1 / 11
1.目覚め
しおりを挟む
ふと目が覚めると、豪華な部屋で寝かされていた。豪華と言えば、豪華なのだが、やけにピンク色を基調としているのが気に食わない。
でも、あの時、助けた子供が女の子だったのか?よく覚えていないが、それでその娘の親がお礼に俺をもてなしてくれているというところだな。たぶん。
俺の名前は、宮本武夫。警視庁の元デカだ。学生時代から選手権は総なめで数々のトロフィーをモノにしてきた。特技は、剣道8段の腕前で、柔道は3段、書道は初段。宮本武蔵の生まれ変わりだと豪語していたのだが、寄る年波に勝てず50肩になり、拳銃も竹刀も握れなくなったことから、デカを退職した。
娘を助けたのは、横断歩道で、その子が靴を落としたため動けずにいたところを、とっさにカラダが勝手に動き、その娘を抱き上げ、母親の元へ投げたところまでの記憶はある。
恥ずかしいことに、その後の記憶がプッツリと無いことから、おそらく、その娘の両親からの接待だと思うようにしていたのだ。
それにしても、俺にまでピンク色のフリフリを着せるなど、他に着せるものがなかったのかもしれない。
天蓋付きのベッドを見ていてもしょうがないから、起き上がることにして、ふと、俺は自分の手がか細くなっていることに気づく。
なんだ!これは?
それとともに時折、サラサラと肩にかかる金髪?きつね色をした人毛のようなものの正体も気にかかる。
ベッドわきには、ピンク色のスリッパが添えられるように置いてある。俺は恐る恐るそのスリッパを履き、部屋の中を一巡することにしたのだ。
クローゼット横の姿見に差し掛かった時、驚きすぎて、思わず声を上げそうになってのを辛うじて、声を飲み込むことができたことは良かった。
鏡に映った俺は、どこからどう見ても、超美少女なフランス人形のような容姿をしている。
「ウソだろ……?」
いや、俺は悪い夢を見ているのかもしれない。股間にいつも主張していた俺自身もなくなっており、ツルンとしている。その代わり、胸の前は大きすぎず、小さすぎず、ちょうど手のひらサイズの双丘が俺の存在を主張しているのだ。
これは、夢だ。夢に違いない、もう一度ベッドに戻り、布団を頭までかぶり眠ることにした。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「アンドレアは、まだ目が覚めないのか?」
「すみません。まさか、あんな簡単にアンドレアが転倒するとは思ってもみなかったことで。」
「だいたいお前は、アンドレアがか弱い令嬢だということを忘れているからだ。こんな可愛い娘に傷でもつけたら、大事になるぞ。たださえ王家から、縁談が来ているというのに、お前が守ってやらなくて、誰がアンドレアを守れるというものか?」
「すみません。アンディ(アンドレアの愛称)が可愛すぎて、悪ふざけが過ぎました。」
怒っているのは、アンドレアの父マーティ・クロフォード公爵、叱られているのは、アンドレアの1歳年上の兄でカルバン・クロフォード。
側に控えているのは、侍女のクラレス。
「今、お嬢様の瞼がピクピクと……!」
「夢でも見ているのだろう。」
「ん……。」
俺は、目が覚めても夢から覚めていないという現実を思い知らされることになったのだ。
「おお!アンディ、大丈夫か?どこか傷むところはあるか?」
誰だ?このイケメンオジサンは?その横にも外国人タレントかと見間違えるようなイケメンが心配そうに顔を覗き込んでいる。
俺は、何かしゃべろうにも喉がカラカラで声が出ない。
その様子を察したのか侍女のクラリスが水を汲んできてくれて、差し出された。
俺は、それを一気に飲み干すと、
「ここは、どこ?どなた?」
安堵に包まれたかのような部屋の中は一変して、凍り付いてしまったのだ。
公爵の「医者を呼べ!」の声に、再び、部屋の中が騒然とし始める。
でも、あの時、助けた子供が女の子だったのか?よく覚えていないが、それでその娘の親がお礼に俺をもてなしてくれているというところだな。たぶん。
俺の名前は、宮本武夫。警視庁の元デカだ。学生時代から選手権は総なめで数々のトロフィーをモノにしてきた。特技は、剣道8段の腕前で、柔道は3段、書道は初段。宮本武蔵の生まれ変わりだと豪語していたのだが、寄る年波に勝てず50肩になり、拳銃も竹刀も握れなくなったことから、デカを退職した。
娘を助けたのは、横断歩道で、その子が靴を落としたため動けずにいたところを、とっさにカラダが勝手に動き、その娘を抱き上げ、母親の元へ投げたところまでの記憶はある。
恥ずかしいことに、その後の記憶がプッツリと無いことから、おそらく、その娘の両親からの接待だと思うようにしていたのだ。
それにしても、俺にまでピンク色のフリフリを着せるなど、他に着せるものがなかったのかもしれない。
天蓋付きのベッドを見ていてもしょうがないから、起き上がることにして、ふと、俺は自分の手がか細くなっていることに気づく。
なんだ!これは?
それとともに時折、サラサラと肩にかかる金髪?きつね色をした人毛のようなものの正体も気にかかる。
ベッドわきには、ピンク色のスリッパが添えられるように置いてある。俺は恐る恐るそのスリッパを履き、部屋の中を一巡することにしたのだ。
クローゼット横の姿見に差し掛かった時、驚きすぎて、思わず声を上げそうになってのを辛うじて、声を飲み込むことができたことは良かった。
鏡に映った俺は、どこからどう見ても、超美少女なフランス人形のような容姿をしている。
「ウソだろ……?」
いや、俺は悪い夢を見ているのかもしれない。股間にいつも主張していた俺自身もなくなっており、ツルンとしている。その代わり、胸の前は大きすぎず、小さすぎず、ちょうど手のひらサイズの双丘が俺の存在を主張しているのだ。
これは、夢だ。夢に違いない、もう一度ベッドに戻り、布団を頭までかぶり眠ることにした。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「アンドレアは、まだ目が覚めないのか?」
「すみません。まさか、あんな簡単にアンドレアが転倒するとは思ってもみなかったことで。」
「だいたいお前は、アンドレアがか弱い令嬢だということを忘れているからだ。こんな可愛い娘に傷でもつけたら、大事になるぞ。たださえ王家から、縁談が来ているというのに、お前が守ってやらなくて、誰がアンドレアを守れるというものか?」
「すみません。アンディ(アンドレアの愛称)が可愛すぎて、悪ふざけが過ぎました。」
怒っているのは、アンドレアの父マーティ・クロフォード公爵、叱られているのは、アンドレアの1歳年上の兄でカルバン・クロフォード。
側に控えているのは、侍女のクラレス。
「今、お嬢様の瞼がピクピクと……!」
「夢でも見ているのだろう。」
「ん……。」
俺は、目が覚めても夢から覚めていないという現実を思い知らされることになったのだ。
「おお!アンディ、大丈夫か?どこか傷むところはあるか?」
誰だ?このイケメンオジサンは?その横にも外国人タレントかと見間違えるようなイケメンが心配そうに顔を覗き込んでいる。
俺は、何かしゃべろうにも喉がカラカラで声が出ない。
その様子を察したのか侍女のクラリスが水を汲んできてくれて、差し出された。
俺は、それを一気に飲み干すと、
「ここは、どこ?どなた?」
安堵に包まれたかのような部屋の中は一変して、凍り付いてしまったのだ。
公爵の「医者を呼べ!」の声に、再び、部屋の中が騒然とし始める。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!
杏仁豆腐
恋愛
17歳の女子高生が交通事故で即死。その後女神に天国か地獄か、それとも異世界に転生するかの選択肢を与えられたので、異世界を選択したら……イケメンだらけの世界に来ちゃいました。それも私って悪役令嬢!? いやそれはバッドエンドになるから勘弁してほしいわっ! 逆ハーレム生活をエンジョイしたいのっ!!
※不定期更新で申し訳ないです。順調に進めばアップしていく予定です。設定めちゃめちゃかもしれません……本当に御免なさい。とにかく考え付いたお話を書いていくつもりです。宜しくお願い致します。
※タイトル変更しました。3/31
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?
陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。
この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。
執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め......
剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。
本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。
小説家になろう様でも掲載中です。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる