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第2章 異世界開発
31.訃報、前進あるのみ
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ダンジョン討伐が終わり、日本へ帰ってから、マリの両親、鈴鹿さんの両親を交えて、大(旦那)さんと何度も話し合いをした。
結果、「別居婚」をすることになった。
マリは、0歳(大輔)と1歳(大和)の子育てがあるから、ほとんど日本で暮らし、大さんは、勇者として異世界で暮らすことになった。大さんの会計士として仕事があるときは、日本へ一時帰宅した。
一時帰宅したときは、必ず求められたけど、それは「義務」として応じた。別に仲が悪くて別居したわけじゃない。今でも愛していないかと言えば、ウソになる。ただ、最初は小さい疑念でも生まれてしまえば、大きくなる。それに耐えられなくなったからだ。
半年後、訃報が届いた。
異世界で魔物討伐している最中に、崖が崩落して、魔物と共に崖下に…。
最後は、安らかな寝顔だった。と
遺骨が、荼毘に付されて戻ってきた。
異世界年齢 享年43歳 日本年齢25歳 若すぎる死だった。
葬儀は、マリのお寺で執り行われた。
政府関係者、勤務先だった監査法人、異世界経験者からもたくさん参列していただいた。
最後のお別れは、魔法陣に、お花を手向けた。
異世界での討伐中での死は、労働災害として認められた。遺族特別功労金、遺族補償一時金として1億円支給された。非課税です。監査法人からは、退職金も出た。
在職中の死亡だから遺族補償年金、遺族共済年金、遺族厚生年金、遺族基礎年金、それにマリの寡婦加算、子供2人の加給年金も支給され、全部で1000万円になった。非課税です。
事業所得があるマリは、併給調整やら所得制限にひっかかり、支給停止になるはずなんだけど、異世界経験という特殊な理由での受給のため、すべての制限が解除され受給される見込みだ。
マリの商売による事業は、異世界物販だけで、年商10兆円、魔法陣設置費用が1個1億円、魔石付与一人1個千万円稼いでいる。会社組織にすれば、上場審査会も一発OKするような東証一部に上場できる規模である。
しかしながら、マリには、そんなにお金を稼ぐ必要がない。
「どこかに寄付しようかしら。それとも人を雇って、労働分配率を上げて…。この上、年金までもらったらどうなることやら。」
日本国御用達だから、それもできない。秘密が多すぎる。個人で細々、コツコツやるしかない仕事だから。
所得税の計算は、超過累進税率を使うが、異世界という特殊な環境下での税率になり
超過累進税率に12(か月)を乗じて365(1年)で割る、という特殊な計算をする。
マリの場合は、最高税率の45% × 12/365 = 1.479% になる。
これは、日本時間12日が異世界時間1年に相当するから、である。
そうこうしている間に、アノ事故から1年が近づいてきた。
マリは、日本人年齢24歳になった。異世界年齢は27歳です。
大学時代の同級生から、また合コンに誘われたけど行く気がしない。
だって、2人の子持ちの未亡人よ。
「いつまでもふさぎ込んでちゃダメよ。マリは今度の合コンでの目玉なんだから!」
心配してくれているのか?なんかわからない目玉って何?
「美しき未亡人で、若き実業家ってことよ。」
「今度のお相手は、若い弁護士さんのグループよ。司法修習とイソ弁終わって、これから開業しようって、将来有望株よ。」
「ごめん。やっぱり無理。大さんが忘れられないから。」
マリは、本当の理由を言わなかった。言えなかった。
「んじゃ、乾杯だけ顔出してよ。私の顔を立てて、お願い。」
合コンは、人数合わせ、ということもあるから仕方ないと思った。
自己紹介と乾杯の後、すぐ帰れなかった。帰れる雰囲気ではない。なんとなく好奇の目で見られているような気がした。隅っこで黙々と食事した。お手洗いに立った。
出てきたら合コン相手だろうか、やけにきれいな弁護士バッチが目立つ青年がいた。
「マリさん、税理士だろ?一緒に事務所やらない?」
弁護士は税理士資格も持っているから、一緒に事務所をするところは多い。
「この後、2人で相談しないか?今後のことも含めて。」強引に誘われた。
その強引さ加減が、大さんを思わせた。
「お断りします。私、トロフィーワイフではありません。」
逃げるように店を出た。
初対面の弁護士の彼が追いかけてきて、
「そんなつもりありません。」
「マリさんに、幸せになってほしいだけです。」
「考えといてください。」
「必ず、迎えに行きます。」
大声で叫ばれて、恥ずかしいような。嬉しいような。
あまり、モテた記憶がないマリにとっては
これに乗れば、また、失敗するかしらん。クスリと笑った。
第2章 終わり
結果、「別居婚」をすることになった。
マリは、0歳(大輔)と1歳(大和)の子育てがあるから、ほとんど日本で暮らし、大さんは、勇者として異世界で暮らすことになった。大さんの会計士として仕事があるときは、日本へ一時帰宅した。
一時帰宅したときは、必ず求められたけど、それは「義務」として応じた。別に仲が悪くて別居したわけじゃない。今でも愛していないかと言えば、ウソになる。ただ、最初は小さい疑念でも生まれてしまえば、大きくなる。それに耐えられなくなったからだ。
半年後、訃報が届いた。
異世界で魔物討伐している最中に、崖が崩落して、魔物と共に崖下に…。
最後は、安らかな寝顔だった。と
遺骨が、荼毘に付されて戻ってきた。
異世界年齢 享年43歳 日本年齢25歳 若すぎる死だった。
葬儀は、マリのお寺で執り行われた。
政府関係者、勤務先だった監査法人、異世界経験者からもたくさん参列していただいた。
最後のお別れは、魔法陣に、お花を手向けた。
異世界での討伐中での死は、労働災害として認められた。遺族特別功労金、遺族補償一時金として1億円支給された。非課税です。監査法人からは、退職金も出た。
在職中の死亡だから遺族補償年金、遺族共済年金、遺族厚生年金、遺族基礎年金、それにマリの寡婦加算、子供2人の加給年金も支給され、全部で1000万円になった。非課税です。
事業所得があるマリは、併給調整やら所得制限にひっかかり、支給停止になるはずなんだけど、異世界経験という特殊な理由での受給のため、すべての制限が解除され受給される見込みだ。
マリの商売による事業は、異世界物販だけで、年商10兆円、魔法陣設置費用が1個1億円、魔石付与一人1個千万円稼いでいる。会社組織にすれば、上場審査会も一発OKするような東証一部に上場できる規模である。
しかしながら、マリには、そんなにお金を稼ぐ必要がない。
「どこかに寄付しようかしら。それとも人を雇って、労働分配率を上げて…。この上、年金までもらったらどうなることやら。」
日本国御用達だから、それもできない。秘密が多すぎる。個人で細々、コツコツやるしかない仕事だから。
所得税の計算は、超過累進税率を使うが、異世界という特殊な環境下での税率になり
超過累進税率に12(か月)を乗じて365(1年)で割る、という特殊な計算をする。
マリの場合は、最高税率の45% × 12/365 = 1.479% になる。
これは、日本時間12日が異世界時間1年に相当するから、である。
そうこうしている間に、アノ事故から1年が近づいてきた。
マリは、日本人年齢24歳になった。異世界年齢は27歳です。
大学時代の同級生から、また合コンに誘われたけど行く気がしない。
だって、2人の子持ちの未亡人よ。
「いつまでもふさぎ込んでちゃダメよ。マリは今度の合コンでの目玉なんだから!」
心配してくれているのか?なんかわからない目玉って何?
「美しき未亡人で、若き実業家ってことよ。」
「今度のお相手は、若い弁護士さんのグループよ。司法修習とイソ弁終わって、これから開業しようって、将来有望株よ。」
「ごめん。やっぱり無理。大さんが忘れられないから。」
マリは、本当の理由を言わなかった。言えなかった。
「んじゃ、乾杯だけ顔出してよ。私の顔を立てて、お願い。」
合コンは、人数合わせ、ということもあるから仕方ないと思った。
自己紹介と乾杯の後、すぐ帰れなかった。帰れる雰囲気ではない。なんとなく好奇の目で見られているような気がした。隅っこで黙々と食事した。お手洗いに立った。
出てきたら合コン相手だろうか、やけにきれいな弁護士バッチが目立つ青年がいた。
「マリさん、税理士だろ?一緒に事務所やらない?」
弁護士は税理士資格も持っているから、一緒に事務所をするところは多い。
「この後、2人で相談しないか?今後のことも含めて。」強引に誘われた。
その強引さ加減が、大さんを思わせた。
「お断りします。私、トロフィーワイフではありません。」
逃げるように店を出た。
初対面の弁護士の彼が追いかけてきて、
「そんなつもりありません。」
「マリさんに、幸せになってほしいだけです。」
「考えといてください。」
「必ず、迎えに行きます。」
大声で叫ばれて、恥ずかしいような。嬉しいような。
あまり、モテた記憶がないマリにとっては
これに乗れば、また、失敗するかしらん。クスリと笑った。
第2章 終わり
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