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6.卑弥呼

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 グチュッグチュッ、パンッパンッパンッ。

 「んふ……。」

 「ミコのカラダはいやらしいな。そんなに俺に抱かれるのが良いか?」

 {だって、将軍様しか知らないんだもん。イイに決まっているでしょ♡}

 後宮で、将軍様からのお召しがかかったのだ。急に消えてしまって、その後どうなったのだろう?

 だから急いで謁見したいと言ったのに、いつ将軍様からお召しがかかるかわからないから。ほかの妾のところに順番に行かれているのだが、お味がよくなくて、いつも必ずお口直しに美子のところへ寄られる。

 急いで、自分に清浄魔法をかけたものの、あっという間に巫女衣装をはぎ取られてしまって。

 「んふ……。」

 「ミコ、今日は一日中どこへ行っていた?女官長が、ミコがいないと大騒ぎしていたようだが……?」

 げ!古代へ行っていたとは、言えない。カギをかけて言ったのに、バレてる?

 「あの……、今度の将軍様のお誕生日プレゼントの準備をしておりましたの。でもバレてしまったようだから、別のものをご用意しますね。」

 「ほぅ。何をくれるつもりだったのか?」

 「だって、お部屋にカギをかけて行ったのに、覗かれたかもしれないからサプライズの意味ないでしょう?だから言わない。」

 「うーん。困ったな。だったらミコを監視する要因を増やすことになっちゃうよ。カギもミコが勝手にかけられないようになるかも?」

 「ええー!うそ!ヤダ。」

 「正直に言いなさい。隠し事はダメだよ。」

 「わかったわ。サプライズにならないけど、いい?」

 「いいよ。」

 「巫女舞の練習をしていたの。神様に奉納する巫女舞の練習よ。練習中、誰かに見られでもしたら効果が半減するから、一人でこっそり練習していたの。」

 とっさに口から出まかせを言う。

 「!!!俺、神様じゃないけど……。ミコの気持ちが嬉しい。」

 「将軍様は神様です。わたくしをいっぱい可愛がって気持ちよくさせてくださる神様ですわ。」

 「ミコ!大好きだよ。愛している。もう一度ほしいが、いいか?」

 「もちろん。もっと気持ちよくさせてね。……あ、は~ん。」

 朝までまた抱かれ、今日の稼ぎは500万円プラスアルファ

 将軍様は、去り際に嬉しいプレゼントを言ってくれる。

 「ミコはもう自由の身だ。これからは、ミコの部屋を覗かないことを使用人に約束させる。俺がいないとき、どこで何をしてもいいが、俺が抱きたいと願ったときにだけ、この部屋にいてさえしてくれれば十分だよ。」

 「将軍様、お渡りをお待ちしています。でないとミコ寂しくて、泣いちゃうかも?」

 ちょっと煽るようなことを言えば、将軍様は足を止め、口の中を蹂躙し、胸をまさぐり、その後はいきなり、ズブっと貫いてこられる。

 先ほどまでの余韻が、あったから痛みはないけど、大げさに喘いでみせると、

 「ミコ、俺だけのミコだよ。」

 当り前じゃないか!ニッポンから無理やり拉致してきて、この後宮に放り込まれ、処女を奪った挙句、男とは誰一人接触できないのだから。

 不満のはけ口が、将軍様というわけ。将軍様に気に入られれば、どんな権力だって、手に入る。だから、将軍様が喜ぶようなことをわざと言う。

 それだから余計、時間旅行は、楽しい。時間旅行中は、浮気したって、いいのかな?古代人とする気はないけど。

 結局、100万円プラスアルファをもぎ取って、その日はお開きとなる。

 いくら将軍様がスキモノでも、毎日10回のお務めは誰だってキツイはず。

 しばらく、お召しはないはずだから、急いで卑弥呼の住む邪馬台国へ向かう。ついでにデジカメを持っていくことにした。もしかしたら、歴史が変わった時に、いい思い出になるかもしれないから。

 スマホにしなかったことは幸いした。GPSで追跡されたら、ニッポンに来ていることがバレちゃうもんね。

 謁見の間を覗いてみると、空っぽで、仕方なくあの洞窟を覗いてみると、ウリの奥さんはすでに他界していて、子供たちもみな成人して、新しい家庭を持っているみたいだった。

 鳥居の中へと入っていくと、いち早く気づいたのがウリで、新しい奥さんを紹介してくれる。

 ミコは、新しい奥さんのカラダにも結界を張ってやる。これで天寿を全うできるだろう。

 お供えは順調に続いているようで、あの時の子供たちも、この洞穴の中で新しい家族とともに生活しているようだ。

 まだ、あの謁見の間から半日ほどしかたっていないというのに、ずいぶん時間が過ぎている感じがする。

 そのあたりを探るべく、再び卑弥呼の住む王城へ行こうと思う。

 空を飛んで移動していると、いつの間にかイーグルが横を飛んでついてきている。

 王城の門の前で降り立つと、「空飛ぶ巫女が謁見に参ったと伝えてくれ。」と申し出る。

 ほどなくして、謁見の間に通され、また片膝を立て臣下の礼を取る。

 「この前は、一瞬で消え失せてしまったのでな。今日はゆっくりいたせ。」

 「ははっ。」

 「そうだ。この前、魏の国より鏡をもらってな。その方に見せてやろう。」

 卑弥呼は、昨日ミコと一緒に空を飛んだ弟に鏡を持ってこさせる。弟もずいぶんやつれたみたいな感じ。あれから何年経っているのかなぁ。

 持ってこられた鏡は、鏡というより鉄の板?という感じ。これのどこが鏡よ。

 「では、わたくしも卑弥呼様に鏡を差し上げましょう。」

 後宮の部屋にあった鏡を持ち出してきた。確か邪馬台国では、鏡が呪術の必須品だと聞いていたので、念のため持ってきたのだ。

 「空飛ぶ巫女の鏡とは、わらわのほうが……!」

 手にした途端、誰かもう一人の人物が鮮明に映っている。

 「誰?このおばあさんは?どこから参った?」

 「それが本当の鏡と申すものでございます。今、手に持っておられる方のお姿を映すものでございますれば、……。」

 「わらわがこのような年寄りだと申すのか?」

 「?」

 「そなたは、5~6年前とあまり年を重ねていないように見えるが?」

 「へ?5~6年も?」

 わずか半日で5~6年も年月が変わっているの?それなら一日、ここにいれば……?いやいや反対だ。あの時、将軍様は、一日を一日と半日を半日と理解されていたから、向こう(現代)で1日過ごせば、こちらの10年に匹敵するということかもしれない。

 「今は、何年何月でございますか?」

 「空飛ぶ巫女は、そのようなこともわからぬのか?」

 「はい。わたくしは、遠く1800年もの先の世から参りましたものでございますれば、こちらの年代がわからないのでございます。」

 「ええい、世迷言を!この鏡に映っている老婆がわらわではないということを申せば、いいものを。」

 よほど自分の年老いた姿がショックだったのだろうか?鏡をたたき割れば済むものを、わなわなと震わせながらも持っている。

 そこへ弟が来て、その鏡をミコに返そうとする。ミコの手元に戻ってきた鏡は、ミコの今の姿を鮮明に映していることを弟は見逃さなかった。

 「鏡のほかに、何か献上できるものがございますれば、そちらと交換ということにいたしましょう。」

 「わかりましたわ。それでは今から2日の先に日蝕が起こります。」

 「にっしょくとは?」

 「日中に、太陽がかげるのでございます。つまり太陽が一時的に姿を隠す現象でございます。」

 「そのようなバカなことがあるわけがない。さっさと失せろ!」

 「姉上、待ってください。明後日には、ハッキリいたすことでございましょうから、それまで、この者を屋敷の中に閉じ込め様子見されてはいかがか?それに、その鏡もまんざらニセモノとも思えません。」

 「その方までもが、わらわが老婆だと申すのか!」

 「もう若くはないというのが、事実でございます。」

 「わかった。そうまで言うのなら、明後日になっても、何も起こらなければ、空飛ぶ巫女を処刑する。それまで楽しみにしておるがよい。」

 明後日になり、日蝕は起こり、処刑されたのは、卑弥呼の方だった。年を取り、神通力が無くなったことを自ら証明してしまったから。

 でも副葬品として、ミコまでが墓に一緒に入ることになろうとは……。

 ミコは、ウリとイーグルを先に逃がし、墓の中に素直に入る。ミコは、知りすぎた者として葬られるようになるが、どうせ将軍様が2日間もミコを抱かない日を作るとは、思えないので、またお召しがかかることは間違いないということを一番よく知っている。

 酸素が亡くなれば、転移魔法で脱出すればいいことなので、悠長に構えていると、生口が1000人もの副葬品として葬られることを知る。
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