巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第2章 異世界開発

26.夫婦喧嘩

　自衛隊駐屯地にゲート(縦型魔法陣)を設置した。

　160か所ある陸上自衛隊の駐屯地にゲートを設置し終わると、さすがに魔石の在庫が乏しくなった。

　魔石を仕入れるため、と同時に異世界開拓を進めるため、再び、異世界へ飛んだ。
　息子の大和くんは、またマリの実家でお留守番だ。異世界へ連れて行ったら、あっという間に成人しちゃうから、連れていけない。普通の子供と同じように成長してほしい。

　社会人で、元冒険者の人たちと共に、大型観光バス2台に分乗した。卒論を書くためだからと、女子大生の結衣ちゃんも一緒だ。
　マリにとっては、おじさんばかりで紅一点だったから、結衣ちゃんの同行はありがたい申し出である。

　「やっぱり若い女の子がいると違うね。」
　旦那が鼻の下を伸ばして、言うものだから、肘鉄を食らわせてやった。

　他のおじさん連中も皆デレデレしている。

　「私と大して歳変わらないよ。」

　「いや、マリとはニオイが違う。」

　「それどういうことよ？誰が臭いって？」

　魔物討伐へ向かう車中で夫婦喧嘩になった。

　結衣ちゃんは宇治のお茶問屋さんの跡継ぎ娘だから、お茶の香りがするらしい。
　それに比べて、マリは、お寺の娘だったから、なんとなく線香？抹香？臭いらしい。

　運転手をしてくださる新藤さんが、「まぁまぁどっちもカワイコちゃんだよ。」と仲裁に入っていただいて、なんとか収まった。

　絶対、ぜったい、ゼーッタイ。日本へ帰ったら離婚してやる！と心に決めた。

　前方に魔物の群れが索敵スキルに引っかかった。

　ちゃちゃっと討伐した。大漁だった。

　「この調子♪この調子♪あと五百個ほど集まったら帰ろうね。」

　マリの言葉に、一同ギョッとした。

　結衣ちゃんが「そんなに大学休めへんわ。」の声に、おじさんたちがこぞって賛同したので、マリのヒステリーがピークに…。

　「いい加減にしろ！」旦那に怒鳴られた。はじめて怒鳴られた。

　「ごめんなさい。」素直に謝ったら、旦那さんが抱きしめてくれた。

　ああ。やっぱりマリは、この人が好きなんだなと惚れ直した。
　悪いことをした時に、きちんと叱ってくれる人がいてよかった。

　その日は、そのまま日本へ帰った。

　日本では、日帰りでしかも1時間もせず帰ってきたので、心配された。

　旦那さんも一緒に、きちんと謝罪して、翌日、また行くことになった。

　翌日、前日とは打って変わって、ずっとイチャイチャして上機嫌で魔物を討伐したことは言うまでもない。
　500個の魔石は、すぐに貯まった。

　日本時間で1日も経過していないことから、引き続き日本の領土になりそうな場所を探しに行った。次の候補地は、別に海沿いじゃなくてもいいね。あ、でも海沿いのほうが船で行き易いか。