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リリアーヌを殺したチャールズは、廃嫡され国外追放処分となったのである。
そして、次の王太子には、一つ年下の弟殿下リチャード様がなられることに決まる。
前世の記憶のどこをどう探っても、チャールズに弟がいたなどとは、聞いたことがない。いつの間に?
聞けば、国王と王妃の間に生まれた子供らしい。そうであれば、前々世クリスティーヌは、妃教育で13年間、お城を訪れているので会っているはずなのに、一度も出会っていない。
前世の王女だったころの記憶をたどっても、お見合い相手を婿養子にもらうつもりだったので、父の弟リチャード殿下の存在は知らない。
父に弟殿下がいれば、無理に婿養子など取らなくても、クリスティーヌはお嫁に行けたはずだから。
きっと、この世界は、前世とはよく似た別の世界なのであろう。であれば、前世や前々世とは、まったく違った別の人生が歩めるはずである。
気を取り直して、クリスティーヌは、そう思うことにしたのである。
アントワネット公爵家では、連日のようにチャールズとの婚約が白紙撤回されていたことを知り、貴族令息たちが求婚に訪れて、賑わっている。
公爵邸では、玄関に受付所を設け、名前と生年月日、アピールポイントなどを書かせるようにしたのだ。絵姿がある者は、なおよし。とすると、家に取りに帰る貴族令息たちの多いことといったら、100人を超える。
縁談は世界各国からあり、絶世の美女の絵姿がいつの間にか、世界で売られているのである。ちょうどプロマイドのような感じ?
世界の王族たちは、ぜひとも絶世の美女をわが物にしようと贈り物合戦をしている。
アントワネット公爵家では、世界各地の珍しいタペストリーに壷、絵画、宝石に金貨が届けられる。
クリスティーヌは、すべて受け取るわけにはいかないので、いちいち全部にお礼状を添えて、送り返す作業に追われている。
送り返された世界の王族は、やはり直接行かないとダメかと勘違いして、わんさか訪れるのだから、これはこれで困ったことになる。
中には、送り返すに返せないものを贈ってこられる場合がある。生き物、生もの、送り返すうちに死なれては後味が悪い。そういう場合は、お礼状だけを返すようにしている。
そうこうしているうちに、兄のところに息子が誕生した。名前はやっぱりフェルゼンだったわ。前世でのクリスティーヌの初恋の人でも、今世では、叔母と甥の関係だから、諦めなくてはならない。
だって、19歳も年の差があるから、こんなおばあちゃんイヤよね?
ここのところ、サンドラ国王陛下より、秋波が送られてきて、困っているのよね。いくら先年、王妃殿下を亡くされたからと言え、クリスティーヌを後妻になど、年の差がありすぎる!
でも正式な縁談が来たら、断れない。だって、相手は国王様だし、チャールズのお父様であったのだから。いくらチャールズとの婚約を白紙撤回していただいたとはいえ、息子の元婚約者を後妻になんて、考えられない。それに前世のおじいちゃんだよぉ。おじいちゃんに抱かれるなんて、気持ちが悪い!
前世の国王陛下は、確かクリスティーヌが18歳になった時に亡くなった。高校3年生の時だ。父が戴冠式を迎えるにあたり、挨拶しなければならなくなり、その時の資料調べで学園の図書室に通い詰めた時に、あのろくでなしのアルフレッドと知り合ったのだ。
ということは?まだ、あと19年やそこら生きているということになる。冗談じゃないわよ!今が19歳だから、人生の半分をじじぃに捧げるなんて、まっぴらごめんである。
ついに!王家から正式な縁談が来たのである。
緊張が走る公爵家。
でも、相手は陛下ではなく、リチャード殿下であったのだ。何だ、良かったって、ホッとしている場合ではない!
サンドラ様がご所望されているらしいとの話が、父を通して来ていたのであるが、リチャード様に憤慨され、猛反対の上、それならば、とリチャード様との縁談にすり替わってしまったらしい。
だって、リチャード様には、もう婚約者様がいらっしゃるでしょう?それなのに……、次の卒業式の夜に、正妃と側妃、一緒に結婚式を挙げるおつもりだそうです。
それをよく、カトリーヌ公爵令嬢様が承知なさったと思うわ。カトリーヌ様がそれでいいとおっしゃられているそうです。
ハイ。お断りできる余地はありません。
クリスティーヌは、リチャード様より一つ年上の姉さん女房になるから、側妃として召し上げられるのだと思っていたら、美人だということを理由で正妃として、結婚するそうです。まぁ、ウエディングドレスは、チャールズの時のがあるから、それを少し手直ししたら、着られなくもない。
その頃、リチャードと婚約者の公爵令嬢カトリーヌ・シャルマン嬢は、愛し合っている。
「愛しているよ。カトリーヌ、クリスティーヌは親父に押し付けられただけの女だ。俺が愛している女は、カトリーヌただ一人だけだ。」
「だったら、なぜ?わたくしが側妃になるのですか?……あ、あん。」
「クリスティーヌは年上でしかも、親父のオモチャになるためだけの女なんだ。わかってくれ、カトリーヌ。あんな兄貴のお古な、女なんて嫌いだ。少し美人なだけで、親父が飽きたら、外交上の娼婦にするつもりらしいから、正妃のほうが、都合がいいということだ。」
「おかわいそうなクリスティーヌ様、チャールズ様に浮気され捨てられ、あんなおじいちゃんの情婦にさせられ、それもおじいちゃんができなくなったら、今度は世界の首脳陣に抱かれるなんて、お気の毒ですこと。美人に生まれても、いいことなんてないものなのですね。」
「わかってくれたかい?愛しているのは、カトリーヌただ一人だということを。」
瞬く間に、あれから1年。今日は、リチャード様の卒業式の日である。そして、卒業パーティが済めば、リチャード様との結婚式が行われる。
リチャード様との婚約が決まってから、まだ1回しかお会いしたことがなく、クリスティーヌは不安でいっぱいである。
結婚式では、カトリーヌ様のお腹が少々目立っていた。
あー、そういうこと?だから、クリスティーヌが側妃ではなく、正妃に選ばれた理由がわかったような気がする。
側妃はあくまでも性欲処理のための女性、正妃は将来の国母、明確に意味が異なる。
参列者は、国家の重鎮とサンドラ陛下、アントワネット家とシャルマン家親族が一堂に集まる。シャルマン家のほうが、やたらはしゃいでいるのが気に障る。
結婚式は滞りなく、終わる。参列の国王陛下の目がクリスティーヌの全身を舐めまわすように見るから少々コワイが、気にしない。
初夜は、まさか?二人同時に?と思ったけど、カトリーヌ様のお腹の子供に障るからと、今夜のお泊りはクリスティーヌだけとなる。
丁寧にドレスを脱がされ、全裸にされると、リチャード様もご自分ですべて洋服を脱がれ、立ったまま抱きしめられる。そして、口の中を蹂躙されるような熱いキスをたっぷりと。
全裸にされたのは、クリスティーヌは母から聞いていて、武器を隠し持っていないか調べるために、まず全裸にされてからコトに及ぶものらしい。
母は、すべて殿下にお任せしなさい。嫌がって、恥ずかしがってもダメです。
覚悟はできていたものの、やはり舐めるような視線は恥ずかしい。
リチャード様は、ベッドに腰かけられ、クリスティーヌに立ったままで様々なポーズを取らせる。
「次は、右足首を持ったまま、足首を肩まで上げてごらん。」
「こ、こうでございますか?」
「そうだ、美しい。」
お妃教育で聞いていた閨ごととは、程遠い。こんな体操みたいなことをして赤ちゃんができるのであろうか?
「次はブリッジだ。ベッドに寝て、足を広げ、最初は肩でカラダを支えるように、腰と背中を浮かせる。やってごらん。」
一生懸命肩で体重を支えるクリスティーヌは、苦悩の表情を浮かべる。
「今日は。キスだけしかしないよ。だから声は我慢してはいけない。我慢するとお仕置きをするぞ。いいな?」
「は、はい。」
ブリッジしている足と足の間に顔を埋めるリチャードは、キスをしていく。足はブルブル震えてくる。
ちゅうちゅうと舐めて、時折、噛む。
恥ずかしさに身もだえながら、声を上げていく。
「いい子だ。つぎは、どこにキスをしてほしい?」
「お、おっぱいに。」
「よく言えました。ご褒美にブリッジは、解いて構わないよ。」
こんな調子で朝まで続いた頃には、もうへとへとで、お昼ごろまでぐっすりと休む。
リチャード様は、いつの間にか部屋に戻られ、お仕事をされている。側には、カトリーヌ様が嫉妬にまみれた顔をして座っていらっしゃる。
そこへ陛下が何食わぬ顔をしながら、やってきてリチャードにあれこれ聞く。
「どうだ?クリスティーヌは、良かったであろう?いつ、儂にもやらせてくれるのかな?」
「まだ、クリスとは、やっていないよ、昨夜はただゲームをして遊んだだけだから。」
「なんだ、もったいない。早くやれ!」
そのまま陛下は出ていかれる。それを見ていたカトリーヌも納得顔で、クリスティーヌとの結婚は、国王陛下のオモチャにするためだとわかり安心して、胎教に励むのである。
そして、次の王太子には、一つ年下の弟殿下リチャード様がなられることに決まる。
前世の記憶のどこをどう探っても、チャールズに弟がいたなどとは、聞いたことがない。いつの間に?
聞けば、国王と王妃の間に生まれた子供らしい。そうであれば、前々世クリスティーヌは、妃教育で13年間、お城を訪れているので会っているはずなのに、一度も出会っていない。
前世の王女だったころの記憶をたどっても、お見合い相手を婿養子にもらうつもりだったので、父の弟リチャード殿下の存在は知らない。
父に弟殿下がいれば、無理に婿養子など取らなくても、クリスティーヌはお嫁に行けたはずだから。
きっと、この世界は、前世とはよく似た別の世界なのであろう。であれば、前世や前々世とは、まったく違った別の人生が歩めるはずである。
気を取り直して、クリスティーヌは、そう思うことにしたのである。
アントワネット公爵家では、連日のようにチャールズとの婚約が白紙撤回されていたことを知り、貴族令息たちが求婚に訪れて、賑わっている。
公爵邸では、玄関に受付所を設け、名前と生年月日、アピールポイントなどを書かせるようにしたのだ。絵姿がある者は、なおよし。とすると、家に取りに帰る貴族令息たちの多いことといったら、100人を超える。
縁談は世界各国からあり、絶世の美女の絵姿がいつの間にか、世界で売られているのである。ちょうどプロマイドのような感じ?
世界の王族たちは、ぜひとも絶世の美女をわが物にしようと贈り物合戦をしている。
アントワネット公爵家では、世界各地の珍しいタペストリーに壷、絵画、宝石に金貨が届けられる。
クリスティーヌは、すべて受け取るわけにはいかないので、いちいち全部にお礼状を添えて、送り返す作業に追われている。
送り返された世界の王族は、やはり直接行かないとダメかと勘違いして、わんさか訪れるのだから、これはこれで困ったことになる。
中には、送り返すに返せないものを贈ってこられる場合がある。生き物、生もの、送り返すうちに死なれては後味が悪い。そういう場合は、お礼状だけを返すようにしている。
そうこうしているうちに、兄のところに息子が誕生した。名前はやっぱりフェルゼンだったわ。前世でのクリスティーヌの初恋の人でも、今世では、叔母と甥の関係だから、諦めなくてはならない。
だって、19歳も年の差があるから、こんなおばあちゃんイヤよね?
ここのところ、サンドラ国王陛下より、秋波が送られてきて、困っているのよね。いくら先年、王妃殿下を亡くされたからと言え、クリスティーヌを後妻になど、年の差がありすぎる!
でも正式な縁談が来たら、断れない。だって、相手は国王様だし、チャールズのお父様であったのだから。いくらチャールズとの婚約を白紙撤回していただいたとはいえ、息子の元婚約者を後妻になんて、考えられない。それに前世のおじいちゃんだよぉ。おじいちゃんに抱かれるなんて、気持ちが悪い!
前世の国王陛下は、確かクリスティーヌが18歳になった時に亡くなった。高校3年生の時だ。父が戴冠式を迎えるにあたり、挨拶しなければならなくなり、その時の資料調べで学園の図書室に通い詰めた時に、あのろくでなしのアルフレッドと知り合ったのだ。
ということは?まだ、あと19年やそこら生きているということになる。冗談じゃないわよ!今が19歳だから、人生の半分をじじぃに捧げるなんて、まっぴらごめんである。
ついに!王家から正式な縁談が来たのである。
緊張が走る公爵家。
でも、相手は陛下ではなく、リチャード殿下であったのだ。何だ、良かったって、ホッとしている場合ではない!
サンドラ様がご所望されているらしいとの話が、父を通して来ていたのであるが、リチャード様に憤慨され、猛反対の上、それならば、とリチャード様との縁談にすり替わってしまったらしい。
だって、リチャード様には、もう婚約者様がいらっしゃるでしょう?それなのに……、次の卒業式の夜に、正妃と側妃、一緒に結婚式を挙げるおつもりだそうです。
それをよく、カトリーヌ公爵令嬢様が承知なさったと思うわ。カトリーヌ様がそれでいいとおっしゃられているそうです。
ハイ。お断りできる余地はありません。
クリスティーヌは、リチャード様より一つ年上の姉さん女房になるから、側妃として召し上げられるのだと思っていたら、美人だということを理由で正妃として、結婚するそうです。まぁ、ウエディングドレスは、チャールズの時のがあるから、それを少し手直ししたら、着られなくもない。
その頃、リチャードと婚約者の公爵令嬢カトリーヌ・シャルマン嬢は、愛し合っている。
「愛しているよ。カトリーヌ、クリスティーヌは親父に押し付けられただけの女だ。俺が愛している女は、カトリーヌただ一人だけだ。」
「だったら、なぜ?わたくしが側妃になるのですか?……あ、あん。」
「クリスティーヌは年上でしかも、親父のオモチャになるためだけの女なんだ。わかってくれ、カトリーヌ。あんな兄貴のお古な、女なんて嫌いだ。少し美人なだけで、親父が飽きたら、外交上の娼婦にするつもりらしいから、正妃のほうが、都合がいいということだ。」
「おかわいそうなクリスティーヌ様、チャールズ様に浮気され捨てられ、あんなおじいちゃんの情婦にさせられ、それもおじいちゃんができなくなったら、今度は世界の首脳陣に抱かれるなんて、お気の毒ですこと。美人に生まれても、いいことなんてないものなのですね。」
「わかってくれたかい?愛しているのは、カトリーヌただ一人だということを。」
瞬く間に、あれから1年。今日は、リチャード様の卒業式の日である。そして、卒業パーティが済めば、リチャード様との結婚式が行われる。
リチャード様との婚約が決まってから、まだ1回しかお会いしたことがなく、クリスティーヌは不安でいっぱいである。
結婚式では、カトリーヌ様のお腹が少々目立っていた。
あー、そういうこと?だから、クリスティーヌが側妃ではなく、正妃に選ばれた理由がわかったような気がする。
側妃はあくまでも性欲処理のための女性、正妃は将来の国母、明確に意味が異なる。
参列者は、国家の重鎮とサンドラ陛下、アントワネット家とシャルマン家親族が一堂に集まる。シャルマン家のほうが、やたらはしゃいでいるのが気に障る。
結婚式は滞りなく、終わる。参列の国王陛下の目がクリスティーヌの全身を舐めまわすように見るから少々コワイが、気にしない。
初夜は、まさか?二人同時に?と思ったけど、カトリーヌ様のお腹の子供に障るからと、今夜のお泊りはクリスティーヌだけとなる。
丁寧にドレスを脱がされ、全裸にされると、リチャード様もご自分ですべて洋服を脱がれ、立ったまま抱きしめられる。そして、口の中を蹂躙されるような熱いキスをたっぷりと。
全裸にされたのは、クリスティーヌは母から聞いていて、武器を隠し持っていないか調べるために、まず全裸にされてからコトに及ぶものらしい。
母は、すべて殿下にお任せしなさい。嫌がって、恥ずかしがってもダメです。
覚悟はできていたものの、やはり舐めるような視線は恥ずかしい。
リチャード様は、ベッドに腰かけられ、クリスティーヌに立ったままで様々なポーズを取らせる。
「次は、右足首を持ったまま、足首を肩まで上げてごらん。」
「こ、こうでございますか?」
「そうだ、美しい。」
お妃教育で聞いていた閨ごととは、程遠い。こんな体操みたいなことをして赤ちゃんができるのであろうか?
「次はブリッジだ。ベッドに寝て、足を広げ、最初は肩でカラダを支えるように、腰と背中を浮かせる。やってごらん。」
一生懸命肩で体重を支えるクリスティーヌは、苦悩の表情を浮かべる。
「今日は。キスだけしかしないよ。だから声は我慢してはいけない。我慢するとお仕置きをするぞ。いいな?」
「は、はい。」
ブリッジしている足と足の間に顔を埋めるリチャードは、キスをしていく。足はブルブル震えてくる。
ちゅうちゅうと舐めて、時折、噛む。
恥ずかしさに身もだえながら、声を上げていく。
「いい子だ。つぎは、どこにキスをしてほしい?」
「お、おっぱいに。」
「よく言えました。ご褒美にブリッジは、解いて構わないよ。」
こんな調子で朝まで続いた頃には、もうへとへとで、お昼ごろまでぐっすりと休む。
リチャード様は、いつの間にか部屋に戻られ、お仕事をされている。側には、カトリーヌ様が嫉妬にまみれた顔をして座っていらっしゃる。
そこへ陛下が何食わぬ顔をしながら、やってきてリチャードにあれこれ聞く。
「どうだ?クリスティーヌは、良かったであろう?いつ、儂にもやらせてくれるのかな?」
「まだ、クリスとは、やっていないよ、昨夜はただゲームをして遊んだだけだから。」
「なんだ、もったいない。早くやれ!」
そのまま陛下は出ていかれる。それを見ていたカトリーヌも納得顔で、クリスティーヌとの結婚は、国王陛下のオモチャにするためだとわかり安心して、胎教に励むのである。
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