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セレンティーヌは、ダンジョンの階段を下りて行き、中へと進む。もう先頭では、戦闘が始まっているようで、バシっという音が聞こえる。
とりあえず暗いので、光魔法を照らすと、光魔法は聖魔法の一部らしく、魔物が次々と消えていくのである。
「なんだ、意外とチョロいものなのね。」
「聖女様、気を抜かれてはいけません。」
また、護衛の騎士から叱られる。もう冒険者登録してから、何度叱られたことか?わざとやっているのかしらね。日頃の鬱憤や留飲を下げるために。
もしそうなら許さない!冒険者なんて、すぐ辞めてやるし、パーティの中にその騎士を外してやる!
リーダーは、セレンティーヌなのでから、やろうと思えばいつだってできる権力を持っているのである。
そう思っている間に5層目までは、難なくクリアしたのである。セーフティゾーンに入り、異空間からお茶の準備を取り出していく。テーブルセットを出し、クロスを敷き、ティーポットやらカップを並べていく、今日のお茶請けは、スコーンを焼いてもらったので、それを出す。
さっきまで不機嫌だったパーティメンバーの顔がほころぶ。なんだかんだ言っても公爵邸の者は、お茶の時間が好きなのだ。
幸いにも、セーフティゾーンの中には、聖女パーティだけで他のパーティはいない。もしこれが他のパーティが一緒なら、怒鳴られるところだ。
一休みをして、再びダンジョンの戦闘であるが、ほとんど戦いにならない、なぜならセレンティーヌの聖魔法を浴びた魔物は、次々と消滅していくから。それでついに最下層まで来てしまったのだ。
これまでセーフティゾーンがあれば、必ずお茶に軽食と、まるでピクニックかと思われるような調子で進んできたが、最下層の魔物はちょっとばかり怖そうな感じ?なんというか。骨だけ骸骨が歩いているのだ。骸骨が剣を振りかぶって、弱そうに見えるけど、気持ち悪いような?そんな感じ、騎士に聞くと吸血スケルトンというらしい。
剣もよく見ると人間の骨?の形をしている。血を吸うと骨が赤く染まり、それがエネルギー源となるらしい。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南妙法連……。」思わず、口からこぼれる?セレンティーヌは無意識にお念仏を口遊んでいる。
そうセレンティーヌは、前世日本人だったのである。でもその記憶はまったく持ち合わせていない。何かした拍子に日本人としての習慣が知らず知らずのうちに出るのである。
「聖女様、それは何を唱えていらっしゃるのですか?」
修道士に聞かれるも、セレンティーヌはお念仏を唱えていたことさえ、わからない。
「わたくし何かつぶやいていたでしょうか?」
「はい、……ブツ、……ブツとおっしゃっておられましたよ。」
「小さい時から、なにか困ったことなどあると無意識にそう言っているようです。それが何を意味するのかは、わかりませんわ。きっと困った時の神頼みの呪文なんでしょうかしら。」
「それならば、ぜひ我々にもご教授願いたい!神の御力をお借りできる奇特な呪文であれば、なおさらです。」
「それが無意識に言っているので、何を言っているか聞き取ってくださらないと……自分でもよくわかりませんの。」
「ほぅ。それでは聖女様のお傍近くで、聞き耳を立てることにいたしましょう。」
ただでさえ、鬱陶しいのに、よけいセレンティーヌに引っ付かれて困る。そこへ口やかましい護衛の騎士が来て、
「では私が聖女様の仰っている言葉を聞き取り、修道士様にお教えいたしましょう。」
助かった。騎士もたまには役に立つこともある。だいたい若い娘にくっつくなど、非礼ではないか?修道士であれば、何をしても許されると思っているところがイヤなのである。
とにかく騎士がセレンティーヌと修道士の間に入ってくれたので、ホッとしていると、スケルトンが呆れたような顔?でさらに戦闘が激化してくる。
セレンティーヌは、もうめんどくさくなって、聖魔法の少し強い目の魔法を放ったら、いっぺんに消滅してしまったわ。
ボス部屋にあった宝箱は、金銀財宝のほかに、どこかの地図?のようなものがあり、持ち帰ることになったのである。
オランド国のダンジョンを踏破したことで、セレンティーヌの冒険者としての活動が勢いづくのである。
世界各国から縁談と抱き合わせるかのように依頼が来るようになり、多忙を極める。
オランド国も渋々ながらも聖女様の出国を認めざるを得なくなったので、セレンティーヌはますます溌溂とする。
最初の行き先は、とにかくあのダンジョンの最下層で見つけた地図の場所へ行くことにしたのである。
オランドからは海を渡った向こう側の国、島国のようにも見える。最初、聖女様とその島国へ行ったことがあるという漁師だけが海を渡っていくことになるのだが、そんな船底一枚下は地獄というような行き方はしたくないので、その漁師のイメージで渡航することにしたのである。
いつもながら、イメージでの転移魔法。聖女様でないとできない御業に最初はだれもが目を白黒させるが、慣れればこれほど楽なものはない。
その島国は、カナリア国というらしい。地図に書かれた場所には、洞窟がある。財宝の在りか化、心は逸る。
とりあえず暗いので、光魔法を照らすと、光魔法は聖魔法の一部らしく、魔物が次々と消えていくのである。
「なんだ、意外とチョロいものなのね。」
「聖女様、気を抜かれてはいけません。」
また、護衛の騎士から叱られる。もう冒険者登録してから、何度叱られたことか?わざとやっているのかしらね。日頃の鬱憤や留飲を下げるために。
もしそうなら許さない!冒険者なんて、すぐ辞めてやるし、パーティの中にその騎士を外してやる!
リーダーは、セレンティーヌなのでから、やろうと思えばいつだってできる権力を持っているのである。
そう思っている間に5層目までは、難なくクリアしたのである。セーフティゾーンに入り、異空間からお茶の準備を取り出していく。テーブルセットを出し、クロスを敷き、ティーポットやらカップを並べていく、今日のお茶請けは、スコーンを焼いてもらったので、それを出す。
さっきまで不機嫌だったパーティメンバーの顔がほころぶ。なんだかんだ言っても公爵邸の者は、お茶の時間が好きなのだ。
幸いにも、セーフティゾーンの中には、聖女パーティだけで他のパーティはいない。もしこれが他のパーティが一緒なら、怒鳴られるところだ。
一休みをして、再びダンジョンの戦闘であるが、ほとんど戦いにならない、なぜならセレンティーヌの聖魔法を浴びた魔物は、次々と消滅していくから。それでついに最下層まで来てしまったのだ。
これまでセーフティゾーンがあれば、必ずお茶に軽食と、まるでピクニックかと思われるような調子で進んできたが、最下層の魔物はちょっとばかり怖そうな感じ?なんというか。骨だけ骸骨が歩いているのだ。骸骨が剣を振りかぶって、弱そうに見えるけど、気持ち悪いような?そんな感じ、騎士に聞くと吸血スケルトンというらしい。
剣もよく見ると人間の骨?の形をしている。血を吸うと骨が赤く染まり、それがエネルギー源となるらしい。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南妙法連……。」思わず、口からこぼれる?セレンティーヌは無意識にお念仏を口遊んでいる。
そうセレンティーヌは、前世日本人だったのである。でもその記憶はまったく持ち合わせていない。何かした拍子に日本人としての習慣が知らず知らずのうちに出るのである。
「聖女様、それは何を唱えていらっしゃるのですか?」
修道士に聞かれるも、セレンティーヌはお念仏を唱えていたことさえ、わからない。
「わたくし何かつぶやいていたでしょうか?」
「はい、……ブツ、……ブツとおっしゃっておられましたよ。」
「小さい時から、なにか困ったことなどあると無意識にそう言っているようです。それが何を意味するのかは、わかりませんわ。きっと困った時の神頼みの呪文なんでしょうかしら。」
「それならば、ぜひ我々にもご教授願いたい!神の御力をお借りできる奇特な呪文であれば、なおさらです。」
「それが無意識に言っているので、何を言っているか聞き取ってくださらないと……自分でもよくわかりませんの。」
「ほぅ。それでは聖女様のお傍近くで、聞き耳を立てることにいたしましょう。」
ただでさえ、鬱陶しいのに、よけいセレンティーヌに引っ付かれて困る。そこへ口やかましい護衛の騎士が来て、
「では私が聖女様の仰っている言葉を聞き取り、修道士様にお教えいたしましょう。」
助かった。騎士もたまには役に立つこともある。だいたい若い娘にくっつくなど、非礼ではないか?修道士であれば、何をしても許されると思っているところがイヤなのである。
とにかく騎士がセレンティーヌと修道士の間に入ってくれたので、ホッとしていると、スケルトンが呆れたような顔?でさらに戦闘が激化してくる。
セレンティーヌは、もうめんどくさくなって、聖魔法の少し強い目の魔法を放ったら、いっぺんに消滅してしまったわ。
ボス部屋にあった宝箱は、金銀財宝のほかに、どこかの地図?のようなものがあり、持ち帰ることになったのである。
オランド国のダンジョンを踏破したことで、セレンティーヌの冒険者としての活動が勢いづくのである。
世界各国から縁談と抱き合わせるかのように依頼が来るようになり、多忙を極める。
オランド国も渋々ながらも聖女様の出国を認めざるを得なくなったので、セレンティーヌはますます溌溂とする。
最初の行き先は、とにかくあのダンジョンの最下層で見つけた地図の場所へ行くことにしたのである。
オランドからは海を渡った向こう側の国、島国のようにも見える。最初、聖女様とその島国へ行ったことがあるという漁師だけが海を渡っていくことになるのだが、そんな船底一枚下は地獄というような行き方はしたくないので、その漁師のイメージで渡航することにしたのである。
いつもながら、イメージでの転移魔法。聖女様でないとできない御業に最初はだれもが目を白黒させるが、慣れればこれほど楽なものはない。
その島国は、カナリア国というらしい。地図に書かれた場所には、洞窟がある。財宝の在りか化、心は逸る。
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