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22道具
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「もっと博さんのこと、知りたいです。」
「あ!私も紗々さんのことを知りたいです。」
食事が始まってから、お店の人が個室へ来て
「本日は、初デートおめでとうございます。店主からのサービスでございます。」
グラスワインがもらえたので、それで乾杯をする。
初デートだなんて、きっと佐藤のおばあさんが頼んでくれたのだろう。二人は、その心遣いをありがたく頂戴することにした。
小田原博は剣道五段の腕前で、中学までは、登山の経験があったらしく、
「昔は、よく山へ行ったものです。雲海、ご来光を拝みにまた行きたいと思っていますが、紗々さんも、ご一緒にどうですか?」
「はい。私とぜひ、ご一緒していただきたいです。ただ、装備がなくて、一からそろえなければなりません。」
「佐藤のおばあさんから借りられないのですか?」
「どうでしょうか?佐藤さんの家にある装備は、古いものばかりだし。」
「だったら、これから買いに行きませんか?靴とザック、コッフェルとケトルは必需品です。あと、地図とコンパスも。テントは重いから、自分が買います。」
「詳しいですね!」
ただ、紗々の気を惹きたいだけでなく、小田原博は本物だと思う。
ここまで、山のことを詳しい人も珍しい。本当にただ気を惹きたいだけの男性ではないのだ。
結婚の条件に、もうひとつ加えるとしたら価値観、その価値観に十分影響するものは、趣味が同じであるということ。その面から見ても、小田原博こそ、ふさわしい人物はいないと感じる。
食事の後、一緒に山岳ショップでお買い物をする。
前世以来の登山靴購入、専用の靴下、着替え、ニッカズボン、ザックなどを一緒に選んでくれる。
博さんが、テントを見ている間に、調理器具のブスコンロ、ケトル、コッフェルを見る。寝袋もいるわ。テントは、山小屋を利用すれば、持っていく必要がない。でも、山小屋の予約がいっぱいならば、持っていく必要もある。
裕介とは、初めてエッチしたのが山で、いきなり覆いかぶさってこられた時は、ビックリした。
博さんは、山でするつもりか?下着をそれ用のものを用意しといたほうがいいだろうか?
ガツガツしている淫乱女だとは、思われないか、と心配する。
博さんは、1人用テントを2つ買うつもりらしい。やっぱり、紳士だわ。
「あのね。博さん、シュラフを見たいんだけど、相談に乗ってくれない?」
「ああ、いいよ。今、行く。」
シュラフの売り場へ行き、下に敷くマットも買う。
「一度にたくさん買うと持ち帰りが重くなるから、今日の買い物はこれで終わり、今度は行く直前に買おうよ。」
なんという心づかいができる人かと、感心し、ますます好意を寄せる。
買った荷物のすべてを博さんが持ってくれ、家まで送ってくれる。
だから、紗々は手ぶらで、帰宅できたのだが、帰宅時に父と居合わせてしまう。
断った縁談相手の博さんを怪訝な眼で見る父。
「小田原さん、これは一体どういうことなのでしょうか?ウチの娘と今後一切、近寄らないでもらいたい。このことは、小田原さんのお父上にも抗議しておきます。」
「あ!違うの。お父さん、待って。」
「ご挨拶が遅れて、申し訳ありません。お嬢さんともう一度、結婚を前提としたお付き合いをしたいと考えております。責任は取ります。ですから、今度お嬢さんと一緒に、山登りへ行く許可を頂きたいのです。」
「私も、博さんと付き合いたいの。お願い、お父さん許して。」
「へ?……、わかった。紗々がそう言うのなら、娘をよろしく頼む。ただし、一線は超えないでくれよ。」
「はい。心得ております。」
って、中学生かよ?内心思うが、なんとなく、紗々もガッカリした表情。
要するに、最後の一線さえ、越えなければいいという話だと納得する。
「あ!私も紗々さんのことを知りたいです。」
食事が始まってから、お店の人が個室へ来て
「本日は、初デートおめでとうございます。店主からのサービスでございます。」
グラスワインがもらえたので、それで乾杯をする。
初デートだなんて、きっと佐藤のおばあさんが頼んでくれたのだろう。二人は、その心遣いをありがたく頂戴することにした。
小田原博は剣道五段の腕前で、中学までは、登山の経験があったらしく、
「昔は、よく山へ行ったものです。雲海、ご来光を拝みにまた行きたいと思っていますが、紗々さんも、ご一緒にどうですか?」
「はい。私とぜひ、ご一緒していただきたいです。ただ、装備がなくて、一からそろえなければなりません。」
「佐藤のおばあさんから借りられないのですか?」
「どうでしょうか?佐藤さんの家にある装備は、古いものばかりだし。」
「だったら、これから買いに行きませんか?靴とザック、コッフェルとケトルは必需品です。あと、地図とコンパスも。テントは重いから、自分が買います。」
「詳しいですね!」
ただ、紗々の気を惹きたいだけでなく、小田原博は本物だと思う。
ここまで、山のことを詳しい人も珍しい。本当にただ気を惹きたいだけの男性ではないのだ。
結婚の条件に、もうひとつ加えるとしたら価値観、その価値観に十分影響するものは、趣味が同じであるということ。その面から見ても、小田原博こそ、ふさわしい人物はいないと感じる。
食事の後、一緒に山岳ショップでお買い物をする。
前世以来の登山靴購入、専用の靴下、着替え、ニッカズボン、ザックなどを一緒に選んでくれる。
博さんが、テントを見ている間に、調理器具のブスコンロ、ケトル、コッフェルを見る。寝袋もいるわ。テントは、山小屋を利用すれば、持っていく必要がない。でも、山小屋の予約がいっぱいならば、持っていく必要もある。
裕介とは、初めてエッチしたのが山で、いきなり覆いかぶさってこられた時は、ビックリした。
博さんは、山でするつもりか?下着をそれ用のものを用意しといたほうがいいだろうか?
ガツガツしている淫乱女だとは、思われないか、と心配する。
博さんは、1人用テントを2つ買うつもりらしい。やっぱり、紳士だわ。
「あのね。博さん、シュラフを見たいんだけど、相談に乗ってくれない?」
「ああ、いいよ。今、行く。」
シュラフの売り場へ行き、下に敷くマットも買う。
「一度にたくさん買うと持ち帰りが重くなるから、今日の買い物はこれで終わり、今度は行く直前に買おうよ。」
なんという心づかいができる人かと、感心し、ますます好意を寄せる。
買った荷物のすべてを博さんが持ってくれ、家まで送ってくれる。
だから、紗々は手ぶらで、帰宅できたのだが、帰宅時に父と居合わせてしまう。
断った縁談相手の博さんを怪訝な眼で見る父。
「小田原さん、これは一体どういうことなのでしょうか?ウチの娘と今後一切、近寄らないでもらいたい。このことは、小田原さんのお父上にも抗議しておきます。」
「あ!違うの。お父さん、待って。」
「ご挨拶が遅れて、申し訳ありません。お嬢さんともう一度、結婚を前提としたお付き合いをしたいと考えております。責任は取ります。ですから、今度お嬢さんと一緒に、山登りへ行く許可を頂きたいのです。」
「私も、博さんと付き合いたいの。お願い、お父さん許して。」
「へ?……、わかった。紗々がそう言うのなら、娘をよろしく頼む。ただし、一線は超えないでくれよ。」
「はい。心得ております。」
って、中学生かよ?内心思うが、なんとなく、紗々もガッカリした表情。
要するに、最後の一線さえ、越えなければいいという話だと納得する。
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