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女神ロザリア
1婚約破棄
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今日はドメイン国立学園の卒業式である。
オーロラ大聖女様が誕生されてちょうど1000年が過ぎる。
あれから、ちょうどいい年頃の男女で王室に男の子、カンブリア家に女の子が生まれた時だけ婚約者にさせる風習は続いているが、なかなか、タイミングよく男女の産み分けができずにいたのだが、約1000年ぶりに今年は男性のほうがマクシミリアンで、女性はロザリアと同い年で誕生したので、二人はめでたく婚約者となったのであるが。
実は、マクシミリアンは、あのマクセル一世の転生者であるが、本人は、そんなこと覚えてもいない。
そしてロザリアは、あの大聖女オーロラと転生の神アレックスとの長女で、マクセルとオーロラの話は、1000年間、子守唄代わりに聞いて育ってきたのである。
だから、父親の転生の神から、今度、そのマクセルの魂を持つ男がドメイン国に生まれ変わると聞いて、志願してカンブリア公爵家へ生まれたのでした。
ロザリアから見ると興味津々で、最終的には、自分の母親が振った相手であったとしても、二度も氷像と化した男に抱きついて生き返らせたのであるから、どんな魂を持った男か興味があったのである。
それから18年、そろそろ聖女が誕生するタイミングでカンブリアに生まれることにしたのである。ただし、生まれるのは、本来は、人間の聖女で、最初から女神のロザリアとは別人なのだが、そううまくドメイン国にだけ、聖女様が誕生するというのは、おかしな話なのである。
何はともあれ、今日、卒業式で、明日、結婚式なのである。それでも最初から、聖女様の触れ込みで誕生したのでああるから、お妃教育たるものはない。最初から、特別扱いなのである。それでもその前に1000年近く、神界で暮らしてきた女神の孫ロザリアは、大人として教育を受けてきたわけであるから、優秀で、我が儘も言わず、周囲に気遣いができる娘であったので、「さすが!聖女様。」という評価でしかなかったのである。
パーティが始まってすぐのことである。婚約者のマクシミリアンが知らない令嬢を引き連れて、ロザリアの前に姿を現した。周囲の貴族たちは、無言で道を開ける。
「公爵令嬢ロザリア・カンブリア、貴様との婚約は、今をもって破棄させてもらうこととする。」
「は?何故でございますか?明日、結婚式を控えているというのに。」
ロザリアは、別にマクシミリアンのことなど、どうでもいい。我が家は神界では名門一族であるので、神界の若い神から、アイドル並みの人気を博しているのである。
女神ゴールデニアを祖母に持ち、創造神のアマテラスは曽祖父である。
「ははは。しらばっくれるのも、大概にしろ。貴様はこの男爵令嬢リリアーヌを学園内で、さんざん虐めぬき、死に追いやろうとしたではないか?」
「はて、そこの令嬢とは、今初めて、初対面でございますれば、初対面の方をどのようにすれば、虐めることなどできましょうか?」
これが、人間界での婚約破棄というものか!母オーロラから、散々聞かされていたもので、身分の高い王子に身分の低い女がちょっかいを出し、王子の婚約者に冤罪を擦り付けるというもの。
「ひどいですわっ!ロザリー様、ロザリー様は、私を学園内で、さんざんいじめておきながら、私のことなど、初対面であると逃げられるおつもりでしょうか?」
「あのね、え……と。」
ロザリアは、名前を間違われていることに困惑しつつ、指摘したほうがいいかどうか思案していると
「リリアーヌ!ロザリーではなく、ロザリアだろうがっ!さんざん教えたのに、バカだな。」
「ああ、そうでした。ロザリア様は、私の教科書に落書きされたうえ、破って捨てられ。その上、階段から突き落とされて、もう少しで大けがをするところでしたわ。」
「どなたか証人がいらっしゃいますか?その落書きを見せてくださいませ。」
ロザリアは、なんだか楽しくなってきたのである。聞きしに勝る言いがかりですわ。
「証人などなくてもいい。リリアーヌがそう言っているのだから、リリアーヌが嘘を言うはずがない!」
ほぅ、そう出ましたか?人間の男は、下等動物で、バカだと聞いておりましたが、ここまでですか?
「それでは、どうあってもわたくしに冤罪をかぶせるおつもりなのですね。聖女として、生まれてきたわたくしに?」
「へ?……聖女様?……聖女だろうが何だろうが、将来の国母たるリリアーヌを殺害せんとしたことは許しがたく……。」
途中まで言い終わらないうちに、遮って、ロザリアは魔法で氷の剣を出し、
「そこまでおっしゃるのなら、わたくしにも覚悟がございます。この国を、そしてそこの令嬢と、マクシミリアン様に対して、一生をかけて、祟ってやる!この恨み、必ずや晴らして見せましょうぞ。」
そう言って、ロザリアは、己の胸に氷の剣を突き立て、自害して果てた。
一瞬の出来事に会場内は、騒然となり、すぐ医療班が差し向けられたがすでに出血多量で……。
そこへ祖母の女神と母の大聖女がすぐさま現れ、「無礼者!」「控えおろう!」「我が孫娘に触るではない!」
背中には、黄金の翼を生やしている。誰が見てもわかる女神姿である。
「我が娘の魂は、神界で引き取りましょうぞ。ただし、我が娘に冤罪をかぶせた女はこうしてやる。」
リリアーヌは、一言の弁解もできないまま、氷像と化したのである。
「リリアーヌ!」
国王の重鎮も卒業式に出席していたのだが、
「まさに!伝説と同じことが……目の前で起こっているとは!信じられない!」
ブツブツとつぶやくも何もできずにいる。
「さて、元婚約者のマクシミリアン、そのほうの真実の愛というものを確かめさせてもらおう。そこのリリアーヌを生き返させられたら、お前の命だけは、助けてやろう。さもなくば……皆と同じようにしてやるが。」
そう言いながら、大地を一蹴りすると、みるみる会場内は凍っていく。女神様に対して、敵対心をむき出しにしていた者から、凍り付いていくのである。
「あ、あ……どのようにすれば?いや、待てよ、前にも確か、似たようなことがあったような気がするが……?」
「マクセル様、もう、お忘れなのですね?オーロラですよ?」
「オーロラ……?」
「ああ、腹が立つ!目をくりぬいてやろうか?」
母ゴールデニアが笑いながら、
「オーロラ、ずいぶん性格が変わったみたいね?やっぱりロザリアのこととなると、母親らしくなるものね。」
「お母様、当たり前ですわよ。なんといってもアレックス様との愛の結晶ですもの。」
その言葉に、ブフッとロザリアが噴き出す。ロザリアは、神なので、死なないのである。出血多量で死んだように見せかけていただけで、本当に死ぬ気があれば、頸動脈を切る。女神は頸動脈が切れても死ねないけど、多少のけがはする。
それを見て、マクシミリアンは
「良かった。ロザリア生きていてくれていたんだね。」
「バカ!アンタのためじゃないよ。お母様が面白いこと言うからよ。」
「え?そこの女神様が?カンブリア公爵夫人ではないようだが?」
「カンブリアの母は、人間界での産みの母、神界の母がオーロラでございます。マクセル様?もしや本当にお忘れなのですか?わたくしは、母とマクセル様のことを聞き及び、人間界に生を受けたのでございますよ?」
「すまぬ。何も覚えておらぬ。」
「まぁ、人間など下等動物だと父が申しておりましたわ。」
「父上とは?」
「転生の神アレックスでございますわ。」
「何?転生の神とは……?なんとなく記憶がある。我が愛する婚約者に俺の目の前で結婚の申し込みをしていたような?その時の女性が君か?」
「わたくしは、その時は、まだ影も形もありませんでしたわよ。何、寝ぼけていらっしゃいますの?」
「では、そなたが我が愛する婚約者か?」
今度は祖母のゴールデニアに跪くマクシミリアン。
ここまでボケられると、ゴールデニアも呆れかえっている。
「これは、本当に目玉をくりぬかなければ、怒りが収まらないわね。」
その頃、リリアーヌは、暗く寒いところで、ひとりぼっちでいる。
「ここはどこ?まさかロザリーが聖女様だなんて話聞いてないわよ。もう私死んじゃったのかしら?あーあ、こんなことになるんだったら、マクシミリアンなんかに手出ししなきゃ、良かったわ。あんなつまらないオトコいないもん。でも、ロザリーの奴、一生祟ってやると言ってたわよね?ということはどういうこと?まだまだ聖女様に目をつけられたら、この先、死んじゃっても祟られるってこと?あーあ、もう死にたいわ。って死んでるか!? 」
結局、マクシミリアンは真実の愛を示せず、男爵令嬢のリリアーヌは永遠に氷の牢から出られずじまい、お湯をかけられ肉体としても、消えてなくなり魂だけが暗く寂しいところへ何万年もさまよい続けるのです。
本人は、そのことに一切気づかず、いつかは生まれ変わられると信じているようだけど、転生の神様の娘を怒らせたからには、そう簡単には人間界に生まれ変わらず、最初はアシュラから?かどうかは知らないけど、ゴキブリにでもなるのかしらね。
それから、マクシミリアンは、本当に目が見えなくなったのだ。それは角膜が凍ったからで、オーロラがくりぬいたからではありません。
ロザリアは、カンブリア公爵夫妻と使用人、領民とも連れて、アンダルシアへ移住するのである。
「ドメイン国は、もう二度と緑あふれる土地にはなりえません。ですから、わたくしとともに神が王をしている国へ移住しましょう。」
その問いかけに、公爵家の使用人も領民も異存はなかったのである。それどころか、領民でもないのに、噂を聞きつけ、勝手についてくる国民までいたのであるが、ロザリアは一人残らず希望者全員を、転移魔法で連れて行ったのである。ただし、貴族はダメです。貴族はあの卒業式でロザリアが断罪されていたにもかかわらず、見て見ぬふりをしていたのだから、断じて許しませんわ。ということである。
ロザリアの伯父が王をしているアンダルシア国、移住の了解は早くに取ってある。
そして、従兄弟のうちの誰かと気の合う者と結婚する予定である。今のところ、従兄弟と言ってもずいぶん年が離れているらしいとしか聞いていない。だから、案外、誰とも気が合わなくて、そこから、他国へ嫁に行くことも可能だと言われているのである。
ただ、アンダルシア国王夫妻は、祖母ゴールデニアに頭が上がらないため、今回の移住が決まっただけで、どうしても従兄妹と結婚する必要はないようなので安心である。
オーロラ大聖女様が誕生されてちょうど1000年が過ぎる。
あれから、ちょうどいい年頃の男女で王室に男の子、カンブリア家に女の子が生まれた時だけ婚約者にさせる風習は続いているが、なかなか、タイミングよく男女の産み分けができずにいたのだが、約1000年ぶりに今年は男性のほうがマクシミリアンで、女性はロザリアと同い年で誕生したので、二人はめでたく婚約者となったのであるが。
実は、マクシミリアンは、あのマクセル一世の転生者であるが、本人は、そんなこと覚えてもいない。
そしてロザリアは、あの大聖女オーロラと転生の神アレックスとの長女で、マクセルとオーロラの話は、1000年間、子守唄代わりに聞いて育ってきたのである。
だから、父親の転生の神から、今度、そのマクセルの魂を持つ男がドメイン国に生まれ変わると聞いて、志願してカンブリア公爵家へ生まれたのでした。
ロザリアから見ると興味津々で、最終的には、自分の母親が振った相手であったとしても、二度も氷像と化した男に抱きついて生き返らせたのであるから、どんな魂を持った男か興味があったのである。
それから18年、そろそろ聖女が誕生するタイミングでカンブリアに生まれることにしたのである。ただし、生まれるのは、本来は、人間の聖女で、最初から女神のロザリアとは別人なのだが、そううまくドメイン国にだけ、聖女様が誕生するというのは、おかしな話なのである。
何はともあれ、今日、卒業式で、明日、結婚式なのである。それでも最初から、聖女様の触れ込みで誕生したのでああるから、お妃教育たるものはない。最初から、特別扱いなのである。それでもその前に1000年近く、神界で暮らしてきた女神の孫ロザリアは、大人として教育を受けてきたわけであるから、優秀で、我が儘も言わず、周囲に気遣いができる娘であったので、「さすが!聖女様。」という評価でしかなかったのである。
パーティが始まってすぐのことである。婚約者のマクシミリアンが知らない令嬢を引き連れて、ロザリアの前に姿を現した。周囲の貴族たちは、無言で道を開ける。
「公爵令嬢ロザリア・カンブリア、貴様との婚約は、今をもって破棄させてもらうこととする。」
「は?何故でございますか?明日、結婚式を控えているというのに。」
ロザリアは、別にマクシミリアンのことなど、どうでもいい。我が家は神界では名門一族であるので、神界の若い神から、アイドル並みの人気を博しているのである。
女神ゴールデニアを祖母に持ち、創造神のアマテラスは曽祖父である。
「ははは。しらばっくれるのも、大概にしろ。貴様はこの男爵令嬢リリアーヌを学園内で、さんざん虐めぬき、死に追いやろうとしたではないか?」
「はて、そこの令嬢とは、今初めて、初対面でございますれば、初対面の方をどのようにすれば、虐めることなどできましょうか?」
これが、人間界での婚約破棄というものか!母オーロラから、散々聞かされていたもので、身分の高い王子に身分の低い女がちょっかいを出し、王子の婚約者に冤罪を擦り付けるというもの。
「ひどいですわっ!ロザリー様、ロザリー様は、私を学園内で、さんざんいじめておきながら、私のことなど、初対面であると逃げられるおつもりでしょうか?」
「あのね、え……と。」
ロザリアは、名前を間違われていることに困惑しつつ、指摘したほうがいいかどうか思案していると
「リリアーヌ!ロザリーではなく、ロザリアだろうがっ!さんざん教えたのに、バカだな。」
「ああ、そうでした。ロザリア様は、私の教科書に落書きされたうえ、破って捨てられ。その上、階段から突き落とされて、もう少しで大けがをするところでしたわ。」
「どなたか証人がいらっしゃいますか?その落書きを見せてくださいませ。」
ロザリアは、なんだか楽しくなってきたのである。聞きしに勝る言いがかりですわ。
「証人などなくてもいい。リリアーヌがそう言っているのだから、リリアーヌが嘘を言うはずがない!」
ほぅ、そう出ましたか?人間の男は、下等動物で、バカだと聞いておりましたが、ここまでですか?
「それでは、どうあってもわたくしに冤罪をかぶせるおつもりなのですね。聖女として、生まれてきたわたくしに?」
「へ?……聖女様?……聖女だろうが何だろうが、将来の国母たるリリアーヌを殺害せんとしたことは許しがたく……。」
途中まで言い終わらないうちに、遮って、ロザリアは魔法で氷の剣を出し、
「そこまでおっしゃるのなら、わたくしにも覚悟がございます。この国を、そしてそこの令嬢と、マクシミリアン様に対して、一生をかけて、祟ってやる!この恨み、必ずや晴らして見せましょうぞ。」
そう言って、ロザリアは、己の胸に氷の剣を突き立て、自害して果てた。
一瞬の出来事に会場内は、騒然となり、すぐ医療班が差し向けられたがすでに出血多量で……。
そこへ祖母の女神と母の大聖女がすぐさま現れ、「無礼者!」「控えおろう!」「我が孫娘に触るではない!」
背中には、黄金の翼を生やしている。誰が見てもわかる女神姿である。
「我が娘の魂は、神界で引き取りましょうぞ。ただし、我が娘に冤罪をかぶせた女はこうしてやる。」
リリアーヌは、一言の弁解もできないまま、氷像と化したのである。
「リリアーヌ!」
国王の重鎮も卒業式に出席していたのだが、
「まさに!伝説と同じことが……目の前で起こっているとは!信じられない!」
ブツブツとつぶやくも何もできずにいる。
「さて、元婚約者のマクシミリアン、そのほうの真実の愛というものを確かめさせてもらおう。そこのリリアーヌを生き返させられたら、お前の命だけは、助けてやろう。さもなくば……皆と同じようにしてやるが。」
そう言いながら、大地を一蹴りすると、みるみる会場内は凍っていく。女神様に対して、敵対心をむき出しにしていた者から、凍り付いていくのである。
「あ、あ……どのようにすれば?いや、待てよ、前にも確か、似たようなことがあったような気がするが……?」
「マクセル様、もう、お忘れなのですね?オーロラですよ?」
「オーロラ……?」
「ああ、腹が立つ!目をくりぬいてやろうか?」
母ゴールデニアが笑いながら、
「オーロラ、ずいぶん性格が変わったみたいね?やっぱりロザリアのこととなると、母親らしくなるものね。」
「お母様、当たり前ですわよ。なんといってもアレックス様との愛の結晶ですもの。」
その言葉に、ブフッとロザリアが噴き出す。ロザリアは、神なので、死なないのである。出血多量で死んだように見せかけていただけで、本当に死ぬ気があれば、頸動脈を切る。女神は頸動脈が切れても死ねないけど、多少のけがはする。
それを見て、マクシミリアンは
「良かった。ロザリア生きていてくれていたんだね。」
「バカ!アンタのためじゃないよ。お母様が面白いこと言うからよ。」
「え?そこの女神様が?カンブリア公爵夫人ではないようだが?」
「カンブリアの母は、人間界での産みの母、神界の母がオーロラでございます。マクセル様?もしや本当にお忘れなのですか?わたくしは、母とマクセル様のことを聞き及び、人間界に生を受けたのでございますよ?」
「すまぬ。何も覚えておらぬ。」
「まぁ、人間など下等動物だと父が申しておりましたわ。」
「父上とは?」
「転生の神アレックスでございますわ。」
「何?転生の神とは……?なんとなく記憶がある。我が愛する婚約者に俺の目の前で結婚の申し込みをしていたような?その時の女性が君か?」
「わたくしは、その時は、まだ影も形もありませんでしたわよ。何、寝ぼけていらっしゃいますの?」
「では、そなたが我が愛する婚約者か?」
今度は祖母のゴールデニアに跪くマクシミリアン。
ここまでボケられると、ゴールデニアも呆れかえっている。
「これは、本当に目玉をくりぬかなければ、怒りが収まらないわね。」
その頃、リリアーヌは、暗く寒いところで、ひとりぼっちでいる。
「ここはどこ?まさかロザリーが聖女様だなんて話聞いてないわよ。もう私死んじゃったのかしら?あーあ、こんなことになるんだったら、マクシミリアンなんかに手出ししなきゃ、良かったわ。あんなつまらないオトコいないもん。でも、ロザリーの奴、一生祟ってやると言ってたわよね?ということはどういうこと?まだまだ聖女様に目をつけられたら、この先、死んじゃっても祟られるってこと?あーあ、もう死にたいわ。って死んでるか!? 」
結局、マクシミリアンは真実の愛を示せず、男爵令嬢のリリアーヌは永遠に氷の牢から出られずじまい、お湯をかけられ肉体としても、消えてなくなり魂だけが暗く寂しいところへ何万年もさまよい続けるのです。
本人は、そのことに一切気づかず、いつかは生まれ変わられると信じているようだけど、転生の神様の娘を怒らせたからには、そう簡単には人間界に生まれ変わらず、最初はアシュラから?かどうかは知らないけど、ゴキブリにでもなるのかしらね。
それから、マクシミリアンは、本当に目が見えなくなったのだ。それは角膜が凍ったからで、オーロラがくりぬいたからではありません。
ロザリアは、カンブリア公爵夫妻と使用人、領民とも連れて、アンダルシアへ移住するのである。
「ドメイン国は、もう二度と緑あふれる土地にはなりえません。ですから、わたくしとともに神が王をしている国へ移住しましょう。」
その問いかけに、公爵家の使用人も領民も異存はなかったのである。それどころか、領民でもないのに、噂を聞きつけ、勝手についてくる国民までいたのであるが、ロザリアは一人残らず希望者全員を、転移魔法で連れて行ったのである。ただし、貴族はダメです。貴族はあの卒業式でロザリアが断罪されていたにもかかわらず、見て見ぬふりをしていたのだから、断じて許しませんわ。ということである。
ロザリアの伯父が王をしているアンダルシア国、移住の了解は早くに取ってある。
そして、従兄弟のうちの誰かと気の合う者と結婚する予定である。今のところ、従兄弟と言ってもずいぶん年が離れているらしいとしか聞いていない。だから、案外、誰とも気が合わなくて、そこから、他国へ嫁に行くことも可能だと言われているのである。
ただ、アンダルシア国王夫妻は、祖母ゴールデニアに頭が上がらないため、今回の移住が決まっただけで、どうしても従兄妹と結婚する必要はないようなので安心である。
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