巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第1章 異世界召喚

21.新天地を探しに

　日本との連携でハツカネズミを生きたまま送ることに成功した。マリは、日本政府相手に異世界商品を売る事業を始めた。

　異世界に来て2年。
　私たちは、カナリヤ帝国の帝都へ赴くことなく、新たな土地を求めてジプシーしている。

　事の発端は、ハツカネズミを生きて日本へ送り返すことができてから、一気に日本へ帰還する機運が高まった。アポロ11号の月面着陸、星条旗と記念撮影した宇宙飛行士の映像が年寄り連中のDNAに響いた。いや、高校生もそうだったのかも？とにかく、アレをやろうという話になった。

　希望するところは、山と海があり平地が広がっている場所。これがなかなか見つからない。
そして、誰の領地でもない場所。領土をめぐって戦争する気がないから、魔物と戦うことは、抵抗なくなったけど、人間相手に戦うのは抵抗がある。先住民と仲良くできるのなら、先住民がいるところでも大丈夫なんだけどね。先住民がいるところは、たいていどこかの国の誰かの領土だったりするから、ままならない。

　領土の問題もさることながら、マリには、もうひとつ懸念することがあった。
　それは、日本を出発するときは23歳だったマリが今や25歳、息子の大和は、1歳になっているが、今、帰還したら、25歳として帰るのか、日本時間の23歳として帰るのか、息子の存在がどうなるのか、ということだった。

　23歳として、帰ったら、旦那（鈴鹿先輩）とまだ付き合う前だし、子供の存在は否定される。でも25歳として帰ったら、子供はいるけど子供はいつ生まれたって話になる。それに、高校生の中には、18歳と20歳じゃ意味が異なる。高校を卒業する前に20歳になっているってことだから、大学受験とかどうなるのかなぁ。高校生でも15歳と17歳だったらそう影響ないのかもしれない。

　日本政府としては、精一杯やってくれたから、誰も恨めない。恨むとしたら、召喚したアノ国ぐらいのものね。

　正直なところ、旦那は諦められる。息子の大和のことだけが心配である。
　新入社員だったマリも、すっかり母親の顔をしていた。

　そうこうしている間に、海が見えてきた。
　海岸線に沿って、移動したほうが効率的じゃないの？とか思ったけど運転手をしてくださっている新藤さんには、とても言えない。

　幸いなことに、海岸沿いの平地には、先住民がいなかった。

　ひょっとして、ひょっとするかも？

　バスから降りて、辺りを探索する。索敵のスキルを持った人が中心になって動く。
　マリは、念のため、聖魔法でその場所を浄化する。
　安全を確認したら、異空間収納から、次々家を出す。とりあえずの今日の宿だ。
　
　日の丸の国旗を購入して、どこに設置するかの相談をした。

　見晴らしのいい丘に、設置することになった。
　記念すべき、設置式は、Yoo Tubeで生配信することにした。