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1.目覚め
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ふと目が覚めると、豪華な部屋で寝かされていた。豪華と言えば、豪華なのだが、やけにピンク色を基調としているのが気に食わない。
でも、あの時、助けた子供が女の子だったのか?よく覚えていないが、それでその娘の親がお礼に俺をもてなしてくれているというところだな。たぶん。
俺の名前は、宮本武夫。警視庁の元デカだ。学生時代から選手権は総なめで数々のトロフィーをモノにしてきた。特技は、剣道8段の腕前で、柔道は3段、書道は初段。宮本武蔵の生まれ変わりだと豪語していたのだが、寄る年波に勝てず50肩になり、拳銃も竹刀も握れなくなったことから、デカを退職した。
娘を助けたのは、横断歩道で、その子が靴を落としたため動けずにいたところを、とっさにカラダが勝手に動き、その娘を抱き上げ、母親の元へ投げたところまでの記憶はある。
恥ずかしいことに、その後の記憶がプッツリと無いことから、おそらく、その娘の両親からの接待だと思うようにしていたのだ。
それにしても、俺にまでピンク色のフリフリを着せるなど、他に着せるものがなかったのかもしれない。
天蓋付きのベッドを見ていてもしょうがないから、起き上がることにして、ふと、俺は自分の手がか細くなっていることに気づく。
なんだ!これは?
それとともに時折、サラサラと肩にかかる金髪?きつね色をした人毛のようなものの正体も気にかかる。
ベッドわきには、ピンク色のスリッパが添えられるように置いてある。俺は恐る恐るそのスリッパを履き、部屋の中を一巡することにしたのだ。
クローゼット横の姿見に差し掛かった時、驚きすぎて、思わず声を上げそうになってのを辛うじて、声を飲み込むことができたことは良かった。
鏡に映った俺は、どこからどう見ても、超美少女なフランス人形のような容姿をしている。
「ウソだろ……?」
いや、俺は悪い夢を見ているのかもしれない。股間にいつも主張していた俺自身もなくなっており、ツルンとしている。その代わり、胸の前は大きすぎず、小さすぎず、ちょうど手のひらサイズの双丘が俺の存在を主張しているのだ。
これは、夢だ。夢に違いない、もう一度ベッドに戻り、布団を頭までかぶり眠ることにした。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「アンドレアは、まだ目が覚めないのか?」
「すみません。まさか、あんな簡単にアンドレアが転倒するとは思ってもみなかったことで。」
「だいたいお前は、アンドレアがか弱い令嬢だということを忘れているからだ。こんな可愛い娘に傷でもつけたら、大事になるぞ。たださえ王家から、縁談が来ているというのに、お前が守ってやらなくて、誰がアンドレアを守れるというものか?」
「すみません。アンディ(アンドレアの愛称)が可愛すぎて、悪ふざけが過ぎました。」
怒っているのは、アンドレアの父マーティ・クロフォード公爵、叱られているのは、アンドレアの1歳年上の兄でカルバン・クロフォード。
側に控えているのは、侍女のクラレス。
「今、お嬢様の瞼がピクピクと……!」
「夢でも見ているのだろう。」
「ん……。」
俺は、目が覚めても夢から覚めていないという現実を思い知らされることになったのだ。
「おお!アンディ、大丈夫か?どこか傷むところはあるか?」
誰だ?このイケメンオジサンは?その横にも外国人タレントかと見間違えるようなイケメンが心配そうに顔を覗き込んでいる。
俺は、何かしゃべろうにも喉がカラカラで声が出ない。
その様子を察したのか侍女のクラリスが水を汲んできてくれて、差し出された。
俺は、それを一気に飲み干すと、
「ここは、どこ?どなた?」
安堵に包まれたかのような部屋の中は一変して、凍り付いてしまったのだ。
公爵の「医者を呼べ!」の声に、再び、部屋の中が騒然とし始める。
でも、あの時、助けた子供が女の子だったのか?よく覚えていないが、それでその娘の親がお礼に俺をもてなしてくれているというところだな。たぶん。
俺の名前は、宮本武夫。警視庁の元デカだ。学生時代から選手権は総なめで数々のトロフィーをモノにしてきた。特技は、剣道8段の腕前で、柔道は3段、書道は初段。宮本武蔵の生まれ変わりだと豪語していたのだが、寄る年波に勝てず50肩になり、拳銃も竹刀も握れなくなったことから、デカを退職した。
娘を助けたのは、横断歩道で、その子が靴を落としたため動けずにいたところを、とっさにカラダが勝手に動き、その娘を抱き上げ、母親の元へ投げたところまでの記憶はある。
恥ずかしいことに、その後の記憶がプッツリと無いことから、おそらく、その娘の両親からの接待だと思うようにしていたのだ。
それにしても、俺にまでピンク色のフリフリを着せるなど、他に着せるものがなかったのかもしれない。
天蓋付きのベッドを見ていてもしょうがないから、起き上がることにして、ふと、俺は自分の手がか細くなっていることに気づく。
なんだ!これは?
それとともに時折、サラサラと肩にかかる金髪?きつね色をした人毛のようなものの正体も気にかかる。
ベッドわきには、ピンク色のスリッパが添えられるように置いてある。俺は恐る恐るそのスリッパを履き、部屋の中を一巡することにしたのだ。
クローゼット横の姿見に差し掛かった時、驚きすぎて、思わず声を上げそうになってのを辛うじて、声を飲み込むことができたことは良かった。
鏡に映った俺は、どこからどう見ても、超美少女なフランス人形のような容姿をしている。
「ウソだろ……?」
いや、俺は悪い夢を見ているのかもしれない。股間にいつも主張していた俺自身もなくなっており、ツルンとしている。その代わり、胸の前は大きすぎず、小さすぎず、ちょうど手のひらサイズの双丘が俺の存在を主張しているのだ。
これは、夢だ。夢に違いない、もう一度ベッドに戻り、布団を頭までかぶり眠ることにした。
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「アンドレアは、まだ目が覚めないのか?」
「すみません。まさか、あんな簡単にアンドレアが転倒するとは思ってもみなかったことで。」
「だいたいお前は、アンドレアがか弱い令嬢だということを忘れているからだ。こんな可愛い娘に傷でもつけたら、大事になるぞ。たださえ王家から、縁談が来ているというのに、お前が守ってやらなくて、誰がアンドレアを守れるというものか?」
「すみません。アンディ(アンドレアの愛称)が可愛すぎて、悪ふざけが過ぎました。」
怒っているのは、アンドレアの父マーティ・クロフォード公爵、叱られているのは、アンドレアの1歳年上の兄でカルバン・クロフォード。
側に控えているのは、侍女のクラレス。
「今、お嬢様の瞼がピクピクと……!」
「夢でも見ているのだろう。」
「ん……。」
俺は、目が覚めても夢から覚めていないという現実を思い知らされることになったのだ。
「おお!アンディ、大丈夫か?どこか傷むところはあるか?」
誰だ?このイケメンオジサンは?その横にも外国人タレントかと見間違えるようなイケメンが心配そうに顔を覗き込んでいる。
俺は、何かしゃべろうにも喉がカラカラで声が出ない。
その様子を察したのか侍女のクラリスが水を汲んできてくれて、差し出された。
俺は、それを一気に飲み干すと、
「ここは、どこ?どなた?」
安堵に包まれたかのような部屋の中は一変して、凍り付いてしまったのだ。
公爵の「医者を呼べ!」の声に、再び、部屋の中が騒然とし始める。
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