巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第3章 異世界セールス

３８.有志

　米軍基地内にお世話になっているマリは、日本国内にあるすべての米軍施設に縦型ゲート魔法陣を置いた。
　これで、日本国内とアメリカ全土は、繋がった。

　あとは、ヨーロッパと極東ロシアをどうするか、だ。
　北方領土問題があるから、あまりロシアには、やりたくないというのが正直なところだが、大和や大輔が誘拐されたとき、お世話になったということがネックになっている。

　ロシアについては、政府の判断に任せよう。

　魔石がまた足りなくなってきたのだが、日本へ帰還してから、早7年が経過しようとしている。
　異世界召喚組も、あのままずっと異世界で暮らした人は、もうみな他界している。
　一級建築士の坂部先生、聖女マサコさんしかり、市会議員のミサキ先生も「鶏口となるも牛後となるなかれ」と言われて、異世界日本村の初代村長になられた。

　当時女子大生だった結衣ちゃんも、もう立派なお母さんになっている。
　高校生で召喚された人たちに、召集かけてみようかしら。

　そう考えていたら、自衛隊と米軍兵士の有志が集まって、自分たちが魔石を取りに行く役目をすると言い出してくれた。

　「お申し出、大変ありがたく思いますが、なんのチートもない有志の皆さんが行かれて、もし何かあれば、と怖いです。」

　「俺たちには、最新の兵器と鍛え抜かれた肉体の武器があります。それに精神力では、召喚者に負けない自負があります。どうか、俺たちにお任せください。」

　「そこまで言われれば、お言葉に甘えさせていただくことにしました。よろしくお願いします。お断りする理由もありませんし、もし、何かあれば、いつでも応援に伺います。」といって、全員に念話・伝令魔法を付与した。

　そして、個々人と兵器全部にバリアと身体強化、攻撃力増大の魔法を付与した。

　平和利用だからという口実だけど、もしこれが戦争に利用されたらと思うと、少し寒気を感じたけど、今はそうも言っていられない。

　特別国家公務員に任命された私たちが思うように動けない今、彼らに頼らざるを得ない。

　召喚者の冒険者にも、魔石採取のため兵士と共に行動してくれる人を募った。
　当時高校生であって、異世界ホストクラブでナンバー1を取っていたケンタくんが参加してくれることになった。今は、中学校の教師をしてくれているそうだ。
　ほかにも、結衣ちゃんの彼氏だった大地君。今は大阪市内で一級建築士事務所に勤務しているが、今度、大阪万博に出展するためのコンペがあるそうで、それに向けて煮え詰まっている頭をリセットしたいので参加するということだった。

　とりあえず、頭数はそろったので、マリの実家のお寺の境内集合ということで、集まってもらって、そこから出発してもらいました。