巻き込まれ召喚聖女は、商人として成り上がる ～日本から持ってきたタブレットPC、異世界通販で大活躍

第1章 異世界召喚

10.新たな仕事

　今回の呼出し命令も市会議員の先生に対処してもらうことになった。
　先生、ごめんなさい。
　礼服を持っているのが先生だけだからと、押し付けました。
　先生も、そのお役目はまんざらでもなさそうでしたけど。
　転移魔法が使えることがバレたら、いろいろ面倒ごとに巻き込まれるかもしれないのでお城からの馬車で行かれました。

　冒険者だった重森先輩は、お水の彼女さんの経営するキャバクラでバーテンダーとして働くことになりました。蝶ネクタイがお似合いでカッコイイです。
　お店でトラブルがあっても、元「剣聖」様だから、あっという間にコテンパンに倒しちゃうからステキ♡　女の子たちがキャーキャー騒いでいる。

　街が平和になって住みやすくなったのは良かったけど、鈴鹿先輩が会計士の仕事があるくせにホストの仕事もやりたいらしく、カッコつけてるのよ。腹が立つ。

　お店は、キャバクラだけでなくホストクラブも始めました。ウチの冒険者はイケメン揃いで男子高校生もいる。全員に黒服を着せて、指名売り上げに応じて報奨金出す。

　指名第1位から第3位まで店に名前を貼り出し、お客にお目当ての子の売り上げを競わせるようにした。ホストには、お客に触らせても自分がお客に触らないよう教育をした。いろいろトラブルになったら困るからね。羽振りのいい女性客を女王様のように大切に優しく扱うように指導した。

　異世界といえども、まだまだ男尊女卑だからこの世界の女性たちは大切に扱われることに慣れていない。一度でも大事にされたらメロメロになると思う。きっとリピート率上がるよ。

　年配男性の中には、料理人だった人もいて、昼間は普通の食堂、夜は居酒屋をすることにしました。やっぱり、お酒を出さないと儲からない。メニュー構成などは、板さんに任せた。

　男性陣すべての働き口を確保した。
　この街に腰を落ち着ける準備がそろった。

　市会議員のミサキ先生が戻られた。
　国王陛下の呼出しの内容は、今回の魔物討伐の成果に見合った恩賞金が出ることになった。異世界日本人に爵位を与えたい。ということだった。ただし、タダではなく同盟を結んでいる隣国カナリヤ帝国の魔物退治に協力してほしいらしい。でも、カナリヤ帝国へそのまま移住されるのは困るから、女子供の家族は、この街にいて、冒険者の男だけで魔物退治に行ってほしい。ということだった。

　勝手な話よね。要するに爵位というエサをちらつかせ私たち女性を人質にして冒険者たちを危険にさらす。無事戻ってきたら戻ってきたでいいということ。捨て駒にするつもりらしい。
　恩賞金はありがたくいただくことにした。

　こんな虫のいい話、到底飲めない。また、鈴鹿先輩と離れ離れになっちゃう。さみしい。まぁ、私は聖女もどきだから、ひょっとして一緒に行くことになるかもしれないけど、それはそれで他の女性に対して悪いでしょ。恋人が戦地に行って、一人さみしく枕を濡らす暮らしなんてできない！

　せっかくのここでのお仕事を手放し、全員で行くことにした。
　国王陛下に転移魔法が使えることを話し、討伐が済んだら全員でこの街に還ることを条件にしたら、渋々認められた。

　実際に戻るかどうかは別問題だけどね。

　通行証発行の手続きのため、１か月後に隣国へ出発することになった。

　それまでは、この国で稼ぎまくるゾ！