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7.濡れ衣
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吹き抜けになっている王城の玄関ホールまで、なぜか先ほどのカリオストロ様がついてこられる。
まだ何か言いたいことがあるのかしら?
王城の玄関ホールでは、もう、ぞろぞろと人が集まりつつあるのだが、ここで夜会が行われるだけあり、王城のすべての部屋から、玄関ホールまでの間に階段がつながっており、ご存知の通り、階段は下り優先となっている。
したがって、上から誰かが下りてこられると、これから上がろうとするものは、立ち止まってその人が下りてから出ないと上れない仕組みになっている。
玄関ホールの階段を遣わずに奥の階段のところまで行き、そこからお見合いの会場へ入るつもりでいる。
長い裾野ドレスでを自分で踏まないように気を付けながら、一段、また一段と会談をそろそろ上がっているとき、上から猛スピードで駆け下りてくる者がいた。
驚いて、手すり側に身を寄せ、立ち止まったにも関わらず、その男性は、アンドレアの目の前でわざとらしく転がり落ち、手にしていたと思われる書類の山をそこら風にぶちまけたのだ。
「無礼者!そこの女、これを拾わぬか!」
「これはこれは、運動神経がないアンドロイド侯爵令息のセドリック様では、ございませんか?わが妹がぶつかったとでも?」
「何!?クロフォード家のご令嬢だったのか?痛い。痛いではないか?そこのご令嬢が折れにぶつかっておきながら、知らぬ顔をしているからではないか?」
「妹は、セドリック様とは違い、運動神経が大変よろしくて、妹がぶつかるなど、あり得ない話でございます。」
「はい。私も見ておりましたが、セドリック様があと3段というところで、急にバランスを崩されたように見えました。決して、アンドレア嬢にぶつかったとか、そういうことではありません。きっと階段の角を曲がったところから、バランスを崩されていたとお見受けいたしました。」
急に、カリオストロ様が我が意を得たりとばかりに、しゃしゃり出てこられる。
「な、何を!?貴様、伯爵令息の分際で、侯爵家にタテをつくか?」
「ですが、アンドレア嬢は公爵家ご令嬢なわけですから、どちらがタテか、はおのずとわかっておられるのではないでしょうか?」
「貴様ごときの脳筋に言われたくはないわっ!」
「では、我が妹が相手ばら、いかが致す?」
「は?いくら俺が、剣術が下手でも、ご令嬢相手に負けるわけがなかろう?よくも、俺をバカにしてくれたな?」
「では、ハンデを差し上げましょう。剣は使わず、素手で、どこからでもかかっていらっしゃい!」
「アンディ、こいつはムッツリスケベで有名なんだぞ?そんなことを言って、お尻やおっぱいを揉まれやしないかと、兄さんは気が気でないわっ!」
セドリックは、カルバンの言葉を聞いて、俄然やる気を出す。どさくさ紛れに触り倒してもいいというお墨付きを得たと勘違いしている。
見れば、令嬢の胸元は零れ落ちんばかりのたわわに熟れていることがうかがえる。腰から上は、細く引き締まっているにもかかわらず、その下のふくらみも申し分がない。
あの令嬢を手籠めにできるのであれば、先ほどのことを水に流してもかまわない。しかも、剣術ではなく、素手で抱きしめてもいいというのなら。
そこへ、カリオストロが
「それでは、アンディ嬢の貞操を守るためにも、私がアンディ嬢の代わりにセドリックと対決しましょうか?」
「ありがたく存じますが、わたくしも濡れ衣は自分の手で晴らしとう存じます。」
階段の下の廊下で、急遽、決闘もどきが始まったのだ。
兄のカルバンが手を高く揚げ、下ろしたら「はじめ」の合図なのだが、下ろされた途端、セドリックのカラダは宙に飛んだ。
あたかもスローモーションを見ているかのように、ドサッという音とともに、巴投げを決められる。
「お見事!アンディの勝ちだ。」
セドリックは、廊下にて、しばらく気を失っていたが、誰も救助しない。いつも「脳筋」と人を馬鹿にしているから、罰が当たったと笑われている。
カリオストロを伴い、アンディは、お見合いの席に急ぐ。
まだ何か言いたいことがあるのかしら?
王城の玄関ホールでは、もう、ぞろぞろと人が集まりつつあるのだが、ここで夜会が行われるだけあり、王城のすべての部屋から、玄関ホールまでの間に階段がつながっており、ご存知の通り、階段は下り優先となっている。
したがって、上から誰かが下りてこられると、これから上がろうとするものは、立ち止まってその人が下りてから出ないと上れない仕組みになっている。
玄関ホールの階段を遣わずに奥の階段のところまで行き、そこからお見合いの会場へ入るつもりでいる。
長い裾野ドレスでを自分で踏まないように気を付けながら、一段、また一段と会談をそろそろ上がっているとき、上から猛スピードで駆け下りてくる者がいた。
驚いて、手すり側に身を寄せ、立ち止まったにも関わらず、その男性は、アンドレアの目の前でわざとらしく転がり落ち、手にしていたと思われる書類の山をそこら風にぶちまけたのだ。
「無礼者!そこの女、これを拾わぬか!」
「これはこれは、運動神経がないアンドロイド侯爵令息のセドリック様では、ございませんか?わが妹がぶつかったとでも?」
「何!?クロフォード家のご令嬢だったのか?痛い。痛いではないか?そこのご令嬢が折れにぶつかっておきながら、知らぬ顔をしているからではないか?」
「妹は、セドリック様とは違い、運動神経が大変よろしくて、妹がぶつかるなど、あり得ない話でございます。」
「はい。私も見ておりましたが、セドリック様があと3段というところで、急にバランスを崩されたように見えました。決して、アンドレア嬢にぶつかったとか、そういうことではありません。きっと階段の角を曲がったところから、バランスを崩されていたとお見受けいたしました。」
急に、カリオストロ様が我が意を得たりとばかりに、しゃしゃり出てこられる。
「な、何を!?貴様、伯爵令息の分際で、侯爵家にタテをつくか?」
「ですが、アンドレア嬢は公爵家ご令嬢なわけですから、どちらがタテか、はおのずとわかっておられるのではないでしょうか?」
「貴様ごときの脳筋に言われたくはないわっ!」
「では、我が妹が相手ばら、いかが致す?」
「は?いくら俺が、剣術が下手でも、ご令嬢相手に負けるわけがなかろう?よくも、俺をバカにしてくれたな?」
「では、ハンデを差し上げましょう。剣は使わず、素手で、どこからでもかかっていらっしゃい!」
「アンディ、こいつはムッツリスケベで有名なんだぞ?そんなことを言って、お尻やおっぱいを揉まれやしないかと、兄さんは気が気でないわっ!」
セドリックは、カルバンの言葉を聞いて、俄然やる気を出す。どさくさ紛れに触り倒してもいいというお墨付きを得たと勘違いしている。
見れば、令嬢の胸元は零れ落ちんばかりのたわわに熟れていることがうかがえる。腰から上は、細く引き締まっているにもかかわらず、その下のふくらみも申し分がない。
あの令嬢を手籠めにできるのであれば、先ほどのことを水に流してもかまわない。しかも、剣術ではなく、素手で抱きしめてもいいというのなら。
そこへ、カリオストロが
「それでは、アンディ嬢の貞操を守るためにも、私がアンディ嬢の代わりにセドリックと対決しましょうか?」
「ありがたく存じますが、わたくしも濡れ衣は自分の手で晴らしとう存じます。」
階段の下の廊下で、急遽、決闘もどきが始まったのだ。
兄のカルバンが手を高く揚げ、下ろしたら「はじめ」の合図なのだが、下ろされた途端、セドリックのカラダは宙に飛んだ。
あたかもスローモーションを見ているかのように、ドサッという音とともに、巴投げを決められる。
「お見事!アンディの勝ちだ。」
セドリックは、廊下にて、しばらく気を失っていたが、誰も救助しない。いつも「脳筋」と人を馬鹿にしているから、罰が当たったと笑われている。
カリオストロを伴い、アンディは、お見合いの席に急ぐ。
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