寝取られ失恋同士のお見合い婚~両片思いの胸キュンラブ♡

青の雀

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5.出会い

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 気が付けば、浩介のマンションから飛び出し、あてもなく走り続けている。走りながら今さっき起こったことを反芻しているまどかがいる。

 「本当に今日は風邪で熱があったんだよ。そしたら純子が早引きして見舞いに来たら、暑い暑いって服を脱ぎだしやがったんだよ。見ていたらなんかムラムラしてきて、つい。だから出来心だって言ってるだろ。許してくれよ。俺はまどかしか愛せないんだよ。」

 「押し倒しておいて、よく言うわよ。だいたい西園寺さんは、ちょっと英語が喋れるからって偉そうに、秘書は何様のつもり?それにちょっとおっぱいが大きいからって、他の男の人からチヤホヤされて、気に入らないのよ!」

 「なんだ?純子それでは、お前は俺を嵌めたのか?」

 「そうよ幸せそうなアンタたちを見ているとムシャクシャしてね。これで浩介もキズモノよ。わたしのお古のオトコでよければ、西園寺さんにどうぞ差し上げるわ。」

 悔しい!腹が立つ!でもそれと同じぐらい自分が情けない。それに、名残り雪というのだろうか、この時期にしては珍しく雪も降りだしてきたのだ。

 知らない間に涙で視界がぼやけて、前がよく見えない。

 気が付けば、交差点の中に入っていた。車のクラクションがしたので振り向くと、ヘッドライトに照らされている。怖い、足がすくんで動けない。

 その直後、見知らぬ男性がまどかをかばって交差点に入り、まどかを交差点から引きずり出してくれたのだ。

 「危ないじゃないか!」

 涙で濡れているまどかを見て、その男性は驚いたような顔をしている。

 「ごめんなさい。助けてくださりありがとう存じます。せめて、お名前だけでもお教えいただけないでしょうか?」

 「いや、そんなことはどうでもいい。大丈夫ですか?タイツが破れてしまったね。」

 まどかは足を見ると、タイツが破れ、擦りむいたのだろうか?血が出ている。

 よろけながらも立ち上がり、助けてくれた男性に再度、お礼を言いその場から帰ろうとした。

 「送っていきましょうか?そのままなら、また事故に遭うかもしれないので、乗り掛かった舟なのでかまいませんよ。」

 「でも、そこまでしていただくわけには……。」

 「大丈夫ですよ。さ、行きましょう。」

 結局、見ず知らずの男性だけど、マンションの前まで送ってくださった。

 「ありがとうございます。このマンションですので、お礼はまた後程お伺いさせていただきますので、せめて、お所とお名前をお教え願えないでしょうか?」

 「え?私もこのマンションに住んでいます。いやぁ、こんな偶然あるのですね。ビックリしました。」

 「本当。いい方に助けていただいて、なんとお礼を申し上げたらよろしいのかしら。」

 「それより帰って、早く傷の手当した方がいいですよ。」

 「あ、そうでしたわ。それではお先に失礼します。」

 ちょうどオートロックが開いたので、その隙にささっと入る。

 郵便受けを覗いて、DMを取り出し、捨てる。さっきの男性も同じような動きをしている。部屋番号を知られるとマズイかも?と思いつつも、助けてくれた男性に失礼なので、あえて隠さなかった。

 その男性は最上階の住人だった。あの一番広い部屋の住人だったのか。畳換算で60畳はあるという部屋。その分、家賃も高いはず。

 まどかは10階で降り、振り返って、改めてお礼を言う。

 「今日はありがとうございました。おかげで生きて帰ってくることができました。」

 「何があったか知らないが、もうあんなことしてはダメですよ。」

 どうやら助けてくださった男性は、まどかが飛び込み自殺をするつもりで交差点に入ったと思っている様子。

 ビックリしたけど、あえて否定もしない。浩介の裏切りと同期の純子の嫉妬心が憎かっただけ。

 「それでは、おやすみなさい。」

 エレベーターのドアが閉まり、まどかは部屋のカギを開ける。
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