天翔ける巫女~レコンキスタ失われた愛を求めて

青の雀

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12.祟り

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 蘆屋道満の屋敷は、都のはずれにあり、やや辺鄙なところに居を構えている。

 安倍晴明とは違い、どちらかと言えば、世捨て人のような隠遁生活をしているように見える。

 どうして、ここまで穏やかな人が安倍晴明などという売り出し中の人に喧嘩を売ろうとしたのか?その答えは、安倍晴明が勝ったから、勝った者の歴史が残っていると思われる。安倍晴明が、自分の名前をより高めるために蘆屋道満に喧嘩を売ったのであろう。

 ミコが屋敷を訪ねると、快く招き入れて、お茶でもてなしてくれる。

 「天翔ける巫女殿のことは古来の伝書にて、存じておったが、まさか本当に出会えるとは思ってもみなかったこと。これは、よい死に土産ができたものよ。」

 帝からの仰せというならば、仕方がないことかもしれないけれど、晴明は式神相手に性欲処理をしていたが、道満はどうなのだろうか?

 「がはは。儂はもう歳だから、そっちの方は、もう枯れておってな。でも、ミコ殿さえよければ、もうひと踏ん張りしてもよいぞ?……冗談だよ、気にすることはない。」

 でも、カラダは、筋肉質で、アソコも大きい。

 ミコは思わず、生唾を飲み込むと、やおら、道満のシンボルを手に取り、うっとりとした表情で、それを口に含む。

 「な、な、何をなされる!巫女殿、正気か?」

 この時代に、まだ口淫というものがあったかどうかは、わからないけど、

 「今宵は、一夜の夢を見てくださいませ。道満さま。」

 そう言いながら、道満の上に己の身を乗せ、奥までズプリと刺し、前後左右に円を描くように腰を動かす。

 ついでに言えば、この時、道満に結界を張ることに成功する。生命がいかに卑怯者であったとしても、これで命だけでも、守れるだろう。

 恍惚とした表情を道満も浮かべ、

 「生きているということは、これほどよかったものかと今更ながらに実感できたわい。ありがとう。巫女殿。」

 突如、猛烈なめまいを感じてしまう。

 これは、将軍様よりのお召しがかかったということ。ちょうど、道満殿も欲を吐き出され、グッタリとされている間に、道満殿に、最後のキスをして、将軍様のところへ、急ぐ。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 その次に来たときは、もう遣唐使を廃止した菅原道真の時代までになってしまう。宇多天皇から醍醐天皇の時代に勢力を得たのだが、その後、悲運に見舞われる。

 あの後、安倍晴明と対決した蘆屋道満さまは、ご無事だったかどうか、知る由もない。

 醍醐天皇は宇多天皇から、引き継いだ時、右大臣に菅原道真、左大臣に藤原時平の体制で政を進めようとしたが、藤原時平は策謀により、菅原道真に「謀反の疑いがある。」とでっち上げ、その結果、太宰府に左遷されてしまいます。

 いわゆる昌泰の変として知られているのだが、流罪になって2年後、悲しみのうちに逝去される。

 伝説では、その後、道真は鬼に転生して、自分を嵌めた藤原家に対して、怨霊となり復習していく。

 中臣鎌足の子孫が思わぬ形で、歴史にかかわってくることから、ミコは少々、複雑な気分になる。

 御所の清流殿で会議をしている最中、清流殿の柱に落雷し、柱が燃え、藤原時平をはじめとする冤罪事件の首謀者はことごとく、感電死して、真っ黒に焼けこげる。

 醍醐天皇は、その話を聞き及び、それだけでショック死してしまう。当時の人間からすれば、菅原道真公が雷神となり、自分を陥れた憎き藤原一族をことごとく滅してしまいたかったのだろうと同情が集まる。

 同じ清流殿の中にいた者でも、菅原道真公に同情した者達は無傷で、まるで寝たい澄ましたかのように、藤原家に天罰を落としたのだ。

 その後、感電死だけでなく、伝染病になった者、落馬して死んだ者などが現れる。さらなる祟りを恐れた藤原家は、天皇家の北西に当たる地に怨霊を鎮めるための社を建立する。それが現在の北の単万宮である。
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