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1 婚約破棄
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今日は、王都にあるアンドロメダ王立学園の卒業記念祝賀パーティである。
「マーガレット・アンドロメダ王女、貴様との婚約は今をもって、破棄させてもらうこととする。」
オメガ王国の第1王子スティーヴン・オメガ殿下が高らかに宣言される。
その宣言を聞きながら、もう一人の大国の王子もまた
「スカーレット・アンドロメダ王女、貴様との婚約は今宵をもち、破棄させてもらうこととする。」
こちらはマゼラン王国の第1王子レオナルド様であらせられます。
「「わかりましたわ。どうぞご自由になされませ。」」
マーガレットとスカーレットは同時に声をハモらせて言う。
「「な、な、何だとぉ!貴様ら田舎の小国王女の分際で、われら大国へ嫁に来れると思っていたか!」」
こちらもほぼ、声が重なっている。
「「思ってなどおりませんわ。そもそも婚約を申し出てこられたのは、大国のほうではございませんこと?わたくしたちは二人とも聖女様ですから、いくらでも縁談は山のようにありましてよ。わざわざ、バカ王子様と婚約したのは、祖父(先代の王)がお人好しで。」」
「「ば、ば、バカとはなんだ?少なくとも、同級生に向かっての発言とは思えぬ。」」
「「あら、ご存じありませんでした?まぁ、わたくし達にご興味がなかったのだから致し方ございませんことね。わたくし達は、優秀で2年前に飛び級で、卒業しておりましたのよ。ですから、入学した年は、一緒でも、卒業した年は、2年前、ですから同級生とは、言えませんわね。」」
「「で、でも、時折学園で見かけたことがあると言っておった女生徒がいるぞ。」」
「「あら、それはおかしいですわね。卒業してから、上の学校へ行くため、他国へ留学しておりましたもの。2年間の学校で、卒業してまいりましたわ。」」
「「で、で、では、なぜ、この場にいるのだ?」」
「「何をバカなことを仰せなのですか?わたくし達アンドロメダの王女なのですから、王族として出席するのは、当然のことですわ。」」
「では、我が愛するリリアーヌが、マーガレットに虐められたと言っていたのは、嘘か?」
卒業生の視線が男爵令嬢リリアーヌに向かう。
「え?え?私、そんなこと、一度も言っていません。殿下の勘違いでございますわ。」
「まさかと思うが、ルルアンヌもスカーレットに教科書を破られたと言って、俺に泣きついてきたが、あれもウソか?」
マゼランのレオナルド殿下も同じく、ルルアンヌの目を覗き込んでいる。
「ほ、本を破られたことは事実でございますが、スカーレット様にとは、申しておりません。」
やっぱり、二人の王子は浮気していて、その冤罪を聖女二人に押し付ける気でいたのだ。
その時、「遅い。まだか?」とスティーヴンがつぶやく。
「遅すぎるが、何やら胸が苦しくなってきた……、はぁはぁ……。」
「レオもか?俺もだ、さっきから胸が締め付けられるようだ。」
「やっぱり、悪意を持ってこの学園に入学して来られたのですね。」
「わたくし達、聖女でございますれば、悪意を持って、学園に入学してきた人は3年殺しの結界を張りましてよ。」
「3年前、お二方が入学前にあいさつに見えられた時、いつ来られましたの?とお聞きしたのは、この結界が発動するタイミングが知りたかったのでございます。」
「それを浮気して、婚約破棄する筋書きがあらかじめ、あったような物言い。結界が発動して当然でございますわ。」
「え?3年殺し?そんなこと、……聞いていない……。」
「た、た、助けてくれ、たの……む……。」
「もうじき、マゼランとオメガの大国軍が侵攻してくる。こんな小国一巻の終わりだ。」
ざわつく卒業生たちをよそに、
「「それも想定済みでございますわ。さようなら、元婚約者様。」」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
18年前、アンドロメダ国に双子の可愛い姫が誕生する。マーガレットとスカーレットと名付けられる。
二人はいつも仲良しで、何をするにも一緒、寝返りを打つときも、泣くときも笑うときも、怒るときも。
アンドロメダ国は、小国で、二つの大国のはざまにある。
二つの大国とは、東側に位置するマゼラン王国、西側に位置するオメガ王国の二つである。この二つの国は、事あるごとに戦争を起こし、その度に、アンドロメダ王国は、巻き添えに遭い、被害を受けるのである。
それが双子の姫が、5歳になった時、教会での聖女認定に水晶玉が二度輝いたのである。仲良し双子ならではの出来事に国中が沸く。
その噂を聞きつけた二つの大国が、こぞって双子の姫を自分の国の王子の婚約者にと、申し出てきたのである。表向きは、和平の象徴として、実は、聖女様がその国に一人いれば、国は繁栄を約束されるのである。
だから、もう大国同士、覇権争いなどしなくても、お互いに豊かになるのであれば、これほど好都合なことはない。
両方の国は、王子だけで、姫はいない。
最初は、そのつもりでいたのであるが、双子の聖女様が覚醒したことにより、小国は、どんどん繁栄してくる。肥沃な大地に豊かな実り、独自の製品・原材料・仕掛品を開発して、大国に輸出するようになり、もはや輸出大国となったのだ。
いったい誰のおかげで?といえば、間違いなく双子の聖女様の存在なのだが、それは、その娘たちの嫁入り先を確保してやったからだと勘違いをしてくる。恩着せがましく、売り上げの一部をよこせなどと申し出てこられ、アンドロメダ国は、こんなやくざまがいの脅しに屈する気もない。
そしてやがて、二つの大国は、同時に婚約破棄をして、肥沃な大地があるアンドロメダ国を乗っ取ろうと企てる。
乗っ取ってから、双子の聖女を側妃にでもしてやれば、それぞれの国は間違いなく、繁栄するという考えである。
周到な計画が用意される。まず、二人の王子を同時にアンドロメダの学園に留学させる。
聖女様に覚醒してから、急にアンドロメダはお金持ちになったので、留学生を受け入れる施設ができたのだ。
そして、卒業パーティの時、婚約破棄を言い渡し、二人の聖女様に大恥をかかせてやろう。と同時に、アンドロメダの国境を超え、侵略する。王都を平定したら、アンドロメダの国民の前で、二人の聖女様を見せしめにとことん辱めを与えてから犯してやろう。公開レイプである。
アンドロメダ国民は、全員奴隷にして、二人の聖女様は、それぞれの国が連れ帰る。
なかなか良き案であろう。
二つの大国の王様は、できれば、公開レイプの一番目の味見は自分たちがしたいものだと思っているのである。
息子は二番目でいいではないか?思いついた我らが一番に、いただくのは当然であろう。ニヒニヒと下卑な笑いをしている。
「できれば、二番目でも構わぬぞ。ヒクヒクしているところに何が聖女様だ。この淫乱が!と言葉攻めをしてから、犯すというのもおつなもの。」
「おお、そうであるな、しばらくは女絶ちをすれば、2回戦ぐらい挑めるというものだな。」
スケベ王が二人して、皮算用をしている。
そして、二人の王子様がそろって15歳になった時、アンドロメダ王立学園に留学されることが決まる。
あんな大国の王子様がなぜ?小国の学園に留学せねばなるまい?おかしいではないか?これには、なにか裏があると感じた二人の聖女様の両親は、二人の聖女様を呼び、国境付近に幾重にも結界を張り巡らしたのである。
悪意ある者が結界を超えることはできない。無理に超えたら、3年後には必ず死ぬという結界を張り巡らして事態に備えたのである。
二人の聖女様が結界を二重に張ることにより、効果は強まる。3度ずつ6重に結界を張った。見た目は普通の国境線とかわらないが、超えるとき、人によれば少々ピリピリ感を感じることがある。
なぜ、3度ずつかと言えば、1回張ったぐらいでは、すぐ死んでしまう。2回では、1年後ぐらい?それで3回張ったのである。
二人の王子がアンドロメダ国の盟約を破るような行動をすれば、すぐ死んでもらった方が好都合?いや、闇から闇へと消されたと噂が立つのは、マズイ。
3年殺しの結界は、王子が入国したことを見計らい、すぐ死ぬ結界へと挿げ替えた。悪意ある者がその結界に触れると、1㎞以上元の場所に弾き飛ばされ、そこで絶命するというモノに替えたのだ。もし、軍が侵攻してきたら、味方の先発隊が人間爆弾になって、味方を襲うということ。
そして、もう一つの保険を実行することにしたのである。1年生の時は、二人の聖女様が在籍していて、2年生の時に、二人とも留学することにしたのである。
大国から二人の王子様が留学されてくるとなれば、玉の輿を狙う庶民の娘や低位貴族令嬢が放っておくわけがない。そういう輩は、2年生の頃から、ちょっかいをかけるものだから、その頃にいないとなれば、冤罪をふっかけられる心配もない。
本当は、一年生の時から、留学に出たいのだけど、大国の婚約者王子がギリギリになってから、留学したいと言ってきたので、時間不足で留学先を探せなかったから。
二人の聖女様は、着々と準備を進める。こういう時は、二人いると便利である。お互いに相談し合って、決めることができるから、三つ子なら、もっと良かったかもしれないけど、そこまで母に負担はかけられない。
マーガレットとスカーレットは、留学してきた二人の王子様から挨拶をされる。さすがに二人とも大国の王子様だけあって、見目麗しいイケメンである。
いつ入国されたのかしら?話のついでに、それとなく聞くと二人とも同日であったのだ。
我が国では、卒業式の日が決まっている。その日に、二人とも死ぬことがわかってしまう。お気の毒に、まだお若いのにね。でも悪意があるように、王子様からは見受けられない。いやいや、今は猫をかぶっているだけかもしれないから、要注意だ。
王子様に悪意があったかどうかは、3年後にわかる。それまでの辛抱である。
そして、3年後、見事に結界は発動するのである。
大国の侵攻軍はというと、いくら頑張っても国境を超えられない。全員が全員、何かに弾き飛ばされ、そこで即死してしまうのである。
二人の王子からも連絡が来ない。焦る大国軍。ついに夜が明ける。大国軍は国境を超えられず、全員、戦死する。
「マーガレット・アンドロメダ王女、貴様との婚約は今をもって、破棄させてもらうこととする。」
オメガ王国の第1王子スティーヴン・オメガ殿下が高らかに宣言される。
その宣言を聞きながら、もう一人の大国の王子もまた
「スカーレット・アンドロメダ王女、貴様との婚約は今宵をもち、破棄させてもらうこととする。」
こちらはマゼラン王国の第1王子レオナルド様であらせられます。
「「わかりましたわ。どうぞご自由になされませ。」」
マーガレットとスカーレットは同時に声をハモらせて言う。
「「な、な、何だとぉ!貴様ら田舎の小国王女の分際で、われら大国へ嫁に来れると思っていたか!」」
こちらもほぼ、声が重なっている。
「「思ってなどおりませんわ。そもそも婚約を申し出てこられたのは、大国のほうではございませんこと?わたくしたちは二人とも聖女様ですから、いくらでも縁談は山のようにありましてよ。わざわざ、バカ王子様と婚約したのは、祖父(先代の王)がお人好しで。」」
「「ば、ば、バカとはなんだ?少なくとも、同級生に向かっての発言とは思えぬ。」」
「「あら、ご存じありませんでした?まぁ、わたくし達にご興味がなかったのだから致し方ございませんことね。わたくし達は、優秀で2年前に飛び級で、卒業しておりましたのよ。ですから、入学した年は、一緒でも、卒業した年は、2年前、ですから同級生とは、言えませんわね。」」
「「で、でも、時折学園で見かけたことがあると言っておった女生徒がいるぞ。」」
「「あら、それはおかしいですわね。卒業してから、上の学校へ行くため、他国へ留学しておりましたもの。2年間の学校で、卒業してまいりましたわ。」」
「「で、で、では、なぜ、この場にいるのだ?」」
「「何をバカなことを仰せなのですか?わたくし達アンドロメダの王女なのですから、王族として出席するのは、当然のことですわ。」」
「では、我が愛するリリアーヌが、マーガレットに虐められたと言っていたのは、嘘か?」
卒業生の視線が男爵令嬢リリアーヌに向かう。
「え?え?私、そんなこと、一度も言っていません。殿下の勘違いでございますわ。」
「まさかと思うが、ルルアンヌもスカーレットに教科書を破られたと言って、俺に泣きついてきたが、あれもウソか?」
マゼランのレオナルド殿下も同じく、ルルアンヌの目を覗き込んでいる。
「ほ、本を破られたことは事実でございますが、スカーレット様にとは、申しておりません。」
やっぱり、二人の王子は浮気していて、その冤罪を聖女二人に押し付ける気でいたのだ。
その時、「遅い。まだか?」とスティーヴンがつぶやく。
「遅すぎるが、何やら胸が苦しくなってきた……、はぁはぁ……。」
「レオもか?俺もだ、さっきから胸が締め付けられるようだ。」
「やっぱり、悪意を持ってこの学園に入学して来られたのですね。」
「わたくし達、聖女でございますれば、悪意を持って、学園に入学してきた人は3年殺しの結界を張りましてよ。」
「3年前、お二方が入学前にあいさつに見えられた時、いつ来られましたの?とお聞きしたのは、この結界が発動するタイミングが知りたかったのでございます。」
「それを浮気して、婚約破棄する筋書きがあらかじめ、あったような物言い。結界が発動して当然でございますわ。」
「え?3年殺し?そんなこと、……聞いていない……。」
「た、た、助けてくれ、たの……む……。」
「もうじき、マゼランとオメガの大国軍が侵攻してくる。こんな小国一巻の終わりだ。」
ざわつく卒業生たちをよそに、
「「それも想定済みでございますわ。さようなら、元婚約者様。」」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
18年前、アンドロメダ国に双子の可愛い姫が誕生する。マーガレットとスカーレットと名付けられる。
二人はいつも仲良しで、何をするにも一緒、寝返りを打つときも、泣くときも笑うときも、怒るときも。
アンドロメダ国は、小国で、二つの大国のはざまにある。
二つの大国とは、東側に位置するマゼラン王国、西側に位置するオメガ王国の二つである。この二つの国は、事あるごとに戦争を起こし、その度に、アンドロメダ王国は、巻き添えに遭い、被害を受けるのである。
それが双子の姫が、5歳になった時、教会での聖女認定に水晶玉が二度輝いたのである。仲良し双子ならではの出来事に国中が沸く。
その噂を聞きつけた二つの大国が、こぞって双子の姫を自分の国の王子の婚約者にと、申し出てきたのである。表向きは、和平の象徴として、実は、聖女様がその国に一人いれば、国は繁栄を約束されるのである。
だから、もう大国同士、覇権争いなどしなくても、お互いに豊かになるのであれば、これほど好都合なことはない。
両方の国は、王子だけで、姫はいない。
最初は、そのつもりでいたのであるが、双子の聖女様が覚醒したことにより、小国は、どんどん繁栄してくる。肥沃な大地に豊かな実り、独自の製品・原材料・仕掛品を開発して、大国に輸出するようになり、もはや輸出大国となったのだ。
いったい誰のおかげで?といえば、間違いなく双子の聖女様の存在なのだが、それは、その娘たちの嫁入り先を確保してやったからだと勘違いをしてくる。恩着せがましく、売り上げの一部をよこせなどと申し出てこられ、アンドロメダ国は、こんなやくざまがいの脅しに屈する気もない。
そしてやがて、二つの大国は、同時に婚約破棄をして、肥沃な大地があるアンドロメダ国を乗っ取ろうと企てる。
乗っ取ってから、双子の聖女を側妃にでもしてやれば、それぞれの国は間違いなく、繁栄するという考えである。
周到な計画が用意される。まず、二人の王子を同時にアンドロメダの学園に留学させる。
聖女様に覚醒してから、急にアンドロメダはお金持ちになったので、留学生を受け入れる施設ができたのだ。
そして、卒業パーティの時、婚約破棄を言い渡し、二人の聖女様に大恥をかかせてやろう。と同時に、アンドロメダの国境を超え、侵略する。王都を平定したら、アンドロメダの国民の前で、二人の聖女様を見せしめにとことん辱めを与えてから犯してやろう。公開レイプである。
アンドロメダ国民は、全員奴隷にして、二人の聖女様は、それぞれの国が連れ帰る。
なかなか良き案であろう。
二つの大国の王様は、できれば、公開レイプの一番目の味見は自分たちがしたいものだと思っているのである。
息子は二番目でいいではないか?思いついた我らが一番に、いただくのは当然であろう。ニヒニヒと下卑な笑いをしている。
「できれば、二番目でも構わぬぞ。ヒクヒクしているところに何が聖女様だ。この淫乱が!と言葉攻めをしてから、犯すというのもおつなもの。」
「おお、そうであるな、しばらくは女絶ちをすれば、2回戦ぐらい挑めるというものだな。」
スケベ王が二人して、皮算用をしている。
そして、二人の王子様がそろって15歳になった時、アンドロメダ王立学園に留学されることが決まる。
あんな大国の王子様がなぜ?小国の学園に留学せねばなるまい?おかしいではないか?これには、なにか裏があると感じた二人の聖女様の両親は、二人の聖女様を呼び、国境付近に幾重にも結界を張り巡らしたのである。
悪意ある者が結界を超えることはできない。無理に超えたら、3年後には必ず死ぬという結界を張り巡らして事態に備えたのである。
二人の聖女様が結界を二重に張ることにより、効果は強まる。3度ずつ6重に結界を張った。見た目は普通の国境線とかわらないが、超えるとき、人によれば少々ピリピリ感を感じることがある。
なぜ、3度ずつかと言えば、1回張ったぐらいでは、すぐ死んでしまう。2回では、1年後ぐらい?それで3回張ったのである。
二人の王子がアンドロメダ国の盟約を破るような行動をすれば、すぐ死んでもらった方が好都合?いや、闇から闇へと消されたと噂が立つのは、マズイ。
3年殺しの結界は、王子が入国したことを見計らい、すぐ死ぬ結界へと挿げ替えた。悪意ある者がその結界に触れると、1㎞以上元の場所に弾き飛ばされ、そこで絶命するというモノに替えたのだ。もし、軍が侵攻してきたら、味方の先発隊が人間爆弾になって、味方を襲うということ。
そして、もう一つの保険を実行することにしたのである。1年生の時は、二人の聖女様が在籍していて、2年生の時に、二人とも留学することにしたのである。
大国から二人の王子様が留学されてくるとなれば、玉の輿を狙う庶民の娘や低位貴族令嬢が放っておくわけがない。そういう輩は、2年生の頃から、ちょっかいをかけるものだから、その頃にいないとなれば、冤罪をふっかけられる心配もない。
本当は、一年生の時から、留学に出たいのだけど、大国の婚約者王子がギリギリになってから、留学したいと言ってきたので、時間不足で留学先を探せなかったから。
二人の聖女様は、着々と準備を進める。こういう時は、二人いると便利である。お互いに相談し合って、決めることができるから、三つ子なら、もっと良かったかもしれないけど、そこまで母に負担はかけられない。
マーガレットとスカーレットは、留学してきた二人の王子様から挨拶をされる。さすがに二人とも大国の王子様だけあって、見目麗しいイケメンである。
いつ入国されたのかしら?話のついでに、それとなく聞くと二人とも同日であったのだ。
我が国では、卒業式の日が決まっている。その日に、二人とも死ぬことがわかってしまう。お気の毒に、まだお若いのにね。でも悪意があるように、王子様からは見受けられない。いやいや、今は猫をかぶっているだけかもしれないから、要注意だ。
王子様に悪意があったかどうかは、3年後にわかる。それまでの辛抱である。
そして、3年後、見事に結界は発動するのである。
大国の侵攻軍はというと、いくら頑張っても国境を超えられない。全員が全員、何かに弾き飛ばされ、そこで即死してしまうのである。
二人の王子からも連絡が来ない。焦る大国軍。ついに夜が明ける。大国軍は国境を超えられず、全員、戦死する。
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