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8.中臣鎌足との出会い
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西暦539年に百済から仏教が伝来して以来、蘇我氏は、その勢力を拡大していった。蘇我氏は、最初から仏教伝来に前向きで、物部氏は、日本古来の宗教は新党があるので不要という立場をとっていたから、一気に形成が逆転する。
以来、100年近くの間、蘇我氏と物部氏の対立は激化するばかりであったのだ。
推古天皇の甥、聖徳太子もまた仏教に深く傾倒してしまったがために天皇での統治がおろそかになり、それをも蘇我氏は利用していくことになる。
推古天皇の時代に初めて遣隋使を行うが1回目は不調に終わり、2回目の小野妹子は成功するが、隋の煬帝からは大変な怒りを買うことになる。幸いにも、隋は短命に終わり、とうの時代に中大兄皇子の父に当たる舒明天皇が遣唐使を送ったことで知られている。
聖徳太子亡き後、ますます蘇我氏に権力が集中するようになり、仏教が政治を支配するようになり、これを危惧したのが中大兄皇子と我らの主人公中臣鎌足が蘇我入鹿を撃ち、大化の改新を起こす。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
中臣鎌足は、蘇我入鹿と並び立つほど文武に秀でていた人物であったが、なんせ後ろ盾がない。
物思いにふけって、ふと空を見ると大鷲の上に人が乗っているのではないか!
もしや、あれは物の怪か?目を凝らしてみていると、おなごのようにも見える。巣言えば、昔読んだ書物の中で「天翔ける巫女」の話を読んだような記憶がある。
その時は、こんな絵空事と思って読んでいた記憶があるが、あれはもしや「天翔ける巫女」殿ではないか?
中臣鎌足は、大声で「おーい!」と呼び掛けてみることにした。
巫女殿は、気づいてくださったようで、手を振って応えてくださった。
大鷲は旋回を繰り返しながら、ほどなくして、大鷲は目の前に舞い降りる。
「儂は、代々この地で、朝廷の祭祀を司ってきた家柄なのだは、どうも祭祀の仕事は性に合わん。もっと国のためになるような仕事をしたいと思っているのだが、おお、そうであった名乗るのが遅れてしまったな。中臣鎌足と申すものじゃ、そちらは天翔ける巫女殿とお見受けした次第じゃ。」
「いかにも、わたくしは天翔ける巫女と太古の時代から呼ばれております者。名をミコと申します。アナタ様がかの有名な藤原鎌足様なのですね。お会いできて光栄です。」
「え……そんな……、儂の今の姓は中臣だが、それを藤原という名にしてくれるお方がおられるということだな?もしよければ、その方の御名を教えていただくわけにはいきませんか?」
「中大兄皇子でございますよ。中臣様は、その中大兄皇子と組んで、歴史に名が残る偉業を成し遂げられます。そして、生まれ郷の名を取り、藤原姓を名乗られるのですが、これが藤原始祖と呼ばれる、代々長きにわたり受け継がれる名前でございます。」
「ほぅ。藤原始祖とな。いいことを申してくれた。儂はどのようにして、中大兄皇子様と知り合うきっかけがあろうか?祭祀を司る家と皇太子殿下とは到底、お会いすることも難しく……。」
「中大兄皇子様は、たいそう蹴鞠がお好きなようで、ある時、鞠と共に沓を飛ばしてしまわれます。それを拾い届けることで、中大兄皇子様と親しくなられます。」
「なるほど沓を届ければよいということだな。あい。わかった。して巫女殿とは、また会えるかのぉ。何か困りごとがあればいつでも訪ねて参れ、巫女殿のような美形であれば、大歓迎じゃ。」
以来、100年近くの間、蘇我氏と物部氏の対立は激化するばかりであったのだ。
推古天皇の甥、聖徳太子もまた仏教に深く傾倒してしまったがために天皇での統治がおろそかになり、それをも蘇我氏は利用していくことになる。
推古天皇の時代に初めて遣隋使を行うが1回目は不調に終わり、2回目の小野妹子は成功するが、隋の煬帝からは大変な怒りを買うことになる。幸いにも、隋は短命に終わり、とうの時代に中大兄皇子の父に当たる舒明天皇が遣唐使を送ったことで知られている。
聖徳太子亡き後、ますます蘇我氏に権力が集中するようになり、仏教が政治を支配するようになり、これを危惧したのが中大兄皇子と我らの主人公中臣鎌足が蘇我入鹿を撃ち、大化の改新を起こす。
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中臣鎌足は、蘇我入鹿と並び立つほど文武に秀でていた人物であったが、なんせ後ろ盾がない。
物思いにふけって、ふと空を見ると大鷲の上に人が乗っているのではないか!
もしや、あれは物の怪か?目を凝らしてみていると、おなごのようにも見える。巣言えば、昔読んだ書物の中で「天翔ける巫女」の話を読んだような記憶がある。
その時は、こんな絵空事と思って読んでいた記憶があるが、あれはもしや「天翔ける巫女」殿ではないか?
中臣鎌足は、大声で「おーい!」と呼び掛けてみることにした。
巫女殿は、気づいてくださったようで、手を振って応えてくださった。
大鷲は旋回を繰り返しながら、ほどなくして、大鷲は目の前に舞い降りる。
「儂は、代々この地で、朝廷の祭祀を司ってきた家柄なのだは、どうも祭祀の仕事は性に合わん。もっと国のためになるような仕事をしたいと思っているのだが、おお、そうであった名乗るのが遅れてしまったな。中臣鎌足と申すものじゃ、そちらは天翔ける巫女殿とお見受けした次第じゃ。」
「いかにも、わたくしは天翔ける巫女と太古の時代から呼ばれております者。名をミコと申します。アナタ様がかの有名な藤原鎌足様なのですね。お会いできて光栄です。」
「え……そんな……、儂の今の姓は中臣だが、それを藤原という名にしてくれるお方がおられるということだな?もしよければ、その方の御名を教えていただくわけにはいきませんか?」
「中大兄皇子でございますよ。中臣様は、その中大兄皇子と組んで、歴史に名が残る偉業を成し遂げられます。そして、生まれ郷の名を取り、藤原姓を名乗られるのですが、これが藤原始祖と呼ばれる、代々長きにわたり受け継がれる名前でございます。」
「ほぅ。藤原始祖とな。いいことを申してくれた。儂はどのようにして、中大兄皇子様と知り合うきっかけがあろうか?祭祀を司る家と皇太子殿下とは到底、お会いすることも難しく……。」
「中大兄皇子様は、たいそう蹴鞠がお好きなようで、ある時、鞠と共に沓を飛ばしてしまわれます。それを拾い届けることで、中大兄皇子様と親しくなられます。」
「なるほど沓を届ければよいということだな。あい。わかった。して巫女殿とは、また会えるかのぉ。何か困りごとがあればいつでも訪ねて参れ、巫女殿のような美形であれば、大歓迎じゃ。」
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