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8 カトリーヌ視点
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わたくしは、カトリーヌ・シャルマン公爵令嬢です。
わたくしとリチャードが婚約したのは、5歳の頃のお妃選定会のことです。わたくしがリチャードに一目惚れをして、どうしてもリチャードのお嫁さんになりたいと申しまして、父の権力を使い、無理やり婚約者にしてもらいましたのよ。
父は、アントワネット家の娘が第1王子のチャールズ殿下の婚約者なのに、同じ公爵家なのだから、今度はぜひともウチの娘と婚約してもらいたいと、王家にねじこみ、無理を承知で婚約者に内定しましたの。
以来、ひとえに大好きなリチャード様のために、お妃教育を頑張ってまいりましたわ。
お妃教育では、閨教育をしてくださるのですが、その内容に興奮いたしましたわ。いかにして、殿方を悦ばせるかは、テクニックが必要であるとわかり、日夜研究に勤しみましたのよ。
でも、リチャード様はいつまで待っても、わたくしに手を出そうとはなさらない。それは、きっとわたくしのことを遊び女ではなく、真剣に妻として考えてくれていらっしゃるからなのだと思いましたの。
そんな時にチャールズ王太子殿下が男爵令嬢と浮気をなさって、クリスティーヌ公爵令嬢との婚約が危ぶまれているというニュースが飛び込んできまして。わたくしは、焦りましたわ。このままでは、下位貴族の令嬢にリチャード様を取られてしまうのではないか?
父は、わたくしのためにまたもや公爵家の権力を使い、ようやくリチャード様と恋人関係になりましたわ。
あとは磨き上げた知識をリチャード様に、披露するだけと思い、張り切りましたわ。リチャード様が悦ばれるようなことは、進んでやりましたわ。
「カトリーヌ、愛しているよ。だけどその娼婦のような真似は止めてくれないか?気持ちは嬉しいが、大切な君にそんなことはさせられない。」
いかにわたくしのことを大事に思ってくださっているかを感じましたので、たまにしかしないように心掛けましたわ。
わたくしのテクニックが功を奏して、それから無事、懐妊出来ましたわ。
ところがです。チャールズ殿下に婚約破棄されたクリスティーヌが、リチャードの正妃として婚約することになったのです。
リチャードいわく、クリスティーヌは親父の慰み者になるためなのだが、世間体が悪いので一応、正妃として、自分の妻にすることにしたのだ。と。
ええ?そんなこと信じられる?でもよくよく聞けば、確かにエロジジィは、クリスティーヌに執心している事実がある。先年、王妃殿下を亡くされたばかりで、夜の処理が一人ではなかなか大変だとか?それでキズモノのクリスティーヌに目をつけられたとなれば、納得いく話である。
それに少し顔がいいからと言って、クリスティーヌは、みんなからちやほやされているのが腹が立つ。
エロジジィのオモチャになって、弄ばれろ!と内心思ってしまって、リチャードの案を受け入れましたわ。
結婚式が済むと最初に一度だけ、関係を結ぶが怒らないでくれ。俺もイヤイヤながら抱くのだ。形だけでも正妃なのだから、一度はお手付きしなくてはならない。らしい。
一度だけでも関係を結べば、アントワネット家から文句をつけられまいということで、渋々だけど承諾したわ。
それにエロジジィのオモチャとして、飽きられたら、外国の要人のための娼婦になると聞いて、正直なところ、わたくしもそれをやりたいと思ったけれど、口には出せなかったわ。いろいろな殿方に抱かれてみたい。でも、そんなことリチャードが許してくれるはずもないから、黙っていたのよ。
それをクリスティーヌがするなんて、羨ましい。だから、そのために正妃の肩書が必要だと言われてみれば、そうかもしれないと納得しましたわ。
側妃では、インパクトが少ない。相手国から見れば、名前だけの正妃のほうが、ありがたがって抱くだろう。
結婚式が終わって、リチャードとは、一度もないのよ。たとえ、一度でもクリスティーヌとはやると言っていたから、しょっちゅうリチャードの動向を探ったわ。でも、本当にリチャードはまだ一度も手出しをしていないみたいで、エロジジィが相当苛立っていたわ。だから、信用していたのに、それが3か月後ぐらいに、突然、妹か弟が生まれるって話を聞かされて……、だって計算が合わないもの。
初夜からガンガンやりまくらなければ、3か月で懐妊なんて、ありえない!それで侍女を使って、いろいろとリチャード周辺を調べさせたのよ。
そしたら、リチャードは毎晩のように、クリスティーヌの部屋を訪れ、朝まで出てこないって言うから、これはゲームをしているわけではないと踏んだのよ。
それで侍女に頼み、王都で評判の激辛お菓子を買ってきてもらい、クリスティーヌの部屋の水差しを隠してもらったわ。
クリスティーヌが食べたら、必ず夜中に喉が渇いて、階段を使う。それを狙いましたわ。
「国王様のお子様」とカマをかけても、反応なしだったから、階段から突き落としてやったわよ。うまくいったと思った瞬間、あいつ、わたくしのドレスの裾を握りしめたのね。それで誤って、わたくしも一緒に落ちたんだけど、クリスティーヌがいい具合にクッションになってくれて、衝撃は軽く済んだんだ。
リチャードはすぐさま駆け寄ってきてくれて、
「大丈夫か?愛している。……。」
ん?あの時、確かにクリスティーヌの名前を呼んでいたような気がする。うそ?なんで、今まで気が付かなかったんだろう?
いやいやリチャードに限って、そんなこと……ありえない!だって、リチャードは私にぞっこん、べた惚れのはずだもの。
確かにカトリーヌがどうとか、言っていたような?
まぁいいや。今は、とにかく。あとで考えることにしよう。
その時、侍医がわたくしのお腹から無理やり赤ん坊だけを取り上げてしまい、失血性ショックであえなく死んでしまったのよ。
死んだら、考えられないでしょ。
でも、クリスティーヌのやつ、死んでまでも、わたくしのリチャード様にまとわりつくために、わたくしの娘に転生したのよ。どこまでも腹が立つ女。
だから、わたくし、あの女のカラダに少し細工してやったら、もうすっかり淫乱女になってしまい、旦那から嫌われて……、ざまぁみろってんだ。
お前だけ、毎晩、旦那に愛されて羨ましい、いや違う、わたくしのカラダも慰めてくれ、いや違った。え……と、とにかくもう、旦那とはできないようにしてやったわ。ざまぁみろ。
わたくしとリチャードが婚約したのは、5歳の頃のお妃選定会のことです。わたくしがリチャードに一目惚れをして、どうしてもリチャードのお嫁さんになりたいと申しまして、父の権力を使い、無理やり婚約者にしてもらいましたのよ。
父は、アントワネット家の娘が第1王子のチャールズ殿下の婚約者なのに、同じ公爵家なのだから、今度はぜひともウチの娘と婚約してもらいたいと、王家にねじこみ、無理を承知で婚約者に内定しましたの。
以来、ひとえに大好きなリチャード様のために、お妃教育を頑張ってまいりましたわ。
お妃教育では、閨教育をしてくださるのですが、その内容に興奮いたしましたわ。いかにして、殿方を悦ばせるかは、テクニックが必要であるとわかり、日夜研究に勤しみましたのよ。
でも、リチャード様はいつまで待っても、わたくしに手を出そうとはなさらない。それは、きっとわたくしのことを遊び女ではなく、真剣に妻として考えてくれていらっしゃるからなのだと思いましたの。
そんな時にチャールズ王太子殿下が男爵令嬢と浮気をなさって、クリスティーヌ公爵令嬢との婚約が危ぶまれているというニュースが飛び込んできまして。わたくしは、焦りましたわ。このままでは、下位貴族の令嬢にリチャード様を取られてしまうのではないか?
父は、わたくしのためにまたもや公爵家の権力を使い、ようやくリチャード様と恋人関係になりましたわ。
あとは磨き上げた知識をリチャード様に、披露するだけと思い、張り切りましたわ。リチャード様が悦ばれるようなことは、進んでやりましたわ。
「カトリーヌ、愛しているよ。だけどその娼婦のような真似は止めてくれないか?気持ちは嬉しいが、大切な君にそんなことはさせられない。」
いかにわたくしのことを大事に思ってくださっているかを感じましたので、たまにしかしないように心掛けましたわ。
わたくしのテクニックが功を奏して、それから無事、懐妊出来ましたわ。
ところがです。チャールズ殿下に婚約破棄されたクリスティーヌが、リチャードの正妃として婚約することになったのです。
リチャードいわく、クリスティーヌは親父の慰み者になるためなのだが、世間体が悪いので一応、正妃として、自分の妻にすることにしたのだ。と。
ええ?そんなこと信じられる?でもよくよく聞けば、確かにエロジジィは、クリスティーヌに執心している事実がある。先年、王妃殿下を亡くされたばかりで、夜の処理が一人ではなかなか大変だとか?それでキズモノのクリスティーヌに目をつけられたとなれば、納得いく話である。
それに少し顔がいいからと言って、クリスティーヌは、みんなからちやほやされているのが腹が立つ。
エロジジィのオモチャになって、弄ばれろ!と内心思ってしまって、リチャードの案を受け入れましたわ。
結婚式が済むと最初に一度だけ、関係を結ぶが怒らないでくれ。俺もイヤイヤながら抱くのだ。形だけでも正妃なのだから、一度はお手付きしなくてはならない。らしい。
一度だけでも関係を結べば、アントワネット家から文句をつけられまいということで、渋々だけど承諾したわ。
それにエロジジィのオモチャとして、飽きられたら、外国の要人のための娼婦になると聞いて、正直なところ、わたくしもそれをやりたいと思ったけれど、口には出せなかったわ。いろいろな殿方に抱かれてみたい。でも、そんなことリチャードが許してくれるはずもないから、黙っていたのよ。
それをクリスティーヌがするなんて、羨ましい。だから、そのために正妃の肩書が必要だと言われてみれば、そうかもしれないと納得しましたわ。
側妃では、インパクトが少ない。相手国から見れば、名前だけの正妃のほうが、ありがたがって抱くだろう。
結婚式が終わって、リチャードとは、一度もないのよ。たとえ、一度でもクリスティーヌとはやると言っていたから、しょっちゅうリチャードの動向を探ったわ。でも、本当にリチャードはまだ一度も手出しをしていないみたいで、エロジジィが相当苛立っていたわ。だから、信用していたのに、それが3か月後ぐらいに、突然、妹か弟が生まれるって話を聞かされて……、だって計算が合わないもの。
初夜からガンガンやりまくらなければ、3か月で懐妊なんて、ありえない!それで侍女を使って、いろいろとリチャード周辺を調べさせたのよ。
そしたら、リチャードは毎晩のように、クリスティーヌの部屋を訪れ、朝まで出てこないって言うから、これはゲームをしているわけではないと踏んだのよ。
それで侍女に頼み、王都で評判の激辛お菓子を買ってきてもらい、クリスティーヌの部屋の水差しを隠してもらったわ。
クリスティーヌが食べたら、必ず夜中に喉が渇いて、階段を使う。それを狙いましたわ。
「国王様のお子様」とカマをかけても、反応なしだったから、階段から突き落としてやったわよ。うまくいったと思った瞬間、あいつ、わたくしのドレスの裾を握りしめたのね。それで誤って、わたくしも一緒に落ちたんだけど、クリスティーヌがいい具合にクッションになってくれて、衝撃は軽く済んだんだ。
リチャードはすぐさま駆け寄ってきてくれて、
「大丈夫か?愛している。……。」
ん?あの時、確かにクリスティーヌの名前を呼んでいたような気がする。うそ?なんで、今まで気が付かなかったんだろう?
いやいやリチャードに限って、そんなこと……ありえない!だって、リチャードは私にぞっこん、べた惚れのはずだもの。
確かにカトリーヌがどうとか、言っていたような?
まぁいいや。今は、とにかく。あとで考えることにしよう。
その時、侍医がわたくしのお腹から無理やり赤ん坊だけを取り上げてしまい、失血性ショックであえなく死んでしまったのよ。
死んだら、考えられないでしょ。
でも、クリスティーヌのやつ、死んでまでも、わたくしのリチャード様にまとわりつくために、わたくしの娘に転生したのよ。どこまでも腹が立つ女。
だから、わたくし、あの女のカラダに少し細工してやったら、もうすっかり淫乱女になってしまい、旦那から嫌われて……、ざまぁみろってんだ。
お前だけ、毎晩、旦那に愛されて羨ましい、いや違う、わたくしのカラダも慰めてくれ、いや違った。え……と、とにかくもう、旦那とはできないようにしてやったわ。ざまぁみろ。
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