないよ。覚悟できている?」
そこまで言われたら、まどかがするしか仕方がない。
まどかは、海斗の肩に手を置き、顔を近づけていく。が、海斗にしっかり見つめられドキドキが止まらない。
「海斗、お願いだから目を閉じてくれない?見られていると恥ずかしくて、できない。」
「わかったよ。これでいいか?」
海斗は、目を閉じてくれる。
「せっかく官能的なまどかの顔が見たかったのに、残念だなぁ。でも目を閉じたのだから、ご褒美の意味も込めて、たっぷりやってくれ。」
「っもう海斗ったら。目を開けちゃダメよ。」
海斗の唇に、そっと重ねるだけのキス。
いつまで経っても、海斗は目を開けてくれない。
「海斗!ねぇ、海斗ったら。起きて!寝ているの?」
「え?まどかのキスがまだだったから、目を閉じているのだけど?」
「ええ!ちゃんとしたよ。ほら、リップも付いている。」
ティッシュを渡し、唇のリップをふき取ってもらう。
「これは、俺がさっきしたやつだろうが。ちゃんとしてくれなきゃ、お仕置きするぞ!」
「お、お仕置きって……。」
海斗は、いきなりまどかの脇の下に手を突っ込み、くすぐる。
「きゃは。いやん、やめて。くすぐったい。」
ケタケタと笑い転げるまどかに覆いかぶさり、唇をふさぐ。
まどかは、息ができなくて苦しそうな表情を浮かべる。やっと終わったと思ったら今度は顔の角度を変えながら、触れたり離したりを繰り返している。海斗の左手は後頭部を支え、右手はまどかの頬に添えている。
そのキスは、外国映画でよく見る愛しい人へのキスそのものだった。
お見合いの席では、ほとんど食事をしていないから、お腹が空いている。お見合いでは、一種のハンガーストライキをしていたからで、相手が海斗だとわかっていたら、と思うとちょっと悔しいというか、もったいないというか、惜しいというか。
最初から、海斗だと思っていたら、ごちそうを食べられたのに。でも帯が苦しくて、海斗だと思っていても、おそらく喉を通らなかっただろう。
いつもの洋服姿に戻ったまどかを見て、海斗がクスっと笑う。
「まどかの振り袖姿もいいけど、俺はいつものまどかの方が可愛いよ。」
そういった言葉だけで、もうまどかの顔は、ガスコンロにかけたやかんの沸騰直前のように、真っ赤になっている。これから、海斗とあれやこれやの行為をするという妄想が入り、気もそぞろなわけで。
「んじゃあ、そろそろ帰ろっか。」
海斗と手をつないで帰ることになったのだが、まどかの右手の指と指の間に海斗の指が入り込んで、いわゆる恋人つなぎなわけなのだが、今までそんな手のつなぎ方をしたことがなくて、またまたドギマギする。
「少し腹が減ったな。なんか食って帰ろうか。」
海斗がそう言ってくれたので、やっとまともな食事にありつける。
お腹もひと心地付き、マンションに帰る頃はちょうど夜のとばりが下りたころになったのだ。
海斗のアクセスキーで、オートロックが解除され、二人仲良く手をつないだままエレベーターに乗る。
「俺ん家でいい?」
海斗と友達付き合いするようになってから、何度もお互いの部屋で行き来し、過ごしてきたけど、今日は格別に、戸惑う。
だって、これからアレをするわけで……と思うと、手に汗をかきそうになるけど、そうしたら海斗にバレてしまうから、グっとこらえなるべく他のことを考えるようにする。
海斗の部屋に入るなり、抱きすくめられ、唇を奪われる。
「まどかは、今までキスしたことある?」
突然、聞かれ、キスぐらいしたことがあると返事をするが、なんで?
「そっか。じゃ、最初はキスから始めようね。その方がまどかもいいだろ?」
たったキスだけのことで、もうオロオロしてしまう。外国では、キスはあいさつ代わりだから……。でも、海斗は別のキスを望んでいるということに気づかないまどか。
部屋のソファで、キスをされながら、ブラウスのボタンを外していかれ、スカートも取り払われ、下着姿になったまどかを海斗は褒めちぎる。
「まどか、綺麗だよ。」
まどかは、え?キスって服を脱ぐの?と疑問符だらけだけど、顔では平然を装って、素知らぬ顔をしている。
「じゃ先に、まどかからキスしてくれる?」
「ええ!どうして、わたしから?」
「じゃ、せーのでする?まどかがドキドキしている顔が見たいのだよ。女の人がドキドキしている顔って、そそられるし官能的だろ?嫌なら俺からするけど、止められなくなるかもしれないよ。覚悟できている?」
そこまで言われたら、まどかがするしか仕方がない。
まどかは、海斗の肩に手を置き、顔を近づけていく。が、海斗にしっかり見つめられドキドキが止まらない。
「海斗、お願いだから目を閉じてくれない?見られていると恥ずかしくて、できない。」
「わかったよ。これでいいか?」
海斗は、目を閉じてくれる。
「せっかく官能的なまどかの顔が見たかったのに、残念だなぁ。でも目を閉じたのだから、ご褒美の意味も込めて、たっぷりやってくれ。」
「っもう海斗ったら。目を開けちゃダメよ。」
海斗の唇に、そっと重ねるだけのキス。
いつまで経っても、海斗は目を開けてくれない。
「海斗!ねぇ、海斗ったら。起きて!寝ているの?」
「え?まどかのキスがまだだったから、目を閉じているのだけど?」
「ええ!ちゃんとしたよ。ほら、リップも付いている。」
ティッシュを渡し、唇のリップをふき取ってもらう。
「これは、俺がさっきしたやつだろうが。ちゃんとしてくれなきゃ、お仕置きするぞ!」
「お、お仕置きって……。」
海斗は、いきなりまどかの脇の下に手を突っ込み、くすぐる。
「きゃは。いやん、やめて。くすぐったい。」
ケタケタと笑い転げるまどかに覆いかぶさり、唇をふさぐ。
まどかは、息ができなくて苦しそうな表情を浮かべる。やっと終わったと思ったら今度は顔の角度を変えながら、触れたり離したりを繰り返している。海斗の左手は後頭部を支え、右手はまどかの頬に添えている。
そのキスは、外国映画でよく見る愛しい人へのキスそのものだった。
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