3 / 4
3
しおりを挟む
2人の聖女が連れてきた恋人とは、ラベンダー国の国王陛下と、その弟殿下で、年齢は、40歳過ぎであろうか?アンドロメダの父王と変わらないか、まだ年上ぐらいに見える。頭は少々禿げ上がっていて、顔は脂ぎってベトベトである。
「お父様、この方よ。わたくしが選んだ殿方ですわ。」
もう、母も目が点になっていて、絶句している。いつから、娘たちはジジィ好きになってしまったのだろうか?もっと若い男など、いくらでもいるというのに。
「失礼ではございますが、ラベンダー様は、初婚でいらっしゃいますか?」
「いえ、妻に先立たれ、弟は、初婚でございます。私たち兄弟には、子がおりません。ですから聖女様のような畑が若ければ、まだ子供ができるやもしれません。」
「ダメです!ダメ、だめ。マーガレットちゃんも、スカーレットちゃんも騙されているのよ、こんな年寄りとうまくいくわけがない!ママは絶対に許しませんっ!それに畑が若いだなんて、表現はセクハラですわっ!」
珍しくお母様が声を荒げる。それを父が宥める。いつもと反対の逆パターンである。
母のほとんどヒステリーに近い絶叫ぶりに、ラベンダー様は呆れ、つい本音を漏らす。
「うるさい、オバサンだなぁ。人を外見で判断するなよ、娘たちを見習えってんだ。」
それを聞いた父が今度は、
「我が妻をオバサン呼ばわりするなど、なんたる無礼!衛兵!こ奴を牢に放り込め!どっちが人を外見で判断しているのですか!あなただって、そうでしょう。王妃をオバサン呼ばわりするなど、もってのほかである。」
双子の聖女様は、ただオロオロするばかり。でも自分の母親をオバサン呼ばわりされるとなると、すこし恋の熱が冷めてくる。
お母様は、いつだってわたくし達の幸せを一番に考えてくださる、そのお母様に対して、オバサンとは、いくら愛する人の言葉でも許せない。
マーガレットは、隣にいるスカーレットの顔を見ると、スカーレットも怒りに震えた顔をして、ラベンダー様を睨みつけている。
マーガレットは、ラベンダー様に向き直り、一発頬を殴る。
「お姉さま、わたくしにもやらせてくださいませ。」
断りを入れたかと思うと、同じようにラベンダー様を叩く。そして弟殿下にも。
「「わたくし達は、あなたがたとは婚約いたしませんわ。母のことをオバサン呼ばわりするような方とは、金輪際、お付き合いをいたしませんことを誓います。」」
「ええー?マーガレットちゃん、ちょっとした大人のジョークだよ。許してぇ、ね?」
「ダメです。ラベンダー様の顔など二度と見たくはないわ。」
頭から白い袋をスッポリかぶせられたラベンダー様は、そのまま衛兵に連れていかれる。
「ええ?まさか俺も?オバサンなんて、思っていても一言も言っていない!放せよ、俺を誰だと思ってやがる!」
「あなた様の顔も二度と見たくは、ございません。」
スカーレットからの魔法で、黒の紙袋をスッポリかぶせられ、衛兵に連行される。
二人の聖女様たちは、母のところへ駆け寄り
「お母様、ごめんなさい。わたくしたち、男を見る目はまだまだですわ。お母様に教えを乞わないと、ロクな男に出会えないですわ。」
「わかってくれればいいのよ。マーガレットちゃんもスカーレットちゃんも、まだまだ若いのだから、自分と釣り合う方を探しなさいね。」
とはいうものの、自分から振ったとはいえ、失恋にはかわりがない。しばらく落ち込んでいると、お母様がすごいことを言い放つ。
「男に付けられたキズは、男で癒しなさい。お見合いをするのです。あの男たち以上、はたくさんいらっしゃるでしょうけど、とにかくあの男を忘れるためにお見合いをしなさい。」
やっぱり、お母様はすごい!
それから、お見合いをしまくるのです。ただし1対1のお見合いでなく、男性が1で女性が2のお見合いをしまくる。相手の男性からすれば、どちらかが、引っかかれば上出来なので、嫌とは言わない。
聖女様と結婚できる確率が2倍になるのだから、でも実際は、二人の聖女様が相談して「パス」とか、言っているので、確率的には、同じなのである。
いやむしろ、4つの目で品定めをされるのであるから、1対1のお見合いよりキツイかもしれない。
そんな時、双子の王子様とお見合いをすることになったのである。
お母様が自信満々で、どう?なんて、聞いてくる。年齢も20歳で、聖女様より一つ年上である。
これこそ、母の言う釣り合いである。
双子の王子様は、モノクローム国の第2王子様と第3王子様で、第1王子様は、既に結婚されているそうです。
アンドロメダ国は、聖女様の下に弟がいるので、別にお嫁に行っても、婿養子をもらってもどちらでもいい。
ただ、隣の大国、2国は、侵略戦争後、統治している王が不在で、国民がアンドロメダに吸収されることを望んでいるのである。
モノクローム国もそのあたりは織り込み済みで、旧マゼラン国の領土、旧オメガ国の領土を統治するつもりでいる。
隣り合っているから、どっちに嫁いでも、今とそう変わらない。
お見合い当日、二人は色違いではなく、同色のピンク色のドレスで臨む。マーガレットのほうは、腰にリボンがあり、リボンをふんだんに使った可愛らしいドレス。スカーレットのドレスも同様に腰のところに大きなリボンはあるが、こちらはフリルをふんだんに使いドレープをあしらった大人っぽいデザインドレス。
相手の王子様も濃紺のスーツである。衿のデザインが少し違うだけで、後はまるっきり一緒、後ろ姿になれば、区別がつかない。
二組のカップルは、出会った瞬間、恋に落ちる。マーガレットは、第2王子のチャールズと。スカーレットは第3王子のリチャード様とそれぞれ、手をつなぐ。
双子は、双子同士でないとわからない悩みを共有できる。そういうところをお互いが惹かれ合ったのだろう。
ベンチに腰掛けるときも、ハンカチーフをさりげなく敷いてくれる。立ち上がるときも、必ず手を差し伸べて、エスコートしてくださる。こういうところが、いいのだ。
もう、二人の聖女様は、メロメロ。二人の王子様も顔を赤くされている。
「「「「こんなに、気が合う相手と出会うのは、はじめてのことです。」」」」
「「「「一緒にいて、これほど楽な人は、初めての経験です。」」」」
「「どうか、私と結婚していただけないでしょうか?」」
「「はい。喜んで。」」
「お父様、この方よ。わたくしが選んだ殿方ですわ。」
もう、母も目が点になっていて、絶句している。いつから、娘たちはジジィ好きになってしまったのだろうか?もっと若い男など、いくらでもいるというのに。
「失礼ではございますが、ラベンダー様は、初婚でいらっしゃいますか?」
「いえ、妻に先立たれ、弟は、初婚でございます。私たち兄弟には、子がおりません。ですから聖女様のような畑が若ければ、まだ子供ができるやもしれません。」
「ダメです!ダメ、だめ。マーガレットちゃんも、スカーレットちゃんも騙されているのよ、こんな年寄りとうまくいくわけがない!ママは絶対に許しませんっ!それに畑が若いだなんて、表現はセクハラですわっ!」
珍しくお母様が声を荒げる。それを父が宥める。いつもと反対の逆パターンである。
母のほとんどヒステリーに近い絶叫ぶりに、ラベンダー様は呆れ、つい本音を漏らす。
「うるさい、オバサンだなぁ。人を外見で判断するなよ、娘たちを見習えってんだ。」
それを聞いた父が今度は、
「我が妻をオバサン呼ばわりするなど、なんたる無礼!衛兵!こ奴を牢に放り込め!どっちが人を外見で判断しているのですか!あなただって、そうでしょう。王妃をオバサン呼ばわりするなど、もってのほかである。」
双子の聖女様は、ただオロオロするばかり。でも自分の母親をオバサン呼ばわりされるとなると、すこし恋の熱が冷めてくる。
お母様は、いつだってわたくし達の幸せを一番に考えてくださる、そのお母様に対して、オバサンとは、いくら愛する人の言葉でも許せない。
マーガレットは、隣にいるスカーレットの顔を見ると、スカーレットも怒りに震えた顔をして、ラベンダー様を睨みつけている。
マーガレットは、ラベンダー様に向き直り、一発頬を殴る。
「お姉さま、わたくしにもやらせてくださいませ。」
断りを入れたかと思うと、同じようにラベンダー様を叩く。そして弟殿下にも。
「「わたくし達は、あなたがたとは婚約いたしませんわ。母のことをオバサン呼ばわりするような方とは、金輪際、お付き合いをいたしませんことを誓います。」」
「ええー?マーガレットちゃん、ちょっとした大人のジョークだよ。許してぇ、ね?」
「ダメです。ラベンダー様の顔など二度と見たくはないわ。」
頭から白い袋をスッポリかぶせられたラベンダー様は、そのまま衛兵に連れていかれる。
「ええ?まさか俺も?オバサンなんて、思っていても一言も言っていない!放せよ、俺を誰だと思ってやがる!」
「あなた様の顔も二度と見たくは、ございません。」
スカーレットからの魔法で、黒の紙袋をスッポリかぶせられ、衛兵に連行される。
二人の聖女様たちは、母のところへ駆け寄り
「お母様、ごめんなさい。わたくしたち、男を見る目はまだまだですわ。お母様に教えを乞わないと、ロクな男に出会えないですわ。」
「わかってくれればいいのよ。マーガレットちゃんもスカーレットちゃんも、まだまだ若いのだから、自分と釣り合う方を探しなさいね。」
とはいうものの、自分から振ったとはいえ、失恋にはかわりがない。しばらく落ち込んでいると、お母様がすごいことを言い放つ。
「男に付けられたキズは、男で癒しなさい。お見合いをするのです。あの男たち以上、はたくさんいらっしゃるでしょうけど、とにかくあの男を忘れるためにお見合いをしなさい。」
やっぱり、お母様はすごい!
それから、お見合いをしまくるのです。ただし1対1のお見合いでなく、男性が1で女性が2のお見合いをしまくる。相手の男性からすれば、どちらかが、引っかかれば上出来なので、嫌とは言わない。
聖女様と結婚できる確率が2倍になるのだから、でも実際は、二人の聖女様が相談して「パス」とか、言っているので、確率的には、同じなのである。
いやむしろ、4つの目で品定めをされるのであるから、1対1のお見合いよりキツイかもしれない。
そんな時、双子の王子様とお見合いをすることになったのである。
お母様が自信満々で、どう?なんて、聞いてくる。年齢も20歳で、聖女様より一つ年上である。
これこそ、母の言う釣り合いである。
双子の王子様は、モノクローム国の第2王子様と第3王子様で、第1王子様は、既に結婚されているそうです。
アンドロメダ国は、聖女様の下に弟がいるので、別にお嫁に行っても、婿養子をもらってもどちらでもいい。
ただ、隣の大国、2国は、侵略戦争後、統治している王が不在で、国民がアンドロメダに吸収されることを望んでいるのである。
モノクローム国もそのあたりは織り込み済みで、旧マゼラン国の領土、旧オメガ国の領土を統治するつもりでいる。
隣り合っているから、どっちに嫁いでも、今とそう変わらない。
お見合い当日、二人は色違いではなく、同色のピンク色のドレスで臨む。マーガレットのほうは、腰にリボンがあり、リボンをふんだんに使った可愛らしいドレス。スカーレットのドレスも同様に腰のところに大きなリボンはあるが、こちらはフリルをふんだんに使いドレープをあしらった大人っぽいデザインドレス。
相手の王子様も濃紺のスーツである。衿のデザインが少し違うだけで、後はまるっきり一緒、後ろ姿になれば、区別がつかない。
二組のカップルは、出会った瞬間、恋に落ちる。マーガレットは、第2王子のチャールズと。スカーレットは第3王子のリチャード様とそれぞれ、手をつなぐ。
双子は、双子同士でないとわからない悩みを共有できる。そういうところをお互いが惹かれ合ったのだろう。
ベンチに腰掛けるときも、ハンカチーフをさりげなく敷いてくれる。立ち上がるときも、必ず手を差し伸べて、エスコートしてくださる。こういうところが、いいのだ。
もう、二人の聖女様は、メロメロ。二人の王子様も顔を赤くされている。
「「「「こんなに、気が合う相手と出会うのは、はじめてのことです。」」」」
「「「「一緒にいて、これほど楽な人は、初めての経験です。」」」」
「「どうか、私と結婚していただけないでしょうか?」」
「「はい。喜んで。」」
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
ポンコツ聖女と呼ばないで
青の雀
恋愛
聖女ジェニファーは、物心ついたときから聖女様の力に覚醒し、ずっとこのサラシア国を守護してきたはずなのに、婚約者である王太子殿下に新しい魔導師の恋人ができたため、ポンコツの異名を着せられ、婚約破棄の上、国外追放になってしまう
罪人用の馬車に乗せられ、隣国アンドロメダとの国境付近でゴミ同然の扱いを受け、捨てられてしまう
たまたま通りかかった隣国の王子様に助けられるものの、隣国は破産寸前の貧乏国、王子様自ら薪を拾う有り様にビックリするも、ジェニファーは王子様と共に国の再建を約束する
ジェニファーの聖なる力で、国土が回復していき、破産の危機は免れたが、ジェニファーを捨てたサラシア国は滅びの一途をたどる羽目になる
王太子の新しい恋人の魔力が底をつき、落雷による火事がおさまらない。水は枯れ消火も思うようにできない
アンドロメダとは、真逆の立場になると、ジェニファー奪還のため、サラシア王国は動き出すが……
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
(完結)お荷物聖女と言われ追放されましたが、真のお荷物は追放した王太子達だったようです
しまうま弁当
恋愛
伯爵令嬢のアニア・パルシスは婚約者であるバイル王太子に突然婚約破棄を宣言されてしまうのでした。
さらにはアニアの心の拠り所である、聖女の地位まで奪われてしまうのでした。
訳が分からないアニアはバイルに婚約破棄の理由を尋ねましたが、ひどい言葉を浴びせつけられるのでした。
「アニア!お前が聖女だから仕方なく婚約してただけだ。そうでなけりゃ誰がお前みたいな年増女と婚約なんかするか!!」と。
アニアの弁明を一切聞かずに、バイル王太子はアニアをお荷物聖女と決めつけて婚約破棄と追放をさっさと決めてしまうのでした。
挙句の果てにリゼラとのイチャイチャぶりをアニアに見せつけるのでした。
アニアは妹のリゼラに助けを求めましたが、リゼラからはとんでもない言葉が返ってきたのでした。
リゼラこそがアニアの追放を企てた首謀者だったのでした。
アニアはリゼラの自分への悪意を目の当たりにして愕然しますが、リゼラは大喜びでアニアの追放を見送るのでした。
信じていた人達に裏切られたアニアは、絶望して当てもなく宿屋生活を始めるのでした。
そんな時運命を変える人物に再会するのでした。
それはかつて同じクラスで一緒に学んでいた学友のクライン・ユーゲントでした。
一方のバイル王太子達はアニアの追放を喜んでいましたが、すぐにアニアがどれほどの貢献をしていたかを目の当たりにして自分達こそがお荷物であることを思い知らされるのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
全25話執筆済み 完結しました
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
離婚から玉の輿婚~クズ男は熨斗を付けて差し上げます
青の雀
恋愛
婚約破棄から玉の輿の離婚版
縁あって結婚したはずの男女が、どちらかの一方的な原因で別れることになる
離婚してからの相手がどんどん落ちぶれて行く「ざまあ」話を中心に書いていきたいと思っています
血液型
石女
半身不随
マザコン
略奪婚
開業医
幼馴染
孤島送りになった聖女は、新生活を楽しみます
天宮有
恋愛
聖女の私ミレッサは、アールド国を聖女の力で平和にしていた。
それなのに国王は、平和なのは私が人々を生贄に力をつけているからと罪を捏造する。
公爵令嬢リノスを新しい聖女にしたいようで、私は孤島送りとなってしまう。
島から出られない呪いを受けてから、転移魔法で私は孤島に飛ばさていた。
その後――孤島で新しい生活を楽しんでいると、アールド国の惨状を知る。
私の罪が捏造だと判明して国王は苦しんでいるようだけど、戻る気はなかった。
死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります
みおな
恋愛
「灰色の魔女め!」
私を睨みつける婚約者に、心が絶望感で塗りつぶされていきます。
聖女である妹が自分には相応しい?なら、どうして婚約解消を申し込んでくださらなかったのですか?
私だってわかっています。妹の方が優れている。妹の方が愛らしい。
だから、そうおっしゃってくだされば、婚約者の座などいつでもおりましたのに。
こんな公衆の面前で婚約破棄をされた娘など、父もきっと切り捨てるでしょう。
私は誰にも愛されていないのだから。
なら、せめて、最後くらい自分のために舞台を飾りましょう。
灰色の魔女の死という、極上の舞台をー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる